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好きになりそう
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次の日の夜、結衣の仕事を押し付けられ、嫌々ながらも佳代子は引き受けた。(家に帰っても暇なだけだし)それに帰る途中に変な人達と会うのはごめんだわ。そう思った佳代子はデスクを前に伸びをした。
板倉と喧嘩別れしてから、ますます結衣の顔を見るのが嫌になった。そんな時に北川という男性からデートの誘いを受け佳代子は迷いもなく返事をした。
それに、北川さんは優しく一見頼りないような人には見えるが浮気などしそうにもない人に思えた。それに急に誘って貰ったのに予約で席まで取ってくれるなんてと佳代子は感動していた。それから佳代子の家にいたずら電話はなくなったように感じた。結衣には彼のことは伝えていない。この人は裏切るのだろうか。イケメンで何もかもが完璧で丁寧で私にとっちゃ申し分のないこの男は今までとは違うのだろうか。たまに不安になるけれどいまだそんな兆しは見えない。佳代子が落ち込んでいると何かしら慰めてくれたり、小さな発見をすぐに見つける人物だった。それを怖いとは思わなかった。ちゃんと見てくれているって思った。彼のハグが佳代子は好きだった。全てを包み込む、全てを受け入れてくれる守ってくれそうなハグだった。彼の広い胸に顔を埋めると安心して彼の匂いがちょっとして落ち着く。悲しかったことも辛かったことも全て消し去ってくれる。時には彼のセーターに顔を埋めて泣いたりした。
何回か会ってから私たちは互いの家に行き来するような関係になったある日、真夜中に誰かにつけられている話を北川にしたことがあった。親身になって聞いてくれた彼は何泊か家に泊まってくれた。心強い彼で佳代子は安心した。佳代子の家でテレビを見たり、話をしていた時だった。親にしか教えていないはずの固定電話が急に鳴り出した。時刻は夜の0時30分。互いに顔を見合わせ、
「ちょっとここで待ってて」と北川は受話器を耳に当てた。
「…」彼は何も言わず黙ったまま耳に当てている。ガチャ。静かな部屋に響き渡る相手の音に佳代子は怯えた。
「非通知だね」北川はそう言うと受話器を元の位置の戻した。
「一日に何回もかかってくるの…」ソファーに座って怯える佳代子の背中を撫でながら電話の方へ視線を向けていた。楽しいテレビも今はただの雑音にしか聞こえない。それからすぐだった。またもや固定電話に掛かってきた。
「懲りないね。今度何か言ってみるよ」にこりと笑って北川はもう一度電話の方へ向かっていき、耳に当てる。短い会話が続いているのか、北川は何かを話している。やがて受話器を置くと
「相手は無言だったよ。でも目星はついたかな」とひきつった笑顔で言った。
「無言なのに?」不思議そうに聞く佳代子に北川は頷いた。
「…うん、話さなくても雰囲気でわかるよ。相手は男だったね。それに僕たちが知ってる人」不安そうに次の言葉を待つ佳代子の近くへ歩み寄り、ソファーに腰を下ろした。
「今度、止めて貰うよう頼みにいこっか」と安心させるように言った。
「君が危険な目に遭うことは無いから、もしそうなったら僕が守ってあげる」
その言葉が何よりも嬉しい。彼の肩に頭をのせて目を閉じるとなぜかほっとする。懐かしい温かい匂いがした。
北川の下の名前を佳代子は知らない。調べようと思えば調べられたのだが、彼と何か月か付き合ってから仕事を辞めて別のところへ行っていた為、分からずじまいだった。結衣に邪魔されるのはもうこりごりだったから聞こうとも思わない。
だから彼女は彼のことを北川くんと呼んでいる。彼はそれに対して何とも思っていないのか、呼び方を変えるようなことは言わなかった。次の休みの日、北川に連れられて佳代子は喫茶店へと向かった。ストーカーの正体がわかるのかと佳代子はワクワクしながらも少し怖いような不思議な気持ちだった。結衣じゃなかったことに少し残念に思いながら、じゃあ誰だろうって不思議に思った。
「もうすぐ来るみたいだよ。この件のことは話していないから、なんも疑いもなく来るともうけど」と北川はスマホを眺めながら言った。念のため、一番端の席に座った佳代子に危害が与えられることの無いよう、彼が隣に座った。ギュッと北川の腕を掴み彼の肩に顔を隠した。
板倉と喧嘩別れしてから、ますます結衣の顔を見るのが嫌になった。そんな時に北川という男性からデートの誘いを受け佳代子は迷いもなく返事をした。
それに、北川さんは優しく一見頼りないような人には見えるが浮気などしそうにもない人に思えた。それに急に誘って貰ったのに予約で席まで取ってくれるなんてと佳代子は感動していた。それから佳代子の家にいたずら電話はなくなったように感じた。結衣には彼のことは伝えていない。この人は裏切るのだろうか。イケメンで何もかもが完璧で丁寧で私にとっちゃ申し分のないこの男は今までとは違うのだろうか。たまに不安になるけれどいまだそんな兆しは見えない。佳代子が落ち込んでいると何かしら慰めてくれたり、小さな発見をすぐに見つける人物だった。それを怖いとは思わなかった。ちゃんと見てくれているって思った。彼のハグが佳代子は好きだった。全てを包み込む、全てを受け入れてくれる守ってくれそうなハグだった。彼の広い胸に顔を埋めると安心して彼の匂いがちょっとして落ち着く。悲しかったことも辛かったことも全て消し去ってくれる。時には彼のセーターに顔を埋めて泣いたりした。
何回か会ってから私たちは互いの家に行き来するような関係になったある日、真夜中に誰かにつけられている話を北川にしたことがあった。親身になって聞いてくれた彼は何泊か家に泊まってくれた。心強い彼で佳代子は安心した。佳代子の家でテレビを見たり、話をしていた時だった。親にしか教えていないはずの固定電話が急に鳴り出した。時刻は夜の0時30分。互いに顔を見合わせ、
「ちょっとここで待ってて」と北川は受話器を耳に当てた。
「…」彼は何も言わず黙ったまま耳に当てている。ガチャ。静かな部屋に響き渡る相手の音に佳代子は怯えた。
「非通知だね」北川はそう言うと受話器を元の位置の戻した。
「一日に何回もかかってくるの…」ソファーに座って怯える佳代子の背中を撫でながら電話の方へ視線を向けていた。楽しいテレビも今はただの雑音にしか聞こえない。それからすぐだった。またもや固定電話に掛かってきた。
「懲りないね。今度何か言ってみるよ」にこりと笑って北川はもう一度電話の方へ向かっていき、耳に当てる。短い会話が続いているのか、北川は何かを話している。やがて受話器を置くと
「相手は無言だったよ。でも目星はついたかな」とひきつった笑顔で言った。
「無言なのに?」不思議そうに聞く佳代子に北川は頷いた。
「…うん、話さなくても雰囲気でわかるよ。相手は男だったね。それに僕たちが知ってる人」不安そうに次の言葉を待つ佳代子の近くへ歩み寄り、ソファーに腰を下ろした。
「今度、止めて貰うよう頼みにいこっか」と安心させるように言った。
「君が危険な目に遭うことは無いから、もしそうなったら僕が守ってあげる」
その言葉が何よりも嬉しい。彼の肩に頭をのせて目を閉じるとなぜかほっとする。懐かしい温かい匂いがした。
北川の下の名前を佳代子は知らない。調べようと思えば調べられたのだが、彼と何か月か付き合ってから仕事を辞めて別のところへ行っていた為、分からずじまいだった。結衣に邪魔されるのはもうこりごりだったから聞こうとも思わない。
だから彼女は彼のことを北川くんと呼んでいる。彼はそれに対して何とも思っていないのか、呼び方を変えるようなことは言わなかった。次の休みの日、北川に連れられて佳代子は喫茶店へと向かった。ストーカーの正体がわかるのかと佳代子はワクワクしながらも少し怖いような不思議な気持ちだった。結衣じゃなかったことに少し残念に思いながら、じゃあ誰だろうって不思議に思った。
「もうすぐ来るみたいだよ。この件のことは話していないから、なんも疑いもなく来るともうけど」と北川はスマホを眺めながら言った。念のため、一番端の席に座った佳代子に危害が与えられることの無いよう、彼が隣に座った。ギュッと北川の腕を掴み彼の肩に顔を隠した。
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