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芸術鑑賞教室 菜々子
美女と野獣
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とうとう3学期が始まった。
3学期の最初の行事は「芸術鑑賞教室」だ。
古典芸能、管弦楽、観劇と3年おきにどれかを見る。
今年は観劇、「ミュージカル美女と野獣」だ。
和津くんが知らなかった有名なアニメを舞台化したこの話。
タイトルを教えられた時、クラスが湧いた。
「和津!良かったな。疑問が溶ける!」
「…もう知ってる。」
私は和津くんが知らなかったことを知らなくて。
訳もわからないまま、王子様の衣装を着て3時間、廊下に立っていたらしい。
さぞ賑やかな事だったろう。
「じゃ、学級委員、リーダーにチケット配って。」
原田先生の掛け声で私が立ち上がる。
「5枚。」
「えっ!?ああ。」
みんなで話して決めた。
この観劇は女の子で並んで観る、と。
理由は2つ。
「ねえ、もう少し女子の絆を強くしない?」
カルタ会の、あの全員集合の帰り道、そう言い出したのは優ちゃん。
「絵里が、私たちに相談出来なかったのは、きっと私達に遠慮してたから…かもしれない。」
「…そうだね。」
絵里ちゃんはみんなには自分の「良い面」だけを見て欲しいと思うところがあった。
実際、私は絵里ちゃんの強くてカッコいいところしか見てなかった。
ストーカー被害に遭っている事を言えなかったのもそうだし、好きな人との関係がおかしくなっていたこともそう。
言えないでいたのも納得してる。
「別にさ、和津や北斗がダメって訳じゃないけど、そればっかりになるのも違う気がする。」
って優ちゃんは言うけれど、
「別に私や花音が側にいれば良いんじゃない?」
って思う。
優ちゃんの側に北斗くんがいるのも翠ちゃんの側に和津くんがいるのも、もう見慣れた当たり前の光景。
絵里ちゃんのそばに富田くんや須藤くんがいるのも同じだった。
「ううん、きっとみんなの方がいい。その方がきっと楽しい。」
翠ちゃんまでそんな事を言い始めた。
だから、
「とりあえず、一回集まってみる?」
と、女子だけの会を企画した。
3学期の最初の行事は「芸術鑑賞教室」だ。
古典芸能、管弦楽、観劇と3年おきにどれかを見る。
今年は観劇、「ミュージカル美女と野獣」だ。
和津くんが知らなかった有名なアニメを舞台化したこの話。
タイトルを教えられた時、クラスが湧いた。
「和津!良かったな。疑問が溶ける!」
「…もう知ってる。」
私は和津くんが知らなかったことを知らなくて。
訳もわからないまま、王子様の衣装を着て3時間、廊下に立っていたらしい。
さぞ賑やかな事だったろう。
「じゃ、学級委員、リーダーにチケット配って。」
原田先生の掛け声で私が立ち上がる。
「5枚。」
「えっ!?ああ。」
みんなで話して決めた。
この観劇は女の子で並んで観る、と。
理由は2つ。
「ねえ、もう少し女子の絆を強くしない?」
カルタ会の、あの全員集合の帰り道、そう言い出したのは優ちゃん。
「絵里が、私たちに相談出来なかったのは、きっと私達に遠慮してたから…かもしれない。」
「…そうだね。」
絵里ちゃんはみんなには自分の「良い面」だけを見て欲しいと思うところがあった。
実際、私は絵里ちゃんの強くてカッコいいところしか見てなかった。
ストーカー被害に遭っている事を言えなかったのもそうだし、好きな人との関係がおかしくなっていたこともそう。
言えないでいたのも納得してる。
「別にさ、和津や北斗がダメって訳じゃないけど、そればっかりになるのも違う気がする。」
って優ちゃんは言うけれど、
「別に私や花音が側にいれば良いんじゃない?」
って思う。
優ちゃんの側に北斗くんがいるのも翠ちゃんの側に和津くんがいるのも、もう見慣れた当たり前の光景。
絵里ちゃんのそばに富田くんや須藤くんがいるのも同じだった。
「ううん、きっとみんなの方がいい。その方がきっと楽しい。」
翠ちゃんまでそんな事を言い始めた。
だから、
「とりあえず、一回集まってみる?」
と、女子だけの会を企画した。
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