若松2D協奏曲

枝豆

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体育祭 溢れ話

絡み合う想い 北斗視点

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俺が皇の気持ちに気付いたのは、疾風の悩み相談を受けたから。

「翠が好きなのは皇かもしれない。」
文化祭の日、マジ泣きするかと思ったくらい、疾風は悲壮感を出していた。

文化祭の装飾にこっそり2人のイニシャルを隠し入れて笑い合っていた、らしい。
見咎めた疾風が問いただすと、慌てて疾風のイニシャルを入れて誤魔化した、らしい。

これは皇発信じゃない。アイツはそんな可愛いことする奴じゃない、と。
そこは同意だ。

直接翠ちゃんを知らない俺はなんとも言えなかった。
みんなに内緒の2人だけの秘密の思い出…な気もする。

けど、Oって!好きなやつのイニシャル間違えるか?入れるならKだろ?

そういってなんとか宥めたけど、疾風のがHじゃなくてWって。
そこは突っ込まないでスルーしたのは優しさだ。

学年人気TOP2をコロッコロ転がせるなら、どんな小悪魔だ、って!

だけど。
それから皇が少し変わった。
すり寄ってくる女の子達を蹴散らさないどころか優しく接するし、しつこく疾風の恋を揶揄い始めた。早くくっつけよ、タラタラしてんじゃねーよって。

だけどなかなか疾風は先に進まない。

そんなことはすっかり忘れた頃の4月。
俺は2人と翠ちゃんと同じクラスになった。

それで気付いた。

ああ、翠ちゃんが皇を好きなんじゃない。
皇が翠ちゃんを好きなんだ。
いつも見てるくせに時々見ていない疾風に対し、見てないようで見ている皇。

疾風を見つめる翠ちゃんを見つめてる皇。それを見てる俺、ってややこしいわ!!お前たちややこし過ぎる!

皇…なんでそんなにムキになって2人をくっつけようとしてるんだい?
学年人気No. 1の皇子様が何をやってんだい?
恋より友情かよっ!
でもな。皇と疾風は近過ぎる。中高の友達はほぼ一緒、同じ学校、同じ部活。
…まあ、友情か。

翠ちゃんは超天然。無意識無自覚で学年人気トップ2をコロッコロ転がしていく。
…でもちょっと一緒にいるだけでもハッキリとわかる。翠ちゃんが好きなのは疾風だ。

皇!とっとと終わらせてやるから。
俺が一緒にやってやるから。

…だから報われない恋に早く見切りをつけようぜ。
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