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凱旋
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西の国境、サルザックの戦いを終え、リュウジュ国には束の間の平和が訪れた。
リュウジュを獲らんと虎視眈々狙いを定めて、サルザック峠の麓まで攻め込んだホンビン国をどうにか大河の向こう側へと押し遣る事ができた。
橋を落とし、峠に砦を築き、関所を設け…。
戦勝報告に赴いたディバル大将は16年振りとなる帝都凱旋を果たした事になる。
「もう十分だ、将軍となり、都で国を護れ。」
皇帝であるゼンシは、居並ぶ男たちの先頭に立っている、かつての友ディバルへと告げた。
16年前、まだ即位したばかりで力の弱かったゼンシは、父の腹心達の謀略を見抜き、友を都落から守ることが出来なかった。
ディバルの赴いたサルザックの戦禍は激しさに飲まれてしまい、さらに呼び戻すのに難儀する事になった。
晴れてディバルを呼び戻す事が出来る、積年の想いをようやく告げたはずなのに、肝心のディバルの顔は晴れない。
「いかがした?」
怪訝さを隠さずに問うと、さらにディバルの表情が強張った。
不服か?と問うたが、違うらしい。忠心の想いが薄れたのかとも聞いたが、それも違うとディバルは言った。
「構わない、言いたいことは言え。」
煮え切らない友の態度に、だんだんとゼンシは苛立ってくる。
その気配を察したのか、ディバルはようやく口を開いた。
「…娘がおります故に…。」
その一言で16年前、ディバル失却の遠因となった先読みを思い出したゼンシは、
「まだ気にしているのか、あのような戯れ言、忘れろ。」
と呆れ果てた。
「お待ち下さい!陛下!」
話に割って入ってきた宰相の言葉を
「待たん!」
と一言で切り捨てる。
全く持ってけしからん、たかが先読みではないか!
「国を割れるというのならば、やらせてみれば良い!たかが娘独りで、何が出来るというのだ。」
「陛下!」
宰相の言葉は気迫を孕んだ。
「全く爺は煩くて敵わん。」
「例え戯言でも、陛下のお立場では困ります。」
爺と呼ばれた宰相はチラリと居並ぶ男達の方へ視線を流した。
さすがにタイミングが悪かった事に気付いたのか、ゼンシの方が詫びを入れる。
「…悪かった、口が滑った。
しかし爺、フェイもジンシも然様な愚か者ではない。2人の絆さえあれば間違いは起こるまい。」
しかし宰相の反対は止まらない。
「反分子に担ぎ上げられでもすれば、困るのはディバル殿です。」
「あー、はいはい。」
ゼンシはすっかり皇帝の皮を脱ぎ捨て、幼い子のように不貞腐れる。
父の腹心であった爺を宰相に引き上げたのには後悔は無い。
しかし爺はちと占術にのめり込み過ぎるきらいがあるのが、唯一と言って良い不満である。
「…ディバルは都に置く。そこは動かん。
後は爺が策を練れ。これ以上はもう聞かん!
ティバル、明日より4の刻に我の元へ馳せ参じよ。いいな。」
返事を聞かずに立ち上がる。
慌てて宰相はこの場を納めに掛かる。
「リュウジュの未来に幸いあらんことを!
これからも国の為に忠義を持って職務に当たれ!」
「はっ!」
「リュウジュの為に!」
ディバルはとうとう最後まで自分の意見を言わないでいた。
リュウジュを獲らんと虎視眈々狙いを定めて、サルザック峠の麓まで攻め込んだホンビン国をどうにか大河の向こう側へと押し遣る事ができた。
橋を落とし、峠に砦を築き、関所を設け…。
戦勝報告に赴いたディバル大将は16年振りとなる帝都凱旋を果たした事になる。
「もう十分だ、将軍となり、都で国を護れ。」
皇帝であるゼンシは、居並ぶ男たちの先頭に立っている、かつての友ディバルへと告げた。
16年前、まだ即位したばかりで力の弱かったゼンシは、父の腹心達の謀略を見抜き、友を都落から守ることが出来なかった。
ディバルの赴いたサルザックの戦禍は激しさに飲まれてしまい、さらに呼び戻すのに難儀する事になった。
晴れてディバルを呼び戻す事が出来る、積年の想いをようやく告げたはずなのに、肝心のディバルの顔は晴れない。
「いかがした?」
怪訝さを隠さずに問うと、さらにディバルの表情が強張った。
不服か?と問うたが、違うらしい。忠心の想いが薄れたのかとも聞いたが、それも違うとディバルは言った。
「構わない、言いたいことは言え。」
煮え切らない友の態度に、だんだんとゼンシは苛立ってくる。
その気配を察したのか、ディバルはようやく口を開いた。
「…娘がおります故に…。」
その一言で16年前、ディバル失却の遠因となった先読みを思い出したゼンシは、
「まだ気にしているのか、あのような戯れ言、忘れろ。」
と呆れ果てた。
「お待ち下さい!陛下!」
話に割って入ってきた宰相の言葉を
「待たん!」
と一言で切り捨てる。
全く持ってけしからん、たかが先読みではないか!
「国を割れるというのならば、やらせてみれば良い!たかが娘独りで、何が出来るというのだ。」
「陛下!」
宰相の言葉は気迫を孕んだ。
「全く爺は煩くて敵わん。」
「例え戯言でも、陛下のお立場では困ります。」
爺と呼ばれた宰相はチラリと居並ぶ男達の方へ視線を流した。
さすがにタイミングが悪かった事に気付いたのか、ゼンシの方が詫びを入れる。
「…悪かった、口が滑った。
しかし爺、フェイもジンシも然様な愚か者ではない。2人の絆さえあれば間違いは起こるまい。」
しかし宰相の反対は止まらない。
「反分子に担ぎ上げられでもすれば、困るのはディバル殿です。」
「あー、はいはい。」
ゼンシはすっかり皇帝の皮を脱ぎ捨て、幼い子のように不貞腐れる。
父の腹心であった爺を宰相に引き上げたのには後悔は無い。
しかし爺はちと占術にのめり込み過ぎるきらいがあるのが、唯一と言って良い不満である。
「…ディバルは都に置く。そこは動かん。
後は爺が策を練れ。これ以上はもう聞かん!
ティバル、明日より4の刻に我の元へ馳せ参じよ。いいな。」
返事を聞かずに立ち上がる。
慌てて宰相はこの場を納めに掛かる。
「リュウジュの未来に幸いあらんことを!
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「はっ!」
「リュウジュの為に!」
ディバルはとうとう最後まで自分の意見を言わないでいた。
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