1 / 78
騙された
しおりを挟む
ニルス国の最北の地、エリールで、染色と織物の「ボガード工房」を営んでいる父ホセと母アイリーンの娘、アイリーン・ボガード。15歳。
苦労の末ようやく形になった新商品の「バーン織」の製造許可とウッドバーン諸島首長連合国への輸出販売許可を申請したところ、直接王様から許可とついでのご褒美を貰えることになったので、貰えるものはもらっておこうと思い、城へとやって来ました。
「ご褒美って何かしら?」
とワクワクしている私とは対照的にエリール領主レイン様のお顔は晴れない。
「行きたくない…、ランスに会うの面倒…。」
とさっきからぶつぶつと独り言を呟いている。
「まだ諦めて無いんですか?もういい加減にして下さい。」
「リーン…。私は城にもランスにも全くいい思い出がない…。」
仮にもご領主様にいい加減にしてなんて立場を考えると普通の領民なら言えない。
けれど、私はレイン様には言えてしまう。
私とレイン様の関係は少し歪だから。
私の産みの母のアイリスは昔レイン様の婚約者だった。
レイン様のお兄様が王妹のフラン王女殿下と婚約中に、流行り病で亡くなってしまったのが躓きの始まりで、母とレイン様の婚約は解消されて、レイン様はフラン王女殿下と結婚した。
前ご領主様はどうしても王族との婚姻をしたかったらしい。
その後しばらくして母も父ホセと結婚。
こちらは恋愛結婚だったと聞いている。
そして直ぐに私が産まれた。
私が産まれて直ぐにレイン様は私を「我が子」だと主張し始める。庶子認定を求めて裁判まで起こした。
もちろん父と母とはこれを否定したけれど、記録上はどちらが父であってもおかしくはないらしい。
母が不義をしたとかそういう訳ではなく、レイン様は「領主の初夜権」というエリール領主が領民を一晩召し上げ純潔を差し出させる権利を手続きを踏んで行使されている。
なんでそんな習慣があるのか!と思わなくはないけれど、領主のお閨の練習の為とか、貧しい子女の救済措置だとか色々大人の都合があるらしい。
理由については父母もレイン様も誰にも言わないから私も知らない。
ただ噂レベルで、レイン様と母についてはかつて婚約していたこともあり、レイン様の横恋慕という見方をされている。
泣く泣く別れた婚約者が他の男と結婚するのが惜しくなったんだろう、って。
おそらくそんな理由では無いんだとは思うんだけど、ぶっちゃけどっちが父なのかはハッキリとは分からない。
ただ父と母が「違う」というのを信じるしかなかった。
私が父似だったらハッキリと結果が出たんだろうけれど、幸か不幸か、私は母に似ていて、髪も目を母と同じ明るい栗渋色で、見た目では判断が出来ていない。
お祖母様はよく「アイリスの子供の頃にそっくり。」とうっとりとした瞳で私の髪をよく撫ででいたし、亡くなる直前になると母と私の区別がつかなくなっていて、「可愛いアイリーンを連れてきて。」と私に願ったりしていた。
結局、裁判はずっと放置されていて、結論は未だ出ていない。
後は私が成人した際にどちらかを選ぶ事になる。もちろん私が選ぶのはボガードにするつもりでいる。
ただそれまでの間は父にもレイン様にも父親として振る舞う権利があるとかないとか、ハッキリ言ってよくわからない。
度々「コンラン伯爵令嬢」として振る舞う事を求められていた。
それに貴族で領主のレイン様に「来い!」と言われたら断れないのが、平民庶民ボガードなのが辛いところ。
この状況を快く思っていない方が何人かいると思われるんだけど、一番不快感を顕して来るのがレイン様の奥方、王妹殿下だったフラン様。
顔を合わせれば罵倒され、時に頬を張られたりした。
夫が昔の婚約者が忘れられず、一夜だけとはいえ召し上げて、子供まで産ませたらそうもなるのかもしれない。
王族のプライドをポッキリと折られて、面子を丸潰れにされて、怒ったフラン様はかれこれ15年、兄王様に泣きついて、領地にも王都のお屋敷にも寄り付かずにお城の離宮に住み着いていらっしゃる。
これから会うランス国王陛下がフラン様の実兄だから、レイン様がお城に来ることも義兄に会う事も面倒なのもよくわかる。
私だって…。
だけど、エリール領での織物生産はガッツリとニルスの国営商会に押さえられているので、商会に申請して許可をもらわないと仕事にならない。
だから今日は我慢するし、我慢してもらうしかない。
さっさと許可状を貰って、ついでにゆっくり王都見物でもして領地に帰りましょう、とレイン様を宥めていた。
しかし、私達に国王陛下から告げられたのはとんでもない命令と、とんでもない褒美だった。
「エリール商会生産のバーン織はニルス国営商会が全量を買い上げる。
レイン伯爵には褒美として兼ねてより訴えのあった、アイリーンを庶子とすること、これを認める。
製造技術者のアイリーン・コンラン伯爵令嬢には我が息子第二王子アリストリアとの婚約の栄誉を授ける。以上だ。
これからもエリールが更なる忠誠を尽くしてくれることを願う。」
ぼっかーん、空いた口が塞がらない。
言いたい事だけ言って、さっさと国王陛下は引っ込んでしまわれて、なす術もなく立ちすくむ私とレイン様だけが謁見室に残された。
待て!少し頭を整理しよう。
望んでいたウッドバーンへの輸出は認められず、15年も放っておかれた裁判をいきなり勝手に決められて、私の婚約まで決められた?
これが褒美?これって褒美になるの?
ビックリしてレイン様を見やると、レイン様も驚いたようで呆けている。
「レイン様、私どうなるんですか…ね?」
「…わからない。」
そんな無責任な!
「そうだ!まずモーリに相談しよう!」
良いこと思いついたみたいな顔をするんじゃない!
息子に政略を相談する親がどこにいる!
そこにつつつーとやってきてのはルカリオ宰相閣下。
切れ物と噂の宰相閣下は、きっとこの筋書きの全てを取り仕切ったに違いない。
「さあ、アイリーン様行きますよ。」
薄笑いを浮かべながらニコニコと私の腕を取る。
「えっ!待って!行くってどこに?」
慌てて掴まれた腕を取り戻そうとするけれど、既にガッチリと掴まれてしまって離してくれない。
「どこって、王子宮ですよ。だってアイリーン様はアリストリア殿下の婚約者になったのですから。」
「えっ、ヤダ!帰りますよ、私。」
「そうだルカリオ宰相、とりあえずリーンは連れて帰る。」
その瞬間、宰相閣下の顔は氷点下まで冷たくなった。
「ダメです。王命に逆らえば謀反の疑い有りとして捕縛しますよ。
レインとはこれからの事を話し合わなければなりません。
とりあえずその間だけでも、アリストリア殿下との顔合わせを済ませてしまいましょう。
あっ、それからレイン、帰るならアイリーン嬢ではなく、奥方を連れて帰ってくださらないと困るんですけどね。
王妹とはいえフラン様にいつまでも離宮を使わせる訳にはいかないんですから、連れ帰るならフラン様にして下さい。」
あっ、それ狡い!
レイン様に奥方のフラン様の話をしたら…。
「あっ、用事思い出した。俺は帰る!じゃ、リーン、とりあえずモーリに相談してからね、話し合いはモーリに任せることにするから。
では、私はこれで失礼する。」
これ以上ここには居たくないというオーラを発してレイン様はそそくさと謁見室から出ていってしまう。
面倒なことが苦手なレイン様はさっさと帰ってしまったじゃないか!
じーっとルカリオ宰相閣下を睨みつける。しかし宰相閣下は私の視線ごときには無反応だった。
「全くレインは相変わらずですね。こんなに簡単に大切な娘を放ってしまうなんて!
ほら、アイリーン様もう行きますよ。諦めて大人しく付いてきてくださいね。
ご自分で歩きますか?それとも兵士に抱えられていきますか?首に縄を付けてでも王子宮に行ってもらわないとならないんですから、早く決めちゃって下さい。」
その選択も狡い!
結局どれを選んでも行き先はひとつじゃないか!
「いやーーーー!」
しかし抗議の声も虚しく、私は王子宮へと連れて行かれてしまいました。
苦労の末ようやく形になった新商品の「バーン織」の製造許可とウッドバーン諸島首長連合国への輸出販売許可を申請したところ、直接王様から許可とついでのご褒美を貰えることになったので、貰えるものはもらっておこうと思い、城へとやって来ました。
「ご褒美って何かしら?」
とワクワクしている私とは対照的にエリール領主レイン様のお顔は晴れない。
「行きたくない…、ランスに会うの面倒…。」
とさっきからぶつぶつと独り言を呟いている。
「まだ諦めて無いんですか?もういい加減にして下さい。」
「リーン…。私は城にもランスにも全くいい思い出がない…。」
仮にもご領主様にいい加減にしてなんて立場を考えると普通の領民なら言えない。
けれど、私はレイン様には言えてしまう。
私とレイン様の関係は少し歪だから。
私の産みの母のアイリスは昔レイン様の婚約者だった。
レイン様のお兄様が王妹のフラン王女殿下と婚約中に、流行り病で亡くなってしまったのが躓きの始まりで、母とレイン様の婚約は解消されて、レイン様はフラン王女殿下と結婚した。
前ご領主様はどうしても王族との婚姻をしたかったらしい。
その後しばらくして母も父ホセと結婚。
こちらは恋愛結婚だったと聞いている。
そして直ぐに私が産まれた。
私が産まれて直ぐにレイン様は私を「我が子」だと主張し始める。庶子認定を求めて裁判まで起こした。
もちろん父と母とはこれを否定したけれど、記録上はどちらが父であってもおかしくはないらしい。
母が不義をしたとかそういう訳ではなく、レイン様は「領主の初夜権」というエリール領主が領民を一晩召し上げ純潔を差し出させる権利を手続きを踏んで行使されている。
なんでそんな習慣があるのか!と思わなくはないけれど、領主のお閨の練習の為とか、貧しい子女の救済措置だとか色々大人の都合があるらしい。
理由については父母もレイン様も誰にも言わないから私も知らない。
ただ噂レベルで、レイン様と母についてはかつて婚約していたこともあり、レイン様の横恋慕という見方をされている。
泣く泣く別れた婚約者が他の男と結婚するのが惜しくなったんだろう、って。
おそらくそんな理由では無いんだとは思うんだけど、ぶっちゃけどっちが父なのかはハッキリとは分からない。
ただ父と母が「違う」というのを信じるしかなかった。
私が父似だったらハッキリと結果が出たんだろうけれど、幸か不幸か、私は母に似ていて、髪も目を母と同じ明るい栗渋色で、見た目では判断が出来ていない。
お祖母様はよく「アイリスの子供の頃にそっくり。」とうっとりとした瞳で私の髪をよく撫ででいたし、亡くなる直前になると母と私の区別がつかなくなっていて、「可愛いアイリーンを連れてきて。」と私に願ったりしていた。
結局、裁判はずっと放置されていて、結論は未だ出ていない。
後は私が成人した際にどちらかを選ぶ事になる。もちろん私が選ぶのはボガードにするつもりでいる。
ただそれまでの間は父にもレイン様にも父親として振る舞う権利があるとかないとか、ハッキリ言ってよくわからない。
度々「コンラン伯爵令嬢」として振る舞う事を求められていた。
それに貴族で領主のレイン様に「来い!」と言われたら断れないのが、平民庶民ボガードなのが辛いところ。
この状況を快く思っていない方が何人かいると思われるんだけど、一番不快感を顕して来るのがレイン様の奥方、王妹殿下だったフラン様。
顔を合わせれば罵倒され、時に頬を張られたりした。
夫が昔の婚約者が忘れられず、一夜だけとはいえ召し上げて、子供まで産ませたらそうもなるのかもしれない。
王族のプライドをポッキリと折られて、面子を丸潰れにされて、怒ったフラン様はかれこれ15年、兄王様に泣きついて、領地にも王都のお屋敷にも寄り付かずにお城の離宮に住み着いていらっしゃる。
これから会うランス国王陛下がフラン様の実兄だから、レイン様がお城に来ることも義兄に会う事も面倒なのもよくわかる。
私だって…。
だけど、エリール領での織物生産はガッツリとニルスの国営商会に押さえられているので、商会に申請して許可をもらわないと仕事にならない。
だから今日は我慢するし、我慢してもらうしかない。
さっさと許可状を貰って、ついでにゆっくり王都見物でもして領地に帰りましょう、とレイン様を宥めていた。
しかし、私達に国王陛下から告げられたのはとんでもない命令と、とんでもない褒美だった。
「エリール商会生産のバーン織はニルス国営商会が全量を買い上げる。
レイン伯爵には褒美として兼ねてより訴えのあった、アイリーンを庶子とすること、これを認める。
製造技術者のアイリーン・コンラン伯爵令嬢には我が息子第二王子アリストリアとの婚約の栄誉を授ける。以上だ。
これからもエリールが更なる忠誠を尽くしてくれることを願う。」
ぼっかーん、空いた口が塞がらない。
言いたい事だけ言って、さっさと国王陛下は引っ込んでしまわれて、なす術もなく立ちすくむ私とレイン様だけが謁見室に残された。
待て!少し頭を整理しよう。
望んでいたウッドバーンへの輸出は認められず、15年も放っておかれた裁判をいきなり勝手に決められて、私の婚約まで決められた?
これが褒美?これって褒美になるの?
ビックリしてレイン様を見やると、レイン様も驚いたようで呆けている。
「レイン様、私どうなるんですか…ね?」
「…わからない。」
そんな無責任な!
「そうだ!まずモーリに相談しよう!」
良いこと思いついたみたいな顔をするんじゃない!
息子に政略を相談する親がどこにいる!
そこにつつつーとやってきてのはルカリオ宰相閣下。
切れ物と噂の宰相閣下は、きっとこの筋書きの全てを取り仕切ったに違いない。
「さあ、アイリーン様行きますよ。」
薄笑いを浮かべながらニコニコと私の腕を取る。
「えっ!待って!行くってどこに?」
慌てて掴まれた腕を取り戻そうとするけれど、既にガッチリと掴まれてしまって離してくれない。
「どこって、王子宮ですよ。だってアイリーン様はアリストリア殿下の婚約者になったのですから。」
「えっ、ヤダ!帰りますよ、私。」
「そうだルカリオ宰相、とりあえずリーンは連れて帰る。」
その瞬間、宰相閣下の顔は氷点下まで冷たくなった。
「ダメです。王命に逆らえば謀反の疑い有りとして捕縛しますよ。
レインとはこれからの事を話し合わなければなりません。
とりあえずその間だけでも、アリストリア殿下との顔合わせを済ませてしまいましょう。
あっ、それからレイン、帰るならアイリーン嬢ではなく、奥方を連れて帰ってくださらないと困るんですけどね。
王妹とはいえフラン様にいつまでも離宮を使わせる訳にはいかないんですから、連れ帰るならフラン様にして下さい。」
あっ、それ狡い!
レイン様に奥方のフラン様の話をしたら…。
「あっ、用事思い出した。俺は帰る!じゃ、リーン、とりあえずモーリに相談してからね、話し合いはモーリに任せることにするから。
では、私はこれで失礼する。」
これ以上ここには居たくないというオーラを発してレイン様はそそくさと謁見室から出ていってしまう。
面倒なことが苦手なレイン様はさっさと帰ってしまったじゃないか!
じーっとルカリオ宰相閣下を睨みつける。しかし宰相閣下は私の視線ごときには無反応だった。
「全くレインは相変わらずですね。こんなに簡単に大切な娘を放ってしまうなんて!
ほら、アイリーン様もう行きますよ。諦めて大人しく付いてきてくださいね。
ご自分で歩きますか?それとも兵士に抱えられていきますか?首に縄を付けてでも王子宮に行ってもらわないとならないんですから、早く決めちゃって下さい。」
その選択も狡い!
結局どれを選んでも行き先はひとつじゃないか!
「いやーーーー!」
しかし抗議の声も虚しく、私は王子宮へと連れて行かれてしまいました。
0
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました
iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。
両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。
両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。
しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。
魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。
自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。
一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。
初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。
恋人になりたいが、年上で雇い主。
もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。
そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。
そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。
レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか?
両片思いのすれ違いのお話です。
出来レースだった王太子妃選に落選した公爵令嬢 役立たずと言われ家を飛び出しました でもあれ? 意外に外の世界は快適です
流空サキ
恋愛
王太子妃に選ばれるのは公爵令嬢であるエステルのはずだった。結果のわかっている出来レースの王太子妃選。けれど結果はまさかの敗北。
父からは勘当され、エステルは家を飛び出した。頼ったのは屋敷を出入りする商人のクレト・ロエラだった。
無一文のエステルはクレトの勧めるままに彼の邸で暮らし始める。それまでほとんど外に出たことのなかったエステルが初めて目にする外の世界。クレトのもとで仕事をしながら過ごすうち、恩人だった彼のことが次第に気になりはじめて……。
純真な公爵令嬢と、ある秘密を持つ商人との恋愛譚。
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
学園では婚約者に冷遇されていますが、有能なので全く気になりません。〜学園でお山の大将されてても、王宮では私の方が有能ですから〜
織り子
恋愛
王都カラディナにある国立魔術学園では、満十六歳の生徒たちの社交界デビューを兼ねた盛大なパーティーが開かれていた。
侯爵令嬢タレイア・オルトランは、婚約者である第二王子アスラン・オグセリアの迎えを待つも、結局ひとりで会場へ向かうことになる。
学園では身分の差がないとはいえ、アスランが公然とタレイアを侮辱し続けてきたことで、彼女は生徒たちから冷笑と蔑視の的となっていた。しかしタレイアは、王城で政務を担ってきた聡明さと矜持を失わず、毅然と振る舞う。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる