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6.悪夢と悪寒。
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フレイさんとブレイブさんは野営をしている場所に戻ると、飲み物を取り出して休みはじめた。
神宮寺くんだけはその場に残って、肉の回収を手伝ってくれる。
本当に彼は、勇者というだけあって、人もできているらしい。
「春野さん、いつもすみません」
「ううん、私にはこれしかできないから。手伝ってくれてありがとう」
今日のモンスターは、グリーンピルケルと言ってトナカイにとても似ていた。
トナカイによく似ているけど、ただサイズがとても大きくて、草花に擬態しやすいように緑色をしている。
グリーンピルケルの皮を裂いて、内臓を取り出して、後は骨に沿って肉を切り取っていく。
自己流だけど、最近はずいぶんと慣れてしまって短時間でできるようになってしまい、あっという間に終わってしまった。
肉は今晩の食事になるし、皮は売れるらしいから綺麗に洗って大切にとっておこう。
「本当に手際がいいですね」
「慣れよ、慣れ。さ、晩御飯にしましょう」
切り分けた肉は香木で臭みを取り、下味をつけると、少し置いて味を染み込ませる。
乾燥野菜を水と一緒に鍋に入れて、火の上に置くと沸騰してきた。
そこに切り分けたお肉を入れて一緒に煮込む。
美味しそうな香りがしてきたので、よく火が通っているか確認して火の上からおろした。
お皿に分けて、みんなの所に持っていくと、酒臭い匂いを撒き散らしているブレイブさんがいた。
「ブレイブさん、またお酒を飲んでる……」
「ちょっとブレイブ、酒臭いわよ」
「ちっとくらい、いいじゃねーかよ」
ちょっとどころか、今日はいつもより酒臭い。
どうも勇者に言われたことに、苛立ったらしく、やけ酒をしているみたいだった。
「良くないわよ。いざって時にどうすんのよ。役に立たないお荷物かかえてんだから、ちょっとは危機感もちなさいよ」
「春野さんは、ちゃんと料理も作ってくれてるし出来ることはしてくれるよ。お荷物なんてことは……」
最近は荷物持ちという仕事も増えて、お荷物どころか荷物と一体化していますが……。
もう歩く荷物です、と言いたいけど、売り言葉に買い言葉だから飲み込んだ。
「でも勇者サマ、商人だってお金を払って護衛を雇いながら旅をしてるんですよ。なのにこのお荷物は、料理や雑用をするだけじゃないですか」
「それだって立派な仕事だよ」
「なによ、勇者サマってハルノに甘いわよね」
神宮寺くんが気を使ってくれることに対して、フレイさんは気に食わないらしい。
例えが商人って、魔王退治に行くのに商人で例えるってどうかと思った。
それにしても、酔っ払ったブレイブさんの視線がキツイ。
たまに鳥肌が立つような、ねっとりとした目で見つめてきていることがあって、かなり身の危険を感じる。
「少し、野宿の準備をしてきます」
「あ、俺も行きますよ」
「神宮寺くんは、戦ったばかりだから休憩してていいわよ」
鞄からモンスター忌避剤を取り出すと、野宿する場所一体に巻く。
少し臭うけど、成分はかなり強いモンスターのフェロモンらしくて、よほど強いモンスター以外は寄ってこないらしい。
かなり便利だけど、瓶を開封してから半日しか効果がないらしいから、ずっとは使えないのが難点だった。
なるべく平で綺麗な場所を探すと、そこに大きなシートを敷いて、薄い毛布を広げる。
寝る場所に小さなランプを置き、薄明かりとして使う。
これで寝る場所は確保できたけど、そろそろ雑魚寝もきついかもしれない。
「寝る場所はできたの?あたし、そろそろ横になりたいんだけど」
「できてるけど……」
「そう、なら先に休むわ」
フレイさんが立ち去ったあと、神宮寺くんとブレイブさんと3人で居心地が悪い。
なぜかブレイブさんは、ずっとこっちをニヤニヤと不躾に見てくるし、神宮寺くんは色々と気にかけているみたいだし。
なるべく気にしないように、肉煮込みの入った皿を手に持って食事を始めた。
「なあ、ハルノは処女だよな?」
「ブレイブさん!何言ってるんですか!春野さんに失礼です!」
思わず、何言ってるんだろうこの人という目で見てしまう。
はっきりって不躾にもほどがある。
「……ブレイブさんには関係のないことです」
「ははっ、その反応は……やっぱり処女だよなぁ」
人を値踏みするような目で見てき、気持ち悪すぎる。
なんでこんな気持ち悪い人と旅をしないといけないのか、不遇すぎる。
「良い体してるからなぁ、かなりやりこんでると思ったんだが……身持ちが硬いところを見ると、男を知らないんだろ?」
酔っ払いだし、放って置いた方がいいやって思って、そのまま無視して食事を続けた。
そういえば、酔っ払ってなくても言いたいことを言い放題に言ってたことを思い出した。
きっとブレイブの柄の悪さは、生来のものかもしれないと納得して、食事をさっさと終えて片付けた。
破れた服を繕って直すと、ずいぶんと時間が経っていた。
確か近くに泉があったはずだから、水浴びでもしてこようと思い、眠そうにうつらうつらしている神宮寺くんに声をかけた。
「神宮寺くん神宮寺くん、ちょっと水浴びしてくるわね」
「あ、はい。気をつけて春野さん」
「モンスター忌避剤も持って行くから、大丈夫よ」
「そうですか」
よっぽど眠たかったのか、神宮寺くんは、そのまま眠ってしまった。
神宮寺くんの横に、寄り添うように眠っているフレイさんと、少し離れてイビキをかいて眠っているブレイブさんを確認すると、体拭き用のタオルと小型の石鹸を握って湖に向かった。
神宮寺くんだけはその場に残って、肉の回収を手伝ってくれる。
本当に彼は、勇者というだけあって、人もできているらしい。
「春野さん、いつもすみません」
「ううん、私にはこれしかできないから。手伝ってくれてありがとう」
今日のモンスターは、グリーンピルケルと言ってトナカイにとても似ていた。
トナカイによく似ているけど、ただサイズがとても大きくて、草花に擬態しやすいように緑色をしている。
グリーンピルケルの皮を裂いて、内臓を取り出して、後は骨に沿って肉を切り取っていく。
自己流だけど、最近はずいぶんと慣れてしまって短時間でできるようになってしまい、あっという間に終わってしまった。
肉は今晩の食事になるし、皮は売れるらしいから綺麗に洗って大切にとっておこう。
「本当に手際がいいですね」
「慣れよ、慣れ。さ、晩御飯にしましょう」
切り分けた肉は香木で臭みを取り、下味をつけると、少し置いて味を染み込ませる。
乾燥野菜を水と一緒に鍋に入れて、火の上に置くと沸騰してきた。
そこに切り分けたお肉を入れて一緒に煮込む。
美味しそうな香りがしてきたので、よく火が通っているか確認して火の上からおろした。
お皿に分けて、みんなの所に持っていくと、酒臭い匂いを撒き散らしているブレイブさんがいた。
「ブレイブさん、またお酒を飲んでる……」
「ちょっとブレイブ、酒臭いわよ」
「ちっとくらい、いいじゃねーかよ」
ちょっとどころか、今日はいつもより酒臭い。
どうも勇者に言われたことに、苛立ったらしく、やけ酒をしているみたいだった。
「良くないわよ。いざって時にどうすんのよ。役に立たないお荷物かかえてんだから、ちょっとは危機感もちなさいよ」
「春野さんは、ちゃんと料理も作ってくれてるし出来ることはしてくれるよ。お荷物なんてことは……」
最近は荷物持ちという仕事も増えて、お荷物どころか荷物と一体化していますが……。
もう歩く荷物です、と言いたいけど、売り言葉に買い言葉だから飲み込んだ。
「でも勇者サマ、商人だってお金を払って護衛を雇いながら旅をしてるんですよ。なのにこのお荷物は、料理や雑用をするだけじゃないですか」
「それだって立派な仕事だよ」
「なによ、勇者サマってハルノに甘いわよね」
神宮寺くんが気を使ってくれることに対して、フレイさんは気に食わないらしい。
例えが商人って、魔王退治に行くのに商人で例えるってどうかと思った。
それにしても、酔っ払ったブレイブさんの視線がキツイ。
たまに鳥肌が立つような、ねっとりとした目で見つめてきていることがあって、かなり身の危険を感じる。
「少し、野宿の準備をしてきます」
「あ、俺も行きますよ」
「神宮寺くんは、戦ったばかりだから休憩してていいわよ」
鞄からモンスター忌避剤を取り出すと、野宿する場所一体に巻く。
少し臭うけど、成分はかなり強いモンスターのフェロモンらしくて、よほど強いモンスター以外は寄ってこないらしい。
かなり便利だけど、瓶を開封してから半日しか効果がないらしいから、ずっとは使えないのが難点だった。
なるべく平で綺麗な場所を探すと、そこに大きなシートを敷いて、薄い毛布を広げる。
寝る場所に小さなランプを置き、薄明かりとして使う。
これで寝る場所は確保できたけど、そろそろ雑魚寝もきついかもしれない。
「寝る場所はできたの?あたし、そろそろ横になりたいんだけど」
「できてるけど……」
「そう、なら先に休むわ」
フレイさんが立ち去ったあと、神宮寺くんとブレイブさんと3人で居心地が悪い。
なぜかブレイブさんは、ずっとこっちをニヤニヤと不躾に見てくるし、神宮寺くんは色々と気にかけているみたいだし。
なるべく気にしないように、肉煮込みの入った皿を手に持って食事を始めた。
「なあ、ハルノは処女だよな?」
「ブレイブさん!何言ってるんですか!春野さんに失礼です!」
思わず、何言ってるんだろうこの人という目で見てしまう。
はっきりって不躾にもほどがある。
「……ブレイブさんには関係のないことです」
「ははっ、その反応は……やっぱり処女だよなぁ」
人を値踏みするような目で見てき、気持ち悪すぎる。
なんでこんな気持ち悪い人と旅をしないといけないのか、不遇すぎる。
「良い体してるからなぁ、かなりやりこんでると思ったんだが……身持ちが硬いところを見ると、男を知らないんだろ?」
酔っ払いだし、放って置いた方がいいやって思って、そのまま無視して食事を続けた。
そういえば、酔っ払ってなくても言いたいことを言い放題に言ってたことを思い出した。
きっとブレイブの柄の悪さは、生来のものかもしれないと納得して、食事をさっさと終えて片付けた。
破れた服を繕って直すと、ずいぶんと時間が経っていた。
確か近くに泉があったはずだから、水浴びでもしてこようと思い、眠そうにうつらうつらしている神宮寺くんに声をかけた。
「神宮寺くん神宮寺くん、ちょっと水浴びしてくるわね」
「あ、はい。気をつけて春野さん」
「モンスター忌避剤も持って行くから、大丈夫よ」
「そうですか」
よっぽど眠たかったのか、神宮寺くんは、そのまま眠ってしまった。
神宮寺くんの横に、寄り添うように眠っているフレイさんと、少し離れてイビキをかいて眠っているブレイブさんを確認すると、体拭き用のタオルと小型の石鹸を握って湖に向かった。
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