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一章
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しおりを挟む全ての生命を引きずり込みそうな黒に染まった夜の湖。
深淵を思わせる湖の底から光が広がってゆく。
星を映していた水面がゆらり。
揺らぎは次第に大きくなり湖水は巨大な水柱となって何かが飛び出した。
「ぷはぁっ!」
湖に大きな水柱をたてて飛び出したのはロラ。
口の中に溜まっていた水をぷっと吐き出す。
「死ぬかと思いましたわ。まあ死にませんけれど」
空に浮いたまま水の滴る長く灰色の髪を絞る。
「なんて細い手足なのかしら。傷や痣までも。衣装もこのような粗末なものを着せられてお可哀想に。これからは私がしっかりと食事をして美しい衣装で着飾ってさしあげますわ」
貴族令嬢が着るものとは到底思えない着古したワンピース。
腕や脚にある傷や痣も確認したロラは水面まで降りて波紋が静まったあとに今の自分の姿を映す。
「私が宿ったせいかしら。記録で見たお顔と少し違うわ」
記録で見た成年のシャルロットの姿は常に俯きがちで、目に生気を感じられずよく泣いていた。
ただ顔の造りは優しく可愛らしい印象だったけれど、ロラが宿った今のシャルロットの顔つきは少し強めの美人な印象。
「融合が済んでいないのに顔つきが変わるだなんて困りましたわ。性格は顔に出ると申しますけれど、私が宿ったらツリ目になるのが憎いですわ。えいえい。下がってくださいまし」
目尻を指で下げてみるけれど意味はない。
肉体と魂が完全に融合した訳ではない今の段階でも既にシャルロットの肉体はアクの強いロラに釣られ始めていた。
「……まあよろしいでしょう。シャルロット嬢のお顔の違いに気付けるのかも怪しいような方々ですもの」
諦めたロラは水面を歩いて湖を渡り、記憶と記録の中で見た場所へと向かった。
辿り着いたのは御屋敷。
門番や警備を眠らせ庭園に入ったロラは屋敷を見上げる。
「実際に見るとますます小さく感じますわぁ。私の可愛い番犬のミニョンちゃんのお部屋より小さい御屋敷に暮らしているなんて、ルミエールの方々は小さいのがお好きなのかしら」
ヴァンピール公爵家の番犬ミニョンちゃん。
実際には犬ではなくケルベロスに少し似た双頭の巨大狼。
ロラがヴァンピール城に連れ帰って可愛がっていた。
「ここで眺めていては風邪をひきますわね。今はシャルロット嬢の肉体なのですから。早くお風呂に入らなくては」
記録や記憶の中で見たシャルロットの部屋。
屋敷の二階にある部屋のバルコニーまで飛んで降りる。
「あら。鍵がかかってますわ」
バルコニーと部屋を仕切る窓を開けようとしたものの内側から鍵がかかっていて開かない。
「問題ございませんけれど」
ロラが人差し指をくるりと回すと鍵はカチャリと開いた。
「せっっっまいですわぁ……。清らかで愛らしいシャルロット嬢にこのようなせっっっまいお部屋しか与えられないなんて、この御屋敷の主人は甲斐性なしの無能なのではなくて?」
月明かりだけが照らす室内を軽く見渡したロラは浴室だろう場所を迷いなく見つけて扉を開ける。
「バスルームもバスタブもせっっまいですわぁ……。小さなバスタブではろくに脚も伸ばせなくてよ。ここに居るのが兄さまでしたらシンクで身体を洗えと言うのかと大激怒でしたわ」
先ほどからロラは『小さい狭い』と苦情を並べているけれど、屋敷自体は上流貴族の御屋敷で小さくも狭くもない。
家族全員が各々に城を所有して暮らしていたヴァンピール公爵家のロラにはそう見えてしまうだけで。
溜息をついたロラはまた指先をくるりと回し蛇口を捻る。
ロラにとってこの程度の魔法は呼吸することと変わらない。
いや、ロラだけでなくヴァンピール一族にとって。
強くなければ生きられないのがヴァンピール公爵家。
「ふぅ……なかなか苦戦しましたわ」
先に髪と身体を洗ったロラはバスタブのお湯に浸かり一息。
髪はなかなか泡立たず五回洗い、身体も一度温まりふやかしこれでもかと洗わなければならないほど垢が溜まっていた。
「シャルロット嬢。貴女本当に頑張りましたわ」
そこまでしなければならないほど汚れていたと言うこと。
この屋敷の主人どころか専属侍女までが女主人の世話という職務を放棄していたと言うこと。
「安心して。これからは私が貴女の肉体を慈しみますわ」
自分のインベントリにしまってあった洗髪液や洗身液を使って髪や体を丁寧に丁寧に洗ってたっぷりと保湿もした。
バスタブのお湯にも黒薔薇のオイルを多めに垂らして乾燥させた花弁を浮かばせてある。
全てはシャルロットへの労い。
誕生してから16年間という歳月、シャルロットの魂と共に生きることを頑張った肉体へのご褒美。
「さあ、まずは何から始めようかしら」
しっかり温まりバスタブから立ち上がったロラは一瞬で残り湯を消すとインベントリから出した黒のバスローブを着る。
「美しいわ、シャルロット嬢。貴女はとっても素敵よ」
鏡の前に立ったロラはそこに映るシャルロットに語りかける。
手入れの行き届いていない灰色の長い髪に痩せた頬。
灰色の虹彩を持つ大きな目の下には濃い隈。
首も細く鎖骨は浮き出ていて肋も浮き出ている。
これが公爵家に嫁いだ女主人だとは何の冗談なのか。
そう、シャルロットは既に既婚者。
15歳で家紋の違う公爵家の嫡男と政略結婚をした。
シャルロットには竜の一族の証である身体特徴はない。
竜の力もない。
けれど唯一『竜の王の継承者を産む可能性』だけはあった。
継承者が産まれる確率は本家の者が最も高い。
シャルロットも本家に産まれた者とあって、ドラゴニュート公爵家は『子を産む道具』としてシャルロットを嫁がせた。
竜の証も竜の力も持たないシャルロットが公爵家という上流貴族の嫡男と成婚できた理由もそれ。
シャルロット本人には何の価値もなくとも竜の王の継承者を産むことさえ出来ればいい。
長く空席となっている『竜の王』が誕生すれば不可侵領域を手に入れられる上に、強い竜たちを従わせることが出来る。
どちらの公爵家にも利のある政略結婚だった。
いや、シャルロット以外には。
継承者を産むためだけの道具など生き地獄でしかない。
ただ、そんな両家の謀に問題が一つ。
子を儲けようにもシャルロットが無月経だったこと。
16歳となった今でもまだ初経がこない。
幼い頃から家族や使用人から虐げられまともな食事を与えられずに居たのだから同年代の子よりも成長が遅れているし、嫁ぎ先でも変わらずなのだから当然だ。
生家では屋敷の外にある物置小屋がシャルロットの部屋。
隙間から雨風が吹き込むそこでシャルロットは汚れた薄い布と藁に包まり眠っていた。
早朝から深夜まであらゆる雑用。
使用人からも厩舎の掃除や庭の掃除を押し付けられ、食事も一日に一度だけ古くなって廃棄する前の固いパンが一つ。
馬にあげる水や屋敷の裏の廃棄箱に捨てられている残飯を食べて飢えをしのぎ生きてきた。
両親や兄妹からもなり損ないと馬鹿にされ暴力を奮われる。
使用人もまた主人の居ない場所で面白がって虐げる。
いや、見かけても興味がなさそうに無視されていた。
貴族の教育だって何一つ受けていない。
食事は手掴み、文字を書くどころか読むことも出来ない。
使用人から冷たい井戸水をかけられることが入浴。
そんな環境で育ったシャルロットは痩せ細り痣と傷だらけ。
まるで野生で育った動物のよう。
同年代の女児と比べて成長が遅れているのも当然だった。
ようやく酷い環境から逃れ嫁いだと思えば夫もろくでなし。
形ばかりであろうと嫁ぐ前日に身体を綺麗に洗われ初めてのドレスを着て公爵家までやって来たのに肝心の夫は不在。
愛妾のところに入り浸ったまま屋敷には帰って来ない。
初夜どころか花嫁の顔すら見たことがないまま一年。
初経がきたら子作りのために戻ると。
子作りの道具としてしか見ていないことは明らか。
夫がシャルロットを屋敷の女主人と認めていない。
いや、女主人以前に自分の花嫁としても認めていない。
屋敷の主人から認められていないシャルロットを使用人たちが女主人として敬うはずもない。
主人の居ない屋敷は使用人たちの天下。
例え名ばかりの女主人でもドレスや美容や食事にかかる経費は出ているのに、使用人が横領して散財している。
衣装の一つも買えないシャルロットが着ているのは使用人が着古した衣装だけという始末。
女主人のはずが生家に居た時と変わらず使用人の役割であるはずの掃除や雑用をさせられ、どうせ屋敷の主人は帰って来ないのだから気付かれることもないと暴力を奮われる。
口汚く罵られ、腐った食事を出され、食べなければ皿に顔を押し付けられ、使用人の中で一番地位の低い洗濯メイドからも洗剤の入った桶の水をかけられて大笑いされる。
それがシャルロットの日常。
生家でも嫁ぎ先でもなり損ない扱いで心も肉体も傷つけられてきたシャルロットは遂に限界がきてしまった。
絵本のようなたくさんのお花が見たかった。
それが湖に身を投げる前にシャルロットが呟いた言葉。
世界を恨む言葉でも誰かを憎む言葉でもなく、廃棄されていた妹の絵本で見た花畑に憧れたまま短い人生を終わらせた。
「…………」
シャルロットの叫びなのか胸が痛む。
魂は既に切り離され今の肉体に宿るのはロラでありながら。
ヴァンピール公爵家でも自分の居場所は自分で勝ち取らなければ生きられなかったけれど、不運にも力を授からなかったシャルロットにはロラのように居場所を勝ち取る術もなかった。
「大丈夫よ、シャルロット嬢。何の心配も要らないわ。私は審判の宿命を持つヴァンピール一族のロラ・カタストロフ。貴女を虐げ傷つけた愚者たちに相応しい制裁を与えますわ」
シャルロットには出来なかったこともロラなら出来る。
闇の星テネブルで最も恐れられるヴァンピール公爵家の正統な血筋を持つ者として審判をくだして生きてきたのだから。
「欠けた魂が元に戻れるよう悪に制裁を与えましょう」
ロラは鏡に向かってシャルロットへと誓った。
「せっっまいですわぁ……。幻魔獣と戦う夢を見てベッドから転がり落ちることを想定していないなんて無能ですわ。愛らしいシャルロット嬢が落ちて怪我をしたらどうなさいますの」
苦情を垂れ流し狭い(ヴァンピール比)ベッドに乗るロラ。
「防壁の魔石はどこにありますの?まだ肉体に定着できていないせいかすぐにシャルロット嬢の記憶が出てきませんわ」
独り言を言いながら天蓋ベッドのあちらこちらを確認する。
「……まさかありませんの?」
ベッドの下まで覗いてようやくハッと気付いたロラ。
シャルロットがこの部屋で過ごした記憶は数日分だったから記憶に残ってないのかと思ったけれど、これだけ探してもないということは防壁の魔石を備えていないのではないかと。
「庶民すら備えてある防壁の魔石がないなんて、眠っている時に幻魔獣が襲ってきたらどうしますの?元の肉体は兄さまの襲撃のせいで察知することに慣れておりましたけれど、シャルロット嬢の肉体に宿ったばかりの私でも反撃できるかしら」
ロラが居た星テネブルには魔獣と幻魔獣というものが居る。
幻魔獣の方は昼夜問わず突如襲ってくるため、テネブルではどの家庭にも睡眠時に身を守るための防壁の魔石があった。
「なんて無能な夫なの。正妻の身を守る術を用意していないだなんて。正妻すらも守れない夫が外に愛妾を囲って組んず解れつしているなんて男の風上にも置けませんわ。正妻にも愛妾にも甲斐性があってこそ摘み食いが成り立つのでしょうに」
ベッドをパンパンと叩いて怒るロラ。
正妻すらも守れない夫という部分は正しくはあるが、そもそも光の星ルミエールには幻魔獣という危険な獣が居ないことや防壁の魔石などないことは知らない。
「シャルロット嬢。この肉体は私が守りますからね。兄さまレベルの幻魔獣ではない限り眠っていても回避くらいならきっとできますわ。一日も早く定着できるよう頑張りましてよ」
まだ宿ったばかりで記憶が曖昧な部分も多々あるのと同じく、肉体も元のロラの時より遥かに脆く能力も弱まっている。
ロラの魂がシャルロットの肉体と融合して定着すれば元通りに能力も使えるようになるのだけれど。
「仕方ないですわ。今夜は自分で防壁をかけて眠りましょう。魔力が完全に回復できないことが痛手ではありますけれど」
魔力は睡眠をとることで回復する。
けれど防壁をかけて眠れば微量でも魔力を使い続けるのだから完全に回復することができない。
シャルロットの肉体を守るためベッドの周りに防壁をかけたロラはようやくベッドに横たわる。
「兄さまがこの星に存在しないことが救いかしら……」
うとうとしながらそう呟いて眠りについた。
・
・
・
一方闇の星テネブルでは。
「ロラが谷底に落ちたくらいで死ぬはずがないだろう!突き刺そうと首を切り落とそうと再生するのだから!」
ヴァンピール公爵家のジル。
役目を果たすため昨晩から城を離れていたが、夜になり戻ってすぐ執事からロラの訃報を聞かされ荒れに荒れている。
「大旦那さまが申されますに、心核が壊れたのではと」
広いエントランスホールに灼熱の炎風が渦巻く中、執事は神妙な面持ちで答える。
「そんなはずはない!私たちヴァンピールは戦いの最中にもまずは心核が傷つかないよう守る!幼少の頃から訓練を受けているのだからロラも当然のようにそうしていた!」
吸血鬼には心臓の他に心核というものがあり、それさえ壊れなければ再生することが出来る。
ジルが言った『突き刺そうと首を切り落とそうと』という言葉は強さや図太さの比喩ではなく、本当に死なない。
「ですが現実にロラさまは御崩御なさいました。谷底に居た幻魔獣の胃の中からロラさまの一部が発見されております」
馬車が落下していた谷底に居た幻魔獣を全て倒しロラの姿を捜したけれど、胃の中にあったのは骨や肉片や衣装の切れ端。
その姿から再生していないということは、心核が破壊されたために再生ができなくなった死を意味していた。
「……ロラ。私の求愛を受けることのないまま死んでしまうなど酷いだろう。もう何百年と共に生きてきたと言うのに」
両手で顔を覆ったジルの心を現すように炎は燃え上がる。
その悲哀を体現する姿と渦巻く炎を見て執事は瞼を伏せた。
ジルとロラは本当の兄妹ではない。
ロラは正統なヴァンピール公爵家に誕生した女児だけれど、ジルはヴァンピール一族の末席の伯爵家に産まれた男児。
始祖還りしている能力の高さをかわれ養子となった。
執事はその時からずっとジルに仕えていたが、このように悲しみの感情を隠さず取り乱した姿を見るのは初めてのこと。
ロラを失ったことの悲しみはこれほどかと、ジルにとってロラの存在はそれほどに大きかったのだと、改めて思った。
「他愛ない独り言ではございますが、大旦那さまのお言葉を受け入れるには一つ不自然な点が残されてございます」
ヴァンピール公爵家の当主が言うことが全て。
執事の発言は当主がくだした判断に刃向かうことになる。
けれど執事が仕えているのはジル。
主人が悲しむ姿を見て無言で居ることは出来なかった。
「不自然な点?」
「体験したことのない消滅の瞬間だったのです」
ジルは顔を覆っていた両手をゆっくり下ろして執事を見る。
「ジルさまとロラさまが何百年と共におられたように私もお傍で何百年と仕えてまいりました。隙あらば居なくなってしまうジルさまを呼び戻しに行くため私がジルさまの存在を感じとることが出来るのは既にご存知でしょうが、今ではロラさまの存在も感じとることが出来るようになりました」
何百年とジルに仕えてきたから出来ること。
破滅のヴァンピールらしくやり方が荒々しいためにロラはジルの求愛を襲撃だと思っているが、どんなに魅力的な女性がジルの愛を切望したところでジルが求愛するのはロラだけ。
執事も『またか』と思うほど隙あらばロラの元に行くため、ジルだけでなくロラの存在も感じとれるようになっていた。
「昨夜ジルさまが制裁へお出かけになられたあとロラさまも同じくお出かけになりました。昼を過ぎ私が感じとれる距離にロラさまの存在を感じお戻りになったことに気付いたのですが、その数分ほど後にプツリと存在が消えたのです。じわじわと死に向かい存在が薄くなって行くのではなく一瞬にして」
瞬き一つと表現しても過言ではないくらいに一瞬。
その瞬間までは確実に捉えていた存在が一瞬で消えた。
「最初は即死だったとも考えましたが、ロラさまほどの御方が谷底に落下しただけで一瞬にして心核が破壊されるほどダメージを負うだろうかと。もし心核が傷つき治癒が間に合わず迎えた死であるなら、存在が薄まる間もなく一瞬で途絶えたことが不自然。まるで神の所業。始祖還りされたロラさまを生かすため神の力が働いたのではないかと思えてならないのです」
ヴァンピール一族は幼少期から生き延びる訓練を受ける。
眠っている時でも襲ってくる者から自分の心核を守ることができた者だけしか生き残れないのだから。
その訓練を乗り越え生き残っているヴァンピールたちはみな眠っている間も意識せずとも心核を守る癖がついている。
馬車の中で起きていれば谷底に落下する前に逃げただろうし、馬車の中で眠っていたとしても心核は守っていただろう。
ジルよりも始祖の血を濃く継いでいるロラが谷底に叩きつけられた程度で即死するとは思えないのは執事も同じだった。
「とは申しましてもロラさまの一部が幻魔獣の胃の中から発見されたことは紛れもない事実なのですが」
不自然でもロラの肉体が滅んだことは事実。
その事実があるに関わらず『神の力で生きているのでは』と仄めかすようなことを口にした自分を世迷いごとをとお怒りになるだろうかと執事は口を結ぶ。
「……そうか」
呟いたジルが指を鳴らすと焼け焦げていたエントランスホールは一瞬にして元に戻る。
「出かけてくる」
「どちらに行かれるのですか?」
「テネブル火口に」
それを聞いた執事は目を丸くする。
「まさか主神と交信を!?」
「主神ならばロラの所在を知っているだろう」
「お考え直しください!命を落とす危険な行為です!」
必死に訴える執事にジルはくすりと笑う。
「死ぬのならばそれもいいだろう。ロラの居ない世界も、その世界に居る私も、何の価値もないのだから」
そう言い残すと魔法を使って執事の前から消えた。
「すぐに大旦那さまに」
当主に報告しようと踵を返した執事は止まる。
大旦那さまが止めたところでジルさまは従うだろうか、と。
ジルとロラは始祖還りしたヴァンピール。
公爵家は養子も含め能力の高い兄妹が多く家紋を継ぐ者には困らないけれど、始祖還りをしているのはジルとロラだけ。
大旦那さまと呼ばれる現当主も能力の高さだけを見ればジルとロラには敵わない。
ロラの行方を知るために主神と交信する。
そんな死すらも覚悟しているジルが当主に何を言われたところで思い留まるとは思えなかった。
「ロラさま、申し訳ございません。私の不用意な発言がジルさまの命を奪ってしまうかも知れません」
希望を持たせてしまったことが間違いだった。
ジルさまが自分の命を犠牲にしてでもロラさまの行方を知りたいと考えるなどとは私の考えが甘かった。
執事はその場に膝をついて無事に帰ってくることを祈ることしか出来なかった。
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