若松2D協奏曲

枝豆

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ホタルを愛でる夜

浴衣

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嶋田さんの名刺の電話番号に連絡して、ホタルに行けると伝えると、みんなで一旦家に寄って欲しいと言われた。

「せっかくだから、妻の趣味に付き合ってくれる?」
という話だった。

この間の写真のお礼もしたいし、了承した。

嶋田さんの家はホタルを放流する桜広公園を横切る川の近くの静かな住宅街にあった。
私と優ちゃんと花音ちゃん、和津くんと皇子くんと北斗くん。いきなり6人もお邪魔するのは気が引けたけれど、ぜひそうして欲しいって言って下さったのでお言葉に甘えた。

嶋田さんの奥様の美和子さんは、大喜びで迎えてくれた。
「さあさあ、着替えましょっ!」
通されたお部屋には沢山の浴衣が並べられていた。

和裁教室の先生で、着物の着付け師をしている美和子さんは、私達6人に浴衣を着せてくれる事になっていた。
元々嶋田さんとの出会いは成人式会場で着崩れてしまった参加者の着付け直しのボランティアで会場に詰めていたのがきっかけだそうだ。

「さあさあ好きなの選んでね。」
と美和子さんのテンションは高い。
「もうね、あの写真を撮らせてもらっている時から2人が和装したらきっと映えるだろうって思っていたのよ、それがこんなに大勢で来てくれるなんて!本当に嬉しいわ。」
とゴキゲンだ。

特に皇子くんが事の他気に入ったようで、
「あなたモデルさん?えっ違うの、もったいないわ。是非お教室の広告に使いたい。」
ってはしゃいでいた。

淡い紫地に紺の紫陽花柄の浴衣を選んで着付けて貰った。
優ちゃんは薄い緑に洋風の葡萄があしらわれている今風な感じ、花音ちゃんは白に赤と黒の金魚が散りばめられていて意外なチョイスに思えた。

「いいね、いいね。」
と嶋田さんがパシャパシャ写真を撮ってくれる。今日はスマホではなく、嶋田さんのレンズも大きくてプロ仕様のカメラだった。
「写真のお礼に来たのに…また撮ってもらうなんて…。」
というと
「こんなに写真を楽しく撮らせて貰えるのは何よりも嬉しいんだから気にしないで!」
と言ってくれる。

男の子たちは
疾風くんがグレーの折り柄、北斗くんが紺に白の縦縞、そして皇子くんの浴衣は右身頃が白で左身頃が黒で、所々赤を組み合わせたモード系。

「皇くん、なんでもいいっていうから、少し遊ばせて貰っちゃったわ。」
フフフと微笑む美和子とほうっと息を呑んだ嶋田さん。
嶋田さんは何やら刺激されてしまったようで、
「2人並んでくれる?」
皇子くんと花音ちゃんを並ばせて写真を撮り始めていく。

「わあっ!」
思わず優ちゃんと声をあげた。
「グラビアみたい…。」

背の高いイケメン皇子くんとまるで対のような色合いの浴衣を着た花音ちゃんは雑誌から抜け出てきたような雰囲気を作っている。
嶋田さんがポーズを指示していきながらドンドン写真を撮っていく。

「…すごい。さすがブロ…。」
北斗くんが息を呑む。
「あの待ち受けの雰囲気が出るのがわかった…。」

ふふふ、出来上がりの写真が楽しみになってきた。
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