ホスト異世界へ行く

REON

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第九章 魔界層編

直接対決

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「よし、間に合った。手伝ってくれてありがとう」
「いえ。魔王さまもお喜びになることと存じます」
「そうだといいけど。余り物で悪いけど作り過ぎた分はみんなの朝食の足しにでもしてくれ」
「ありがとうございます」

月喰つきばみ期3日目。
雪崩の除雪作業に持って行く弁当やスープを魔王城の専属料理人と一緒に作って異空間アイテムボックスに仕舞う。

「半身さま。そろそろお着替えを」
「分かった。ちょうど終わったところ」

厨房まで俺を呼びに来たのは赤髪。
既に着替え終えているのを見て急いでエプロンを外した。

自室に転移して早速着替え。
月喰つきばみ用に買い揃えて貰った服の中から一番防寒効果がある服を着こむ。

「もう二・三枚着た方がいいのでは」
「何枚着せるつもりだ。動き難くになるだろ」
「人族の体で月喰つきばみの寒さに耐えられるか不安で」
「心配症。この上に防寒のケープも着るんだから大丈夫」

既にインナーを三枚着ているのに心配する赤髪。
これが月喰つきばみ期のない地上層で作られた服なら極寒の外に出るのは危険だろうけど、月喰つきばみ用に作られた服は薄くても暖かいだけあって城内に居る今はむしろ暑すぎるほどなのに。

「せめてもう一枚」
「大丈夫だって」

意地でも着せようとする赤髪と着る着ないの攻防をしてると扉をノックする音が聞こえて「はい」と返事する。

「魔王さまのお支度が整いました。準備はお済みですか?」
「うん、終わった。ほらウィルもう行かないと。フラウエルを待たせる訳にいかないから」

様子を見に来たのはクルト。
魔王の支度が終わったとあっては引くしかなくなったようで、渋々ながら諦めてくれた赤髪と迎えに来たクルトと三人で玄関ロビーに転移した。

「待たせてごめん。俺の支度が遅かった所為でウィルとクルトも巻き添えで間に合わなかった」

既にロビーに居た魔王と山羊さんと仮面。
本当は城の長である魔王より先に来て待つのが礼儀なのに俺の方が遅くなってしまった。

「夜明け前から俺たちの食事を作ってくれていた‪ことは聞いている。心配せずともクルトやウィルを罰したりしない」
「そっか。良かった」

クルトや赤髪が怒られずに済んでホッとする俺にクスと笑った魔王は赤髪からケープを受け取ると俺の肩にかけてボタンを止める。

「自分の保身より周りを気遣うところがお前らしい」
「俺の支度に時間がかかって遅れたことが事実だから。俺が怒られるのは当然だけどウィルとクルトは悪くない」
「お前も悪いことはしていない」

笑みの口で頬に軽く口付けされる。
見送りのために使用人たちも集まっているというのにまた魔王さまLOVEな人たちがギリギリするようなことを。
いや、昨晩クルトから『半身は形だけの存在』と言っている人が居る報告を受けたから、そうではないアピールとふるいにかけるために敢えてしたのか。

それにしても魔族は感情を隠すのが下手すぎる。
俺に嫉妬しようと嫌おうと心の中だけに留めておけば問題にならないのに分かり易く睨んだりするから罰されてしまう。
顔に出したり嫌がらせをしなければ本人も罰せられることはないし、魔王や山羊さんだって罰を与える必要もないし、俺も面倒ごとに巻きこまれずに済むんだけど。

今表情に出した人は四天魔からチェックされただろうから少なくとも俺に直接関わるような役職からは外される。
魔族(特に召使セルヴァン)は本当に人族の城仕えたちの鉄壁の仮面ぶりを少し見習った方がいい。

「我々が不在の間に問題を起こさぬよう」
『承知しました』

城仕えたちの『行ってらっしゃいませ』の声に見送られて門番の開けた扉から外に出た。

「あれ?祖龍に乗って行くのか」
「ああ。お前は俺と一緒にラヴィに乗ろう」
「分かった」

猛吹雪の中で待っていた祖龍たち。
魔王や四天魔が契約しているラヴィを含めた眷属祖龍が五匹と同行する城仕えを乗せるための祖龍も数匹待っていた。

「おはようラヴィ。今日もよろしくな」

手を出して挨拶すると鼻先でツンツンと返してくる。
俺は震えるほどクソ寒いのに猛吹雪の中で待ってた祖龍たちは全く問題なさそうなのが凄い。

「もうこんなに冷えてるのか」

先にラヴィの背に乗った魔王から差し出された手を掴むと、急くように引き上げた魔王はもふもふの毛布で俺をくるむ。

「やはり人族の体では無理だ。城に居ろ。ただ少し外に出ただけでこれほど体温が下がるのでは凍えてしまう」
「いやむしろ寒がってる俺の方が普通だろ。祖龍もみんなもなんで猛吹雪の中でも平然としてられるのか謎」
「体温調整をしているからだ」
「どうやって?」
「魔竜属性の調整アジャストメントを使う。温めた魔力を体に行き渡らせることで体温を調整することができる」

温めた魔力?
風呂に浸かって体の芯から温まるイメージでいけるか?
温かいイメージ、温かいイメージ、と。
教えて貰って温かい魔力が全身に行き渡るイメージをする。

「あ。できた。たしかにこれなら凍えるほどじゃない」
「……使えたのか?」
「ん?うん」

体の芯が温かくなったことで凍えるほどではなくなったことを話すと、魔王は毛布で包んだ俺を自分の前に座らせ背中に体を重ねて笑い声を洩らす。

「魔竜属性は龍族である祖龍と祖龍の生まれ変わりである一部の竜人族と全属性を持つ魔王の俺だけが持つ特殊な属性だ。魔族ですら祖龍に認められ力を分け与えられた者しか持たぬはずの属性をどうしてお前は持っているんだ?」

……え?
小声で話す魔王のそれを聞いて固まる。

「……本来は力を分けて貰わないと適性がないってこと?」
「ああ。しかも分け与えることができるのは祖龍王だけ。ラヴィが分け与えたことなど聞いていないし、四天魔は魔力の暴走を抑えられず幽閉された塔で半年ほど苦しみ抜いてようやく適性を持てたが、お前が苦しんでいた記憶もないな」

チラと振り返り目が合った魔王は口元を笑みで歪める。
ラヴィから分け与えられたんじゃないことを分かっているからこその楽しそうな表情だろう。

「もし四天魔や城仕えから聞かれた時には人族のスキルとでも答えておけ。精霊族のスキルまではみなも詳しくない」
「分かった。ありがとう」

また暇を持て余した神々が遊びすぎたパターンか。
使った時を魔王しか見てなくて良かった。
ほんと暇を持て余した神々は(以下略)。

「魔王さま。準備が整いました」
「ご苦労だった。出発しよう」

城仕えの準備も整った報告に来た山羊さんが自分の眷属祖龍に乗ったことを確認してから魔王がラヴィに命令を出すと、寒々しい空に響く鳴き声をあげた漆黒の巨体ラヴィは猛吹雪をものともせず空へと羽ばたいた。


魔層を経由して竜人界へ。
天候の影響がない魔層内はいつも通りだったけど、抜けた先の竜人界は魔人界以上の猛吹雪で視界は最悪の状態。

「これ、ラヴィたちは前が見えてるのか?」
「祖龍は位置を体で感知しているから心配ない」
「さすが龍族の最上位種。有能」

前が見えていないならバラバラになってしまうんじゃないかと思ったけど、そこは魔神の眷属だった神龍の鱗から創られたというだけあって有能。

「じきにアミュの背にも乗れるようになるだろう」
「うん。楽しみ。そしたら一緒に空の散歩するつもり」

アミュは龍のねぐらで冬眠中(幼祖龍は七日間冬眠する)。
龍族は地球の動物とは逆に冬眠中に成長が早まるらしく、目覚めたあとはグンと成長しているらしい。

「寒くないか?」
「大丈夫。俺より城仕えの人たちの方が大変そう」
「城仕えは祖龍の鱗で作った魔道具で保護されている」
「へー。便利。それがあるから連れて来れたのか」
「ああ。月喰つきばみの寒さは魔族の体でも負担になるから外で長時間の作業はさせられないが、魔道具を置いた天幕内で作業をさせるために連れてきた」

ってことは、少しくらいなら出来るのか。
やっぱり魔族の体は頑丈すぎると実感した。

「見えてきた。あれが龍の祠のある山だ」

魔王が指さした先にそびえる山。
標高何千何万メートルあるのか知らないけど、とんでもなく高い山だってことだけは分かる。

「あの山の雪を全部除雪する訳ではないよな?」
「全てを燃やし尽くすのなら出来ないこともないが」
「辞めてください」

笑う魔王の言葉は冗談か事実か。
……うん、異世界最強魔王なら本当に出来そう(震え)。

「昨日は洞窟より上の弱層箇所を発破し雪崩を起こさせたあと魔法で固めておいた。今日は昨日以降に積もった雪を固めたあと洞窟の出入口を塞いでいる雪の除雪を中心に行う」
「分かった」

ラヴィの背から見下ろす山の所々に見られる柵や杭。
自然のまま手を入れていない山で起きたのかと思っていたけど事前に対策はしてあったようだ。

「城仕えはここで待て。確認後に合図を出す」
『はっ』

安全を確認するため先に魔王と四天魔で地上に降りる。
俺は万が一何か起きてもすぐ逃げられるようラヴィの背に乗ったまま待つよう指示されてその場に残った。

「みんな寒くないか?あとで温かいスープあげるからな」

ラヴィや四天魔が契約している祖龍たちに声をかけると交互に鼻先でツンツンして返事を返してくる。

「強いな、みんなは。俺は体温調節してても寒いのに」

正直月喰つきばみ期の寒さを舐めてた。
調整アジャストメントのやり方を教えて貰ったお蔭で凍えるほどじゃなくなったものの、それでもまだ寒くなくなった訳じゃない。
昨日外から魔王が帰ってきた時に重ねた頬が冷たくなっていたけど、異世界最強が体温調節していても体の表面は冷たくなるレベルの寒さということだ。

「狭い狭い。たしかに暖かいけども」

四匹の顔に挟まれて撫でながら笑う。
俺が寒いと言ったから温めようとしてくれてるんだろう。

『半身さま!』

ラヴィの背中に乗せて貰ったまましばらく顔面おしくらまんじゅう状態で戯れていると仮面クラウスとクルトの慌てたような声が聞こえて突然のその声にビクッと驚く。

「何かあっ……ん?」

祖龍たちが顔を離すと見えた二人の姿。
声で驚いたのは俺の方なのに何故か二人も驚いた顔。

「祖龍たちに襲われているのかと」
「え?」
「喰われているように見えたもので」

力が抜けたようにその場にしゃがんだクルトと気まずそうな顔をした仮面クラウスの説明でようやく理解して笑う。

「驚かせてごめん。俺が寒いって言ったからみんなが暖めてくれてただけ。心配してくれてありがとう」

祖龍の顔に挟まれてるおしくらまんじゅう状態が傍目から見たら肉を貪る祖龍の姿に見えたんだろう。
鼻先でツンツンしてくる四匹を撫でながら、おしくらまんじゅう状態になった理由を説明した。

「魔王さま以外が触れることを許さない祖龍王のラヴィが半身さまへは心を許していると聞いておりましたが、まさか今日初めて会ったシュヴァリエやオネットまで」
「クラウスとクルトの祖龍はシュヴァリエとオネットって名前なのか。どっちがシュヴァリエ?」

名前を呼ぶと鼻先でツンツンしてきた緑龍。
この緑龍は仮面クラウスが乗っていたから、シュヴァリエの方が仮面クラウスの眷属でオネットがクルトの眷属の黄龍ってことか。

「シュヴァリエ、オネット、改めてよろしくな。ラヴィ、サジェス、ノブルも、みんなで暖めてくれてありがとう」

魔王の眷属の黒龍ラヴィ。
山羊さんの眷属の灰龍サジェス。
赤髪の眷属の赤龍ノブル。
仮面の眷属の緑龍シュヴァリエ。
クルトの眷属の黄龍オネット。

五匹が猛吹雪を遮ってくれたから震えずに済んでいる。
鼻先で寄り添ってくる可愛い祖龍たちを撫でながら改めてお礼を伝えた。

「あ、そういえば他の三人は?」
「城仕えを平地に降ろして天幕を組む準備と指示をしております。我々は半身さまと祖龍たちをお連れするようにと」
「ああ、迎えに来てくれたのか。じゃあ行こう」
「「はっ」」

仮面クラウスとクルトは自分たちの祖龍に乗る。
俺も早くアミュの背に乗せて貰って空の散歩がしたい。

「場所は?」
「私とクラウスで先導いたします」
「頼んだ。ラヴィ、サジェス、ノブル。クルトとクラウスを乗せたオネットとシュヴァリエの後を追ってくれ」

主が不在の三匹に話すと鳴き声をあげて翼を広げる。
祖龍種は元々建物二~三階ほどありそうな巨体だけど、翼を広げるとますます迫力満点。

「気の難しい祖龍たちがこうも素直に従うとは」
「もうなにがなにやら。理解が追いつきません」

そんな苦笑されても。
先導してくれるクルトと仮面の後を追って魔王たちが居る野営地へ向かった。

二時の方角へ祖龍の速度で数分。
だだっ広い平地で城仕えが野営の準備をしているそこへ先導してくれた二人に続いて降りる。

「随分と早かったな」
「それが、半身さまが指示をしたら嫌がることもなく」
「半身が?」
「到着した際に祖龍たちがラヴィの背に顔を寄せていたので半身さまが襲われているのかと駆け寄ったのですが、どうやら半身さまを吹雪から守り温めていたようです」

先に祖龍から降りた仮面クラウスとクルトから報告を受けた魔王はラヴィから降りる俺をジッと見る。

「シュヴァリエやオネットも手懐けたか」
「言い方。俺は体温調節してても寒いのにお前たちは強いなって話しかけたら暖めてくれた」

ただそれだけ。
話しかけたら祖龍たちが気を遣ってくれただけ。

「みんなの優しさだよな?」

降りてもまだ顔を寄せてくる祖龍たちを撫でる。
いまだに猛吹雪から守ってくれてるのが優しい。

「祖龍たちが子を守る親のようになっていますね」
「ああ。理由は分からないが半身を守ろうとしていることは間違いない。かたくなに契約を拒んでいたアミュが出会い頭に契約した前例を思えば、半身は祖龍たちにとっても特別な何かを持った存在なんだろう」

山羊さんとそう話した魔王は顔面おしくらまんじゅう状態になっている祖龍と俺を見て口元に笑みを浮かべた。

「ところで龍の祠のある洞窟はどこにあるんだ?」
「あれの向こうだ」
「……あれかぁ」

魔王が指さしたのは高く積もった雪山。
崩れてきた雪が山になっているその向こうに入口があると。
……なるほど。一日がかりになりそう。

「天幕を組んでいる間に俺と四天魔は昨日固めた場所の確認をしてくる。お前はここで祖龍たちと待っていろ」
「分かった。気をつけて」
「ああ。祖龍たち、引き続き半身を守ってやってくれ」

眷属になっている祖龍五匹が鳴き声で答えると魔王は四天魔と転移魔法を使って山頂の確認に向かった。

「いやだから狭いって。ありがたいけども」

魔王たちが居なくなった途端にまたムギュムギュ。
魔導槍も効かない頑丈ボディ(顔)でムギュムギュされるとまるで温かい壁に挟まれているかのようだ。
魔王が言っていた通り理由は分からないけど俺を守ろうとしてくれていることは間違いなさそう。


天幕を組み終わるまで下手に動くと邪魔になるから祖龍たちと戯れていると辺りが少し騒がしくなったことに気付いてムギュムギュしてくる祖龍たちの顔を止める。

「誰か来たみたいだ」

ケープを着込んだ人たちが数人。
その中の一人が魔王城の城仕えと話している。

「ラヴィ?」

いつもと違う鳴き声をあげたラヴィ。
どうしたのかと見上げると「シン?」という聞き覚えのある声で呼ばれる。

「あ、リュウエンだったのか」

城仕えと話していたのはリュウエン。
ラヴィがいつもと違う声で鳴いたのは自分の親が来たからだったのかと納得した。

「話して来るからみんなはここで待機。ラヴィも後でリュウエンをここに連れて来るから少し待っててくれ」

体の大きな祖龍たちにはそこで待機して貰ってリュウエンのところに行く。

「どうしたんだ?外に出てきて体は大丈夫なのか?」
調整アジャストメントできるから大丈夫。それよりどうしてシンが?」
「手伝いに来たんだ」
「わざわざち」

何かを言いかけたリュウエンは口を結ぶ。
ああ。一緒に来た竜人が居るから俺の身分(人族だということ)には触れないよう気を遣ってくれたのか。

「竜人街でもなにか問題があったのか?」
「ううん。私たち六人は調整アジャストメントが使えるから何か手伝えることがあればと思って来たんだけど」
「必要ありません。魔法を使えない竜人が居ては魔王さまたちの作業の妨げになるだけですから」
「こんな感じ」

うん、なるほど。
竜人族に対してもそんな対応か。
リュウエンは魔王の眷属ラヴィの親だというのに。
もしかして知らないんだろうか。

「それ魔王に確認をとった上で断ってる?」
「連絡手段がございません。戻り次第報告いたします」
「事後報告する気か?そもそも手が足りてないから調整アジャストメントを使える貴重な人に手伝って貰えるなら助かると思うんだけど」

魔竜属性を使う調整アジャストメントを使える人が貴重なら、魔道具がないと動けない人よりやれることが多い。
魔法が使えないから作業の妨げになると竜人族を下に見ている発言をしてたけど、むしろこの場では調整アジャストメントを使える竜人族の方が自分たちより役に立つことには気付いてないんだろうか。

「勝手なことをしないでください」
「そっくりそのまま返す。お前たちこそ魔王に判断も仰がず自己判断で協力を断るとか城仕え失格だ。今回はじきに戻ることが分かってるんだから、相手に事情を説明した上でそのまま待ってくれるか再度来てくれるかを選んで貰うのが正しい対応だ。わざわざ足を運んでくれた人への配慮が足りない」

どちらがだと言うのか。
城仕えは俺のように魔王と繋がっている水晶を渡されている訳じゃないから連絡手段がないのは仕方ないけど、魔王から言われていた訳でもないのに勝手に断っておいて。

「少し待ってくれ。連絡とってみるから」
「うん。ありがとう」

腕輪の晶石に魔力を送る。
猛吹雪の中だから使えるか少し心配だけど。

「フラウエル。聞こえるか?」
『ああ。どうした』
「繋がって良かった。あのさ、調整アジャストメントを使える竜人族が六人手伝いに来てくれたんだけど、どうすればいい?」
『竜人族が?』
「うん。リュウエンも含めて六人」

猛吹雪でも問題なく使えて聞こえた魔王の声。
周りがザワザワしているのを無視して話を続ける。

『それはありがたい。また数ヶ所で弱層が見つかってどう人手を振り分けるかを考えていたところだった。今見つけたところを固め次第一度そちらに戻る。既に天幕を組み終えているのなら中で待つよう伝えてくれ』
「了解」

先に危険な箇所を補強しないと除雪作業が始められない。
万が一また上で雪崩が起きればここで作業している人たちが巻きこまれてしまうから。
そうならないよう確認と補強で忙しい魔王に余計なことは話さず報告だけをして会話を終えた。

「聞こえた通り。手伝って貰うってよ」

恨めしそうに睨む城仕えたち。
手前勝手な判断をして魔王や山羊さんから怒られずに済んだんだからむしろ感謝して欲しいくらいだ。

「必要か不要かを判断するのは指揮を執るフラウエルだ。曲がりなりにも城仕えを名乗るなら王の意向も聞かず自分の好悪こうおで判断するような愚かなまねはするな」

このくらいにしとくか。
ここに居る城仕えみんなが俺に敵意を持っている訳ではないからハラハラさせてしまってるし、リュウエン以外の事情を知らない竜人族にも唖然とさせてしまってるから。

「さてと。天幕がまだだからどうするか」
「組んでもいいなら自分たち用に天幕を持ってきてる」
「じゃあそれを組むか。俺も手伝う」
「いいの?勝手に組んじゃって」
「それはフラウエルに判断を仰がなくても考えれば分かる範囲の内容だろ。聞いたら逆にそんな判断すら出来ないのかって言われるぞ?こんな広い土地に天幕が一つ増えたところで作業の邪魔にならないことくらいは馬鹿でも分かる」

つい今しがた『勝手な判断をするな』と城仕えたちに話したばかりだからか厭味を含んだ質問をするリュウエンに笑いながら答えると、リュウエンもクスクス笑う。
判断を仰ぐ必要のあることと自分で判断できることの違いを城仕えに分からせるための厭味でもあったんだろう。

俺に敵意のない城仕えから通行に使わない場所を聞き、魔道具の異空間アイテムバッグにしまってきた天幕を竜人族の五人に出して貰う。

「我々にもお手伝いできることはありますか?」

七人で天幕を組む準備をしていると男女数名の城仕えが手伝いを申し出る。

「外に出てきても大丈夫なのか?」
「魔道具の効果範囲内ですので問題ありません。私どもはあちらの天幕の設置が済むまで手があいておりますので、よろしければみなさまのお手伝いをと思いまして」
「ありがとう。助かる」

の城仕えたちだ。
ありがたく手伝って貰うことにして竜人族用に天幕を組む。
魔王城の天幕はモンゴルの遊牧民が使うパオの巨大版のような作りだけど、竜人族の天幕はインディアンが使うティピーのような作りをしている。

「この骨組みはどのような仕組みに」
「きゃぁぁ!!」

善い方の城仕えと竜人族で和気藹々わきあいあいと天幕を組んでいると突然祖龍たちの鳴き声と悲鳴が平地に響く。

「なにやってんだ!」
「シン!」

祖龍たちの前にへたりこんでいる城仕えが数人。
祖龍たちが翼を広げているのとラヴィがへたりこんでいる城仕えたちに大きく口を開けている様子を見て怒っていることに気付き、担いでいた骨組みを地面に落として転移魔法を使う。

「邪魔だ!退け!」

転移先はへたりこんでいる城仕えたちの前。
体全体に強化魔法をかけて城仕えの一人に食いつこうとしていたラヴィの顔を押さえて止める。
さすが祖龍の王だけあってパワーも桁違い。
全身に強化魔法をかけていても腕の骨が折れる鈍い音がして、地を踏みしめていた脚も後ろにズズズと押された。

「……落ち着けラヴィ。みんなも鎮まれ」

ラヴィが顔を引くと他の祖龍たちも翼を閉じる。
引いてくれて良かった。
この匹数の祖龍に暴れられたら大変なことになっていた。

「回復するから大丈夫。みんな止まってくれてありがとう」

両腕の骨が折れたことに気付いたのかラヴィが鼻先でツンツンしてきたあと、心配して交互にツンツンする四天魔の祖龍たちにも笑いながら回復ヒールをかける。

「シン。大丈夫?」
「うん。このくらい回復かければ治る」

心配して走って来たリュウエンは大丈夫なことを確認するとホッとした表情を見せた。

「ラヴィ、駄目でしょ。城仕えは餌じゃないんだから」
「キュウ」

祖龍王も親の前では形無かたなし。
説教をするリュウエンに聞いたことのないショボンとした鳴き声をあげるラヴィが可愛い。

「よし治った。で、お前たちは一体何をしたんだ?フラウエルが命令してない時の祖龍に近づくことが自殺行為だってことは城仕えなら当然知ってるよな?」

まだ立ち上がることさえできない城仕えたち。
聞きながらふと足元を見ると籠が落ちていて、その中から落ちたのか雪の上に野菜類が転がっている。

「もしかして食事をあげようとしたのか?」

しゃがんで鑑定した野菜類は至って普通の野菜。
薬や毒が盛られているということもない。
たんにこれを食べさせようと近づいたんだろう。

「祖龍の主食は魔素と肉だ。野菜は食べる種類が決まっていて火を通してやらないと食べない。それを知らないってことは少なくとも守人もりびとじゃないよな?特にラヴィは警戒心が強くてフラウエルの命令がない限り守人もりびとでさえも喰われるのに何で自分たちがあげられると思ったんだ?」

俺は魔人街に行った時に初めて知ったけど、魔族であり城にも仕えている人たちが祖龍の危険性を知らないはずがない。
しかも今回は四天魔の眷属以外の若い祖龍たちも一緒に居るから、ラヴィは祖龍王として自分たちに近づく見知らぬ者から他の若い祖龍たちを守ろうとしたんだろう。

「……ない」
「ん?」
「人族が近付けて我々魔人が近付けないなどあるはずがない!魔王さまに庇護ひごされてるだけの脆弱ぜいじゃくな人族の何が半身だ!自分たちより弱い者を認める訳がない!」

俺への反発心が食われかけた原因か。
顔をあげて全て吹っ切れたように言った城仕えの一人に釣られるかのように次々とあがる城仕えたちの本音。
思いの丈をぶち撒けてやったというように笑いながら言うその大きな声に呼応するように祖龍たちも鳴き声をあげる。

「祖龍たちよ。鎮まれ」
『魔王さま!』

城仕えたちの本音発表会の真っ只中に転移魔法で戻ってきた魔王と四天魔。
どうにか事態を止めようとしていた城仕えも本音発表会中だった城仕えもサッとその場にしゃがむ。

いかる気持ちは分かるが、お前たちみんなが火の息ファイアブレスを使っては罪のない城仕えや寒さをしのぐための天幕や山の木々まで燃えてしまう。これは半身が売られた戦いだ。本人に任せよう」

笑いながら話す魔王や体を撫でる四天魔に宥められて開けた口の隙間からくすぶった煙を吐く祖龍たち。

「いいのか?俺が直接戦っても」
「正面から挑まれた勝負ならば止めるような無粋な真似はしない。弱い人族は俺の半身として認めないというのがこの騒ぎの理由なら力を示して認めさせろ。魔族とはそういうものだ」
「ふーん。じゃあ遠慮なく」

人族には人族の、魔族には魔族の考え方がある。
郷に入っては郷に従え。
喧嘩を売ってくる理由が『脆弱な人族だから』ということなら力がものをいう魔族にならって力で応えよう。

「よろしいのですか?魔王さま」
「お前たちにとっても半身の実力を知るいい機会だ」

心配そうに聞いた山羊さんに魔王はくすりと笑う。

「障壁をはってやるからその中で戦え。そのくらいの手は貸してやろう。衝撃で雪崩が起きては困るんでな」
「ありがとう」

魔王がドーム型の障壁をはったのは洞窟から離れた場所。
除雪に来たはずなのに無関係なことに時間を使うのは惜しいから早く作業に戻れるよう手短にカタをつけよう。

「一つ忠告しておこう。舐めていると一瞬で終わるぞ。つまらない戦いで俺を落胆させるなよ?楽しませろ」

それは城仕えたちへの言葉か俺への言葉か。
……両方か。
戦いに手を出さない変わりに楽しませろと。

「よし。じゃあ始めるか」

翼を出すと同時に空に描かれた召喚陣。
そこから召喚されてきた禍々しいオーラ垂れ流しの風雅を城仕えたちは驚いた様子で魅入っている。

「なんだその翼は」
「ん?……んん!?」

魔王の言葉で翼を動かして見ると、両方半透明だったはずの右側の翼は黒く、左側の翼は白くなっていて自分でも驚く。

「……なんでこうなった?」
「俺に訊くな」

大天使の翼を使ったのは武闘本大会の最終日以来。
あの日までは間違いなく魔力で出来た半透明のもっと小型な翼だったのに、今は名前の通り大天使に生えてそうな立派なサイズの本物の翼になっている。

「……まあ別にいいや。いつも通り動くし」
「相変わらず適当な」
「考えるだけ時間の無駄だろ」

性能が落ちたなら困るけど色や形(サイズ)が変わったところで飛べるなら問題ない。

「フラウエルの期待を裏切って悪いけど、今日ここに来た目的は除雪作業だからのんびり遊ぶつもりはない。一分一秒でも時間が惜しい。俺を殺したいなら全員でかかってこい」

煽られ耐性の低い魔族には効果覿面こうかてきめん
俺の翼や召喚陣に驚いていた城仕えたちが我に返ったように一斉に突っ込んできて、四方八方からのその攻撃を大天使の翼を使って空に飛んで避ける。

「魔族の強さってやつを見せてくれ」

時空間属性と水属性魔法を複合させた水牢。
一箇所に集まっていた城仕えたちを出られない巨大な水牢の中に閉じ込めて地面に降りる。

「フラウエルに庇護ひごされてるだけの脆弱ぜいじゃくな人族の魔法くらい屈強な魔族なら余裕で壊せるだろ?早く壊して出て来いよ」

この中に一人でも俺より魔力値(魔攻・魔防・魔力量)の高い者が居るなら無効化できるし、魔力値は俺以下でも精神力が高ければ物理で壊すことだって可能だ。

「どうした?早く壊さないと息が続かなくなるぞ?」

剣や拳で壊そうとしてる城仕えも居たものの、しばらく眺めていても殆どの奴は苦しんでるだけで一向に壊せそうもない。

「人族の俺を散々見下して馬鹿にしてた割にこの程度の水牢も壊せないとかお前たちにはガッカリした。威勢がいいのは口だけか。そりゃ俺の刀も色々と察して消えるわな」

自分の役目がないことを察したらしくスっと消えた風雅。
先に一振りくらいしてやれば良かったか。

「終わりだ。フラウエル、出してやってくれ」
「なぜ俺に後始末をさせる」
「俺が助けてやる理由があるか?喧嘩を売られた側なのに」

魔王に頼むと「まあそうか」と溜息をつかれる。
コイツらも馬鹿にしてた俺に助けて貰いたくないだろう。

「お前たち。本当にそこは苦しいか?」

俺の隣に来た魔王はもがいている城仕えたちに声をかける。

「本当に息ができないか?本当に溺れてるのか?」

魔王の声で動きの止まる城仕えもちらほら。
ようやく気付いたか。

「随分と加減されたものだ。対象操作を見破り水牢を破壊する者が居ることを期待されていたというのに、まんまと見た目や言葉に惑わされ誰ひとり看破出来ないとは情けない」

魔王が指先で触れると水牢は一瞬にして消える。
全て理解して悔しそうな者もいれば、まだ理解できず服すら濡れていないことに唖然としている者もいる。

「実際に挑んでみて力の差は理解できただろう。お前たちの完敗だ。最初から半身はお前たちを骸にするつもりがなく加減していた。その意思を尊重して俺から処罰は行わない。今後は半身を脆弱ぜいじゃくな人族などとは間違っても思わぬことだ。本気であればお前たちなどまばたきの間に消されていた」

これで変な嫌がらせがなくなればいいけど。
魔王がドーム型の障壁を消して俺も翼を消すと、祖龍たちは勝ち名乗りをあげているかのように鳴き声をあげた。

 
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旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。 《作者からのお知らせ!》 ※2025/11月中旬、  辺境領主の3巻が刊行となります。 今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。 【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん! ※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

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部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
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不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

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16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

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新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。 神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。 『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』 平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。

詠唱? それ、気合を入れるためのおまじないですよね? ~勘違い貴族の規格外魔法譚~

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「次の人生は、自由に走り回れる丈夫な体が欲しい」 病室で短い生涯を終えた僕、ガクの切実な願いは、神様のちょっとした(?)サービスで、とんでもなく盛大な形で叶えられた。 気がつけば、そこは剣と魔法が息づく異世界。貴族の三男として、念願の健康な体と、ついでに規格外の魔力を手に入れていた! これでようやく、平和で自堕落なスローライフが送れる――はずだった。 だが、僕には一つ、致命的な欠点があった。それは、この世界の魔法に関する常識が、綺麗さっぱりゼロだったこと。 皆が必死に唱える「詠唱」を、僕は「気合を入れるためのおまじない」だと勘違い。僕の魔法理論は、いつだって「体内のエネルギーを、ぐわーっと集めて、どーん!」。 その結果、 うっかり放った火の玉で、屋敷の壁に風穴を開けてしまう。 慌てて土魔法で修復すれば、なぜか元の壁より遥かに豪華絢爛な『匠の壁』が爆誕し、屋敷の新たな観光名所に。 「友達が欲しいな」と軽い気持ちで召喚魔法を使えば、天変地異の末に伝説の魔獣フェンリル(ただし、手のひらサイズの超絶可愛い子犬)を呼び出してしまう始末。 僕はただ、健康な体でのんびり暮らしたいだけなのに! 行く先々で無自覚に「やりすぎ」てしまい、気づけば周囲からは「無詠唱の暴君」「歩く災害」など、実に不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた……。 そんな僕が、ついに魔法学園へ入学! 当然のように入学試験では的を“消滅”させて試験官を絶句させ、「関わってはいけないヤバい奴」として輝かしい孤立生活をスタート! しかし、そんな規格外な僕に興味を持つ、二人の変わり者が現れた。 魔法の真理を探求する理論オタクの「レオ」と、強者との戦いを求める猪突猛進な武闘派女子の「アンナ」。 この二人との出会いが、モノクロだった僕の世界を、一気に鮮やかな色に変えていく――! 勘違いと無自覚チートで、知らず知らずのうちに世界を震撼させる! 腹筋崩壊のドタバタコメディを軸に、個性的な仲間たちとの友情、そして、世界の謎に迫る大冒険が、今、始まる!

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