乙女ゲームやったことないのに悪役令嬢だそうでスルーした所

宝子

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14 妹可愛さで王子様がハゲる!?

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 ブライアン・グランドンはシスコンである。
 彼は生まれた時から、シスコンだった、と言っても過言ではない。
 何しろ、彼が生まれた時にリヴィが生まれていたはずがない。故に、ブライアンは、先天的にシスコンロリコンだった訳ではなく、後天的、それもかなり自発的な理由で、妹とその仲間を溺愛するようになった。

 現在、恩寵(リード)の(オブ)姫(ミディアム)に選ばれた妹オリヴィアとその従妹アメリアは、それぞれ、ブライアンの左右のソファで、魂が抜けたような顔のまま、撃沈していた。

 なんだかんだで、病み上がりに近い疲労しきった体で一騒ぎした上に、重要すぎる大役を任されたのだ。当然だろう。リヴィはまるで、現代日本で言うなら、ムンクの叫びに近い表情のままソファの背に寄りかかっている。
 メルの方はと言えば、同じく、ソファの肘に倒れ伏しているものの、目はまだ正気で、口の中でいつまでもぶつぶつとメル語を呟いていた。



 ちなみに、ブライアンとリヴィ……オリヴィアの年齢差は二歳。オリヴィアとアメリアが一歳差なので、メルとは三歳離れている事になる。
 ノアが18歳でオリヴィアと同級生、フロリーが17歳で同じくアメリアと同級生である。

 それでも、この五人は、王立学院で同じクラスになった事が一回だけあった。

 クインドルガでは、幼等部ぐらいまでは、遅くて8歳までに入学し、その後はレベルに応じて年齢にはこだわらない、緩い教育を受ける。
 幼い子どもは特に、発達のレベルがそれぞれ違うというポリシーがあるためである。

 中等部ぐらいから、クラスの年齢がそろい始め、高等部になって、やっとクラス全員の年齢がそろうのだ。

 それに、王族が通うにしては割と自由な校風が相まって、クラス間の緩い交流は上下関係なく行われている。そのため、大学部と高等部に別れても、ブライアンはリヴィ達と頻繁に行き来していた。

「大丈夫か? リヴィ」

 それにしたって、やはり、ソファの上でムンク状態になっているリヴィには声をかけてしまう。

 すると、リヴィは、こてん、と頭をひっくり返し、ブライアンの肩の方に甘えてきた。

「お兄ちゃん……」

「なんだ?」

「……メークインで料理作るんだったら、お兄ちゃんは何が一番好き?」

「う~ん……」

 これは相当、重症だ。
 ブライアンはそう判断した。
 リヴィが野菜の事に関して何か寝言を言っているのは、相当に、疲れているか一種のパニック状態かのどちらかである。

 リヴィは、そういう時に限って、本能的にブライアンに甘える癖があった。

(うん、俺の妹が一番可愛い)

 それはそれとして、ブライアンは本当にそう思っていた。



 妹可愛さに目を細めているブライアン。

 その妹可愛さを、愛でているのがブライアンの父親のジェイムズである。

 グランドン公爵家の特徴である、光沢の美しい黒髪を、軽く指で撫でつけながら、ジェイムズは嫡男であるブライアンに向かった。

「ブライアン、お前、勉強の進み具合はどうだ?」

 肩にじゃれついているリヴィを甘やかしているブライアンに、ジェイムズはそう尋ねた。

「はい、父上」

 ブライアンは即座に素直に顔を上げた。

「大学の勉強は、霊素の3科目を終えて、今、鉱石と植物による実験に入って来たところです」

 リヴィとメルは即座に反応した。やはり、大学まで行くと、霊素の研究が出来るらしい。しかし、タイミングを外した事に、もうその科目は終わっていて、兄は違う研究に入っているようだった。

「そうか。それは父さんもやったんだよ。楽しかったなあ」
 ジェイムズは、思い出を懐かしむように目を細め、息子が今その実験で苦労しているところを想像したのか、おかしそうに笑った。

「それで、成績はどうなんだ」

「えっと……まずまずですかね」
「正直に答えなさい」
「AAです……」
「Sは取り逃がしたか!」

 ジェイムズは軽く唸った。大ざっぱにS、A、B、Cのランク内で成績は評価される。Aの上がAAで、次がSであるから、それでも十分な成績と言えよう。ちなみに、もっとも人数が多く平均的なランクがBである。

 だが、息子に期待している父親としては、ここはなんとしてもSを取ってほしいようだった。

「後期は必ず、SかSSを取って見せますから」
 その空気を察知して、ブライアンは笑顔できっぱりそう言った。

「そうだな。期待しているぞ。それじゃ、勉強が立て込んでいて、辛いところだろうが、私の息子に頼みがある」
「はい」

 温厚な父の声に温和に見えるブライアンは素直に答えた。


「ブライアン、リヴィとメルが、無事に、恩寵(リード)の(オブ)姫(ミディアム)の舞を終えるまで、お前が監督してやってくれないか?」

「え--」

 これには、いつも、如才ない返事をするブライアンも、一瞬、戸惑ったようだった。

「どうも、最近、お前の妹達は、疲れが出ているようだ。長兄であるお前が、色々と補佐して、管理監督してやれば、安心するだろう。どうだ?」

(なるほど)

 ブライアンは、ジェイムズの言葉の裏を読み取って、そっと心の中で深呼吸を繰り返した。

 要するに、一種の、父親から息子への人材テストだろう。

 ブライアンはいずれ、公爵家としてグランドン一族を導いていく立場にある。ここで、妹と従妹を、語弊はあるが無事に管理して、見事に収穫祭で巫女役を勤め上げさせることが出来るかどうか、問いかけているのだ。

 ジェイムズとて、ブライアンがリヴィを溺愛していることも、メルに一目置いていることも、理解している。そこでこのハードスケジュールだ。リヴィ達の反発や疲労も覚悟の上で、指導役をしなければならない。

(心を鬼にしてかかれよ、ブライアン)

 父親らしくジェイムズが何も言わずに微笑みかけると、ブライアンは黙って頷いた。いつもの温和な笑みは流石に消えている。

「分かりました。父上。結果を出して見せます」

 その後、ジェイムズは娘二人に向き直った。

「お前達も分かっていると思うが、いずれブライアンは俺の跡を継いで、グランドン一族を率いる男だ。その能力を磨くために、お前達も協力すること。遊んだり、バカ話ばかりしているんじゃないぞ」

 メルのメル語の事をどう思っているのか、ジェイムズがそう言った。やや頭ごなしな言い方になったのは、娘達にしっかりして欲しかったからだろう。

「そんなこと言ったって」

 リヴィは、しかし、口答えの一つもしたくなる。
 なんでここでこんな仕事が増えてしまったのか、分からない。
 まあ、イザベラ姫の急な嫁入りが決まった事は、本人が幸せになって欲しいと思うけれど。

「文句はやることをやってから言いなさい。責任ある仕事を出来るようになるのは、グランドン一族として当然の事だ。そして、ブライアンに、それを教えられるリーダーになって欲しいと、父さんは言っているんだよ。リヴィは兄さんに協力したくないのか?」

 ジェイムズにそう言われてしまったら、リヴィだって、反論しようがない。
 減らず口を叩いたら無敵のメルも、ここは押し黙って、不承不承頷くしかなかった。

 それに、そもそも、メルは、「小説家になりたいなら何事も経験よね」という頭が基本的にあるため、何事にも熱意を持って取り組む癖がある。

「ありがとうございます、父上」

 俺なんかに……とまでは言わなかったが、ブライアンも、頬の辺りが緊張に引きつっている。
 しかし、前面に出す笑顔を崩す気配はなかった。

(ああ……日本のパパが、教頭から夜中に不意打ちの電話を受けた時の笑顔に似てるわ……電話口の声も顔も、完璧な笑顔なんだけど、何かが違う、違うのよ!)
 ちなみにメルの現代日本での父親は高校の古典と漢文を受け持っている教員である。趣味は現代日本文学を読みあさること。そして母親は在宅のイラストレーターの重度の漫画オタク。組み合わさった山口彩芽は立派な小説家志望になってしまった。

 それはさておき、教頭の抜き打ち電話に2~30分つきあった後に、「母さん!熱燗持って来てくれ!」とややとんがった声で呼び出して、母親相手に何やら大人の話し合いをするコースの時の、パパの笑顔そっくりの笑顔を、大学生のブライアンが浮かべている。

(父子関係でなんでそんな笑顔が出てくるのかしらねえ……)
 メルは前から、ブライアンのそういう反応が不思議でならなかった。

 それはメルも知らない、ブライアンと両親だけが知っているある出来事が関係していた。

 それは、この場で、ジェイムズが、喜び勇んで(いるフリをしてでも)、恩寵(リード)の(オブ)姫(ミディアム)に参加させ、見事成功させなくてはいけない事情である。

 ゲーム補正と関係なしに、このクインドルガではクインドルガの事情があった。

 リヴィが、まだ幼等部に上がる前、そしてボートの事故を起こす前の出来事である。

 実は、ドラモンド王家とグランドン一族の繫がりを万全な物にするために、一度はノアとリヴィの縁談が持ち上がった事があるのである。

 持ち上がった程度の事で確定ではなかったが、幼いブライアンにとっては非常にショックな出来事であった。生まれつきリヴィとブライアンは仲が良く、持って生まれた間抜けな笑顔に魅了されたのか、ブライアンは基本的にリヴィの側にくっついているお兄ちゃんだったのである。

 そこでいきなり横から、「リヴィはノアのところにお嫁に行くかもしれない」と聞かされたものだから、幼いブライアンはそれを拡大解釈起こしてしまった。

 リヴィを取られる→ノアが取っていく→ノアが敵!

 そんな幼稚な思い込みと判断で、何をやったかというと、その縁談を確定するかどうか、ノアとリヴィが顔見せする席で、魔力発動を行った。
 そもそもブライアンは元々魔力に関してだけではなく全般的に英才教育を受けていたため、大人の目を盗んでちょちょいとやるぐらい朝飯前だったのである。そして大人達はまさか子どもがそんなことをするなんて思ってない。

 顔見せの席で、リヴィに挨拶するために、優雅に御辞儀をしたノアの頭がそのまま上がらなくなるように、風の呪文で押さえつけた。そのまま、ノアの頭を押し出して、ドアの方に押しのけるつもりだった。
 一分たってもノアの頭が上がらない。
 二分たってもノアの頭が上がらない。

 何だこれ?

 と周囲が思った途端に、ノアの魔力が暴発。
 幼いながらに、建国の時代から伝わるドラモンド特権高魔力をフルパワーで出力して、ブライアンの空気圧力呪文を吹っ飛ばし、ついでに周囲のテーブルも椅子も吹っ飛ばし、ご婦人達のスカートが酷い事になったついでに、リヴィが反動でひっくりこけた。

 愕然とするブライアンに、ノアは天使の笑顔で一言。

「僕の頭がこの歳でハゲたら君のせいだよ?」



 しっかり魔力探知能力も発達していたノアであった。
 ここで、ブライアンは、グランドン一族の嫡男としてはトップでも、ドラモンド王家はまた別の世界で、そこでブイブイ言わせる存在が誰であるのか知ったのである。

 回りくどい言い方を省くならば、「上には上がいる」と思い知らされてトラウマを負った。

 しかし、同時に、ブライアンにしてみれば恐怖である。彼にとって一番可愛い妹が、こんなバケモノに取られてしまうかもしれないと思ったのだ。結果的に縁談は、色々あって取り消されたが、そのときから、ブライアンはリヴィに対する偏愛がいっそう酷くなったのであった。

 ついでに、「上役」と認識した相手には、妙に曖昧かつ裏表がある態度を取るようになったのであった……。

(ちなみに周辺には子どものイタズラとご愛敬ですまされたが、公爵である父親からは大目玉を食らったのは当然の事である)
(リヴィに至っては、記憶にすら残っていない模様。恐らく、子ども過ぎたために縁談だと気付いていない上、何もないところで転ぶのはいつものことだったので、最初っからそんな話があったことに気付いてない可能性すらある)


 メルがその話を知らないのは、当たり前だが、こんな将来の公爵の恥になる話、同じ一族の間でも伏せられる事になってしまったからだ。

 そういう訳で、メルから見ると、ブライアンは時として行き過ぎなぐらいリヴィを可愛がっているが、能力も高いし良い兄であることは間違いないので、好感度は高かった。なんにせよ、ゲーム補正を打ち砕くためにも、ブライアンが良き理解者でいてくれるに越した事はない。

 ブライアンの方も、リヴィのマイペース過ぎる性格は気になっているため、メルが学校の勉強やら人付きあいやらに目を配ってくれる件に関しては、感謝もしていたし、肉親に対する愛情もあった。

 ブライアンは生粋のクインドルガ人で公爵家嫡男。ゲームの事など知るよしもない。
 そのため、リヴィや顔がケバケバしいこと、メルはこの時代のクインドルガ女性としては異色なぐらい気が強すぎる事で、周囲から悲しい誤解を受けているとしか思えない。そうなると、元から妹が好き過ぎる兄としては、自分が保護者の一人に回らなければならないと信じていた。

 リヴィにしてみれば、生まれつき、お兄ちゃんがずっと側にいてくれたものだから、元が天然気味の性格であるから、すっかり懐いて、離れなくなってしまった。

 だから今回も、当然ながら、ジェイムズに文句を言うには言うんだが、ブライアンに関してはおとがめナシである。

「お兄ちゃん。ありがとう。サポートしてくれるなら、やっぱりお兄ちゃんが一番いいし、私も、変なところで転んだり、ダンスのステップ間違えないように、頑張るね」

「そうだね、リヴィ」

「ダンスのステップ覚えられるように、協力してね」

「そうだね、リヴィ。ちょうど、男子と女子だしね。一緒にやろう」

「恩寵(リード)の(オブ)姫(ミディアム)の勉強もしなきゃいけないから、大学部の図書館に行く時はつきあってね」

「そうだね、リヴィ、大学部に一人で入っていく事は出来ないしね」

「それからお兄ちゃん、私も頑張るから、来年の畑には収穫祭の麦と同じ麦……」

「待ちなさい」

 妹の思考を読んで、ブライアンは微笑んだ。

「リヴィ、収穫祭に引っかけて、来年の畑仕事の予定を立てた上に家族を巻き込みかけるのは程ほどにしなさい」

 笑顔でブライアンに押し切られてリヴィは引きつった笑いを浮かべ、何も言わなかった。

 ブライアンは、メルの方に向き直った。

「この調子だけれど、メル。リヴィ、最近、メルにも何か甘えた事を言っていないか?」

「私には甘えてはいないんだけれど、ちょっとね、あの……」

 メルは凄くしょっぱいものを食べたような顔になりながら、平然としているブライアンに向かった。

「あなたがリヴィのステータスageの負担になってる」

「ステ……何?」

「いや、何でもない。こっちの話」

 メルが鍛えても鍛えても、リヴィがオーバーワークになりそうになった途端に、無意識にブライアンを頼ってしまうため、本人の能力が上がりきらない事があるのだ。

(ブライ兄が加わってくれるなら、収穫祭の準備はある程度任せてOKな男だし、仕事の分担は出来るはず。すると、リヴィの学業の方面と、農園ゲームの方をどうするかって事なんだけど、えーとこれは、いっそのこと霊素研究の事もブライ兄に相談しちゃってもいいところかなあ。私達が勝手にやってることだし、場合によっては王室の問題に越境するなって公爵に怒られちゃうかもしれないしさあ)

 今まで、ブライアンや公爵家夫婦に頼らなかったのは、ピートのブチギレを見て、権威に勝手に近づいて、王女の魔力をいじり回す事によって、どんな問題が起こるか分からないということがあった。
 それは横に置いておいても、大聖堂をぶっ飛ばす勢いのフロリーストームを見てしまったら、怒られようがなんだろうが、王家を補佐するグランドン一族としてやることはやってしまいたいのだが。

「メル」
 すると、ブライアンが、メルの眉間の皺を軽く突いて、皺を打ち消してしまった。

「メルは顔は可愛いんだから、綺麗な化粧が映えるように、顔に陰りを作らない方がいい。すっぴんでも可愛いけどね」

 王立学院では、高等部ぐらいから、女子は化粧を覚えるようになる。
 それを分かっていた上で、ブライアンはそう言った。

(……流石に、貴族の水で磨かれてきた男は違うわあ……)

 元が乙女ゲームにきゃあきゃあ言う性質のメルは思わず顔が赤くなってしまうのを隠せなかった。

「いつも忙しそうにしているけれど、大丈夫か?」
 ブライアンは、メルの性格の事を考えながらそう言った。

「色々と予定がこみいっていて、……後で、相談することもあるんだけど、いい?」

「収穫祭と恩寵の姫に関する事なら、構わない。後は、メルも、自分の家でユーニス叔母さん達と話す事は話すんだぞ?」

 ブライアンは軽くたしなめた。
 確かに、元からリヴィとメルは姉妹のように仲が良いのだが、いきなり両親の許可も取らずに宿泊を申し出るのは行き過ぎだろう。

 そのことに気がついて、メルははにかんだように笑った。

「うん、分かったわ。そのかわり、相談に乗って貰った分は、私とリヴィで、やり抜いて見せるから! 伯父様にも、ブライ兄にも、任せて良かったって言って貰うわよ!」

 燃える赤毛同様、収穫祭に向かって闘志を燃え滾らせるメルであった。
 実に彼女らしい。

 その脇で、燃え上がるメルを止められないもんだから、軽く気が遠くなっている様子のリヴィに、ブライアンは心の中でささやいた。

(どんな麦に煩悩しようと、来年の畑の事を妄想していたら、誰も笑えないから)

 ブライアンは、頬を紅潮させて燃えるメルと、軽く口からエクトプラズムを吐いているリヴィとの間で目をさまよわせた。

 思えば色々な事があったものだ。ノアとの婚約事件の事も、ブライアンは覚えている。

 その上で、畑で子どものやらかす失敗を一通りやって魔族に笑われていた事や、学力テストの前の晩に魔力栄養剤を飲みながら完徹しようとしてノートに突っ伏し栄養剤が頬にこびりついていた朝とか、本当に色々あったものだ。
 ステータスageだって勿論順調だった訳ではなく、メルがやっぱり一通りの無茶をやるものだから二人して公爵に怒られて、そのついでに長男のお前が何してるんだと怒られて、巻き添えらしい巻き添えは全部喰ってしまったなあ。

 それでもどうしても、ブライアンは、リヴィとメルの事が可愛いと思うのだった。

 そんな調子で微笑んでいるブライアンに対して、ジェイムズは内心吐息をついた。

(ブライ、お前、あのな。……公爵家嫡男のお前の最優先課題は、婚約者を見つけてくる事なんだが、分かっているのか? 嫡男に子どもがいなかったら、俺が一番困るんだが)

「ノアとフロリーの婚約発表」という刺激的な話題に対して、自分の息子と娘と姪はこれで大丈夫なんだろうか……????

(リヴィはこの際、半分諦めておくが、ブライアン!! お前だお前!! 次の収穫祭のイベントとパーティで、適当な嫁を捕まえて来い!! いいか、この場合の適当とは、公爵家の花嫁として相応しいと言う意味だぞ!?)

 そう思って必死に目配せするジェイムズなのだが、ブライアンは、リヴィとメルの二人の頭に片手ずつ置いてにっこり。

「二人とも、可愛い恩寵(リード)の(オブ)姫(ミディアム)になれるように、俺が精一杯教育するから、安心して全力を出すんだぞ?」

 ちなみに、ノアとリヴィの縁談が一度は持ち上がったのが、ブライアンが五歳の時。
 それから、大学生に至るまで、浮いた噂一つないブライアン。

 ジェイムズはツッコミを入れようかどうか迷ったが、ここは黙っておくことにした。

 何はともあれ、リヴィとメルの巫女騒動の監督官は、ブライアンで決定した。

 リヴィは安心しきった表情で、ブライアンを見上げた。それから、メルと、ブライアンの手をぎゅっと握りしめた。何も言わなかったが、一番信頼している人間達に向ける笑顔を、自然体で見せていた。
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