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やらなくては
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船の中でレイン様とナラとこれからのことを話し合う。
まず私がやらなくてはならないのは、「漆黒の絹糸」をザイモックで作ることだ。
今、兄様はサトラリアに身柄を拘束されている。
返してもらえる為の条件、それが「最上位の漆黒の絹布」の献上だ。
「兄様の価値が黒衣なんてあり得ないわ!」つい出てしまう愚痴にナラが苦笑する。
元々はニルス王が最上位の黒布を隠し持ち見せびらかした事が発端なんだけど、それで国の戦争にまで発展してしまうのがなんとも怖い。
「だから貴族のマウントなんて大嫌いなのよ。」
「それだけの価値があるものを生み出せた我がボガード工房に誇りを持ちましょうよ。」
と宥められるけど、納得は出来ない!
「一応染料は持ち出せたけれど、エリールとは水が違いますからね。上手く染まるかどうかは五分五分ですよ。
サトラリアでも作れないか?と打診されたけれど、サトラリアでは無理だったんだから。」
父の弟子のナラ自ら染料を持ってサトラリアに行ったものの、サトラリアの水と染色技術では黒は綺麗には染まらなかった。
「うーん、大丈夫じゃない?」
水質に関しては私は今までの経験から楽観している。心配なのは温度だけ。雪解け水のエリールの水は冷たいから。
でも、なんとかなるし、なんとかする。
「樽を動かす」と兄様が言ったのは、染料をウッドバーンに持ち出すということで、染められる私かナラがウッドバーンに行くという事は初めから決まっていた。
生糸はウッドバーンのキタール産で代用する、ここの製糸技術は元々エリールの技術だったから品質に問題はない。
織るための機械は元々ザイモックにもある。
後は染料をいつどう持ち込むか、だけだった。
たまたま私が王子宮に入れられてしまったのと時期が重なったのが不運だったとしか言いようがない。
レイン様は慎重に私が城を出る日を探してくれていた。
準備が整って、ローラ様達がお城に入り、お城を出る日を模索する予定が、フラン様の暴走で早まった。
「黒染めの職人が死にかけた」と知ったサトラリア王はエリールを捕る事を決めてしまい、レイン様は渋々と従うしかなくなったそうだ。
「短気なモーリに任せるんじゃなかった。」
「亡命までする予定じゃなかったんだけどなぁ。」
とレイン様はずっとボヤいている。
それでも一度動き出した運命の輪はどこまでもどこまでも回り続けていくしかない。
サトラリアが望んでいる王の退位とか王太子と姫様の結婚とかは私達の手には負えない。
けれど、漆黒の絹布やバーン織、それらを作り出せる技術や機械ならいくらでも与えてあげる。
別に私たちは属する国がニルスでもサトラリアでも構わない。
作りたい物を作り、それを必要としている人達に使って貰う。
そして飢えることなく日々穏やかに暮らせたらそれだけで良いのだ。
「ナラが行けるなら、ナラが行けばよかったじゃないの!」
と抗議はしてみた。
「リーンがニルスをウロウロしてるとややこしくなるから面倒だ。」
とレイン様はすぐさま却下した。
ナラはウッドバーン生まれで、お母さんがキタール島に住んでいる。
年に1回蚕の卵を買い付けに来るナラのお母さんは、私達がいい加減キタールでも卵産ませたら良いのにと言っても、頑なにそれをしない。
「ナラに会いたいのよ。」
って母は良く笑っていた。
「ママに会えるの楽しみね。ナーラーちゃん。」
腹いせにこれくらい揶揄っても良いでしょ?
「船が着くぞ!」
船室まで響く船員の掛け声で思わず甲板まで駆け出した。
懐かしい大きな火山島。
行き交う大小の船がこの島の活気をおしえてくれる。
「さあ、忙しくなるわ。頑張らないと!」
ギュッと胸元のペンダントを握りしめて、自身に喝を入れた。
まず私がやらなくてはならないのは、「漆黒の絹糸」をザイモックで作ることだ。
今、兄様はサトラリアに身柄を拘束されている。
返してもらえる為の条件、それが「最上位の漆黒の絹布」の献上だ。
「兄様の価値が黒衣なんてあり得ないわ!」つい出てしまう愚痴にナラが苦笑する。
元々はニルス王が最上位の黒布を隠し持ち見せびらかした事が発端なんだけど、それで国の戦争にまで発展してしまうのがなんとも怖い。
「だから貴族のマウントなんて大嫌いなのよ。」
「それだけの価値があるものを生み出せた我がボガード工房に誇りを持ちましょうよ。」
と宥められるけど、納得は出来ない!
「一応染料は持ち出せたけれど、エリールとは水が違いますからね。上手く染まるかどうかは五分五分ですよ。
サトラリアでも作れないか?と打診されたけれど、サトラリアでは無理だったんだから。」
父の弟子のナラ自ら染料を持ってサトラリアに行ったものの、サトラリアの水と染色技術では黒は綺麗には染まらなかった。
「うーん、大丈夫じゃない?」
水質に関しては私は今までの経験から楽観している。心配なのは温度だけ。雪解け水のエリールの水は冷たいから。
でも、なんとかなるし、なんとかする。
「樽を動かす」と兄様が言ったのは、染料をウッドバーンに持ち出すということで、染められる私かナラがウッドバーンに行くという事は初めから決まっていた。
生糸はウッドバーンのキタール産で代用する、ここの製糸技術は元々エリールの技術だったから品質に問題はない。
織るための機械は元々ザイモックにもある。
後は染料をいつどう持ち込むか、だけだった。
たまたま私が王子宮に入れられてしまったのと時期が重なったのが不運だったとしか言いようがない。
レイン様は慎重に私が城を出る日を探してくれていた。
準備が整って、ローラ様達がお城に入り、お城を出る日を模索する予定が、フラン様の暴走で早まった。
「黒染めの職人が死にかけた」と知ったサトラリア王はエリールを捕る事を決めてしまい、レイン様は渋々と従うしかなくなったそうだ。
「短気なモーリに任せるんじゃなかった。」
「亡命までする予定じゃなかったんだけどなぁ。」
とレイン様はずっとボヤいている。
それでも一度動き出した運命の輪はどこまでもどこまでも回り続けていくしかない。
サトラリアが望んでいる王の退位とか王太子と姫様の結婚とかは私達の手には負えない。
けれど、漆黒の絹布やバーン織、それらを作り出せる技術や機械ならいくらでも与えてあげる。
別に私たちは属する国がニルスでもサトラリアでも構わない。
作りたい物を作り、それを必要としている人達に使って貰う。
そして飢えることなく日々穏やかに暮らせたらそれだけで良いのだ。
「ナラが行けるなら、ナラが行けばよかったじゃないの!」
と抗議はしてみた。
「リーンがニルスをウロウロしてるとややこしくなるから面倒だ。」
とレイン様はすぐさま却下した。
ナラはウッドバーン生まれで、お母さんがキタール島に住んでいる。
年に1回蚕の卵を買い付けに来るナラのお母さんは、私達がいい加減キタールでも卵産ませたら良いのにと言っても、頑なにそれをしない。
「ナラに会いたいのよ。」
って母は良く笑っていた。
「ママに会えるの楽しみね。ナーラーちゃん。」
腹いせにこれくらい揶揄っても良いでしょ?
「船が着くぞ!」
船室まで響く船員の掛け声で思わず甲板まで駆け出した。
懐かしい大きな火山島。
行き交う大小の船がこの島の活気をおしえてくれる。
「さあ、忙しくなるわ。頑張らないと!」
ギュッと胸元のペンダントを握りしめて、自身に喝を入れた。
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