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第2話 恋は盲目
第2話 恋は盲目
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防波堤につくと、何人かの捜査員がまだ所々調べていた。
桟橋の傍らには、靴がぴったりと揃えて残されてあり、捜査員が証拠写真のために撮っていた。
無造作に紐がほどかれた革靴は太陽の光を反射しており、磨き抜かれていることを表していた。
その靴の中には、大量の睡眠薬の空袋が入っていた。
遺書には『睡眠薬を飲んで、モーターボートで死ぬ』
と記載されていたらしく、そのときに使ったものではないかと、推測されるという。
ボラードには、真新しい擦れた後があり、最近つけられたであろう鎖が巻かれていた。
(ボラードに新しい傷…………鎖もだいぶ新しいものだ。靴の中に睡眠薬の空袋が入ってるし、遺書にあったという内容………そして、自殺の件は本当っぽいな。
本当………なんだろうけど…………。)
なにか引っ掛かるらしい藍里は『うーん。』と唸りながら顎に手をやって考え込んだ。
「探偵さん。」
その時、後ろから声が聞こえたかと思うと、清水がこちらにやって来ていたのだった。
「笠村さんから伝言よ。被害者の人間関係を調べていたら、一人の男が浮上したの。」
「え?」
「名前は原坂 駿(はらさか しゅん。)。31歳。被害者と同じ、結婚詐欺師なんだけど、彼の方がたちが悪くてね。女性達がその男と別れようとすると、淫らな写真をネットにあげると脅してきたそうなの。
いま、その男と連絡とろうにも取れないから、今から家に行くみたいよ。ここから近いみたい。
よかったら行く?」
清水の言葉に藍里は二つ返事で返そうとしたが、すぐに後ろにいる哲也たちの方を見て、モゴモゴとしだした。
「気になるんだろ?俺らのことは気にすんな。行ってこいよ。」
哲也が嫌な顔ひとつせずに、優しくそう言うと、陽菜達も頷き、
「集合場所でね!」
と、陽菜にも後押しされた。
「ありがとう……じゃあ、ごめん。ちょっと行ってくる。終わったらすぐに合流するから!」
そう四人に言い残すと、藍里は清水と共に車に乗り込んだ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
車を走らせて10分後。
被害者と同じ結婚詐欺師という原坂が住んでいるアパートに向かった。
先に来ていた笠村を先頭に、『原坂』という表札が掛けられているドアのチャイムをならしてみる。
………が、中からの反応はない。
「留守か?………原坂さーん。いませんかー?」
笠村がドアに向かって話しかけるが、反応はない。
「原坂さーん。忙しいとは思いますが、出てきていただけませんか?」
何度声をかけても結果は同じで、笠村がため息をつきながらドアノブに手をかける。
ガチャッ。
すると、ドアノブは、何の抵抗も見せずにアッサリと隙間を見せた。それを見た清水と藍里も目を見開き、笠村も驚いた様子で
「開いてるな…。」
と呟いた。
異様な状況に、笠村達は恐る恐る中に入る。
すると、外からは聞こえてこなかったシャワーの音が風呂場から聞こえてきた。
「あ。入浴中か。」
「それは、失礼なことしたわね…。引き返しましょう。」
笠村と清水が引き返そうとした……。
「待ってください。」
開いていた脱衣室を凝視した藍里が、二人を呼び止めた。
藍里はソロリソロリと中に入り、近くにあった洗濯機の中を覗きだした。
「おい!こら!失礼だろ!!」
笠村が小声でそう言ったが、藍里は表情を固くしたまま、二人の方を見ると
「……ありません……。」
とだけこたえた。
「は?」
「風呂に入るなら、普通服とか脱ぎますよね?洗濯して干すにしても、入浴後に行いますよね?」
「だからなんだ…!?」
「脱 い だ 服 が 見 当 た り ま せ ん。」
藍里に言われて、二人は洗濯かごの方も見てみた。
確かに、洗濯かごの中身は空っぽで藍里の発言から、洗濯機の中身もないらしい。
そして、ハッとした清水は
「まさか!?」
と声をあげると、浴室の扉に駆け寄って、バン!!と勢いよくドアを開いた。
その光景に、3人は目を見張った。
「原坂……?」
思わず笠村が声を漏らす。
原坂と思わしきスーツを着た男性は、血を流し、頭からは熱湯のシャワーを浴びたままぐったりとしていた…。
足元には、ベットリと血がついたナイフ。
誰かに殺されていると言うことは、一目瞭然であった。
桟橋の傍らには、靴がぴったりと揃えて残されてあり、捜査員が証拠写真のために撮っていた。
無造作に紐がほどかれた革靴は太陽の光を反射しており、磨き抜かれていることを表していた。
その靴の中には、大量の睡眠薬の空袋が入っていた。
遺書には『睡眠薬を飲んで、モーターボートで死ぬ』
と記載されていたらしく、そのときに使ったものではないかと、推測されるという。
ボラードには、真新しい擦れた後があり、最近つけられたであろう鎖が巻かれていた。
(ボラードに新しい傷…………鎖もだいぶ新しいものだ。靴の中に睡眠薬の空袋が入ってるし、遺書にあったという内容………そして、自殺の件は本当っぽいな。
本当………なんだろうけど…………。)
なにか引っ掛かるらしい藍里は『うーん。』と唸りながら顎に手をやって考え込んだ。
「探偵さん。」
その時、後ろから声が聞こえたかと思うと、清水がこちらにやって来ていたのだった。
「笠村さんから伝言よ。被害者の人間関係を調べていたら、一人の男が浮上したの。」
「え?」
「名前は原坂 駿(はらさか しゅん。)。31歳。被害者と同じ、結婚詐欺師なんだけど、彼の方がたちが悪くてね。女性達がその男と別れようとすると、淫らな写真をネットにあげると脅してきたそうなの。
いま、その男と連絡とろうにも取れないから、今から家に行くみたいよ。ここから近いみたい。
よかったら行く?」
清水の言葉に藍里は二つ返事で返そうとしたが、すぐに後ろにいる哲也たちの方を見て、モゴモゴとしだした。
「気になるんだろ?俺らのことは気にすんな。行ってこいよ。」
哲也が嫌な顔ひとつせずに、優しくそう言うと、陽菜達も頷き、
「集合場所でね!」
と、陽菜にも後押しされた。
「ありがとう……じゃあ、ごめん。ちょっと行ってくる。終わったらすぐに合流するから!」
そう四人に言い残すと、藍里は清水と共に車に乗り込んだ。
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車を走らせて10分後。
被害者と同じ結婚詐欺師という原坂が住んでいるアパートに向かった。
先に来ていた笠村を先頭に、『原坂』という表札が掛けられているドアのチャイムをならしてみる。
………が、中からの反応はない。
「留守か?………原坂さーん。いませんかー?」
笠村がドアに向かって話しかけるが、反応はない。
「原坂さーん。忙しいとは思いますが、出てきていただけませんか?」
何度声をかけても結果は同じで、笠村がため息をつきながらドアノブに手をかける。
ガチャッ。
すると、ドアノブは、何の抵抗も見せずにアッサリと隙間を見せた。それを見た清水と藍里も目を見開き、笠村も驚いた様子で
「開いてるな…。」
と呟いた。
異様な状況に、笠村達は恐る恐る中に入る。
すると、外からは聞こえてこなかったシャワーの音が風呂場から聞こえてきた。
「あ。入浴中か。」
「それは、失礼なことしたわね…。引き返しましょう。」
笠村と清水が引き返そうとした……。
「待ってください。」
開いていた脱衣室を凝視した藍里が、二人を呼び止めた。
藍里はソロリソロリと中に入り、近くにあった洗濯機の中を覗きだした。
「おい!こら!失礼だろ!!」
笠村が小声でそう言ったが、藍里は表情を固くしたまま、二人の方を見ると
「……ありません……。」
とだけこたえた。
「は?」
「風呂に入るなら、普通服とか脱ぎますよね?洗濯して干すにしても、入浴後に行いますよね?」
「だからなんだ…!?」
「脱 い だ 服 が 見 当 た り ま せ ん。」
藍里に言われて、二人は洗濯かごの方も見てみた。
確かに、洗濯かごの中身は空っぽで藍里の発言から、洗濯機の中身もないらしい。
そして、ハッとした清水は
「まさか!?」
と声をあげると、浴室の扉に駆け寄って、バン!!と勢いよくドアを開いた。
その光景に、3人は目を見張った。
「原坂……?」
思わず笠村が声を漏らす。
原坂と思わしきスーツを着た男性は、血を流し、頭からは熱湯のシャワーを浴びたままぐったりとしていた…。
足元には、ベットリと血がついたナイフ。
誰かに殺されていると言うことは、一目瞭然であった。
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