政略結婚は不幸の種 知らない間に織物職人は第二王子の婚約者になっていました

枝豆

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オマケ

占い師3

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ホーキンスは、疲れ切って与えられた部屋に帰ると、既に姉も帰宅していた。

東離宮にある官僚のための部屋にはいくつかの種類があるが、ホーキンスは姉ライラと共に家族用の部屋を与えられていた。

「どうしたの顔色が悪いわよ?風邪の気?」
「…いや、大丈夫。なんでもない。」

ホーキンスはその時、慈愛に満ちた姉の顔を真っ直ぐには見れなくなっている事に愕然とした。

「元気ないわね。滋養のあるものを食べて温かくして休みましょう?アリストリア殿下に風邪を移すわけにはいかないし。そんな顔を見せてはご心配をお掛けするだけよ。」

そう言って姉は備え付けの台所へと入っていく。
右手ひとつで器用にお湯を沸かし始めた姉を見てはホーキンスは項垂れて座ったままではいられない。

「…手伝うよ。」
「良いわよ、座ってて。」

やらせて欲しいとお願いして、2人で夕餉の準備を始める。
楽しそうに鼻歌混じりで食器を並べていく姉を見て、胸が締め付けられる。

出来上がった夕食を2人で食べ終えた後に姉は珍しくワインを持ち出してきた。

「で、何があったの?秘密はなしって2人で決めたじゃない。」
探るように自分を射抜く姉、長年の関係性からホーキンスは姉の追求から逃れられなかった。

ホーキンスは今日の出来事を具に姉に話して聞かせた。
「姉さん、俺は姉さんを放っておくなんて出来ないよ。頼むから幸せになる事をどうか諦めないで…。」
消えいるような涙声でホーキンスがそう姉に願った時、とうとうライラは堪らない堪えきれないとばかりに吹き出した。

「あんた、バカねぇ。何まんまと転がされてるの?」

キョトンと姉を見つめるホーキンスに姉は容赦がなかった。

「若い女の子相手の占い師のところに、大の男が2人揃って行けば警戒されるのは当たり前じゃない。しかもあのアレンでしょう?」

どう見ても並とは思えない高貴な男が2人でしかめ面でやってきたら、後ろ暗さを隠している者は間違いなく警戒する。
下手な事を伝えて、インチキだと騒ぎ立てられでもしたら後々厄介だ。

そんな時に自分のことではなく姉の事を相談したのだから、その関係性は丸わかりだ、と。

「大事に思っている人の事を大袈裟に伝えて不安に陥れただけ。結局あなたまんまと信じ込まされてるじゃないの。
ペルー辺りを連れて行った方が化けの皮が剥がれたかもしれないわ。」

そう言って姉は腹を抱えて笑い飛ばした。

「大体ね、人間はいつか必ず死ぬのよ。漏れなく全員ね、あなたも私も。
言い様だけど、みんなが死者の相を持ってるの。

確かにアンリ様にもアイリーン様にも返せないほどの恩を頂いて生かされているけれど、私が生きるのは昔も今もあなたの為だけよ。あのお二人には私なんかがお側にいなくても代わりはいくらでもいらっしゃる。

でもあなたには私だけ。私にもあなただけよ。
そうね、あなたが死んだりなんかしたらきっと生きる目的は無くしちゃうかもね。

それよりも!
私の心配より自分のことよ。あなたが幸せになってくれないと死んでも死にきれないわ。」

自分の不安を明るく笑い飛ばす姉に死者の相?あり得ない!!やっぱりインチキだったって思えてきた。

でも、これだけは伝えたかった。

「姉さん…姉さんが幸せになる事が俺の幸せなんだ。」
「あら、ありがと。なら私達は間違いなく幸せね。」
そう言って姉は嬉しそうに微笑む。

結構な覚悟で姉に伝えたつもりだったのに、軽くいなされてしまった気もするけれど。
とりあえず今はこれで良いんだ、とホーキンスは思ったのだ。

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