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皇子くんの一番
賢い子
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壮はすっかりソラと美和子さんに慣れた。
「怪我のせいであんまり散歩してあげられなかったから、一緒にソラを散歩に連れて行ってくれない?」
と美和子さんに言われると、全く渋る様子もなく、そのまま2人で散歩に行ってしまった。
嶋田さんと俺は今撮った写真をパソコンに落として、確認する。
「ちゃんと笑う子じゃない。多分緊張しいな子なだけ。」
あんまり笑う事がないと思っていた壮の笑顔がパソコン画面に溢れていた。
どちらかと言うと全体図を撮っていた俺に対して、嶋田さんは望遠でひたすら壮のアップを狙っていたようだ。
「しかも賢い子だね。」
「…賢い、ですか?」
うん、と嶋田さんは頷いた。
「ホラ、カメラに気付く前はあんまり立ち位置気にしてないでしょう。コレとかコレ。皇くんとソラの間に壮くんがいる。
だけど、カメラに気付いてからはソラと皇くんの間には立ってない。」
「多分だけど。パッと空気を読んで、自分に求められる事を理解しちゃうタイプ。」
母に邪険に扱われ続けて母に甘えることをしなくなった壮、そういうことだったのかもしれない。
あれだけの時間で嶋田さんは壮を見抜いた事に驚いた。それを「賢い」と表現する嶋田さんの優しさ。
自己主張がない、周りに流されやすい、壮への評価はマイナスの言葉をよく使われる。
「何かに一生懸命になっている時に、あんまり意識させないようにカメラを向けたら、きっと良い顔たくさん見せてくれると思うよ。」
だから翠ちゃんや疾風くんを撮った時のように話術で構図を作るんじゃなくて、とりあえずオート設定のままでも良いから、たくさんシャッターを押して、たくさんデータを残す。
それからパソコンで引き伸ばしたり加工していく方が、良い写真を残せるんじゃないか?
良いカメラと望遠レンズは必須かもね、と嶋田さんは笑う。
「それよりもさあ、壮くんフリスビードッグとか興味ないかなぁ。今日のソラと壮くんの雰囲気、悪くないと思うんだよね。」
「フリスビードッグ、ですか?」
嶋田さんとソラは以前フリスビードックの練習をしてて、大会も本気で考えていた。
だけど、市の広報課という職業柄、土日のイベントは仕事になりがちで、大会とも被りがちで。
半ば諦めていたんだそうだ。
「もうすぐ夏休みだし、少しソラと壮くんで練習して、いい感じなら8月末くらいに良い大会があれば出てみる。」
ゴクリ、息を飲んだ。
嶋田さんは超能力でもあるのだろうか。
…多分壮に必要なのはこういう経験なんじゃないか?
俺とでは甘えがちで、父や母とでは萎縮しがち。友達とでは遠慮しがち。
じゃあ、ソラとなら?
「…良いんですか?」
もちろん、と嶋田さんは笑う。
「せっかくソラが練習してきたのに、俺の都合で大会に出られないんだから、きっとソラも喜ぶ。」
「…壮がやる気になるのなら。是非お願いしたいです。あと、ご迷惑じゃなければ。」
その心配は要らないよ、壮くん僕たちの孫みたいに可愛がらせてよ、と嶋田さんは請け負ってくれた。
「怪我のせいであんまり散歩してあげられなかったから、一緒にソラを散歩に連れて行ってくれない?」
と美和子さんに言われると、全く渋る様子もなく、そのまま2人で散歩に行ってしまった。
嶋田さんと俺は今撮った写真をパソコンに落として、確認する。
「ちゃんと笑う子じゃない。多分緊張しいな子なだけ。」
あんまり笑う事がないと思っていた壮の笑顔がパソコン画面に溢れていた。
どちらかと言うと全体図を撮っていた俺に対して、嶋田さんは望遠でひたすら壮のアップを狙っていたようだ。
「しかも賢い子だね。」
「…賢い、ですか?」
うん、と嶋田さんは頷いた。
「ホラ、カメラに気付く前はあんまり立ち位置気にしてないでしょう。コレとかコレ。皇くんとソラの間に壮くんがいる。
だけど、カメラに気付いてからはソラと皇くんの間には立ってない。」
「多分だけど。パッと空気を読んで、自分に求められる事を理解しちゃうタイプ。」
母に邪険に扱われ続けて母に甘えることをしなくなった壮、そういうことだったのかもしれない。
あれだけの時間で嶋田さんは壮を見抜いた事に驚いた。それを「賢い」と表現する嶋田さんの優しさ。
自己主張がない、周りに流されやすい、壮への評価はマイナスの言葉をよく使われる。
「何かに一生懸命になっている時に、あんまり意識させないようにカメラを向けたら、きっと良い顔たくさん見せてくれると思うよ。」
だから翠ちゃんや疾風くんを撮った時のように話術で構図を作るんじゃなくて、とりあえずオート設定のままでも良いから、たくさんシャッターを押して、たくさんデータを残す。
それからパソコンで引き伸ばしたり加工していく方が、良い写真を残せるんじゃないか?
良いカメラと望遠レンズは必須かもね、と嶋田さんは笑う。
「それよりもさあ、壮くんフリスビードッグとか興味ないかなぁ。今日のソラと壮くんの雰囲気、悪くないと思うんだよね。」
「フリスビードッグ、ですか?」
嶋田さんとソラは以前フリスビードックの練習をしてて、大会も本気で考えていた。
だけど、市の広報課という職業柄、土日のイベントは仕事になりがちで、大会とも被りがちで。
半ば諦めていたんだそうだ。
「もうすぐ夏休みだし、少しソラと壮くんで練習して、いい感じなら8月末くらいに良い大会があれば出てみる。」
ゴクリ、息を飲んだ。
嶋田さんは超能力でもあるのだろうか。
…多分壮に必要なのはこういう経験なんじゃないか?
俺とでは甘えがちで、父や母とでは萎縮しがち。友達とでは遠慮しがち。
じゃあ、ソラとなら?
「…良いんですか?」
もちろん、と嶋田さんは笑う。
「せっかくソラが練習してきたのに、俺の都合で大会に出られないんだから、きっとソラも喜ぶ。」
「…壮がやる気になるのなら。是非お願いしたいです。あと、ご迷惑じゃなければ。」
その心配は要らないよ、壮くん僕たちの孫みたいに可愛がらせてよ、と嶋田さんは請け負ってくれた。
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