人間不信になったお嬢様

園田美栞

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溶けていく氷

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「それは…」
彰宏は口ごもった。なんといえばいいんだろう。変に警戒されたくはないし、かといって好きという気持ちは伝えたい。
「ごめんなさい、変なこと聞いちゃった」
紗紀子は肩をすくめて笑顔を作って立ち去ろうとした。玄関の扉に手をかける彼女に彰宏はその背中がもう見られなくなる気がして
「一人で抱え込むな、何でも俺に相談しろよな」
と言った。紗紀子は目を見開いた。少し戸惑いながらもコクンと頷き家の中に入っていった。
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