三兄弟の王子達は小さな宝を溺愛中

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箱の中の宝もの

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ぽかぽかと身体が温かい…おひさまの下でお昼寝しているみたい。お花のいい匂いがして、遠くで聞こえるお話の声はまるで子守歌のよう…ずっとこのままねていたい━━━━


「…んん…」


朧気な意識のまま、少年はゆっくりと瞼を持ち上げる。くるみ色の大きな瞳がその姿を現すと、それまで談笑していた王子達は一斉に少年へと視線を落とした


「おはよう。お目覚めだね」

「…?」


長兄であるアデルが優しい笑顔を向ければ少年は眠たげな眼のままぼんやりと辺りを見渡した。とても綺麗で知らない部屋の中、見覚えのあるものといえば部屋の隅に置かれた宝箱のみ


「起きたら知らない場所に居て困惑しちゃったかな?」

「…どこ…?」

「喋っ…うご…生きてる!!」

「五月蝿い。少し落ち着きなさい」

「だって兄様…兄様、い…生きている!」

「そりゃ生きているでしょうよ。本当にお前は…」


両手で顔を覆い膝から崩れ落ちるアヴェンタを一瞥し、アイオリアは小さく息を吐いた。アヴェンタに驚いたのか、少年は怯えた様子で自身を抱くアデルの服を掴んでいる


「弟が驚かせてしまったね。大丈夫、怖くないよ…ちょっと声が大きいだけで根は優しい子だから」

「…あの…?」

「あぁそうか、いきなり沢山話されても困っちゃうよね、先ずは初めましてかな?」


やんわりと話すアデルからは穏やかな雰囲気が醸し出されていて、落ち着いた声が少年の緊張を解いていく。やや強ばっていた表情は緩み、口元には小さく笑みが浮かび上がった


「はじめ、まして」

「うん。初めまして、僕はアデル…アデル・ウォードだよ。よければお名前を聞かせてくれるかい?」

「…リアン…8歳です」

「リアン君、うん、キミにぴったりな名前だね」

「初めましてリアン。私はアデル兄上の弟、アイオリア…アイオリア・ウォードです」

「…はじめまして」

「次は俺!俺の名はアヴェンタ!末の弟でアヴェンタ・ウォードだ、よろしくリアン!」

「んと…はじめまして」


アデルにならい2人の王子が挨拶すればリアンは戸惑いながらも笑顔を浮かべ挨拶をする。へにゃっと眉を下げ笑うリアンにアヴェンタは再び床に崩れ落ち、アイオリアは琥珀色の炯眼を優しげに歪ませた


「それでねリアン君、急な事で驚いてしまうかもしれないけれど、今日から僕達と一緒に暮らそうか」

「ここ、に?」

「うん、ここに。僕達と一緒に」

「一緒…」


アデルの言葉を噛み砕くように繰り返し、リアンは微かに瞼を伏せた。脳裏には此処に来る前の最後の情景が浮かび上がる。血に塗れながらも自分を宝の箱に隠した男…必ず迎えに来ると言った騎士の言葉が頭の中にこびりついて離れない


「…ここに…いたら」

「うん?」

「ここに、いたら…行かなくても、いいですか?」

「…うん、良いよ。どこにも行かなくていい」


自分の声が震えている事にリアンは気付いていない。何処に、とは聞かずに答えたアデルはリアンの後頭部に手を回しそっと抱き寄せた


「キミが僕達を選んでくれるなら、誰にも渡さない。どこにも行かせはしないよ」

「お迎えがきても…?」

「勿論」


出会って間も無い相手の言葉を普通ならば信じはしない。だがその言葉を聞いたリアンは口元をキツくしばり、抱き寄せられたアデルの胸元に額を強く押し付けた。服を掴む手は小刻みに震え、小さな口から僅かに嗚咽が漏れている。


「YES、って受け取ってもいいのかな。リアン君」

「意地の悪い事を聞かないであげてください、兄上」

「フフッ…確かに意地の悪い質問だったね」

「ん?…兄者?兄様?」

「ほらアヴェンタ、街で子供服を適当に見繕って買ってきなさい」

「えっ!?俺がか!…ではなく!俺は何が起きたか理解出来ないんだが?」

「アヴェンタがリアン君の服を見繕う…?…うん、アヴェンタだけじゃ色々心配だからアイオリアも一緒に行ってあげて」

「分かりました」

「なんか色々と納得がいかないんだが!?……って兄様、やめっ…すみません歩く、歩きます、自分で歩くから!」


床に伏せたまま声を荒らげたアヴェンタの首根っこを掴み、アイオリアは彼の言葉に聞く耳も持たずに部屋を後にする。部屋のドアを閉じ廊下を歩く彼は何時までも騒ぎ立てるアヴェンタを徐ろに放り投げその頭を一発叩きつける


「いだぁっ!?なにも殴る事はないだろう!」

「こうでもしなければ何時までもギャーギャー騒ぎ立てていそうだったのでね」

「それは…うん、済まなかった…。確かに大袈裟に騒ぎ立ててしまっていたかもしれない………然し、兄者と兄様の言った通りだな。あの子が懐かないという心配はなかったようだ」

「…」

「いきなり共に住むかと言われ、断る事をしないとはな!やはりあれか、俺達の顔が良いからだろうか?…否、顔だけではなく全てが完璧だからだろうな」


うんうんと頷く自身の弟に若干引きつつ、アイオリアは「違う」と口を開く。その後続けられた発言にアヴェンタの顔から笑顔が消えた











































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