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結婚式のアレコレ
花嫁のエスコート
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王弟殿下の筆頭補佐官アレンはアリストリア殿下の結婚式の準備に追われていた。
王族の結婚式は通常ならしきたりに沿って行われる。
だからアレンは、直近のランス前国王陛下とアンリ皇太后との結婚式の当時の資料をおさらいした。
王都にあるサンディアル大聖堂で挙式、馬車でパレードで城での披露目の夜会は3日間も行われた。
…さてどうしたものか。
アリストリア殿下のご希望は特にない。
…この特にないってのは意外に厄介だ。
そしてアイリーン様のご希望は更に厄介だった。
「エリールで、エリール式の披露宴がしたい。」
エリール式?
それはなんだ?
フラン様の時はエリールの聖堂で挙式、領主館でお披露目の夜会。夜会は1日。資料によると普通にしか見えないのだが?
答えはモーリウス様が教えてくれた。
「身分に関係なく、領地の奥様方によるポットラックパーティーだよ。」
まさか!
王弟殿下の前に市井の民があり合わせで作った料理を並べさせるのか?
と驚いたが、アリストリア殿下はあっさりと
「それがリーンの願いなら。」
と了承してしまった。
毒見は…と言い掛けたが、アイリーン様の表情を見て思い止まった。
「あり合わせ」という言葉だけで、既にアイリーン様の表情が強張っている。毒でも入れられたら…なんて言えない。
…仕方ない。料理はコッソリとペルーと手分けして毒見…いや味見するしかないだろう。
そして、これはニルス官僚の自分には手が出せない。
仕方なくローラに手紙を書いた。
自分たちを騙していたローラに頭を下げるのは癪に触るが、かと言ってエリールに頼れるツテは後はアイリス様しかいない。
まさか花嫁の母に頼むわけにもいかない。
ただでさえアイリス様は随分と怒っていらっしゃるのだ。
その原因を思い出して、アレンは大聖堂の教皇を恨んでいる。
「ホセ殿とアイリーン殿は平民だとお聞きしましたが?」
この教皇の言葉が波乱を呼んだ。
大聖堂のバージンロードを歩いた平民はいない。大聖堂のバージンロードを歩むのならば、然るべき身分であるべきと教皇は言うのだ。
アイリーン様はまだ良い。花嫁本人であるしザイモック・コンラン家の直系血族であるのだから妥協しよう。
しかしホセはダメだ。花嫁のエスコートは貴族にさせよ、と教皇は譲らなかった。
ホセ殿は快く?身を引いてくれた。
元より貴族との付き合いには一線を引かれている方だ。
しかしアイリス様がご立腹された。
「花嫁をエスコートするのは父親の誉よ!それを取り上げるなんてあんまりだわ!」
仰ることは至極もっともだ。
しかし教皇の言うこともわからなくはない。
前例と慣例。数百年続いているしきたりを簡単には覆せはしないだろう。
アイリス様を宥めるのはホセ殿に任せて、では誰がエスコートするか?の話し合いとなった。
「領主モーリウス様は?」
「嫌だ!モーリからリーンを託されるなんてあり得ない!」
アリストリア様が即座に却下した。
…ご希望は無いって言ったじゃないか。
でも気持ちは痛いほどわかる。
恋敵になったかもしれないお人。僅かでも歯車が狂っていたら、アイリーン様と結婚していたのはモーリウス様だったかもしれないのだ。
「では、叔父となるナラ様は…。」
「ダメに決まってるじゃない!」
即座に断ってきたのはアイリス様だ。
「ナラはまだきちんと後継としての披露目をしていないのよ!しかもリーンがウッドバーン為政者との縁者なんて広めるつもりは微塵もないわ!」
…はい、そうでした。
ウッドバーン絡みでフラン様から散々辛い目に遭わされてきたお2人である。
ウッドバーンとの関わりを賓客にチラつかせる訳にはいかない。
「…僭越ながら私でも良いですよ。」
宰相閣下が厳かに立候補された。
「…嫌よ!無理よ!」
難色を示されたのは当の花嫁アイリーン様。
「宰相閣下と腕を組んで歩くなんて、きっといきなり王子宮に連れ去られたあの日を思い出してしまうわ!」
…はい。
何も知らされずにいきなり婚約を突きつけられて、脅されながら宰相閣下に腕を取られて歩かされた事もありましたね。
「すみません。配慮が足りませんでした。」
宰相閣下と2人で小さくなって謝るしか出来なかった。
後はもうニルスの地に戻ってくるかわからないレイン様を説得するしかないか…。
「…出来ればレインは辞めてくれないか。」
控えめに拒絶の意を表したのはホセ殿だ。
「やっと父親問題にケリがついたのだ。レインに父親役はもうさせたくない。」
そうだった。16年もお辛い思いをされていたのだ。やっと父親の名を証明書に入れられたのに、またレイン様が出てくるのは違うだろう。
…でもでも。
誰がエスコートすべきなんだ?
誰ならエスコート出来るんだ?
アレンはもうどうしていいかわからなくなった。
あちらを立てたらこちらが立たない。
誰でもいい、皆が納得できるなら誰でもいい。
「もういい!ひとりで歩くわ!」
アイリーン様がとんでもない事を言い出した。
「花嫁がお1人で歩くなんて前例がありません!」
流石にこれには宰相閣下も猛反対だった。
「…リーン、俺と歩こう。もう離れないと誓っただろう?」
甘く囁き始めたのはアリストリア殿下。
気付けばアイリーン様の腰に片腕を回して、もう一方の手はアイリーン様の髪を一束握って口付けている。
「はい!そこ!離れて!」
2人がいちゃつき始めると話が進まなくなる。
「式次第的にそれは無理です!殿下。」
アリストリア殿下は先に教皇に結婚したい旨を告げて了承してもらう必要がある。
そこにアイリーン様がエスコートされて入場。これは儀典的に「神から与えられし伴侶」を装うという意味があるのだ。
もちろんただの形式に過ぎない。
しかし慣例。
そもそもの発端は「平民がバージンロードを歩いた」という前例がないという慣例のためだ。
「止めましょう。」
アイリス様が呟いた。
「えっ?何を?」
大聖堂での挙式を?それとも…。
「アイリーンは平民のホセの娘よ。それが嫌だというのならば、結婚なんて止めましよう。」
…待った!
それは困る!
ほらみろ、アリストリア殿下の顔がみるみる怒りで覆われていくじゃないですか!
「…なんとかしろ。」
アリストリア殿下の言葉には、「はい」と頷くしかない。
…でもどうすればいい。
アレンは泣きたくなる。もう投げ出してしまいたい。
まだまだ決めなきゃならないことは山のように残っているというのに。
「…教皇の任命は陛下でしたよね。」
ボソリ呟いたのは宰相閣下だ。
「サンディアルの教皇は随分とお年を召していらっしゃる。そろそろ代替わりの時期に差し掛かっているかもしれませんな。」
えっ!本気ですか?
陛下を巻き込んで、教皇を脅すおつもりだとでも?
「…それはいいな。」
アリストリア殿下が許容した!
「お待ち下さい!…私が教皇と話してきます。」
仕方なくアレンは立ち上がる。
教皇にはホセ殿を歩かせて前例を打ち破るか、自身の進退を掛けてもらうか…。
とにかく教皇を説得するしかない。
「初めからそうすれば良いのよ。」
ご立腹のアイリス様の辛辣な言葉が背中に突き刺さった。
そうだった。
このままだとアリストリア殿下の王籍離脱ということにもなりかねない。
一旦は覚悟したアリストリア殿下の王籍離脱。
それを決意されたのも翻意されたのもアイリーン様の為だったじゃないか!
「誰が花嫁をエスコートするか。」
たったこれだけの事で、教皇の首が飛ぶのだと思うと、この結婚の儀式での失敗は許されないのだと、アレンは気を引き締めると共に、胃が猛烈に軋むのを感じた。
王族の結婚式は通常ならしきたりに沿って行われる。
だからアレンは、直近のランス前国王陛下とアンリ皇太后との結婚式の当時の資料をおさらいした。
王都にあるサンディアル大聖堂で挙式、馬車でパレードで城での披露目の夜会は3日間も行われた。
…さてどうしたものか。
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…この特にないってのは意外に厄介だ。
そしてアイリーン様のご希望は更に厄介だった。
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エリール式?
それはなんだ?
フラン様の時はエリールの聖堂で挙式、領主館でお披露目の夜会。夜会は1日。資料によると普通にしか見えないのだが?
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「身分に関係なく、領地の奥様方によるポットラックパーティーだよ。」
まさか!
王弟殿下の前に市井の民があり合わせで作った料理を並べさせるのか?
と驚いたが、アリストリア殿下はあっさりと
「それがリーンの願いなら。」
と了承してしまった。
毒見は…と言い掛けたが、アイリーン様の表情を見て思い止まった。
「あり合わせ」という言葉だけで、既にアイリーン様の表情が強張っている。毒でも入れられたら…なんて言えない。
…仕方ない。料理はコッソリとペルーと手分けして毒見…いや味見するしかないだろう。
そして、これはニルス官僚の自分には手が出せない。
仕方なくローラに手紙を書いた。
自分たちを騙していたローラに頭を下げるのは癪に触るが、かと言ってエリールに頼れるツテは後はアイリス様しかいない。
まさか花嫁の母に頼むわけにもいかない。
ただでさえアイリス様は随分と怒っていらっしゃるのだ。
その原因を思い出して、アレンは大聖堂の教皇を恨んでいる。
「ホセ殿とアイリーン殿は平民だとお聞きしましたが?」
この教皇の言葉が波乱を呼んだ。
大聖堂のバージンロードを歩いた平民はいない。大聖堂のバージンロードを歩むのならば、然るべき身分であるべきと教皇は言うのだ。
アイリーン様はまだ良い。花嫁本人であるしザイモック・コンラン家の直系血族であるのだから妥協しよう。
しかしホセはダメだ。花嫁のエスコートは貴族にさせよ、と教皇は譲らなかった。
ホセ殿は快く?身を引いてくれた。
元より貴族との付き合いには一線を引かれている方だ。
しかしアイリス様がご立腹された。
「花嫁をエスコートするのは父親の誉よ!それを取り上げるなんてあんまりだわ!」
仰ることは至極もっともだ。
しかし教皇の言うこともわからなくはない。
前例と慣例。数百年続いているしきたりを簡単には覆せはしないだろう。
アイリス様を宥めるのはホセ殿に任せて、では誰がエスコートするか?の話し合いとなった。
「領主モーリウス様は?」
「嫌だ!モーリからリーンを託されるなんてあり得ない!」
アリストリア様が即座に却下した。
…ご希望は無いって言ったじゃないか。
でも気持ちは痛いほどわかる。
恋敵になったかもしれないお人。僅かでも歯車が狂っていたら、アイリーン様と結婚していたのはモーリウス様だったかもしれないのだ。
「では、叔父となるナラ様は…。」
「ダメに決まってるじゃない!」
即座に断ってきたのはアイリス様だ。
「ナラはまだきちんと後継としての披露目をしていないのよ!しかもリーンがウッドバーン為政者との縁者なんて広めるつもりは微塵もないわ!」
…はい、そうでした。
ウッドバーン絡みでフラン様から散々辛い目に遭わされてきたお2人である。
ウッドバーンとの関わりを賓客にチラつかせる訳にはいかない。
「…僭越ながら私でも良いですよ。」
宰相閣下が厳かに立候補された。
「…嫌よ!無理よ!」
難色を示されたのは当の花嫁アイリーン様。
「宰相閣下と腕を組んで歩くなんて、きっといきなり王子宮に連れ去られたあの日を思い出してしまうわ!」
…はい。
何も知らされずにいきなり婚約を突きつけられて、脅されながら宰相閣下に腕を取られて歩かされた事もありましたね。
「すみません。配慮が足りませんでした。」
宰相閣下と2人で小さくなって謝るしか出来なかった。
後はもうニルスの地に戻ってくるかわからないレイン様を説得するしかないか…。
「…出来ればレインは辞めてくれないか。」
控えめに拒絶の意を表したのはホセ殿だ。
「やっと父親問題にケリがついたのだ。レインに父親役はもうさせたくない。」
そうだった。16年もお辛い思いをされていたのだ。やっと父親の名を証明書に入れられたのに、またレイン様が出てくるのは違うだろう。
…でもでも。
誰がエスコートすべきなんだ?
誰ならエスコート出来るんだ?
アレンはもうどうしていいかわからなくなった。
あちらを立てたらこちらが立たない。
誰でもいい、皆が納得できるなら誰でもいい。
「もういい!ひとりで歩くわ!」
アイリーン様がとんでもない事を言い出した。
「花嫁がお1人で歩くなんて前例がありません!」
流石にこれには宰相閣下も猛反対だった。
「…リーン、俺と歩こう。もう離れないと誓っただろう?」
甘く囁き始めたのはアリストリア殿下。
気付けばアイリーン様の腰に片腕を回して、もう一方の手はアイリーン様の髪を一束握って口付けている。
「はい!そこ!離れて!」
2人がいちゃつき始めると話が進まなくなる。
「式次第的にそれは無理です!殿下。」
アリストリア殿下は先に教皇に結婚したい旨を告げて了承してもらう必要がある。
そこにアイリーン様がエスコートされて入場。これは儀典的に「神から与えられし伴侶」を装うという意味があるのだ。
もちろんただの形式に過ぎない。
しかし慣例。
そもそもの発端は「平民がバージンロードを歩いた」という前例がないという慣例のためだ。
「止めましょう。」
アイリス様が呟いた。
「えっ?何を?」
大聖堂での挙式を?それとも…。
「アイリーンは平民のホセの娘よ。それが嫌だというのならば、結婚なんて止めましよう。」
…待った!
それは困る!
ほらみろ、アリストリア殿下の顔がみるみる怒りで覆われていくじゃないですか!
「…なんとかしろ。」
アリストリア殿下の言葉には、「はい」と頷くしかない。
…でもどうすればいい。
アレンは泣きたくなる。もう投げ出してしまいたい。
まだまだ決めなきゃならないことは山のように残っているというのに。
「…教皇の任命は陛下でしたよね。」
ボソリ呟いたのは宰相閣下だ。
「サンディアルの教皇は随分とお年を召していらっしゃる。そろそろ代替わりの時期に差し掛かっているかもしれませんな。」
えっ!本気ですか?
陛下を巻き込んで、教皇を脅すおつもりだとでも?
「…それはいいな。」
アリストリア殿下が許容した!
「お待ち下さい!…私が教皇と話してきます。」
仕方なくアレンは立ち上がる。
教皇にはホセ殿を歩かせて前例を打ち破るか、自身の進退を掛けてもらうか…。
とにかく教皇を説得するしかない。
「初めからそうすれば良いのよ。」
ご立腹のアイリス様の辛辣な言葉が背中に突き刺さった。
そうだった。
このままだとアリストリア殿下の王籍離脱ということにもなりかねない。
一旦は覚悟したアリストリア殿下の王籍離脱。
それを決意されたのも翻意されたのもアイリーン様の為だったじゃないか!
「誰が花嫁をエスコートするか。」
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