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芸術鑑賞教室 菜々子
劇場を出たら
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劇場を出たら雪国だった。
「うわ、やっぱり降った!」
「すごーい、真っ白。」
天気予報の雪予想は出ていたけれど、そんなには積もらないとも言われていた。
だけど、たったの2時間ちょっとで都会の街並みは真っ白な世界に変わってた。
「とりあえず帰る。寄り道はナシ!」
そう宣言したのは富田くん。
「えー、俺腹減った…。」
北斗くんや須藤くんの文句を富田くんが、
「雪で電車止まって帰れなくなっても良いなら好きにしろ。」
と一喝する。
「…そうだね。帰れなくなると困るよね。」
誰ともなく言い出して、みんなで急いで地下鉄の入り口に向かう。
「傘ないの?無いなら一緒に入って。」
そのまま歩き出そうとした須藤くんに差していた傘を差し出した。
「菜々子悪いな、サンキュー。俺持つよ。」
背の高い須藤くんが持った方が歩きやすいから、逆らわずに持ち手を預けた。
男の子で傘を持っていたのは悠太くんだけ。
後はみんな女の子の傘の中に収まった。
(…初めてだ。)
男の子と一緒に傘をさすのは初めて。
「肩濡れるよ。」
須藤くんは斜めに、私の方がたくさん傘に入れるように差してくれてて…。
「いや、頭だけ濡れなければ充分。」
とやっぱり優しい。
たった数100メートル程の距離。
行きとは違って劇場から1番近い駅を利用する事になった。
フラグが立った事に私は気付けない。
都会の雪はコンクリートに当たるとすぐに溶ける。通りを歩く人の歩いた跡と駅ビルから漏れ出る暖房の熱と合わさって、歩道はグチャグチャの水浸しで。
ツルっと滑った。
「わっ!」
転ぶ!
そう思ったのに強い力で引っ張りあげられた。
「…大丈夫、危なかったな。」
そう言って私を両手でしっかりと支えてくれたのは須藤くんで。
「おい!仁志傘!」
後ろを歩いていた皇子くんの声が掛かる。
…傘?
「あっ、やべ。」
慌てて私を支えようと須藤くんが手放した傘は風に煽られて車道に転がって。
取りに行こうとして止められた。
「危ない!車来てる!」
その瞬間、私の傘はトラックに思いっきり轢かれた。
「「あっ!」」
みんなの声が合わさった。
「…ごめん菜々子。」
車が途切れるのを待って、グチャグチャになった傘を拾ってくれた須藤くん。
「…もう差せない…よな。ごめん。」
「大丈夫、転んだ私が悪いから。気にしないで。」
それよりも濡れるから、行こう!と歩き出した。
駅に着いて、傘を無理やり折り畳んでカバンに押し込んだ。
須藤くんと一緒に歩いていたから、なんとなく須藤くんと話しをする。
須藤くんの近くに絵里ちゃんと富田くん。
他のみんなは隣のドアの方で少し離れてる。
絵里ちゃんと富田くんは手を繋いでて…。
なんとなく離れ難さを感じた。
須藤くんはきっと2人の側にいるのは苦じゃない…無いんだけど。
2人の側にひとりいる須藤くんを見ているのが、なんとなく辛い…ような…気がした。
「うわ、やっぱり降った!」
「すごーい、真っ白。」
天気予報の雪予想は出ていたけれど、そんなには積もらないとも言われていた。
だけど、たったの2時間ちょっとで都会の街並みは真っ白な世界に変わってた。
「とりあえず帰る。寄り道はナシ!」
そう宣言したのは富田くん。
「えー、俺腹減った…。」
北斗くんや須藤くんの文句を富田くんが、
「雪で電車止まって帰れなくなっても良いなら好きにしろ。」
と一喝する。
「…そうだね。帰れなくなると困るよね。」
誰ともなく言い出して、みんなで急いで地下鉄の入り口に向かう。
「傘ないの?無いなら一緒に入って。」
そのまま歩き出そうとした須藤くんに差していた傘を差し出した。
「菜々子悪いな、サンキュー。俺持つよ。」
背の高い須藤くんが持った方が歩きやすいから、逆らわずに持ち手を預けた。
男の子で傘を持っていたのは悠太くんだけ。
後はみんな女の子の傘の中に収まった。
(…初めてだ。)
男の子と一緒に傘をさすのは初めて。
「肩濡れるよ。」
須藤くんは斜めに、私の方がたくさん傘に入れるように差してくれてて…。
「いや、頭だけ濡れなければ充分。」
とやっぱり優しい。
たった数100メートル程の距離。
行きとは違って劇場から1番近い駅を利用する事になった。
フラグが立った事に私は気付けない。
都会の雪はコンクリートに当たるとすぐに溶ける。通りを歩く人の歩いた跡と駅ビルから漏れ出る暖房の熱と合わさって、歩道はグチャグチャの水浸しで。
ツルっと滑った。
「わっ!」
転ぶ!
そう思ったのに強い力で引っ張りあげられた。
「…大丈夫、危なかったな。」
そう言って私を両手でしっかりと支えてくれたのは須藤くんで。
「おい!仁志傘!」
後ろを歩いていた皇子くんの声が掛かる。
…傘?
「あっ、やべ。」
慌てて私を支えようと須藤くんが手放した傘は風に煽られて車道に転がって。
取りに行こうとして止められた。
「危ない!車来てる!」
その瞬間、私の傘はトラックに思いっきり轢かれた。
「「あっ!」」
みんなの声が合わさった。
「…ごめん菜々子。」
車が途切れるのを待って、グチャグチャになった傘を拾ってくれた須藤くん。
「…もう差せない…よな。ごめん。」
「大丈夫、転んだ私が悪いから。気にしないで。」
それよりも濡れるから、行こう!と歩き出した。
駅に着いて、傘を無理やり折り畳んでカバンに押し込んだ。
須藤くんと一緒に歩いていたから、なんとなく須藤くんと話しをする。
須藤くんの近くに絵里ちゃんと富田くん。
他のみんなは隣のドアの方で少し離れてる。
絵里ちゃんと富田くんは手を繋いでて…。
なんとなく離れ難さを感じた。
須藤くんはきっと2人の側にいるのは苦じゃない…無いんだけど。
2人の側にひとりいる須藤くんを見ているのが、なんとなく辛い…ような…気がした。
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