7 / 35
一章
7
しおりを挟む「シャルロット。待たせてしまったかな」
「いいえ。私も来たばかりですわ」
先に伝えられていた時間通りに晩餐の支度が整ったことを執事が報せにきて従者と共に食堂に来た甲斐性なし。
従者が開けた扉から入ると既に来ていたシャルロットが立って待っていて声をかける。
「着替えたんだね。先ほどのドレス姿も美しかったけれど、そのワンピース姿も愛らしくてよく似合っているよ」
「旦那さまったら……」
白のドレス姿から淡い桜色のワンピース姿に変わっていたシャルロットを褒めるとほんのり頬を染める。
それをごまかすように少し俯いて目線をそらすそんな仕草も愛らしく、甲斐性なしは改めて自分を馬鹿だったと思う。
甲斐性なしが今回帰ったのは花嫁に会うのが目的ではない。
素行の悪い家令がどこまで正確な報告をしていたかを確認するためと、仕事の出来る使用人が殆ど居ない中で残された使用人たちがどこまで務めを果たせているかの確認をするため。
迎え入れの準備に時間がかかることを考え本来ならば遅くても一ヶ月前には先触れを出すところだけれど、半月という急遽の予定で戻ったのは不正を隠す時間を与えないためだった。
屋敷や領地のことは家令から度々報告を受けていたものの素行が悪いと知っているために内容は余り信用しておらず、不正を働いているなら半月では全て隠蔽するのは無理だろうと。
ただ、いざ戻ってみればこれ。
甲斐性なしと執事で食事までの空き時間に今まで受けた報告書と帳簿を照らし合わせ確認したけれど不正は見られず、先に別邸を出て領地や領民の様子を確認に行って貰った騎士数名からも領地には何の問題もなかったと報告を受けた。
むしろアレニエ公爵家の評判が良くなっていたと言う。
「シャルロット。私が不在のあいだにアレニエ公爵家の名で教会や孤児院に寄付をしていたんだって?」
甲斐性なしが聞くとシャルロットは表情を変える。
「申し訳ございません。勝手なことをして」
「責めているんじゃない。寄付金をどこから捻出したのか聞きたかったんだ。経費に寄付金は含まれていなかったから」
家令が事細かに書いてあった帳簿に寄付金はなかった。
かと言って寄付金にあてたような額の経費も見られず。
「……私にかかる費用と嫁ぐ時に持参した私物を売って」
「君の?」
「私は社交界に出ておりませんので屋敷の中で着る衣装は最低限で構いませんし、食費も一人でそんなにかかりませんから。それに殆どは嫁ぐ時に持参した私物を売ったお金です」
それを聞いて甲斐性なしは改めてシャルロットを見る。
ドレスの時は髪飾りやネックレスなど装飾品をつけていたけれど、今は一般的なワンピース姿で装飾品一つ付けていない。
髪を結んでいるリボンも庶民が使う物と変わらない布製。
主人に付き添って来て壁際に立っている執事や従者も驚く。
自分にかかる費用を削り私物まで売って寄付をしたのかと。
「バートはこのことを知っているのか?」
「はい。公爵家が管理する経費ですのでバートからは旦那さまにご相談してからの方がと言われたのですが、折角ドラゴニュートらしくない期待外れの私と関わる事なく愛妾と楽しく暮らしておられるのに相談などすれば不快にさせてしまうかと」
甲斐性なしは話を聞いて両手で顔を塞ぎ溜息をつく。
「違うんだよシャルロット。最初から私は君にドラゴニュート一族らしい容姿や力など期待していなかった。むしろドラゴニュート公爵家の令嬢じゃなかった方が良かったんだ」
父が事故で急逝して家督を継ぎ公爵になったことで妻を貰い受けることになり、今は隠居している祖父が話を持ってきたのがドラゴニュート公爵家の令嬢シャルロットとの成婚話。
ドラゴニュート一族は必ず竜の力を持って生まれる。
力の種類に違いはあれど優れた力であることは変わらない。
髪は黒く虹彩が赤い者ほど優れた竜の力を持っていて、黒髪と赤い虹彩を持つ者はドラゴニュートの象徴として尊ばれる。
それが一般的に知られているドラゴニュート一族のことで、本家の公爵家については謎に包まれている部分が多い。
優れた力を持つドラゴニュート一族は王国の守護者であり王家ですら頭が上がらず、実質的に王家と権力を二分している。
そんな権威のあるドラゴニュート公爵家がなぜ家督を継いだばかりの若者が当主のアレニエ公爵家に娘を嫁がせようとしたのか理解が出来なかったし、力不足な自覚がある自分が高貴な血筋の令嬢を娶ることにも恐怖があった。
しかも成婚前にドラゴニュート公爵家から与えられた令嬢の情報は極わずか。
ドラゴニュート公爵家の長女シャルロット。
上は兄二名、下に弟が一名と妹が二名の六人兄弟。
六人兄弟と言っても現公爵には三人の夫人が居て母親は違うけれど、長男とシャルロットと妹の三名は正妻の子ども。
初経前であるものの生殖器官には異常なし。
本家の娘のため竜の王の継承者を産む可能性あり。
受け取った情報で分かったことはたったそれだけ。
灰色の髪や瞳という話も、竜の力を持っていないという話も、竜のなり損ないと虐げられているという話も全て、社交界で貴族の令息や令嬢から聞いた噂話や愛妾から聞いたこと。
ミドルネームを与えられていないのだから噂話が事実で生家の中で虐げられている令嬢なんだろう。
だから、今は何の得もなくとも竜の継承者が生まれた時に取り上げることが容易そうな自分が夫に選ばれたんだろう。
噂話を信じることで自分にそう言い聞かせてもなお、絶対的な血筋のドラゴニュート公爵家の令嬢という事実が重すぎた。
公爵家の夫人として困らないだけの衣食住さえ充分に与えておけばいい。それで夫の役目は果たしている。
自分にそんな言い訳をしてアレニエ公爵家の当主という重責から逃げ、ドラゴニュート公爵家という大きすぎる血筋のシャルロットからも逃げていた。
「つまり私が期待外れだったからではなく、ドラゴニュート公爵家の令嬢だからお帰りにならなかったと言う事ですか?」
「ああ。私には君のドラゴニュートの血筋が重すぎたんだ」
甲斐性なしも他の人のように竜のなり損ないとシャルロットを見下していたからお金だけ与えて放置していたのかと思っていたロラは、予想と違ったその理由を聞いて悩む仕草をする。
二人の会話や様子を見て緊張しているのは執事や従者。
甲斐性なしの身近で仕える二人は気持ちを吐露されたことがあり知っていたけれど、奥さまがそんな理由で一年以上も夫が帰ってこなかったことを生家に話せばどうなることか、と。
高い教育を受けたことが分かるシャルロットが生家で虐げられていたなどこうして実際に本人を見れば考えられない話で、むしろ可愛がられていたのではないかと予想がつく。
嫁に出した先の夫から可愛い娘や孫が「ドラゴニュートの血筋が重い」という理由で避けられていたと知れば……。
ドラゴニュート公爵家にかかればアレニエ公爵家などすぐに潰されてしまう。
「私と離縁をお考えですの?その為に戻られたのですか?」
「いや、それは誤解だ。離縁する為ではない」
「離縁を望む時はお話しください。私は修道院に参ります」
あっさりとそう言ったシャルロットにみんな驚く。
驚きを表情に出しているのは甲斐性なし一人だけど。
「話の続きは二人の時にいたしましょう。それよりバート」
「はい。奥さま」
これ以上は使用人も居るここで話すことではない。
驚くみんなを無視して話題を終わらせたシャルロットは控えている家令を呼ぶ。
「アンさまはどうなさったの?」
「そういえば随分と遅れているな」
シャルロットが家令に聞いたそれで気付いた甲斐性なしは懐中時計を出して時間を確認する。
「大丈夫かしら。長旅で体調を崩されたのではなくて?」
「いえ。先ほどお声がけした時にはもう終わると」
「まだ支度が済んでいないと言うこと?」
「そのようです」
早く入浴をせず侍女に八つ当たりをしているから。
そうならないよう侍女が進言してくれたと言うのに。
「先に始めよう」
「お待ちにならないのですか?」
「数分ならまだしも十分以上過ぎている。招待された側でありながら時間迄に支度を済ませなかった者を待つ必要はない」
あらあら。
摘み食いの相手を妻の居る本邸に連れて来てしまうような気の利かない夫だけに何でも許してしまう激甘なのかと思えば、礼儀はしっかりと重んじますのね。そこだけは評価しますわ。
と密かにロラは思う。
「旦那さまがそれでもよろしいのでしたら」
「ああ。気を遣わせてすまなかった」
「ではバート、お願いね」
「承知いたしました」
愛妾が不在のまま始まった晩餐。
テーブルにはパンやワイン、軽い前菜が用意される。
やはり生家で虐げられていた令嬢などではない。
食事の礼儀作法や振る舞いも完璧で上品に料理を口に運ぶシャルロットを見て甲斐性なしや執事や従者はそう確信する。
一朝一夕の練習で身についたものではない。
「旦那さま?お口にあいませんでしたか?」
「いや、シャルロットの姿が愛らしくて見惚れていた」
「……男性とは本来そのように褒めるものなのですか?」
「ん?」
「私が話す異性といえば家族や使用人くらいでしたので」
異性からの褒め言葉に慣れておらず恥ずかしがるシャルロットをつい口元を笑みで緩めながらジッと眺める甲斐性なし。
ここまで異性に慣れていないのも珍しいと。
「わざとですの?旦那さまは少し意地悪ですのね」
「それは失礼を。たしかに見られていたら食べ難いな」
「ええ。一緒に召し上がってくださいませ」
「そうしよう」
離縁の危機かと思わせた先ほどの緊張感などなかったかのように和やかな雰囲気で会話を挟みながら食事をする夫婦に、そこに居るみんなも胸を撫で下ろした。
それからまた十分ほど経って。
「遅くなりました」
ようやく食堂に姿を見せた愛妾。
ボリューミーな胸元の見える真っ赤なドレスでの登場。
存在をこれでもかと主張する大きさの貴金属が胸元や耳や指に飾られていて眩い。
「食事まで二時間以上の余裕があって予定の時間通り食堂へ呼ばれたというのに四十分も遅れたとはどういうことだ?幾ら女性の方が支度に時間がかかると言っても夜会に行くでもなし、私たちを待たせてでもそこまで着飾る必要があったのか?」
甲斐性なしはまた懐中時計を開いて愛妾に見せる。
今の今までの和やかな雰囲気はどこへやら。
ただこれは誰が見ても怒られて当然。
招待された時間に遅刻して来たに関わらず、時間のかかるアップヘアもしっかりメイクも完璧に仕上げてきたのだから。
「別邸に居る時は君の好きにすればいい。でも本邸は私の妻のシャルロットが女主人で君はゲストだ。街へ買い物に行きたいだけで失礼なことはしないと言うから連れてきたが、最初からこんな調子なのだからやはり連れて来るのではなかった」
大きな溜息をついて甲斐性なしは懐中時計をしまう。
屋敷の様子を確認するための帰省だから最初は断ったけれど、途中に宿泊する街で買い物がしたいだけで絶対に迷惑はかけないと毎日顔を合わせるたび執拗に言うから連れてきた。
けれど連れて来たことを早速後悔している。
「旦那さま、アンさまはきっと馬車の長旅でお疲れになっていてなかなか支度を始められなかったのでしょう。同じ女性の私が気付いてアンさまのお食事はお部屋へ運ぶよう手配すべきでしたわ。私のミスですのでどうぞお許しくださいませ」
甲斐性なしの腕にそっと手を置き謝るシャルロット。
愛妾を心配してチラリと表情を確認するシャルロットを見て怒っていた自分が馬鹿馬鹿しくなった甲斐性なしは苦笑する。
「たしかにそうだな。男性と女性では体力が違うのだから相当疲れていて動けなかったのだろう。この屋敷の女主人のシャルロットがそれでいいのならば今回はそういうことにしよう」
シャルロットの手に手のひらを重ねる甲斐性なし。
自分が居ないたった数十分の間に何があったのか、出迎えの時よりも親密になっている二人を見て愛妾は歯を食いしばる。
「席につきなさい。もう失礼のないように」
「……はい」
愛妾は執事が引いた来賓の位置の椅子に苦々しい顔で座る。
もっともその手の教養はない愛妾は『この人は家族ではなく来賓です』と表す位置に居ることを分かっていないけれど。
「今日はこのお屋敷の料理人が旦那さまに美味しいお料理を召し上がっていただこうと頑張ってくださいましたの。アンさまのお口にも合うといいのですけれど」
遅れてきた愛妾は前菜から。
愛妾の前に皿が置かれてすぐシャルロットは愛らしい笑みを浮かべて言葉をかける。
「そう言うシャルロットは量を減らしているようだね。体調が優れないのかい?」
甲斐性なしとシャルロットの前にある皿は魚料理。
男女の差という以上に量が減らされている。
「体調が優れないのではありませんのでご安心を。アンさまもお越しになりましたから先程いただいた質問も含めご説明しますわ。お食事しながらで結構ですのでお聞きくださいませ」
目を合わせて言ったシャルロットに甲斐性なしは頷く。
「ドラゴニュート公爵家は武力を重んじる家系で、祖父や父のように力の強い者が何より尊ばれることはご存知ですか?」
「ああ。聞いたことがある。実際にお強い方が多い」
一族のことは謎に包まれている部分が多いけれど、恐ろしいほどの強さを持っている一族ということは誰もが知っている。
当主やシャルロットの父に至っては一人で数百の軍に匹敵すると言われているほど。
「ドラゴニュート一族だけが持つ竜の力は様々。ただ、竜の力を持って生まれれば使いこなせるという訳でもありませんの。生まれ持った竜の力を真に使いこなすためには多くの修行を積み試練も乗り越えなければなりません」
ナイフやフォークを置いて真剣に聞く甲斐性なし。
食堂に居る使用人たちも同じく聞き入る。
シャルロットが話すそれはドラゴニュート公爵家の謎に包まれた部分の一つと言えるから。
「先ほどアンさまがデビュタントのお話をしておりましたが、確かに私はデビュタントボールをしておりません。ただ、して貰えなかったのではなく私が必要ないとお断りしたのです」
「なぜ?貴族には大切な行事でしょう?」
「私にとっては全く」
デビュタントボールは初めて社交界にデビューする若い女性を祝う舞踏会のことで、王家が主催するそれに参加する。
その他にも貴族家では大金をかけて屋敷で祝いのパーティを開き自分の家の娘の社交界デビューを祝って貰う。
それが貴族のステータスで、下手なパーティを開けば後々の付き合いにも影響する重要な行事の一つ。
「申しましたように竜の力を使いこなすには修行が必要です。その修行の内容は能力の種類によって違って、例えば祖父や父のように竜の力が武や剛の才の者だと、深い森や険しい山に数ヶ月から数年篭もって強い魔獣と戦いながら自給自足で生き残る修行をいたします。修行中に死ねばそれで終わり。弱者が死んだと言うだけのこと。それがドラゴニュート一族ですの」
そこはヴァンピールと似ている。
ドラゴニュートも生き残る力がない者は切り捨てられる。
野生動物と同じように。
「こう見えて私もドラゴニュート公爵家の者として様々な修行を行いましたのよ?灯りのない真っ暗な洞窟に篭もり死ぬ間際まで断食修行をして力を高める。幼い頃から繰り返したその修行の影響で肉体の成長は著しく遅れてしまいましたけれど、力がなければ一族から切り捨てられるのにデビュタントなど参加している暇などないでしょう?生きるか死ぬかですもの」
誰の目から見てもシャルロットは愛らしい。
過酷な修行を繰り返してきたなど想像がつかないくらいに。
ただ、破壊の竜の子孫であるドラゴニュート一族の強さがその命懸けの修行にあるというなら異常な強さも納得できる。
そのような過酷な生活をしていたならばデビュタントをしている余裕などなかったことも理解できた。
「ごめんなさい旦那さま。実は私、嫁ぐ数日前まで洞窟に篭っておりましたの。本当は花嫁として一番美しい状態で旦那さまに嫁がなければならなかったのに。当主は私の体を心配して成婚を遅らせると言ってくださったのですが、私は夫婦の始まりになる日を変えたくなくて。断食した状態で嫁ぎ生活が変わったからか体が完全には戻っていなくて食が細いままですの」
腕にそっと手を置き不安そうに見るシャルロット。
プラチナ色の美しい虹彩を持つ瞳が不安を訴えていて、甲斐性なしは今すぐにでも抱きしめたい衝動に駆られる。
「で、でも貴女は竜の力を持ってないんでしょ!?」
「持っておりますわ?」
「……え?」
甲斐性なしの手がシャルロットに伸びかかったのを見て愛妾は焦って口を挟むとあっさりと返される。
「アンさまも何かしらの噂話をお聞きになったのね。ドラゴニュート公爵家の者は噂話に振り回される者など放っておけばいいという考えですからいつ誰が広めたのか分かりませんが、私も竜の力は持っておりますわ。そうでなければ幾度も修行を乗り越えた私が生きてここにいることがおかしいでしょう?」
やはりなり損ないなどではなかった。
今までシャルロットは断言しなかったけれど、普通ではないことは知っていた家令や使用人たちは震える。
「私もなぜそのような噂が広がったのか考えたのですけれど、ドラゴニュートの印象が表に出る祖父や父のように武の才に特化した屈強な肉体を持つ者だからじゃないかと。二人がギャオンと鳴く捕食者側なら私はピーピー鳴いて捕食される側でしょう?一番多い竜の力が武の才だから仕方ないのですけれど」
苦笑するシャルロットに甲斐性なしも苦笑する。
たしかに人前に出てきて戦うドラゴニュート一族は屈強な肉体を持つ者が圧倒的に多い。
その印象が強すぎるあまりに小柄で愛らしいシャルロットは竜の力を持っていないと勘違いされたのかも知れない。
「アンさまこれで噂の真相は分かっていただけたかしら。髪や瞳が灰色になるのは肉体が弱まっている時で、通常は今の色。背が低く痩せ細っているのは生家で虐げられていたからではなく修行を繰り返して成長が遅れているから。竜のなり損ないではなく竜の力が武や剛の才ではないというだけです」
シャルロットは愛妾へにっこりと微笑む。
もっともそれは噂話を聞いたことがある全員に対しての言葉だけれど。
「ミドルネーム!親から大事にされてるならあるはず!」
「ロラですわ」
「え?……あるの?」
「ええ。ホーリーネームですが」
そうだと思い出し言った愛妾のそれにもあっさり返される。
ミドルネームは教会に寄付さえすれば司祭に付けて貰うことが出来る祝福名のことで、ホーリーネームは教皇に神へ祈りを捧げてもらうことで賜る可能性のある聖なる名のこと。
ホーリーネームはミドルネームと違ってお金を積めば得られるものではなく、祈りを捧げても神託がおりなければ終わり。
だからこそホーリーネームを持つ者は貴重な存在。
「じゃあ成婚証にミドルネームがなかったのは」
「ホーリーネームはミドルネームのように書きませんもの」
「そういうことだったのか」
代理を頼んだ書官からミドルネームがなかったと聞いた甲斐性なしはそれを噂を信じる理由の一つにしたけれど、神から授かった名前のホーリーネームは易々と書き残すものではない。
書かれるのは誕生した時の名前と崩御した時の名前にだけ。
「シャルロット・ロラ・アレニエ。それが君の正式な名か」
「ええ。成婚証を書く前に説明するつもりだったのですが」
「私が代理人を立ててしまったから話せずにいたんだね。本当に申し訳ないことをした。大切な話だったのに」
「こうしてお話し出来てよかったですわ」
本当はシャルロット・ロラ・カタストロフ・アレニエ。
ただ『カタストロフ』は宿命の名だから明かさない。
「ロラ……。神が君のために名付けた特別な名前だからかな。不思議とその名前が君によく似合っていると感じるよ」
「まあ、なぜかしら。でも嬉しいですわ」
手を重ね合って微笑み合う二人。
本来ならば最初からそうなるべきだった夫婦の仲睦まじいその光景に愛妾だけは不満を募らせていた。
1
あなたにおすすめの小説
ホスト異世界へ行く
REON
ファンタジー
「勇者になってこの世界をお救いください」
え?勇者?
「なりたくない( ˙-˙ )スンッ」
☆★☆★☆
同伴する為に客と待ち合わせしていたら異世界へ!
国王のおっさんから「勇者になって魔王の討伐を」と、異世界系の王道展開だったけど……俺、勇者じゃないんですけど!?なに“うっかり”で召喚してくれちゃってんの!?
しかも元の世界へは帰れないと来た。
よし、分かった。
じゃあ俺はおっさんのヒモになる!
銀髪銀目の異世界ホスト。
勇者じゃないのに勇者よりも特殊な容姿と特殊恩恵を持つこの男。
この男が召喚されたのは本当に“うっかり”だったのか。
人誑しで情緒不安定。
モフモフ大好きで自由人で女子供にはちょっぴり弱い。
そんな特殊イケメンホストが巻きおこす、笑いあり(?)涙あり(?)の異世界ライフ!
※注意※
パンセクシャル(全性愛)ハーレムです。
可愛い女の子をはべらせる普通のハーレムストーリーと思って読むと痛い目をみますのでご注意ください。笑
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
ソロ冒険者のぶらり旅~悠々自適とは無縁な日々~
.
ファンタジー
今年から冒険者生活を開始した主人公で【ソロ】と言う適正のノア(15才)。
その適正の為、戦闘・日々の行動を基本的に1人で行わなければなりません。
そこで元上級冒険者の両親と猛特訓を行い、チート級の戦闘力と数々のスキルを持つ事になります。
『悠々自適にぶらり旅』
を目指す″つもり″の彼でしたが、開始早々から波乱に満ちた冒険者生活が待っていました。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる