政略結婚は不幸の種 知らない間に織物職人は第二王子の婚約者になっていました

枝豆

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結婚式のアレコレ

やられたらやり返せ

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ニルス国王弟殿下アリストリアとアイリーン・ボガードの結婚式は突き抜けるような秋晴れの日、サンディアル大聖堂で厳かに?行われた。

品の良い純白のシルクのドレスは、まだ年若い花嫁を妃殿下に相応しい女性へと見事に変貌させていた。

大きく開いた襟ぐりを共布のフリルをあしらう事で、控え目さと可愛らしさを強調することに成功し、前面はシンプルに、しかし後ろ姿は大きなリボン結びでゴージャスに。長く引かれたトレーンにはキラキラした白銀の刺繍が贅沢に施された。

大聖堂の観音開きの扉を大きく開いて、父御ホセと並んで入場したアイリーンを見て、その姿に式典に出席した賓客達は安堵して微笑んだ。

(この乙女の為に…。)
各国の参列者の、心の中の声がダダ漏れだ。
前王がこの娘御を囲った為に、サトラリアとニルスは戦にまで発展し、ひとりの国王が去った。

…こんな少女の為に?
そう思っているのは丸わかりだ。

…わかってないな。
この娘御だからだ。
アイリーンがどれほどの才能に恵まれているか。
どれほどの愛情を受けて育って来たか。
居並ぶ賓客にはわかっていない。

祭壇の脇に据え置かれた国王の玉座に座りながら、セオドアスは込み上げてくる笑いを抑えるのに必死だった。

チラリと賓客の片隅で俯いている可愛らしい幼な姫を見つめた。
もしかしたら自分の伴侶になっていたかもしれない、サトラリア王女ローズだ。

(馬鹿な事を…。)

前ニルス国王がしでかした過ちに、やられたらやり返せとばかりに、娘に花嫁衣装ウエディングドレスを意識させるような白のドレスを着させたサトラリア王。言い訳にでもするつもりか、申し訳程度に薔薇色のレースをあしらってはいるが…。

相手は世界の織物を一手に引き受けているニルス最大の織物工房の娘御だ。
ドレスで勝てるはずなど無かったのに…。

どうやらホセは難関だと思われていた絹の漂白に成功したらしい。
雪のような白のドレスを前にして、ローズのドレスは薄黄色にさえ見える。
色だけではなく織りも最高級だろう。
ローズが伏し目がちなのは纏っているドレスの所為だと思って間違いはないだろう。

何よりも列席のエリール領民達の顔が怖かった。特にホセとモーリウスの薄笑いが。

馬鹿な事をしたものだ。
この先サトラリアはエリールから何か売ってもらえるのだろうか?いや、モーリの事だ。
しれっと笑顔で高値で吹っ掛けるのかもしれないな。

…借りは返した。もう遠慮は要らない。

サトラリア王太子結婚式を彷彿させる状況に列席の賓客達は震え上がっていた。
たった一目でそれを振り払い、ニルスの負い目を蹴散らしてくれたホセには感謝しかないな。

頼もしくなった弟と目が合うと、兄弟はニンマリと笑いあった。



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