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愛するのは魂
身代わりなんて必要ない
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「私が何故、貴女にこんなに夢中なのか。その理由が知りたいのですね? 」
「だって…」
「私が貴女に夢中なのは、貴女の魂を愛しているからです」
魂?
なにを言っているの?
フッと小さくため息をついたセシレーヌ。
「理由を言葉にはできません。初めて会った時、確かに貴女の後ろのメイシスが見えました。そしてメイシスが、貴女に大切な心臓をあげた事も教えてくれました。でも、それだけで貴女を愛したわけじゃありません。…ずっと10年、誰とも再婚しないと決めて生きてきました。メイシス以外、愛せる人なんていないと思っていましたから。でも貴女を見た瞬間に、そんな思いは消えてしまいました」
「あんな顔の私に? ありえないでしょう? 」
「容姿なんて見ていません。私が見ているのは、魂だけです。貴女の清らかな魂に、惹かれたのです。貴女を初めて見た時、炎に包まれている貴女が見えました。それでも、一生懸命に生きてきた貴女が見えました。…貴女の隠された部分はきっと、火傷の跡なのだろうと思いました。だから、無事に助かったら、真っ先に貴女の火傷の跡を消そうと決めていたのです」
セシレーヌは俯いてしまい、何も言えなくなってしまった。
そんなに想われたことはないから…
いつも非難される事しかなかったから…。
あんな顔の私に、そんな想いを向けてくれるなんて…。
セシレーヌの胸がキュンと鳴った。
(もう素直になって…。全部、貴女のものなの。他の誰のものでもないの…)
胸の奥の方から聞こえてきた声に、セシレーヌはハッとなった。
この声は…王妃様?
前にも確か聞こえたことがあった。
他の誰のものでもないの?
この心臓は私のものだって、思っていいって事なの?
(そうよ。今生きている人が幸せになる事が、亡くなった人の幸せなの。…貴女のご両親も、そう願っているのよ。
今を見て。過去は見ないで、今現在をちゃんと見て。貴女の目の前には、貴女の事を心から愛してくれる人がいるのよ…)
そう言われて、セシレーヌはゆっくりとジュニアールを見た。
目と目が合うと、ジュニアールはそっと微笑んでくれた。
「セシレーヌさん。先日、娘のミディスに会いましたよね? 」
「会ったけど…」
「ミディスも同じことを言っていました。貴女の事を、とても気にって。新しいお母さんには、貴女じゃないとダメだと言いきっていましたよ」
「…私は、王妃様の代わりなんてなれない! どんなに逆立ちしたって、無理! 」
「代わりなんて、誰も求めていません。誰の代わりでもない、貴女自身が必要なだけです」
「あんたの愛する人を、殺した私なのに? 」
今にも泣きそうな目をしてセシレーヌはそう言った。
そんなセシレーヌを、ジュニアールはそっと抱きしめた…。
なんで抱きしめてくれるの?
大切な人を殺したって言っているのに…どうして?
「…殺してなんていません。ちゃんと生きています…貴女の中でメイシスは、生きているのです。…貴女が生きていてくれた事で、私はこうして元気になれたのですよ」
ポタリ…セシレーヌの肩に、涙が落ちてきた…。
その涙はジュニアールの涙だった。
「何で…泣いているの? …」
「嬉しいからです。貴女が生きていてくれて…そして…メイシスの心臓を受け継いでいてくれていて…」
「なんで? …心臓さえあれば、王妃様は目を覚ましたかもしれない…また生き返ったかもしれないのに…」
「いいえ。メイシスの魂が決めて来た事ですから、それは逆らえない事だったのです。…貴女のせいではありません…」
こんなに優しい人が世の中に居たの?
いつも…酷い事しか言われなかったのに…。
私が生きていていいの?
私が…私が…。
想いが込みあがってきて、セシレーヌは涙溢れてきて泣き出してしまった。
そんなセシレーヌを、ジュニアールはそっと慰めた。
「泣きたいだけ、思いきり泣いて下さい。今までずっと、泣く事を我慢して頑張って来たのですから。思いきり泣いて、もう終わらせましょう。…私も、終わらせますから」
「ごめんなさい…」
「謝る事なんて、何もありません」
「…愛している人と、もっと一緒に居たかったでしょう? 」
「それはそうですが、でもその愛はもう鎮魂します。…今目の前にいる、貴女をこれからは愛してゆきます…」
そっと身体を離し、ジュニアールはセシレーヌをそっと見つめて両手で頬を包み込んだ。
「貴女の本当の気落ちを聞かせて下さい。もう、全て話してくれたのですから何も嘘をつくことはなくなりましたよね? 」
本当の気持ち…
私は目の前にいるこの人の事…
「…好きです…私も…」
そう素直に答えたセシレーヌは目が、スーッと優しくなっていった。
「本当は…初めて会った時から、ずっと胸が熱くて。絶対に、この人を助けるって思ったけど。…私なんかが好きになったって、叶うわけないって思っていたから。こんな顔だし…好きになっちゃダメって言い聞かせたの。…でも、突然、結婚してほしいって言われた時は、頭が真っ白になって…。絶対に、受け入れちゃだめだって、思って…嫌われなくちゃいけないからって思って…」
涙を拭いて、セシレーヌはもう一度ジュニアールを見つめた。
「私…国王様の事が、大好きです。…いいですか? こんな私が好きになっても。…今まで、恋なんてしてはいけないって思っていて。男の人となんて、付き合った事もないし。…口は悪いし…性格だって可愛くないし…。良い所なんて、これっぽっちもないけど…。こんな私でも、いいですか? 国王様の事、好きになっても」
素直に語るセシレーヌは、とても優しい目をしていた。
純真な目をして、ありのままのセシレーヌを見ると、これが本来の姿なのだとジュニアールは思った。
「大歓迎ですよ。貴女の初恋の相手が私なら、何も言う事はありません。私もこれからは、貴女の事を生涯愛し続けてゆきますから」
赤くなりセシレーヌは俯いてしまった。
そんなセシレーヌの顎をそっととったジュニアール…。
「セシレーヌさん…。いえ…セシレーヌ…愛しています、貴女を心から…」
スーっとジュニアールの顔が近づいてきて…
そっと唇が重なった…。
不意打ちのキスとは違い、とても心地よいキス…。
重なる唇から伝わって来る温もりが、とても暖かくて、頑なだったセシレーヌの心がゆっくりととかされてゆくのっを感じた…。
そっと唇が離れると、セシレーヌは照れてしまい視線を落とした。
「あの…。なんだか、ほっとしたらお腹がすきました」
ちょっと頬を赤くして、ジュニアールが言った。
「…夕飯食べますか? 国王様のお口に合うかどうかは、分かりませんが。お肉、余分に焼いてしまったので」
「え? いいのですか? 」
「はい、ちょっと冷めてしまったので温めますね」
食卓に並んでいた夕食を温め直し、セシレーヌとジュニアールは一緒にたべ始めた。
「このロールパンは手作りですか? 」
「はい、今朝慌てて作りました…だから、ちょっと固いと思います」
「いいえ、そんなことありませんよ。とっても美味しいです。このお肉も、とても良い具合に焼けていますね。お城のコック長よりも、ずっと上手ですよ」
「そんなこと言われたら、コック長さんに申し訳ないです。きっと、お城には国一番の腕を持ったコック長がいると思いますから」
そんな他愛ない会話を交わしながら食べる夕食。
お城の夕食に比べれば、質素なものかもしれない。
でも心が通じ合う人と一緒に食べる食事は、きっと、どんな物でも最高に美味しいだろう…。
その夜…。
ジュニアールはセシレーヌの家に泊る事にした。
ブックルに連絡をして、着替えを持って来てもらった。
セシレーヌは、こんな狭いマンションに国王様を宿泊させる事なんてできないと言ったが、今夜は離れたくないとジュニアールが言い出したのだ。
お城に来てもらい事も考えたが、いきなりお城に行く事も気が引けるとセシレーヌが言った。
長年一人暮らしをしていたセシレーヌだが、お風呂も綺麗にしてありトイレも綺麗に掃除している。
寝るベッドがシングルで、2人で寝るには狭すぎる事でセシレーヌはリビングで寝ると言い出した。
だが…
「どうして離れるのですか? 」
真顔でジュニアールが訪ねてきた。
「ベッドが狭いので…ゆっくり寝れませんから…」
「貴女が離れてしまう事の方が、よほど眠れません。一人にしないで下さい」
まるで子供がせがむように、ジュニアールはセシレーヌのパジャマの袖を引っ張ってきた。
どうしよう…
迷ったセシレーヌだが、断ってもジュニアールが引きさがりそうもない事から結局一緒に寝る事にした。
「だって…」
「私が貴女に夢中なのは、貴女の魂を愛しているからです」
魂?
なにを言っているの?
フッと小さくため息をついたセシレーヌ。
「理由を言葉にはできません。初めて会った時、確かに貴女の後ろのメイシスが見えました。そしてメイシスが、貴女に大切な心臓をあげた事も教えてくれました。でも、それだけで貴女を愛したわけじゃありません。…ずっと10年、誰とも再婚しないと決めて生きてきました。メイシス以外、愛せる人なんていないと思っていましたから。でも貴女を見た瞬間に、そんな思いは消えてしまいました」
「あんな顔の私に? ありえないでしょう? 」
「容姿なんて見ていません。私が見ているのは、魂だけです。貴女の清らかな魂に、惹かれたのです。貴女を初めて見た時、炎に包まれている貴女が見えました。それでも、一生懸命に生きてきた貴女が見えました。…貴女の隠された部分はきっと、火傷の跡なのだろうと思いました。だから、無事に助かったら、真っ先に貴女の火傷の跡を消そうと決めていたのです」
セシレーヌは俯いてしまい、何も言えなくなってしまった。
そんなに想われたことはないから…
いつも非難される事しかなかったから…。
あんな顔の私に、そんな想いを向けてくれるなんて…。
セシレーヌの胸がキュンと鳴った。
(もう素直になって…。全部、貴女のものなの。他の誰のものでもないの…)
胸の奥の方から聞こえてきた声に、セシレーヌはハッとなった。
この声は…王妃様?
前にも確か聞こえたことがあった。
他の誰のものでもないの?
この心臓は私のものだって、思っていいって事なの?
(そうよ。今生きている人が幸せになる事が、亡くなった人の幸せなの。…貴女のご両親も、そう願っているのよ。
今を見て。過去は見ないで、今現在をちゃんと見て。貴女の目の前には、貴女の事を心から愛してくれる人がいるのよ…)
そう言われて、セシレーヌはゆっくりとジュニアールを見た。
目と目が合うと、ジュニアールはそっと微笑んでくれた。
「セシレーヌさん。先日、娘のミディスに会いましたよね? 」
「会ったけど…」
「ミディスも同じことを言っていました。貴女の事を、とても気にって。新しいお母さんには、貴女じゃないとダメだと言いきっていましたよ」
「…私は、王妃様の代わりなんてなれない! どんなに逆立ちしたって、無理! 」
「代わりなんて、誰も求めていません。誰の代わりでもない、貴女自身が必要なだけです」
「あんたの愛する人を、殺した私なのに? 」
今にも泣きそうな目をしてセシレーヌはそう言った。
そんなセシレーヌを、ジュニアールはそっと抱きしめた…。
なんで抱きしめてくれるの?
大切な人を殺したって言っているのに…どうして?
「…殺してなんていません。ちゃんと生きています…貴女の中でメイシスは、生きているのです。…貴女が生きていてくれた事で、私はこうして元気になれたのですよ」
ポタリ…セシレーヌの肩に、涙が落ちてきた…。
その涙はジュニアールの涙だった。
「何で…泣いているの? …」
「嬉しいからです。貴女が生きていてくれて…そして…メイシスの心臓を受け継いでいてくれていて…」
「なんで? …心臓さえあれば、王妃様は目を覚ましたかもしれない…また生き返ったかもしれないのに…」
「いいえ。メイシスの魂が決めて来た事ですから、それは逆らえない事だったのです。…貴女のせいではありません…」
こんなに優しい人が世の中に居たの?
いつも…酷い事しか言われなかったのに…。
私が生きていていいの?
私が…私が…。
想いが込みあがってきて、セシレーヌは涙溢れてきて泣き出してしまった。
そんなセシレーヌを、ジュニアールはそっと慰めた。
「泣きたいだけ、思いきり泣いて下さい。今までずっと、泣く事を我慢して頑張って来たのですから。思いきり泣いて、もう終わらせましょう。…私も、終わらせますから」
「ごめんなさい…」
「謝る事なんて、何もありません」
「…愛している人と、もっと一緒に居たかったでしょう? 」
「それはそうですが、でもその愛はもう鎮魂します。…今目の前にいる、貴女をこれからは愛してゆきます…」
そっと身体を離し、ジュニアールはセシレーヌをそっと見つめて両手で頬を包み込んだ。
「貴女の本当の気落ちを聞かせて下さい。もう、全て話してくれたのですから何も嘘をつくことはなくなりましたよね? 」
本当の気持ち…
私は目の前にいるこの人の事…
「…好きです…私も…」
そう素直に答えたセシレーヌは目が、スーッと優しくなっていった。
「本当は…初めて会った時から、ずっと胸が熱くて。絶対に、この人を助けるって思ったけど。…私なんかが好きになったって、叶うわけないって思っていたから。こんな顔だし…好きになっちゃダメって言い聞かせたの。…でも、突然、結婚してほしいって言われた時は、頭が真っ白になって…。絶対に、受け入れちゃだめだって、思って…嫌われなくちゃいけないからって思って…」
涙を拭いて、セシレーヌはもう一度ジュニアールを見つめた。
「私…国王様の事が、大好きです。…いいですか? こんな私が好きになっても。…今まで、恋なんてしてはいけないって思っていて。男の人となんて、付き合った事もないし。…口は悪いし…性格だって可愛くないし…。良い所なんて、これっぽっちもないけど…。こんな私でも、いいですか? 国王様の事、好きになっても」
素直に語るセシレーヌは、とても優しい目をしていた。
純真な目をして、ありのままのセシレーヌを見ると、これが本来の姿なのだとジュニアールは思った。
「大歓迎ですよ。貴女の初恋の相手が私なら、何も言う事はありません。私もこれからは、貴女の事を生涯愛し続けてゆきますから」
赤くなりセシレーヌは俯いてしまった。
そんなセシレーヌの顎をそっととったジュニアール…。
「セシレーヌさん…。いえ…セシレーヌ…愛しています、貴女を心から…」
スーっとジュニアールの顔が近づいてきて…
そっと唇が重なった…。
不意打ちのキスとは違い、とても心地よいキス…。
重なる唇から伝わって来る温もりが、とても暖かくて、頑なだったセシレーヌの心がゆっくりととかされてゆくのっを感じた…。
そっと唇が離れると、セシレーヌは照れてしまい視線を落とした。
「あの…。なんだか、ほっとしたらお腹がすきました」
ちょっと頬を赤くして、ジュニアールが言った。
「…夕飯食べますか? 国王様のお口に合うかどうかは、分かりませんが。お肉、余分に焼いてしまったので」
「え? いいのですか? 」
「はい、ちょっと冷めてしまったので温めますね」
食卓に並んでいた夕食を温め直し、セシレーヌとジュニアールは一緒にたべ始めた。
「このロールパンは手作りですか? 」
「はい、今朝慌てて作りました…だから、ちょっと固いと思います」
「いいえ、そんなことありませんよ。とっても美味しいです。このお肉も、とても良い具合に焼けていますね。お城のコック長よりも、ずっと上手ですよ」
「そんなこと言われたら、コック長さんに申し訳ないです。きっと、お城には国一番の腕を持ったコック長がいると思いますから」
そんな他愛ない会話を交わしながら食べる夕食。
お城の夕食に比べれば、質素なものかもしれない。
でも心が通じ合う人と一緒に食べる食事は、きっと、どんな物でも最高に美味しいだろう…。
その夜…。
ジュニアールはセシレーヌの家に泊る事にした。
ブックルに連絡をして、着替えを持って来てもらった。
セシレーヌは、こんな狭いマンションに国王様を宿泊させる事なんてできないと言ったが、今夜は離れたくないとジュニアールが言い出したのだ。
お城に来てもらい事も考えたが、いきなりお城に行く事も気が引けるとセシレーヌが言った。
長年一人暮らしをしていたセシレーヌだが、お風呂も綺麗にしてありトイレも綺麗に掃除している。
寝るベッドがシングルで、2人で寝るには狭すぎる事でセシレーヌはリビングで寝ると言い出した。
だが…
「どうして離れるのですか? 」
真顔でジュニアールが訪ねてきた。
「ベッドが狭いので…ゆっくり寝れませんから…」
「貴女が離れてしまう事の方が、よほど眠れません。一人にしないで下さい」
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