竜の女王

REON

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三章

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「お帰りなさいクリスお兄さま」
「ただいま、シャルロット」

夕方に屋敷へ戻ったクリスを出迎えたロラは両手を伸ばし、クリスも身を屈めて互いにチークキスで挨拶を交わす。
 
「お帰りなさい。マレは如何でしたか?」
「ルカ、君が漁港関係者に話を通しておいてくれたようだね。お蔭でスムーズに進んで契約まで交わすことが出来た」
「それは何よりでした」

ロラと一緒に出迎えたルカ(甲斐性なし)は笑みでクリスと会話を交わす。

「旦那さまが先に話をしておいてくださいましたの?」
「義兄さまがマレに行くことは聞いていたからね。妻の家族にご不便をかけないよう手配するのも夫の役目だろう?」
「まあ。ワタクシの旦那さまが有能ですわ」

マレは小さな島だけれど島民が漁業関係者で漁獲量も秀逸。
その辺り一帯でしか収穫できない魚介類もあって、海のないドラゴニュート公爵領としては何としても契約したかった。
マレも自分の領地に含まれる甲斐性なしもクリスの目的はそれと察して先に話を通してあったのだろう。

「大きなドラゴニュート公爵領と契約を結ぶことが出来ればアレニエ公爵領も潤うという本音も当然あるけどね」
「その本音は心の奥に隠してくださいませ」
「本音で話せと言ったのはシャルロットじゃないか」
「全てとは言ってませんわ」
「加減が難しいな」

ぷくっと膨らむロラ(シャルロット)の頬を啄いて笑うルカ。

数ヶ月間も顔を合わせていなかったからか私がマレに行く前には二人ともどこかぎこちなさがあったけれど、久しぶりに二人きりで過ごしたことで普段通りに戻れたのかな?
以前の二人を知らないクリスはそう判断して仲睦まじい妹と夫の様子に安堵する。

使用人にとってもいつもの光景。
旦那さまが奥さまにベタ惚れなのは以前から。
少し距離感が近くなったようにも思うけれど、数ヶ月も会えていなかったから内心では寂しかったんだろうなと。
シャルロットに合うキャラを演じてきたロラの努力の賜物。

夫婦の関係性が大きく変化したことを知っているのはルカとロラとシャルロット(の感情)だけ。
いやもう一人、真実を知りすぎているサシャも。
ここ数ヶ月ルカが葛藤を繰り返す様子を傍で見てきたけれど、遂に守護者の妻を受け入れ結ばれたんだなと。

良かったですね、シャルロット奥さま。
ロラからシャルロットの気持ちを聞いていたサシャは心の中で思って口許を緩ませる。

この星に残されているシャルロット奥さまの感情は欠片だけになってしまったけれど、いつかその欠片も神の身許に召されるまではどうか安心してルカに愛されてください。
誰よりも貴女を大切に思っているロラが、ルカからの愛を貴女に届けてくれますから。





夜の帳が下り晩餐も終えてロラとクリスが本家に帰る時間。
来た時と同じく当主が竜の姿で迎えに来てくれた二人を見送るために外に出て来た使用人たちとルカ。

「体調には気をつけて。しっかり食べるんだよ」

ロラ(シャルロット)の手の甲に口付けるルカ。

「旦那さまもしっかり体を休める時間を作ってくださいね」

そう答えて愛らしくフフっと笑うロラ。

「手紙を書くから」
ワタクシも書きますわ」
「何か手を貸せることがあればいつでも言って」
「ありがとうございます。助かりますわ」

近い距離のまま別れを惜しむ二人を見守る使用人たち。
仕方がないことではあるけれど、奥さまにベタ惚れの旦那さまはこの瞬間が一番辛いだろうなと心境を察する。

「……寂しい」

そう呟いてロラを抱きしめたルカ。
暫くまた会えなくなるのだから夫として伝えておくべき言葉があるけれど、そんな言葉など真っ白になるほど寂しい。

「旦那さま」

夫婦になったことでルカから溢れた感情。
普段人前で見せている公爵の体裁も忘れ一人の男となり心のまま本音を吐露したルカの背中に手を添えてロラは微笑む。
伝わるシャルロットの感情も今まさに同じだと。

『いつまでそうしている』

竜の姿のまま待っていた当主が遂に苦情を訴える。

『会いに来ればいいだけだろうに長い』
「……よろしいのですか?こちらから伺っても」
『貴様はドラゴニュート公爵領のことを余所者を受け入れない魔境だとでも思っているのか?夫が妻に会いに来るのを咎めるはずがないだろう。領で悪さをすれば喰い殺すがな』
「め、滅相もないことで!」

当主とルカの会話を聞いてロラとクリスはくすくす笑う。

「今はまだ暫くこちらに帰って来るのが難しい状況ですから、旦那さまの方から会いに来てくださるなら嬉しいですわ。その時はドラゴニュート公爵領を案内いたしますから宿泊する予定で来てください。可愛い弟妹も紹介したいですし」

離縁せず生涯シャルロット嬢を愛すと誓ってくださったのですから、今までのようにこちらの顔色を伺うように手紙だけで済ませるような距離の取り方をする必要はありませんわ。
心置きなくシャルロット嬢を愛してくださいませ。

「会いに行くと約束する。必ず行くから」
「はい。楽しみにしておりますわ」

嬉しそうに笑うルカにシャルロット嬢の感情も弾む。
一度は釦を掛け違えた二人の夫婦生活はこれから始まる。


約束を交わして今度こそ空に飛びたち本家に向かう三人。

「ルカはシャルロットが好きで仕方がないようだね」

夜風で風邪をひかないよう自分のストールを外してロラ(シャルロット)に巻き付けながら思い出し笑いをするクリス。

「あら。ワタクシを好きにならない殿方がおりますの?」

こんなにも愛らしいシャルロット嬢を?
私でしたら微笑まれるだけでノックアウトですわよ?
当然でしょう?と言いたげなロラにクリスは笑う。

「私の妹は美しくて可愛らしいからね」
「ええ。クリスお兄さまもワタクシが好きでしょう?」
「そうだね。可愛い妹だと思っているよ」
「ふふ」

そちらのの話だったのかと察したクリス。
自分が話したのは恋愛感情での好意の話だったけれど、妹はどうやら違う意味で捉えて言っていたようだ。

『本当か?』
「え?」

空を飛びながらも二人の会話を聞いていた当主は鼻で笑う。
シャルロットの姿の時には本当に妹として可愛がっていると分かるけれど、ロラの姿の時は違うだろうに。
それでも自制できているところは評価するけれど。

「嘘なのですか?ワタクシはクリスお兄さまが好きですのに」

それはどちらの好意?
いや、兄としてに決まっているだろうに。
当主の問いで翻弄されたクリスは自分を戒める。

「当主もクリスお兄さまも大好きですわ」

ああ、やはりに対する好意か。
当主が加わったことで一人納得するクリス。

「嘘じゃなくて、私もシャルロットが好きだよ」
「本当に?気を使っているのではなくて?」
「本当に。シャルロットもカイやレアが大好きで惜しみなく可愛がってくれてるだろう?それと同じだ」

本当はクリスの気持ちに気付いているロラはクスと笑う。
ワタクシはカイやレアを性的な目で見たことはないですけれど。

「そうね。同じですわ」

血の繋がったシャルロット嬢の姿の時には妹にしか見えていないことが事実でしょうけど、ロラ実の私の姿の時には違う。
本当はワタクシを欲していながら自制心で抗ってみせるクリスお兄さまに堪らなく承認欲求を擽られますわ。
ヒトの色欲を擽り魅了することでを得るヴァンピールが自分を強く欲している相手を見逃すはずもないでしょう?

『……今日は満月か』
「ええ」

珍しく余裕のないロラの様子で気付いた当主。
満月はヴァンピールが弱体化する唯一の日。
しかも今はシャルロットの姿だから最弱とも言える。
だから本能的に実の姿に戻ろうとしていて血を飲む相手を欲しているのだろう。

『堪えろ。屋敷に戻ったら私のをやる』
「ありがとうございます」

はあと悩ましい息をついたロラを見るクリス。
このようなロラ(シャルロット)の様子を見るのは初めてだけれど、当主が言った満月が関係していることだけは分かった。

『クリス。落ちないようシャルを抱えろ。速度を上げる』
「分かりました」

普段背中に乗せている時にこのようなことは言わない。
私もシャルロットも魔法で身体を固定できるから。
でもさっきまではしっかり固定できていたシャルロットの魔法が薄れてきていることは確か。

「私に捕まって、シャルロット」
「ありがとう」

しがみつくように抱き着いたロラに少し驚くクリス。
いつものような可愛らしくあざとい戯れではなく、これは本気で落ちないようにしがみついている。

「体調が悪い?」
「心配をかけてごめんなさい。満月の日はいつもですの」
「そうなんだ。知らなかった」
「避けようのない体質と思ってくだされば」
「分かった。覚えておくよ」

すっかり弱ってしまった妹を心配するクリスは細く小さな身体を壊してしまわないよう、でもしっかりと抱きしめる。
いつも元気で無邪気な妹が短時間でクタリとなってしまったんだから心配しないはずもない。

『クリスには話した方がいい。隠したところで一緒に暮らしていれば気付かれるという理由もあるが、私が居ることの出来ない時でもクリスなら対応してくれるだろう』
「……そうね」

今はまだ襲爵後で忙しいから当主も本家に入り浸っているけれど、それが落ち着けば自分の城に戻る時間が増える。
当主は当主で城の主人なのだから当然だ。
ただ、離れで暮らしているクリスならすぐ駆けつけられる。

『クリス。他言しないと当主の私に誓えるか』
「誓います。拷問にかけられようと最期まで口にしないと」

悩むこともなく誓ったクリス。
自分や弟妹を本家に迎え入れて大切にしてくれている当主や妹を裏切るような真似だけは絶対にしないと誓える。

「ふふ。そこまでのことではありませんわ」

首筋に重なるロラ(シャルロット)の唇の感触。
艶めかしく感じる声と呼吸でぞくりとする。

『シャルロットは魔法使いの血を飲む必要がある』
「え?……血?」
『黒髪赤目になっている時が血を飲んだ後の姿だ。血を飲むことで実の姿になり能力も高まる』

特定の能力を使うと変化すると聞いていたけれど、血を飲むと変化するとは言えずにそういうことにしたのかと納得する。

「今までその姿になっていた時は当主が血を?」
『ああ。力が必要な時に飲むだけなら良いが、それ以外も時に飲まなければ弱ってしまう。だから私の血を飲ませている』
「魔法を使うような何かがあった様子はなくとも変化している時があるのはそういう理由だったのですね」

話を聞けば今までのことが腑に落ちる。
また厄介な体質に生まれたものだ。
真実の強さを得るための代償かのように。

「満月というのもシャルロットが弱る原因ですか?」
『そうだ。普段から血を飲んでいても満月の日だけは必ず弱体化してしまう。黒髪赤目の実の姿になっていれば魔法に多少の制限が付くくらいで済むが、実の姿と違って身体の弱い今の姿で弱体化をすれば一切の魔法が使えなくなる。つまり今のシャルは身体が弱っていて魔法も使えない状態ということだ』

たしかにこの姿のシャルロットは儚げ。
第三者の私から見ると頑丈なドラゴニュートらしくないシャルロットも庇護欲を擽られて愛らしくはあるけれど、本人からすれば可愛らしいとだけで済むような体質ではないだろう。

「それなら屋敷までの応急処置で私の血をあげよう」
『待て!』

弱りきった妹の姿があまりにも可哀想で魔法を使い自分の手を切ってシャルロットの口に重ねたクリスを止める当主。

残念ながらもう手遅れ。
ヴァンピールの本能ですっかり血に飢えていたロラは血の匂いに反応してクリスの手を強く掴み噛み付いて血を飲む。

「焦らなくて大丈夫だからゆっくり」

自分の手を抱え込むように持って血を飲んでいる妹の背中を支えたまま話すクリス。
ここまで血が欲しかったのかと様子を見ていると髪の毛先から黒に変化していることに気付く。

「こうやって変化を」

初めて見た変化の最中を眺めていたクリスは心臓がドクンと脈打って言葉を詰まらせる。

「……当主、これは」
『最後まで話を聞かないお前が悪い』

それほどシャルが心配だったのだろうが、直接血を飲ませれば身体にが出ることも話すつもりだったのに。

『噛みつくことで直接飲ませると飲まれている側も飲んでいる本人も身体に影響が出る。辛いだろう?性欲が増して』

当主の言う通りそんな気分になるような状況では一切ないのに自分の意思に反して性欲が増している。
しかも擽られるという可愛げのある勢いではなく強引に引きずり出されていると感じるほどに。

「ごめんなさい。クリスお兄さま」

シャルロットだった姿はすっかりロラに。
謝りながらなお傷口を舌で舐める姿がますます欲求を煽る。

自分を貪り尽くすかのように必死な妹に。
元は桜色の口を真っ赤に染めている妹に。
真っ赤な血で白い首元を汚す妹が禍々しくも美しい。

「……大丈夫だよ、シャルロット。我慢していたことに気付かなくて悪かった。思えば食事も大して口にしなかったね」

ロラが血を飲んでいる方の手を引くことはせず、身体を支えている背中の手に力を込めるクリス。
ルカの屋敷でご馳走になった二回の食事で「お腹が空いていない」と言ってあまり食べなかったけれど、あれも満月の日に弱体化する体質の影響だったんだろうと今なら分かる。

「当主の血と違って私の血を飲んでも物足りないかも知れないけど、少しでも楽になるよう屋敷に着くまでは我慢して」

そうロラに語りかけるクリスに当主は内心驚く。
本当は相当辛いだろうにロラを気遣っていることに。

「気持ちよくないのですか?」
「堪えられるから心配しなくていい」

自制心が強いことは分かっていたけれど、多感な年齢のクリスが痩せ我慢とはいえヴァンピールの色欲に抵抗できるとは。
強欲のドラゴニュートの特性を持っているのだから、与えられる以上に欲しがって襲ってもおかしくないというのに。

「気持ちよくなってくださらないと御礼になりませんわ」
「御礼?分からないけど脱いだら風邪をひいてしまうよ」
「クリスお兄さまはワタクシが欲しくないのですか?」
「いや、シャルロットは私の妹だから」
「今のワタクシは妹さまではありませんわ」

背中の上で繰り広げられる状況に頭が痛い当主。
一日中我慢していたのか、今のロラは満月の日の影響ですっかりヴァンピールの特性が暴走してしまっている。

『今は何を言っても無駄だ。少し相手をしてやれ』
「で、出来ません!妹なのに!」

アレニエ領とドラゴニュート領は距離があるからまだかかるけれど、これ以上スピードを上げては振り落とされてしまう。
仕方がないから手慰み程度に相手をしてやるよう言うとクリスは力強く拒否する。

『その姿の時にも妹だと思っているか?』
「どちらもシャルロットで」
『お前の妹はシャルでロラではない』
「……どういう意味ですか?」

妹はシャルロット・ロラ・ドラゴニュート。
親が付けた名前か教会で付けて貰った名前かとだけで一人の人物の名前には違いない。

『シャルとロラは別人だ。普段の肉体の時がお前と血縁のシャルロット。今お前の前に居る肉体の時は他人のロラ。血を飲む前後で使える能力だけでなく肉体も別人になる』

双子星のもう一人の守護者であるヴァンピール。
そのことは伏せてとだけ説明する。
血を飲むと変化するそれもある種の能力には違いない。

『自分でも気付いているだろう?シャルを見る目とロラを見る目の違いに。妹だと思うことで自分を律することが出来ていることには感心するが、お前の本能は間違っていない』

クリスがロラに惹かれるのは当然のこと。
シャルロットの肉体とは違ってロラの肉体とは血の一滴すら繋がっていない赤の他人なのだから、他の男と同じように美しい女性を見て惹かれているというだけの正常な感覚だ。

当主から言われてロラを見るクリス。
性欲が増した自分と同じ状況にあるのか、満月の光に照らされているロラの美しい姿がどうしても妹だとは思えない。
愚かな過ちを犯してしまわないよう『姿は違ってもどちらも自分の妹だ』と言い聞かせていただけで、心の奥底ではこの姿の時のシャルロットを妹だと思えたことがなかった。

今まで会ったことがなかったから妹という感覚が薄い。
最初はそれだけのことだと思っていた。
顔を合わせるようになったのだから今後は妹だと実感が湧くだろうと思っていたし、実際ドラゴニュートらしくない容姿をした愛らしいシャルロットに対しては兄の自分が守ってやらないとという感情が芽生えている。

でも当主と同じドラゴニュートの象徴ともいえる容姿をした美しいシャルロットに対してはの感覚がないまま。
今まで会ったことがなく血の繋がりも半分だけとはいえ、実妹を不埒な目で見てしまう自分がおかしいんだと思っていた。

だから別人と言われると納得してしまう。
この姿のシャルロットの時は自分の妹じゃないから惹かれるのを止められなかったんだと。

「クリスお兄さま」

首に両手を回して豊かな胸を押し付けながら形のいい柔らかい唇で幾度も軽く口付けられる。

「落ち着いて。私は兄だ」

美しく愛らしい私の妹。
ここで性欲に負ければ私は二度とこの姿のシャルロットを妹だとは思えなくなるだろう。
そう確信しているクリスは残された自制心で口付ける唇を手で止める。

「シャルロット」
「ロラですわ」

口付けを堰き止める手を豊かな自分の胸元に運んだロラはクリスの自制心を嘲笑いながら深く口付けた。

「……ロラ」

自制心を砕かれたクリスは破壊と強欲のドラゴニュートらしくロラを貪るように口付ける。

「尊き当主の背で罪を犯すことをお許しください」

満月に照らされた虹彩は深紅。
自分をその目に映しながらも神への懺悔のような言葉を呟いたクリスにロラはますますヴァンピールの血を擽られる。

「咎人になってくださいませ、ワタクシのために」

自分を欲する人を愛おしく思うロラ。
それが強欲であるほど愛おしさは募る。
自分にを与えてくれる相手を好きになるのはヴァンピールの特性。

例え好意のない相手でもを与えてくれた時には好き大好き愛しいとなって、相手が満足するまで欲求に応える。
相手が満たされたら感情は消え元に戻る厄介な特性ではあるけれど、血が食事の古代のヴァンピールはそうして与えられた分欲求を満たして返す恩返しをすることで生きてきた。

「好き、大好き」

満月の今日はヴァンピールが弱体化する日。
肉や魚や野菜で食事が出来るようになった現代のヴァンピールからは古代のヴァンピールの特性は薄くなったけれど、始祖還りをしているロラだからこそ弱っている日満月の日を与えてくれたクリスへの好感度は最大まで膨らんでいる。

「もっとワタクシを欲して、クリスお兄さま」

色欲のヴァンピールと強欲のドラゴニュート。
ヴァンピールの魂でドラゴニュートの肉体に宿ったロラはどちらの特性も併せ持っている。

「お兄さまはワタクシが好き?」
「……好きだよ」

今の妹は正気ではない。
だから本当に私が好きで言ってるのではない。
落ち着けば普段の妹に戻る。
腕の中におさめたロラの身体を宥めるクリスは心ではそう冷静に判断していた。

性欲を強欲に引き出されていながらまだ抗えているのか。
自分の本能には流されず暴走しているロラの身体を宥める行為に徹底しているクリスに感心する当主。

クリスの自制心の強さは強欲のドラゴニュートの中で一級。
そう思いながら本家屋敷へと急いだ。
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