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5.置かれた立場。
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空を切る音に怒声、爆発音が辺りに響く。
襲い来るモンスターに見つからないように、どこか隠れられそうな場所がないか辺りを見渡すと、大きな岩が見えた。
モンスターが3人に気を取られているうちに、急いで岩陰に走り込む。
「ホーリー・ウィンドウ!!」
「羅刹天神切り!」
「はぁぁ!!」
3人が戦っている最中、岩陰に隠れて息を潜める。
もしモンスターに見つかっても、持っている武器は料理用のナイフくらいでなんにもできない。
「ピィ~ィ!ピ~!!」
高い声が上空から聞こえたと思ったら、全身が赤色で青い筋模様の入った大きな鳶型のモンスターがこっち目掛けて飛んできた。
獰猛に尖った爪をこちらに向けて、真っ直ぐに飛んでくる。なんとか避けると、服の背中部分が引っかかったらしく背中から切り裂けた。
「春野さんっ!どいて!はぁーっ!!」
神宮寺くんが聖剣を持って飛び上がり、派手な鳶型のモンスターを切り倒した。慌てて背中から破れた服を抑えて、今度は近くにあった木の裏に隠れた。
がんばって息を潜めていると、やっと戦闘が終わったらしく、静かになった。
そっと外に出てみると、目ざとくブレイブに見つけられた。
「終わった終わったー!お、いつもより色気のある格好になったな!」
「本当に役に立たないわね。さっさとあの肉を回収してきてよ」
「服を着替えてから回収します」
慌てて着替えの服を取り出すと、どこか隠れる場所を探す。さっき隠れていた木の影に小さな茂みを見つけて、そこに潜った。
なんとか着替えていると、声が聞こえてきた。
「ブレイブさん!何してるんですか!まだ着替えてる最中じゃないですか!」
「たくっ、勇者は固いな……あいつはそんためにいるんだろ。いいじゃねーか」
「春野さんは、ちゃんとした旅の仲間です」
「あー、だからさ……何の能力もないやつが、世話係っておかしいだろう?普通に考えたら、すぐにわかるって。夜の世話係も入ってるんだろう?」
今、すごく聞き捨てならない言葉を聞いた気がする。
……もしかして私は、そのための要員だったの?
フレイさんの態度も、下女と同じとみていたからで……だから、レムリアさんも、嫌な顔をしていたんだ。
なんだろう、目頭が熱い……視界が滲んでくるけど、今は我慢するしかない。
「春野さんは、そんなことをするために旅の同伴になったわけじゃありません」
「はははっ!じゃあなんのためだっつーんだよ。お前も男だろ、いいかげん素直になれよ」
「春野さんは、俺と一緒に召喚されたから、この世界の人間じゃない。彼女はただ、巻き込まれただけだ」
本当に、神宮寺くんが言う通り私は巻き込まれただけなのに……どうしてこんなことになってしまったのか、いくら考えたって答えなんて出ない。
「あ?だから今は関係ねぇーだろう。旅の世話係にされてんだからよ」
「……この旅のリーダーは俺ですよ?」
なんだか必死にかばってくれている神宮寺くんは、やっぱり勇者というだけあって人格もすごく良いらしい。
数少ない服を選んで、着替えると色々な事が頭をよぎる。
歳も歳で貰い手がないからという話だったけど、適性が農民だったことも原因かもしれない。
そもそも子宝に恵まれるってなんだろう……ああ、だから夜のお世話も得意だろうってことかな。
「わーったよ。じゃあ、本人が同意したらいいんだな?」
「同意?するとは思えませんけど……」
ブレイブさんは、何を言っているんだろう。同意って……なんだろう、嫌な予感しかしない。
とくにブレイブさんは、やたらと人の胸ばかり見てくるから注意していたけど、もっと警戒心を持たないと危ない。
2人は話を止めると、その場から立ち去った。
襲い来るモンスターに見つからないように、どこか隠れられそうな場所がないか辺りを見渡すと、大きな岩が見えた。
モンスターが3人に気を取られているうちに、急いで岩陰に走り込む。
「ホーリー・ウィンドウ!!」
「羅刹天神切り!」
「はぁぁ!!」
3人が戦っている最中、岩陰に隠れて息を潜める。
もしモンスターに見つかっても、持っている武器は料理用のナイフくらいでなんにもできない。
「ピィ~ィ!ピ~!!」
高い声が上空から聞こえたと思ったら、全身が赤色で青い筋模様の入った大きな鳶型のモンスターがこっち目掛けて飛んできた。
獰猛に尖った爪をこちらに向けて、真っ直ぐに飛んでくる。なんとか避けると、服の背中部分が引っかかったらしく背中から切り裂けた。
「春野さんっ!どいて!はぁーっ!!」
神宮寺くんが聖剣を持って飛び上がり、派手な鳶型のモンスターを切り倒した。慌てて背中から破れた服を抑えて、今度は近くにあった木の裏に隠れた。
がんばって息を潜めていると、やっと戦闘が終わったらしく、静かになった。
そっと外に出てみると、目ざとくブレイブに見つけられた。
「終わった終わったー!お、いつもより色気のある格好になったな!」
「本当に役に立たないわね。さっさとあの肉を回収してきてよ」
「服を着替えてから回収します」
慌てて着替えの服を取り出すと、どこか隠れる場所を探す。さっき隠れていた木の影に小さな茂みを見つけて、そこに潜った。
なんとか着替えていると、声が聞こえてきた。
「ブレイブさん!何してるんですか!まだ着替えてる最中じゃないですか!」
「たくっ、勇者は固いな……あいつはそんためにいるんだろ。いいじゃねーか」
「春野さんは、ちゃんとした旅の仲間です」
「あー、だからさ……何の能力もないやつが、世話係っておかしいだろう?普通に考えたら、すぐにわかるって。夜の世話係も入ってるんだろう?」
今、すごく聞き捨てならない言葉を聞いた気がする。
……もしかして私は、そのための要員だったの?
フレイさんの態度も、下女と同じとみていたからで……だから、レムリアさんも、嫌な顔をしていたんだ。
なんだろう、目頭が熱い……視界が滲んでくるけど、今は我慢するしかない。
「春野さんは、そんなことをするために旅の同伴になったわけじゃありません」
「はははっ!じゃあなんのためだっつーんだよ。お前も男だろ、いいかげん素直になれよ」
「春野さんは、俺と一緒に召喚されたから、この世界の人間じゃない。彼女はただ、巻き込まれただけだ」
本当に、神宮寺くんが言う通り私は巻き込まれただけなのに……どうしてこんなことになってしまったのか、いくら考えたって答えなんて出ない。
「あ?だから今は関係ねぇーだろう。旅の世話係にされてんだからよ」
「……この旅のリーダーは俺ですよ?」
なんだか必死にかばってくれている神宮寺くんは、やっぱり勇者というだけあって人格もすごく良いらしい。
数少ない服を選んで、着替えると色々な事が頭をよぎる。
歳も歳で貰い手がないからという話だったけど、適性が農民だったことも原因かもしれない。
そもそも子宝に恵まれるってなんだろう……ああ、だから夜のお世話も得意だろうってことかな。
「わーったよ。じゃあ、本人が同意したらいいんだな?」
「同意?するとは思えませんけど……」
ブレイブさんは、何を言っているんだろう。同意って……なんだろう、嫌な予感しかしない。
とくにブレイブさんは、やたらと人の胸ばかり見てくるから注意していたけど、もっと警戒心を持たないと危ない。
2人は話を止めると、その場から立ち去った。
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