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鳳の羽を纏う龍
覆面の下
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私とジンシはさっきの部屋に戻った。
「龍の宮じゃないのね。」
「あそこはしばらく無人だったから、すぐには使えなくて。いい機会だから、あそこを改造して帝の宮に変えるつもりだ。」
もう帝の宮は人が暮らす場所ではなくなったと聞いた。
詳しくは教えては貰えないけれど、たくさんの人が亡くなっていた場所だから、と。
あの場所を見たシーフォンはジンシにも将軍にも「見てはならない。」と言ったらしい。
「…見たの?」
「ああ、見るのが義務だと思ったから。」
ジンシがいきなり私を抱きしめた。
「…すまない、すまない。」
…涙声だ。
「何もかも捨ててリーエンと共に生きていこうと思っていた。リーエンさえいればそれでいい、と。」
慰めるつもりで、ジンシの背中を黙って摩る。
「あそこには命だけではなく、死者の尊厳さえも投げ捨てて、帝を守った者達が大勢いた。
皇族として、いいや、人として彼らの思いを切り捨てる事は出来ない。」
…戦場で育った私だから、死者の尊厳のなんたるかは想像がついてしまった。
「リーエン、すまない。
嘘で固められた暮らしにリーエンを巻き込む事になる。しかし、この国を私に託してくれた者達の意思を尊重しなければならない。
そして私はリーエンがいなければ生きていく意味がない。」
すまない、すまないと謝り続けるジンシに、
「ジンシがそう生きたいのならば、そうすれば良いのよ。」
と声をかけた。
「私はそもそもホンでもジンシでも構わなかったのよ。だったらフェイでも同じ事。
あなたがいれば、私はそれでいいの。」
ギュッと忍び泣くジンシの背中を包み込むように、腕に力を込めて抱きついた。
「ね、顔を見せて。」
目覚めてから包帯に包まれた顔しか見ていない。
本当に何もなかったのか、それだけが心配だ。
無言で包帯の結び目に指を掛けた。
ジンシは動かない。
いいとも嫌ともダメとも言わない。
言われない事を都合よく解釈して、結び目を解いて、包帯を外していく。
現れたのは傷一つない、ジンシの顔だった。
…良かったわ。
「火傷の跡が酷いだろう?」
ジンシが真っ赤な瞳を向けて、悪戯な微笑みを見せた。
「…ええ、とっても。酷く醜いわね。」
ジンシの頬に手の平を当てた。
この先、こんなふうに頬を触り、この顔を見れる日はないのかもしれない。
「その顔じゃ誰だかわからないわ。お名前をお聞きしても?」
涙が溢れた。
「…フェイ。リュウジュ国皇太子、鳳の皇子、フェイだ。」
流れ落ちた涙をジンシの指が優しく拭ってくれた。
「リーエン、ずっとそばにいてくれるかい?」
「…もちろんよ。」
迷う事じゃないから。
「私は見た目じゃないの、あなたの心を愛しているわ。」
私達はもう一度見つめ合って、お互いに抱きしめ合った。
「龍の宮じゃないのね。」
「あそこはしばらく無人だったから、すぐには使えなくて。いい機会だから、あそこを改造して帝の宮に変えるつもりだ。」
もう帝の宮は人が暮らす場所ではなくなったと聞いた。
詳しくは教えては貰えないけれど、たくさんの人が亡くなっていた場所だから、と。
あの場所を見たシーフォンはジンシにも将軍にも「見てはならない。」と言ったらしい。
「…見たの?」
「ああ、見るのが義務だと思ったから。」
ジンシがいきなり私を抱きしめた。
「…すまない、すまない。」
…涙声だ。
「何もかも捨ててリーエンと共に生きていこうと思っていた。リーエンさえいればそれでいい、と。」
慰めるつもりで、ジンシの背中を黙って摩る。
「あそこには命だけではなく、死者の尊厳さえも投げ捨てて、帝を守った者達が大勢いた。
皇族として、いいや、人として彼らの思いを切り捨てる事は出来ない。」
…戦場で育った私だから、死者の尊厳のなんたるかは想像がついてしまった。
「リーエン、すまない。
嘘で固められた暮らしにリーエンを巻き込む事になる。しかし、この国を私に託してくれた者達の意思を尊重しなければならない。
そして私はリーエンがいなければ生きていく意味がない。」
すまない、すまないと謝り続けるジンシに、
「ジンシがそう生きたいのならば、そうすれば良いのよ。」
と声をかけた。
「私はそもそもホンでもジンシでも構わなかったのよ。だったらフェイでも同じ事。
あなたがいれば、私はそれでいいの。」
ギュッと忍び泣くジンシの背中を包み込むように、腕に力を込めて抱きついた。
「ね、顔を見せて。」
目覚めてから包帯に包まれた顔しか見ていない。
本当に何もなかったのか、それだけが心配だ。
無言で包帯の結び目に指を掛けた。
ジンシは動かない。
いいとも嫌ともダメとも言わない。
言われない事を都合よく解釈して、結び目を解いて、包帯を外していく。
現れたのは傷一つない、ジンシの顔だった。
…良かったわ。
「火傷の跡が酷いだろう?」
ジンシが真っ赤な瞳を向けて、悪戯な微笑みを見せた。
「…ええ、とっても。酷く醜いわね。」
ジンシの頬に手の平を当てた。
この先、こんなふうに頬を触り、この顔を見れる日はないのかもしれない。
「その顔じゃ誰だかわからないわ。お名前をお聞きしても?」
涙が溢れた。
「…フェイ。リュウジュ国皇太子、鳳の皇子、フェイだ。」
流れ落ちた涙をジンシの指が優しく拭ってくれた。
「リーエン、ずっとそばにいてくれるかい?」
「…もちろんよ。」
迷う事じゃないから。
「私は見た目じゃないの、あなたの心を愛しているわ。」
私達はもう一度見つめ合って、お互いに抱きしめ合った。
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