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ずっとここにいてもいい?

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「大丈夫でしたか?」

頃合いを見計らってNicolasが部屋の中に入ってきた。

「えぇ、彼女たちに会えたわ」

それを聞くと嬉しそうにNicolasは笑った。

「ねぇ、私ここの人たちと仲良くしてみたいの。お邪魔でないのでしたら…」口籠りながらいうDonnaに彼は微笑みを浮かべ

「構いません、彼らも喜ぶでしょう」といった。その言葉のDonnaは喜んだ。Nicolasも彼女の喜ぶ顔を見てにこやかに笑い「昨日は休んでいないようだから部屋でゆっくりしたらどうだ?」と言った。

 それからDonnaとNicolasの仲は良くなっていった。春になり庭に花が咲き乱れた頃には二人の楽しそうな会話が聞こえた。Donnaは彼の過去を聞くうちに飾らない様子を見て興味を持った。

「このお屋敷って外観は怖いけれどよく見ると綺麗なのよね」

「俺もそう思うよ。初めて来たときと今の印象は全く違う」

「貴方に助けてもらって本当によかったわ。ありがとう」

「驚きましたよ、まさかあんなところにいるなんて」

ふふっとDonnaは笑って手元にあった紅茶を啜った。そこから見える景色は綺麗で、緑が多く心が落ち着くのだった。今まで住んでいたあの騒がしい生活は何だったんだろう。私にとって必要なのはここだったのじゃないかしら。そう思った。
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