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白椿家のパーティー2
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人の気配を感じて目を開けると、隣に彰宏さんが立っていた。慌ててその場から離れようとすると力強く手を掴まれた。
「なぜ逃げるのですか?」
その声はどこか寂しそうに聞こえた。紗紀子は何も話せなかった。視線を泳がせ戸惑っていると
「今日は来てくれてありがとう。君に会いたくて開いたようなものなんだ」
とにこやかに笑って言ってきた。その声に不思議と落ち着いてしまう。
(言わなきゃ…誤らなきゃ…)
紗紀子は自分自身に言い聞かせた。
「ごめんなさい…」
出てきた言葉はそれだけだった。怖い。顔を見るのがとても怖い。
(なぜ私に平気で会いたいとかいうの?どうしていつもそんな簡単に他人と話せるの?…どうして…?)
私の中の小さな私が叫んでいた。
「どうかしたのか?」
彰宏さんは困った顔をして見せた。私の言葉足らずのせいで混乱させたかもしれない。
(なんて言ったらいいの?)
頭がパニックになって真っ白になって何も言葉が出ない。
小さくなって震えている紗紀子を見て、彰宏は彼女の友人の話を思い出していた。彼女を襲った過去の話を彼女の友人から聞いたのだった。あまりにも酷い話だと彼は思っていた。それに「親友に裏切られて婚約が破談になった」そんな噂を偶に聞くことがあった。ほかにも多くの彼女の噂も嫌でも耳に入ってくる。信じていた人に裏切られ、他人に後ろ指をさされていた目の前の彼女を哀れに思う。心の大きな穴を埋められないかと思う。
「もしかして、この間のことを気にしているんですか?」
彰宏は彼女の顔色を伺いながらそう聞いた。ちらっと上目使いで悲しそうな顔でこちらを見た。(当たったか)と彼は思った。
「誤らなければいけないのはこちらの方です。無礼に伺ったりして」
「いいえ、ほんとにごめんなさい」
紗紀子はぺこりと頭を下げた。そんな彼女を見てクスクスと彰宏は笑った。
「俺たち誤ってばかりで面白いですね」
紗紀子の顔にも笑顔が現れた。
(慎重に)
彰宏は自分の心に言い聞かせていた。
「なぜ逃げるのですか?」
その声はどこか寂しそうに聞こえた。紗紀子は何も話せなかった。視線を泳がせ戸惑っていると
「今日は来てくれてありがとう。君に会いたくて開いたようなものなんだ」
とにこやかに笑って言ってきた。その声に不思議と落ち着いてしまう。
(言わなきゃ…誤らなきゃ…)
紗紀子は自分自身に言い聞かせた。
「ごめんなさい…」
出てきた言葉はそれだけだった。怖い。顔を見るのがとても怖い。
(なぜ私に平気で会いたいとかいうの?どうしていつもそんな簡単に他人と話せるの?…どうして…?)
私の中の小さな私が叫んでいた。
「どうかしたのか?」
彰宏さんは困った顔をして見せた。私の言葉足らずのせいで混乱させたかもしれない。
(なんて言ったらいいの?)
頭がパニックになって真っ白になって何も言葉が出ない。
小さくなって震えている紗紀子を見て、彰宏は彼女の友人の話を思い出していた。彼女を襲った過去の話を彼女の友人から聞いたのだった。あまりにも酷い話だと彼は思っていた。それに「親友に裏切られて婚約が破談になった」そんな噂を偶に聞くことがあった。ほかにも多くの彼女の噂も嫌でも耳に入ってくる。信じていた人に裏切られ、他人に後ろ指をさされていた目の前の彼女を哀れに思う。心の大きな穴を埋められないかと思う。
「もしかして、この間のことを気にしているんですか?」
彰宏は彼女の顔色を伺いながらそう聞いた。ちらっと上目使いで悲しそうな顔でこちらを見た。(当たったか)と彼は思った。
「誤らなければいけないのはこちらの方です。無礼に伺ったりして」
「いいえ、ほんとにごめんなさい」
紗紀子はぺこりと頭を下げた。そんな彼女を見てクスクスと彰宏は笑った。
「俺たち誤ってばかりで面白いですね」
紗紀子の顔にも笑顔が現れた。
(慎重に)
彰宏は自分の心に言い聞かせていた。
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