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領主 Nicolas

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 Nicolasは時を経て市民から厚い信頼を得た。あの戦いで先導にたち、村の自由を求め戦った。NicolasがButlerの屋敷、そうCatalina Rercaroに踏み込んだ時はもうButlerは彼を憎んではいなかった。Butlerを探し出し、書斎に腰を掛けていた彼にNicolasは刀を突き付けた。

「Nicolas…」

「ほう、俺の名前を憶えていたか」

Butlerは微笑んだ。その笑いはNicolasを一瞬怯ませた。

「もう…殺してくれ。…俺はどこで間違えたのだろうか」

「さあな」

そう言うとNicolasは刀を振り上げた。Butlerの死に顔は笑っていた。満足といっらような顔つきで、誰もが恐れていたあの表情とは全く違うものだった。

 「おめでとうございます」

それを見ていた群衆たちはわっと喜んだ。勇敢な彼を称えた。それからNicolasはこの屋敷の主となった。もともと彼は表立って動くのは苦手だった。Butlerが納めていた場所はそのまま引き継がれ、彼は市民の意見を聞きつつできるだけ要求が通りやすい政策を行っていた。
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