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chapter.4
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しおりを挟む天虎の神聖魔法で帝都に戻った一行はホッと息をつく。
言っていた通り転移した場所は寂れた路地裏で、ヒトが居て驚かせてしまうということもなかった。
「闇の精霊。祭りの間よろしく頼む」
肩に乗っている黒鷹はライノへの返事に美しい声で鳴く。
「デスティネ、この先は目立たないよう影へ」
「ああ」
「私も姿を消しておくね」
「ありがとう、ボヌール」
天虎の姿に似たデスティネはヴァルフレードの影の中へ、小さな人の姿のボヌールはクラウディアの肩の上で姿を消す。
白鷹や黒鷹と違ってテイムされた魔物とは思えない容姿のデスティネとボヌールを人前で連れているのは厳しい。
少なくとも二人が自分やデスティネたちを守れるだけの力を得るまでは一部の者だけの秘密。
路地から出た先は大通り。
祭りの中心とも言える多くの屋台が並んでいるそこは先ほど転移したホテルの傍より人が多く、ブランシュはヒトの多さに少し怖がりヒヤリとして、ライノは本当に魅了体質が打ち消されてくれるのかという不安でヒヤリとする。
路地から出てきた一行に向けられた視線。
やはり駄目かと手ですぐに隠しながら顔を逸らしたライノの耳に聞こえてきたのは「大きな魔物」という声。
それを聞き顔からそっと手を離すと、人々の視線が向かっていたのは天虎とライノが肩に乗せている白鷹と黒鷹だった。
「兄妹かな?綺麗な兄妹」
「珍しいね。お年寄り以外で白髪の人初めて見た」
白鷹と黒鷹以外の話題は天虎とブランシュの話題。
それも通り過ぎる時にこちらを少し見て会話をしている声が聞こえて来ているだけで、立ち止まってジッと見てきたり近寄ったりしてくる者も、おかしな目で見る者も居ない。
「言っただろうに。祭りを楽しむくらいは出来ると。代わりに黒鷹を物珍しく見る者が居るという点は甘んじろ」
「はい。受け入れます」
隣に並んでボソッと言った天虎にライノは笑う。
私の魅了体質に惑わされた者から見られるのでないのなら、黒鷹が目立つことに苦情などない。
フードや帽子で顔や目を隠さなくても堂々と歩けたことなど物心ついた時からないのだから。
「ありがとうございます。ブランさま」
「ブランシュのためだ。騒ぎになって見知らぬヒトの子に囲まれてはブランシュが怯えてしまうからな」
まるで咎人かのように姿を隠さなければ出かけられない息子が顔を出して笑顔で居られていることに胸が熱くなったユハナ公が感謝を口にすると、天虎はいつものように娘を溺愛する親バカな返事で返してきてみんなは笑う。
「ブランさまにとってはどのような理由でも、このように人前で顔を隠さずとも歩けるのは嬉しいです」
黒鷹を撫でながら言ったそれが本心だということが伝わり、みんなの表情もライノの笑みに釣られるように緩む。
今回は闇の精霊の力を借りてのことだけれど、魔眼を鍛えて自分で制御できるようになれば今のように人目を気にせず歩けるようになるのだから、例え危険な力であろうと鍛えることを応援しようと心から思えた。
笑顔のライノを見てブランシュは深呼吸する。
『天虎さん、降りる』
「ん?」
『自分で歩いて見て回る』
「構わないが、大丈夫なのか?」
ヒトの多さを見て確かに怯えていたのに、突然自分で歩くと言い出したブランシュに天虎は首を傾げる。
『ヒトが苦手なライノお兄さんも頑張るんだから、私も負けないようにもっと頑張る。天虎さんと強くなる約束したから。ヒトを見ても怖くなくなるように頑張る』
ユハナの少年を見て自分もと思ったのか。
もっともユハナの少年が苦手なのはヒトの子との接触であって、ヒトを怖がってはいないが。
「分かった。友人たちと祭りを存分に楽しむといい」
『うん!』
天虎がブランシュを地面に降ろすとすぐにクラウディアが近寄って来てブランシュの手を繋ぐ。
「お祭りの屋台で食べ物を買いませんか?」
『私は大丈夫だけど、ディアちゃんは怒られない?』
「お祭りの時だけはいいと許可を貰いましたから。おじいさまからお小遣いも貰いましたし」
貴族だから買い食いや立ち食いになる屋台で買い物をするのは怒られるのではと心配したブランシュに、クラウディアはポーチから出したパンパンの財布を自慢げに見せる。
「父上。いつの間に小遣いを」
「可愛い孫にあげて何が悪い。ヴァルにも渡してある」
「父親と母親の私たちへ先に相談してください」
「屋台で使う小遣いくらい大した額ではないのだからわざわざ相談せずともいいだろうに」
ミケーレの孫バカに苦言を呈すグラード。
何事にも豪快な父親と正反対に几帳面な息子のやり取りにみんなは笑う。
「ブランシュさま、美味しいもの探しましょう!」
『うん!』
「ディア待って!迷子になるよ!」
「お兄さまたちも早く早く!」
今の内にとばかりにブランシュの手を引いて走り出したクラウディアを追いかけるヴァルフレードとライノとルイ。
大人たちもやれやれと思いつつも、元気で楽しそうな子供たちの姿に笑みを浮かべた。
祭りの日だけの約束で買い食いを許されている子供たちは気になる屋台で立ち止まって自分たちの小遣いで買う。
天虎もブランシュの学びになるだろうと小遣いを渡して自分で買わせていた。
それが何軒か続いた後のこと。
「ど、どこですの?ここ」
『分からない』
ふと気付けば大通りから外れた場所に。
次はこれ、次はあれとフラフラ屋台に夢中になっていたクラウディアとブランシュは周りを見渡す。
「これは父上たちとはぐれたな」
「人が多かったから見失ったんだろう」
オロオロするクラウディアと反対に一人でも外出することに慣れているライノやヴァルフレードは落ち着いている。
「ルイが一人ではぐれているということはないよな?」
「それは大丈夫だと思う。はぐれる前に見た時はベランジェ公がブランさまにちょっかいをかけているのを止めることに集中していたから。大人たちと居るだろう」
「そうか。それなら良かった」
ライノに説明しながらヴァルフレードは苦笑する。
ルイは先陣を切って歩く自分たちとは離れた後方で好奇心の塊のベランジェ公の世話に忙しそうだったから、少なくともベランジェ公や天虎と一緒に居ることは予想できる。
「どうしましょう。お父さまたち心配してますよね?」
「それはしてるだろうね」
「私の所為ですわ。楽しくて夢中に」
自分があちらこちらと先走ったからはぐれた自覚のあるクラウディアは分かり易く肩を落とす。
「これに懲りたらしっかり周りを見るように。まあ今回は私たちも気付かなかったのだから強く責められないけど」
「はい。反省します」
落ち込むクラウディアの前に屈んだヴァルフレードは苦笑しながら妹に言い聞かせて頭を撫でる。
今回は普段から出掛け慣れてるライノや自分が居るからまだいいけれど、これがクラウディアとブランシュの二人で迷子になっていたらそれこそ心配されただろう。
「どうする?戻るか待つか」
「ここなら噴水広場まで行って待とう。人混みの中を下手に戻って擦れ違うより見つけ易い場所で待った方がいい」
「じゃあそうしよう。今日は黒鷹も居るし、万が一の時はデスティネやボヌールも居るから力を借りよう」
「ああ」
ライノの提案で噴水広場に向かうことに。
今までならライノが囲まれたり誘拐されたりする危険性を気にする必要があったけれど、黒鷹を連れている今日は少なくとも周りの人が魅了される心配がないからすんなり決まった。
「ブランシュ。噴水広場まで抱っこするよ」
『ありがとう。お願いします』
「クラウディアは私と手を繋いで行こう」
「はい。ごめんなさい、お兄さま」
まだ人混みは続くから二人だけではぐれないようライノはブランシュを抱き上げ、ヴァルフレードはクラウディアとしっかり手を繋いだ。
そこから歩いて数分ほどで噴水広場に到着。
花祭が行われているから当然と言えば当然だけれど、やはりここも人が多い。
「お姉さん、お花をどうぞ」
「くださいますの?ありがとう存じます」
「お姉さんもどうぞ」
『私にも?ありがとう』
広場で籠に入れた花を配っている女の子たち。
ピンク色の可愛らしい花をクラウディアとブランシュに渡してまた走って行く。
『あの子たちはみんなにお花を配ってるの?』
「ああ。子供たちの場合はああして女の子は女の子に、男の子は男の子に花を配ってお祝いするんだ」
『だからさっきの女の子たちは男の人のライノお兄さんとヴァルお兄さんには渡さなかったんだ?』
「そういうこと」
声が出せない変わりに深々と頭を下げて女の子から受け取った花を嬉しそうに眺めながら質問したブランシュの愛らしさにライノの表情も綻ぶ。
「私は実際に自分の足で見て回るのは初めてですが、お兄さまやライノさまは花祭に来たことがありますの?」
「私もディアと同じで情報を聞いて知っているだけ。以前花祭の日に帝都へ来たことはあったけど、ギルドで依頼を受けに来ただけで祭りは見て回らなかった」
「そうでしたか」
冒険者として活動しているヴァルフレードは同じ冒険者や依頼者から聞いて花祭のことに詳しいだけで、今日のように祭りを見て回ったことは無い。
自分自身が祭りを楽しむほどの体力がなかったということもあるけれど、馬車の中から祭りを眺めることしか出来ない妹を置いて自分だけ楽しむ気にはなれなかった。
「ライノさまは?」
「ある。幼い頃に婚約者と行くよう言われて二回。後は学園に通っていた二年の間に学園行事で二回。もっとも今日のように純粋に祭りを楽しめたことはないが」
ライノは実際に花祭を回ったことはあるものの、父親から言われて渋々だったり単位に関係する学園の行事だったり。
それも顔が見えないようフードをすっぽり被って参加していたのだから、決していい思い出ではない。
「す、すみません。余計なことを聞いて」
今日は自分たちと一緒に周りの目を気にせず祭りを回れているからうっかりしていたけれど、ただ顔を見られただけでも魅了される人が居るライノが人の集まる祭りを喜んで見て回ったことがあるはずもなかった。
「謝る必要はない。クラウディアがみんなで花祭に行きたいと言ってくれたから私も一緒に楽しめているのだから、感謝している。初めて花祭のいい思い出ができた。ありがとう」
しゅんとしている姿を見てくすりと笑ったライノはクラウディアの頭を軽く撫でる。
これは本心で、花祭に参加するきっかけを作ってくれたクラウディアにも感謝している。
「お兄さんたち、お花をどうぞ」
会話をしている四人の背後から近寄り、籠から出した蕾のままの赤い花を差し出した女性たち。
『あれ?大人には女の人が渡すの?』
『そのようですね。私も知りませんでした』
きょとんとしたブランシュとクラウディア。
自分たちと同じく二人も同性の男の人から花を渡されるものと思っていたから。
その女性たちを見てゾワリとしたライノ。
まさかと思ったけれど、ヴァルフレードにもなんだかんだと言い詰め寄り渡そうとする姿を見て違うことに気付く。
これはいつものように魅了にかかってしまった女性たちが近寄って来たのではなく、単純に誘われているのだと。
「ライノには近寄らないでください」
「あら。どういった関係?」
「どういったって、友人です」
突然ヒトに近寄られたから呆然としているのかと思ったヴァルフレードは、身動きをとらないライノの身体に女性が触れそうになっているのを見てその手を遮り止める。
ライノが可哀想なのはもちろん、人の多いここで魔法を暴走されたら大変なことになるから。
「ねえねえ!これあげる!」
数名の女性たちに割り込み声をあげた少年。
何事かと見る女性たちには目もくれず、両手で持っている花冠をブランシュに渡す。
『くれるの?あり』
「ブランシュ。これは貰っては駄目だ」
その花冠を見たライノはハッとして受け取ろうと伸ばしたブランシュの手を止める。
「すまない。この子は私の大切な子だから他の人の花冠は受け取れないんだ。君の花冠は他の子に渡してくれるかな」
「そうなの?花冠してないから分からなかった」
「たしかにそうだ。可愛らしい帽子を被っているからと思って渡していなかった私が悪かった」
幼い少年の目線に合わせてしゃがんだライノは氷魔法で作った花冠をブランシュの頭に乗せる。
「お兄さん凄いね!氷の花冠なんて初めて見た!テイムしてる魔物も凄く強そうだし、強い人なんだね!」
「ありがとう。君にもお詫びに一輪あげよう。夜には溶けてしまうから、部屋に置いて濡らさないよう気を付けて」
「くれるの!?ありがとう!」
ブランシュに花冠をあげるつもりが逆にライノから氷の薔薇を貰った少年は大喜びで手を振り去って行き、それを見てヴァルフレードも『たまたま見かけたブランシュが可愛くて渡そうとしただけだろう』とホッとした。
花祭の花冠は未婚男性が好きな人に渡して告白するもので、既に花冠をした未婚女性は恋人が居るという証明になる。
だから少年の花冠を受け取らせる訳にはいかなかった。
ライノもそれを知っていたから機転を利かせたのだろう。
「さあどうぞ」
ホッとしたのも束の間、まだ居た女性たちから蕾の赤い花を差し出されたヴァルフレードとライノは目を合わせる。
まだ十歳のクラウディアとブランシュも居るから下手なことが言えず。
花祭で渡される花には様々な意味があって、花祭を祝う意味で女の子や男の子が配るのはピンクの花と白い花。
アナタが好きですという意味で渡すのは花冠。
そして蕾のままの赤い花には大人な意味がある。
言ってしまえば一夜のお相手。
男女問わず気に入った相手に渡すもので、中にはあけすけなだけの女性や男性が堂々と渡す事もあるけれど、 大抵は娼館で働く女性が『お店に来てね』という意味で渡すことが多い。
恐らくこの女性たちも娼館勤め。
「申し訳ありませんが、こういうことですのでお受け取りできません。そちらは他の殿方へお渡しください」
もう二つ氷の花冠を作ったライノは、クラウディアとヴァルフレードの頭にもそれを乗せて女性たちにフッと笑う。
容姿のいいライノに女性たちはキュンとしつつも、強そうな黒鷹を連れた魔法の得意な人に執拗に迫って怒らせる訳にはいかないと身の危険を感じて大人しく去って行った。
「男の私にまで花冠を被せる必要はなかっただろうに」
「肉食のお姉さま方から迫られても困るだろう?私もヴァルフレードも未成年なんだが、気付かなかったみたいだな」
「まあ。庇ってくれたことには感謝する」
「ヴァルフレードも先ほど庇ってくれたからな。礼だ」
すぐに外したヴァルフレードの花冠は消したライノ。
まさかと思っていたからすぐ身動きが取れなかった自分を守ってくれたことに御礼を言いながら。
「私思ったのですけれど、ライノさまは体質がなくとも好かれてしまうタイプだと思いますわ。容姿がいいというのもありますが、ヒトタラシと言うのか、扱いが上手ですもの」
「私もそう思うよ。実は体質じゃなく素のライノに惹かれてヒトが寄って来ていると言われたら信じてしまいそうだ」
ボンネットを被っているから氷の花冠は手で押さえて虚無の目で見るクラウディアと、呆れ半分な様子で溜息をつきながら見るヴァルフレードにライノは苦笑した。
『ライノお兄さん、これ貰っていいの?』
「ボンネットを被っているから邪魔じゃないか?」
『手に持っておく。とっても綺麗だから』
ベルタが用意してくれたボンネットだから外さないけれど、ライノが作った氷の花冠も気に入ったブランシュは太陽にかざしてキラキラ反射しているのをニコニコと眺める。
「繊細な作りですから欠けてしまうのでは」
「欠片で怪我をしないか?」
「それはない。攻撃魔法として使う氷と違って、欠けたり割れたりするほどの力が加わると水に戻るようになっている」
「氷魔法はそのような使い方も出来るのですか」
「ああ。大道芸で使う氷も同じ仕組みで、パフォーマンスで使うから見物客に怪我をさせないようになっている」
「初めて知りました」
ライノの話に興味津々のクラウディア。
自分もアクアの加護を授かっていて鍛えれば氷魔法も使えるようになるから、いつか自分も美しい氷の花や花冠を作ってみたいと思って。
「氷魔法は汎用性が高いからね」
「きゃ!」
突然目の前に現れた氷の塊にクラウディアは驚いて声を上げビクッとする。
「可愛らしいだろう?氷のワームも」
「え?……えぇ」
「差し上げよう」
「あ、ありがとう存じます」
氷で作ったワーム(芋虫の魔物)をニュっと見せて来たのはベランジェ公で、無駄に精密に出来ている気味の悪いそれを嫌々ながら受け取ったクラウディア。
「子供たちだけで祭りは楽しめたか?」
『とっても!ここに来て小さな女の子からこのお花を貰って、ライノお兄さんからも氷の冠を貰ったの!』
「そうか。良かったな」
ライノの腕に抱かれているブランシュを撫でたのは天虎。
嬉しそうにピンク色の花と氷の花冠を見せて説明するブランシュにくすりとする。
「しっかり幼子二人を守っていたようだな。よくやった」
「いえ。はぐれたことに気付かず申し訳ありません」
「どこに居るかは分かっていたがな」
「え?」
「私がブランシュの居場所を分からない訳がないだろ?」
そういえば『知ろうとすれば知れる神』が居たのだった。
今更ながらそんなことに気付いたライノとヴァルフレードは苦笑する。
「あの、お父さまたちは」
「カフェテリアで待たせている。四人が一緒に居ることや無事なことはブランさまからお聞きしたから、大人数でワープを使って目立たないよう私たちだけで迎えに来た」
「そうですか」
ベランジェ公と天虎の二人しか居ないことに気付いて聞いたクラウディアは頷く。
たしかに人目につかない場所は限られるし、二人なら狭い路地にでもワープできるからそうしたのだろうと。
「私があちらこちらと屋台に夢中になって周りを見ていなかった所為ではぐれて申し訳ありませんでした」
そう言って深々と腰を折り謝るクラウディア。
待ってくれている家族やユハナ公たちにも謝るけれど、迎えに来てくれた二人にも先に謝っておきたくて。
『私も見てなかったからごめんなさい。天虎さんなら分かるって知ってたから周りを気にしてませんでした』
ブランシュの場合は天虎に絶大な信頼があるからこそ。
まさか天虎とはぐれると思わず初めての屋台に夢中になっていたから、クラウディアだけが悪い訳では無い。
「これからは気を付けて。今回はブランさまがご一緒だから居場所も無事だということもすぐに分かって安心したが、本来なら血眼になって捜し回るところだったのだから」
「はい。反省しています」
『ごめんなさい』
しょぼんとする二人にくすりと笑うベランジェ公。
二人ともしっかり反省しているようだから、次からは気を付けるだろう。
「偉そうに言ったが、今回は私たちも反省している。二人は初めての祭りなのだから子供たちだけで遊んでいる気分にさせてやろうと少し距離をとりすぎた。ライノやヴァルフレードや精霊が一緒だから大丈夫だろうという甘い考えもあって」
大人は大人で反省している。
天虎から無事だと聞いたものの、もし悪巧みをする者と子供たちが出会っていたらと思うとゾッとした。
「ブランシュが私を呼んでいれば駆けつけている。そうしないのだから祭りを楽しんでいると分かっていた。それに、ヒトを見ても怖くなくなるよう頑張ると言っていたからな」
「だからはぐれても言わなかったのですか?」
「心配なのはブランシュがヒトの子を怖がっていないかということだけだ。四人には上位妖精と上位精霊が着いているのだから並の者では勝てるはずもない」
黒鷹とボヌールとデスティネは上位の妖精と精霊。
本気を出せば力自慢の冒険者だろうと撃退できる。
だから心配ないというのもあったし、ヒトを見ても怖くなくなるよう頑張ると言っていたから自由にさせていただけ。
「ただ、私や精霊たちが居ない時は気を付けるようにな」
「はい。気を付けます」
『私も気を付ける』
「よし。説教はこれで終わりだ。後はまた楽しむといい」
クラウディアも一緒に居るのに娘の成長を見守ることにしたのかと呆れる気持ちもあるけれど、離れていても自分が子供たちを守れる自信があったということだろうし、実際私たちが子供たちが居ないことに気付いた時はもう天虎神だけは居場所も無事だということも分かっていたのだから、強く言えない。
「……じゃあ、戻りますか」
「ああ」
クラウディアやブランシュを撫でる天虎を見ながらベランジェ公は苦笑した。
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