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白椿家のパーティー3
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それから少しずつ会話が盛り上がり楽しい時を過ごしていた。今までのわだかまりが少しずつ消えていった気がした。
「ここでなら周りの目を気にしなくても大丈夫でしょう」
彰宏はにこりと笑っていった。紗紀子はパッと顔を上げて
「私のことは気になさらないで。それに私も自分自身を変えたいって思ってるの」
「なぜ?」
彰宏は首をかしげた。
「知らない間に誰かを傷付けてると思うと怖いの」
「俺はそのままでいいと思う。そのままの紗紀さんを受け入れるし、変わりたいのなら止はしないけど…なんていうか…」
うまく言えず口ごもる彰宏に紗紀子はクスクスっと笑った。
「そう言ってくれるのって貴方がぐらいね。だけど…」
「だけど?」
ハッとして紗紀子は黙った。この楽しい時を壊してはいけない。
(だけど、誰でも最初はこう言って気を引こうとするだけ。だなんて言えないよ…)笑顔を作って彼女は柱時計をみた。時間は23時を大きく回っている。門限が決まっているから父がどうせ家にいなくても帰らなければならない。でもこの人と一緒にいてもいいのかな?初めての感情だった。
(彼に心を許してもいいの?裏切ったりしない?)
たまに出てくるこの気持ちを思わずにはいられない。でも、違う気持ちも来る。心が温まるような苦しいような。もうどうしたらいいのかわからない。
「私そろそろ帰らなきゃ」
紗紀子はそういった。
「そっか」
帰ってきた返事はそっけなく聞こえた。だけど
「送っていくよ」
と笑顔でそう言われた。
彰宏に手を引かれカーテンから広間に出れば多くの人の目線が紗紀子刺さっていた。
「あんなに一人でいるからかわいそうにと思って声をかけただけなのにしつこい女ね。私たちのほうがあの方を愛してるのよ。いくらく辻倉のお嬢様だからっていい気になってバカみたいよね」
と後ろを歩く紗紀子によく聞こえるようにあちこちで様々な人がひそひそと話している。
「元婚約者に捨てられたんですって」
「あんなに暗かったら一緒にいてもつまらないわよ」
「ずっと壁のほうにいらっしゃったんですもの」
「壁の花がお似合いよ」
クスクスと笑い声も聞こえてくる。自分がここにいる意味がないような気がしてくる。
(早く手を離した方が彼も…)
そう思ってスッと離れようとするとグイと引き寄せられた。
「堂々としてていいんだ」
え?とした顔をしていると「変わりたいんだろ?」と小さな声で言われた。
(手伝いをしてくれているだけなのかな)
でもうれしい、このままの関係だけでもいい。
車に乗りながら紗紀子はそんなことを思っていた。いつもより星は綺麗に見える。心のもやもやも消えてる気がする。
家につくまで短く感じた。夢のような時間が終わる。
「ねぇ」
紗紀子は車から降りたとき彰宏に声を掛けた。
「ん?」
というその顔は優しかった。彼女の言葉をゆっくりと待っていてくれるようだった。
「どうして私に優しいの?」
「ここでなら周りの目を気にしなくても大丈夫でしょう」
彰宏はにこりと笑っていった。紗紀子はパッと顔を上げて
「私のことは気になさらないで。それに私も自分自身を変えたいって思ってるの」
「なぜ?」
彰宏は首をかしげた。
「知らない間に誰かを傷付けてると思うと怖いの」
「俺はそのままでいいと思う。そのままの紗紀さんを受け入れるし、変わりたいのなら止はしないけど…なんていうか…」
うまく言えず口ごもる彰宏に紗紀子はクスクスっと笑った。
「そう言ってくれるのって貴方がぐらいね。だけど…」
「だけど?」
ハッとして紗紀子は黙った。この楽しい時を壊してはいけない。
(だけど、誰でも最初はこう言って気を引こうとするだけ。だなんて言えないよ…)笑顔を作って彼女は柱時計をみた。時間は23時を大きく回っている。門限が決まっているから父がどうせ家にいなくても帰らなければならない。でもこの人と一緒にいてもいいのかな?初めての感情だった。
(彼に心を許してもいいの?裏切ったりしない?)
たまに出てくるこの気持ちを思わずにはいられない。でも、違う気持ちも来る。心が温まるような苦しいような。もうどうしたらいいのかわからない。
「私そろそろ帰らなきゃ」
紗紀子はそういった。
「そっか」
帰ってきた返事はそっけなく聞こえた。だけど
「送っていくよ」
と笑顔でそう言われた。
彰宏に手を引かれカーテンから広間に出れば多くの人の目線が紗紀子刺さっていた。
「あんなに一人でいるからかわいそうにと思って声をかけただけなのにしつこい女ね。私たちのほうがあの方を愛してるのよ。いくらく辻倉のお嬢様だからっていい気になってバカみたいよね」
と後ろを歩く紗紀子によく聞こえるようにあちこちで様々な人がひそひそと話している。
「元婚約者に捨てられたんですって」
「あんなに暗かったら一緒にいてもつまらないわよ」
「ずっと壁のほうにいらっしゃったんですもの」
「壁の花がお似合いよ」
クスクスと笑い声も聞こえてくる。自分がここにいる意味がないような気がしてくる。
(早く手を離した方が彼も…)
そう思ってスッと離れようとするとグイと引き寄せられた。
「堂々としてていいんだ」
え?とした顔をしていると「変わりたいんだろ?」と小さな声で言われた。
(手伝いをしてくれているだけなのかな)
でもうれしい、このままの関係だけでもいい。
車に乗りながら紗紀子はそんなことを思っていた。いつもより星は綺麗に見える。心のもやもやも消えてる気がする。
家につくまで短く感じた。夢のような時間が終わる。
「ねぇ」
紗紀子は車から降りたとき彰宏に声を掛けた。
「ん?」
というその顔は優しかった。彼女の言葉をゆっくりと待っていてくれるようだった。
「どうして私に優しいの?」
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