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35話 神を降ろされた者-5
しおりを挟む「そういう事があったんだ…」
「今馨恵の中にわしの記憶は無い。人間は神と生きてはいけないという掟があるのだよ」
大国主は懐かしげ微笑むと髭を触った。だとすると私の中にはまだ神が?
「そうだった、そうだった。今日が丁度契約解除の日なんだ。」
「契約解除?」
「貧乏神と馨恵の契約解除の日だ」
そう言うと突然体が浮くと言うより軽くなるような感じがして体制を崩した私はその場に倒れ込んだ。
「目覚めよ、貧乏神」
『…もう契約の日?』
私の目の前には子どものような神が立っていて、慣れない光に目を瞬かせた。
「そうだ」
『…そっか。話すのは初めてだけど今までありがと、おかげで馨恵の人生楽しめたよ』
「そ、それなら良かった」
『それと、今まで不幸にしてごめんね』
「不幸?」
私は疑問に思い首をかしげた。私って不幸な事なんてあったっけと記憶を辿っているとすぐに貧乏神は説明してくれた。
『まず一つ目、今回の事件。二つ目はほら…就職だったりさ』
「あ…ま、まさか私が大学落ちたのも就職してもすぐクビになったのは全てあなたのせいなの?!」
『お、落ち着いて…その代わりと言っちゃなんだけど、これから馨恵には幸福が訪れる』
「幸福って例えば?」
『そ、それはこれからのお楽しみだよ!残りの人生楽しんでね…あ、それとこれと夢は関係ないよ』
「何かしってるの?!」
私はその言葉に直ぐに反応した。葛の葉もその話には食いついたみたい、耳をピクッと動かした。
『…私からは何も言えない。だけどそこの九尾が言うようにこれから何かが起きる。それは世界を滅ぼさるほどの何かかもしれない』
「世界を滅ぼすって…やっぱり前世は知らない方が」
『ううん、こうやって酒呑童子らが揃ったのも前世が仕組んだこと。運命からは逃れられない』
その言葉には嫌悪さえ感じた。前世がこの夢のような家族を繋げている…でも、それは前世が望んだ未来。
「これであんたの目的に一歩進んだわよ」
「分かっていが、いざ目の前になったと思うと留まろうとしてしまう」
「…そうですね。ただ、一つ忠告しておきましょう…馨恵は私の命そう簡単に消せはさせない。と…」
妖王はその言葉を聞いて一瞬目を見開いたかと思うと顔を伏せ宮殿の仕事に取り掛かった。
その表情を隠せたとでも思っているのだろうけど、私はその一瞬を逃しはしない…その動揺を。
「まぁ、今は敵視するつもりなんて無いです。いつかはなると思いますけど…それと酒呑童子が覚醒しつつある事だけ伝えておきます」
あら、今度はあからさまに動揺をしたわね。今や、私の手の中にあるこの宮殿…もし、この手でひねり潰したらどうなるのだろうか。
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