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フラン様との遭遇
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あれからまた数日が過ぎて、話し合ったわけではないのに、あの時の事を無かった事のように消化して、お互いのぎこちなさが少し解れた頃。
「リーン、今日は何か違う事をしないか?たまには外に出よう、どこか行きたいところや何か見たいものはあるかい?」
と殿下が言ってくれた。
少し外に出たいかな。散歩が良いかも。そう思って考えた。そうね、見たいもの…ねぇ。
そういえば、あれはどこにあるのかしら?王子宮は隅々まで探したけれど見つけられなかった。
「前国王陛下のご成婚の時にエリールから贈られたタペストリーが見たいです。」
あれはひいお祖母様が作ったと聞いている。タペストリーを見た外国の国賓の皆様達がものすごく欲しがったって。
それからエリール織に芸術的価値がついて、いわばエリール織の始まりの1枚になったと母から聞いている。
タペストリーの話をする人が皆、うっとりとした表情をするのがとっても不思議だった。
アレンさんがすかさず
「すぐにお調べします。」と席を外した。
「そんなに凄いものなのか?」
「見たことがないのでわかりませんが、エリールでは伝説の作品です。」
「そうか。楽しみだなぁ。よし、是非行ってみよう。」
アレンさんが戻ってきて、東の離宮にあると教えてくれた。
「東離宮か…。なるほど。」
アリ殿下が何故か納得している。
「楽しみにしておくといい、行けば分かるから。」
と勿体ぶる。
ならば早速行こうとすると、
「お待ち下さい。急に行かれたら離宮の侍従達が慌てます。先触れを出しますので少しお待ち下さい。」
カレンさんが慌てて止めた。
それもそうかとしばらく待つ事にして、万事整ったという知らせが入り、私達は離宮に向けて歩き始めた。
私達…殿下と私、ペニーさんとアレンさん、殿下近衛のマクシマスさん。
殿下とちょっと外に出るだけで、ご一行様になるんだなぁ、と今までの暮らしとの違いを感じてしまう。
殿下は歩きながらお城の中のことについて色々話をしてくれた。
置いてある像の事、植えられている植物のこと、小さい頃の思い出…。
私はそれを聞きながら、笑ったり驚いたりする。
(なんか本当に婚約者になったらこんな感じになるのかもしれない…。)
そう考えてしまう。
きっといつか本当の婚約者やお妃様がこうやって殿下の隣を歩くんだろう。
庭の通路を通り抜けようとしたとき、向こうから女性が数人の御付きを付けて歩いてくる。
(あ、嫌だな…。)遠目からでもわかってしまった。うちのひとりの女性とは面識がある。コンラン伯爵夫人、フラン様。今は私の養母でもあるのか…。
私の腰をアリ殿下がギュッと抱き寄せた。
「すまぬ、逃げられぬ。従いているのは侍従ではない、子爵夫人だ。」
そっと囁かれた。
王子であるアリ殿下が臣下を見て避ける訳にはいかない。仕方ない。
罵倒されるか、扇で叩かれるくらいはあるかも知れないな…と覚悟を決める。
アリ殿下と私は真っ直ぐに歩いた。
そろそろフラン様に道を譲らなければならないと思ったが、アリ殿下は進路を変えようとはしない。
それもそうか。王子殿下が伯爵夫人に道を譲る必要は少なくてもお城の中では無いのだから。
強く腰を抱き抱えられたまま歩みは止まらない。
またフラン様の一行も同じく真っ直ぐ歩いてくる。
フラン様はキッとこちらを睨みつけているが、隣のご婦人と周りのお付きの方達の表情は固い。
まさにぶつかろうかという寸前ですアリ殿下はやっと止まり、フラン様も歩みを止めた。
「これはこれは。アリではないか。久しぶりよの。健勝のようで何よりだ。」
完全に作りきった笑顔と機嫌の良さが伺える、聞き様によっては媚びているような甘い声でフラン様は話しかけて来た。
「これはこれは。コンラン伯爵夫人。ごきげんよう。」媚びるような親しげなフラン様とは対照的に殿下は冷たい声だ。
…フラン様はアリと殿下を呼んだ。叔母としての立場をとった。一方で殿下は伯爵夫人と呼びかけた。つまり格下の臣民としての扱いである。
王妹殿下、叔母上、婚約者の義母、など格上にまたは相手に謙譲することもできるのにしない。
どうやらこれは厄介な事になりそうだ。
「アリよ、水くさい他人行儀な挨拶なぞ要らぬ。昔のように叔母上と甘えられてはいかがじゃ?」
…伯爵夫人はケンカを買った。あくまで王妹、王子の叔母として振る舞うおつもりのようだ。
2人の視線が絡み合う。お互いに冷たい氷のような微笑みを浮かべて。
怖くなって殿下の胸に顔を埋めてしまった。見れない、見たくない。
「父からレイン殿が未だ登城叶わずと聞いておるが、伯爵夫人が先触れとは。国王陛下もさぞやお喜びになるだろう。」
うわっ。
立てるべき夫が城へ顔を見せないのに、妻がのうのうと仲間を侍らせて城内を散策してることをやんわりと嗜めている。先触れは家人の役割だ。伯爵夫人とはいえ伯爵家の家人に過ぎないと侮辱しつつ、いつまでも城に居座っていないで伯爵を連れて来い!って言っているに等しい。
恐る恐る顔をあげると、伯爵夫人の顔が怒りで歪んでいた。
周りの人達もハラハラしているのがわかる。王子殿下の機嫌を損ねるか王妹殿下の機嫌を損ねるか、なのだからそれもわかる。
私だったらきっとさっさと逃げている。
逃げたいけれど、私の身体は殿下がしっかりと捕まえている。
「アリよ、叔母を叔母とも思わず、年長者を立てることもできぬでくの坊に成り下がったか。兄も嘆かわしい限りじゃろう。」
貴族のマウント程くだらないことは無いと思う。
でも変ね。アリ殿下がそんなことにこだわる人には思えないのだけれど。
「領の大事にのんびり城で遊んでいる者が大層な事を。あ、伯爵家は有能なものばかりおいでな事をすっかり失念しておりました。夫人の耳に入れるまでもない事なのでしょう。」
…フラン様は蚊帳の外、それ言っちゃうの?
フラン様からの返事はない。
先にキレたのは殿下だった。
「さあ、伯爵夫人、道を開けよ!我が城で我が道を譲るは父母と兄のみ。些か不敬に過ぎよう。」
不敬の一言でペニーさんとマクシマスさんが腰に下げた剣に手を掛ける。
周りにいた人達がサッと道を開ける。
フラン様だけは動かない。
「構わぬ!行くぞ!」
マクシマスさんが伯爵夫人の前に立ちはだかる。
アリ殿下は私を抱いたまま伯爵夫人の横をすり抜けた。
「リーン、今日は何か違う事をしないか?たまには外に出よう、どこか行きたいところや何か見たいものはあるかい?」
と殿下が言ってくれた。
少し外に出たいかな。散歩が良いかも。そう思って考えた。そうね、見たいもの…ねぇ。
そういえば、あれはどこにあるのかしら?王子宮は隅々まで探したけれど見つけられなかった。
「前国王陛下のご成婚の時にエリールから贈られたタペストリーが見たいです。」
あれはひいお祖母様が作ったと聞いている。タペストリーを見た外国の国賓の皆様達がものすごく欲しがったって。
それからエリール織に芸術的価値がついて、いわばエリール織の始まりの1枚になったと母から聞いている。
タペストリーの話をする人が皆、うっとりとした表情をするのがとっても不思議だった。
アレンさんがすかさず
「すぐにお調べします。」と席を外した。
「そんなに凄いものなのか?」
「見たことがないのでわかりませんが、エリールでは伝説の作品です。」
「そうか。楽しみだなぁ。よし、是非行ってみよう。」
アレンさんが戻ってきて、東の離宮にあると教えてくれた。
「東離宮か…。なるほど。」
アリ殿下が何故か納得している。
「楽しみにしておくといい、行けば分かるから。」
と勿体ぶる。
ならば早速行こうとすると、
「お待ち下さい。急に行かれたら離宮の侍従達が慌てます。先触れを出しますので少しお待ち下さい。」
カレンさんが慌てて止めた。
それもそうかとしばらく待つ事にして、万事整ったという知らせが入り、私達は離宮に向けて歩き始めた。
私達…殿下と私、ペニーさんとアレンさん、殿下近衛のマクシマスさん。
殿下とちょっと外に出るだけで、ご一行様になるんだなぁ、と今までの暮らしとの違いを感じてしまう。
殿下は歩きながらお城の中のことについて色々話をしてくれた。
置いてある像の事、植えられている植物のこと、小さい頃の思い出…。
私はそれを聞きながら、笑ったり驚いたりする。
(なんか本当に婚約者になったらこんな感じになるのかもしれない…。)
そう考えてしまう。
きっといつか本当の婚約者やお妃様がこうやって殿下の隣を歩くんだろう。
庭の通路を通り抜けようとしたとき、向こうから女性が数人の御付きを付けて歩いてくる。
(あ、嫌だな…。)遠目からでもわかってしまった。うちのひとりの女性とは面識がある。コンラン伯爵夫人、フラン様。今は私の養母でもあるのか…。
私の腰をアリ殿下がギュッと抱き寄せた。
「すまぬ、逃げられぬ。従いているのは侍従ではない、子爵夫人だ。」
そっと囁かれた。
王子であるアリ殿下が臣下を見て避ける訳にはいかない。仕方ない。
罵倒されるか、扇で叩かれるくらいはあるかも知れないな…と覚悟を決める。
アリ殿下と私は真っ直ぐに歩いた。
そろそろフラン様に道を譲らなければならないと思ったが、アリ殿下は進路を変えようとはしない。
それもそうか。王子殿下が伯爵夫人に道を譲る必要は少なくてもお城の中では無いのだから。
強く腰を抱き抱えられたまま歩みは止まらない。
またフラン様の一行も同じく真っ直ぐ歩いてくる。
フラン様はキッとこちらを睨みつけているが、隣のご婦人と周りのお付きの方達の表情は固い。
まさにぶつかろうかという寸前ですアリ殿下はやっと止まり、フラン様も歩みを止めた。
「これはこれは。アリではないか。久しぶりよの。健勝のようで何よりだ。」
完全に作りきった笑顔と機嫌の良さが伺える、聞き様によっては媚びているような甘い声でフラン様は話しかけて来た。
「これはこれは。コンラン伯爵夫人。ごきげんよう。」媚びるような親しげなフラン様とは対照的に殿下は冷たい声だ。
…フラン様はアリと殿下を呼んだ。叔母としての立場をとった。一方で殿下は伯爵夫人と呼びかけた。つまり格下の臣民としての扱いである。
王妹殿下、叔母上、婚約者の義母、など格上にまたは相手に謙譲することもできるのにしない。
どうやらこれは厄介な事になりそうだ。
「アリよ、水くさい他人行儀な挨拶なぞ要らぬ。昔のように叔母上と甘えられてはいかがじゃ?」
…伯爵夫人はケンカを買った。あくまで王妹、王子の叔母として振る舞うおつもりのようだ。
2人の視線が絡み合う。お互いに冷たい氷のような微笑みを浮かべて。
怖くなって殿下の胸に顔を埋めてしまった。見れない、見たくない。
「父からレイン殿が未だ登城叶わずと聞いておるが、伯爵夫人が先触れとは。国王陛下もさぞやお喜びになるだろう。」
うわっ。
立てるべき夫が城へ顔を見せないのに、妻がのうのうと仲間を侍らせて城内を散策してることをやんわりと嗜めている。先触れは家人の役割だ。伯爵夫人とはいえ伯爵家の家人に過ぎないと侮辱しつつ、いつまでも城に居座っていないで伯爵を連れて来い!って言っているに等しい。
恐る恐る顔をあげると、伯爵夫人の顔が怒りで歪んでいた。
周りの人達もハラハラしているのがわかる。王子殿下の機嫌を損ねるか王妹殿下の機嫌を損ねるか、なのだからそれもわかる。
私だったらきっとさっさと逃げている。
逃げたいけれど、私の身体は殿下がしっかりと捕まえている。
「アリよ、叔母を叔母とも思わず、年長者を立てることもできぬでくの坊に成り下がったか。兄も嘆かわしい限りじゃろう。」
貴族のマウント程くだらないことは無いと思う。
でも変ね。アリ殿下がそんなことにこだわる人には思えないのだけれど。
「領の大事にのんびり城で遊んでいる者が大層な事を。あ、伯爵家は有能なものばかりおいでな事をすっかり失念しておりました。夫人の耳に入れるまでもない事なのでしょう。」
…フラン様は蚊帳の外、それ言っちゃうの?
フラン様からの返事はない。
先にキレたのは殿下だった。
「さあ、伯爵夫人、道を開けよ!我が城で我が道を譲るは父母と兄のみ。些か不敬に過ぎよう。」
不敬の一言でペニーさんとマクシマスさんが腰に下げた剣に手を掛ける。
周りにいた人達がサッと道を開ける。
フラン様だけは動かない。
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マクシマスさんが伯爵夫人の前に立ちはだかる。
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