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命を紡ぎ愛を紡いだその先にある物語
選んだのは政略結婚
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シャルロに届いた一通の縁談申し込み。
それは政略結婚だった。
縁談申し込みの相手は、北グリーンピアトで弁護士をやっているペリロッドと言う資産家の娘。
ペリロッドが腕利きの弁護士で、お金がない人にも無償で弁護を引き受けると有名で、遠い北の地の弁護士だがグリーンピアトにもお呼びがかかり依頼する人も増えている。
半年前に北からグリーンピアトに移住してきて、現在はグリーンピアトの港付近に大きな屋敷を建て暮らしている。
貴族よりも立派な屋敷に、周りも驚く程で、使用人も20名ほどいると言われている。
彫りの深い凛々しい顔立ちにスラっとした長身。
どこから見ても文句がない紳士で、物腰も低く言葉も丁寧で人脈も深い人である。
そんなペリロッドの娘が縁談の相手であるが…。
この縁談には条件があった。
結婚が決まり結婚式まで娘の名前も素顔も明かせません。
写真もお見せできません。
その代わり、結婚を承諾して下されば結納金として10憶ギロ差し上げます。
このお金があれば王室の赤字は回避でき、国民にも寄付できる事からグリーンピアトも安泰すると思われます。
そんな条件を王室相手に出してくるとは…。
確かしに今の王室は妃を迎えるにしても、結納金を出せる状態ではない。
10憶ギロも貰えれば、王室は確かに黒字になり国民にも寄付が出来る事は間違いない。
だが、結婚式まで顔も見せない名前も教えないではどんな人なのかも分からないままである。
そんな結婚を申しでてくるとは…。
ジュニアールはこの縁談を聞いた時、とても怪しいと思ったが、何となく相手側に悪意は感じなかった。
それ故にそのままシャルロに縁談の話を持って行ったが。
どうせ断るのだろうと思っていた。
しかし承諾してくれるとは意外なものだった。
もしかして10憶と言う大金がもらえる事で、我慢して承諾したのだろうか?
そう思ったジュニアールだが。
結婚を決めて日に日に、イキイキしているシャルロを見ているととても幸せそうに見えた。
城下町の偵察に行っても、とても上機嫌で帰ってきたり、ジュニアールの仕事を手伝っていても嬉しそうに笑いだしたり。
なにをしても笑って許してもらえそうなくらいで、いつも穏やかな表情のシャルロがもっと微笑ましくなっていた。
時々、縁談の申し込み書類を見て何かを感じているようだが、結婚式が近づいて来るに連れて喜びに溢れる表情になっていった。
そんなシャルロを見ていると、ジュニアールはとても安心できた。
セシレーヌはシャルロの表情の変化に驚くばかりで「本当に大丈夫なの? 」と、時折心配して声をかけていた。
シャルロがどうして、こんなに喜んでいるのかは判らない。
どこか安心しているのか、それとも、お金がもらえる事で随分助かる事から愛なき結婚でも構わないと諦めているのか。
いつも笑顔のシャルロからは読み取れない。
結婚式の段取りは全て任せると言われ、結婚相手のウェディングドレスもシャルロが選んでいた。
シンプルなタイト系のスリムタイプの、上品な肩なしドレスに清楚なレースのヘッドドレスとダイヤのティアラを選んだシャルロ。
相手の体系も分からないのに、それで大丈夫なのだろうか? と、セシレーヌはちょっと心配していたが、満足そうにしているシャルロだった。
結婚式はやはり女性が主役だとも言っているシャルロ。
結婚式まで残すところ1週間になった。
国民にはシャルロの結婚が決まったとだけ、報告されている。
婚約会見は行わないとされ、相手の事も結婚式が終わり落ち着くまで公表しないと報じられている。
相手の事が何も分からない事から、貴族たちからは大クレームの言葉が多く飛び交っていた。
「そんな相手と結婚だなんで、絶対怪しい」
「平民の癖に顔を見せないとは、なんて無礼な奴だ」
「顔が見せられない素性も明かせない。そんな怪しい人間と結婚は、ありえない」
「王室始まって以来の、とんでもない妃だ」
と騒がれていたが、そんな声も結婚式が近づくと次第に落ち着いてきた。
貴族たちの大ブーイングが収まった頃。
シャルロは独身生活も残りわずかであるため、思いきり羽を伸ばしておこうと夜の城下町にやって来た。
結婚すると嫌でも顔も好評されてしまう。
そうなると自由がなくなり、いつも傍に誰かがついている状態でしか外出が出来なくなる。
一人の時間も楽しむことが出来なくなる。
そう思い今夜は朝まで飲み明かそうと思い、飲み屋街にやってきた。
普通の青年と変わらないラフなイエロー系のシャツに、黒系のズボンに白いスニーカー姿のシャルロ。
若者向きの帽子を被って、ちょっとだけ顔は隠しているが、それでもみろく的なシャルロはっちょっと目立っている。
シャルロがやって来たのは、行きつけの酒場。
ラフに飲める酒場で、港で働いている男達が多く集まってくることからとても活気がある。
荒い言葉使いも飛び交っているが、みんな悪気はなく楽しい人ばかりである。
ゴッツイ男の人や、痩せひょろっとした男の人や、こぶとの男の人やらといろんなタイプの人がいる。
普通のサラリーマン系の男性もいて、仕事の愚痴を吐きながら楽しく飲んでいる。
女子会のように集まっている女性もいて、派手な格好で肩を出した露出の高い服を着ている女性や、派手なメイクをして自分をアピールしている女性もいる。
今日は割と込み合っている酒場。
いつものようにシャルロが入ってくると。
「いらっしゃい」
と、元気な声で迎えてくれる女将さん。
ふっくらとしている小柄な60代前後の女性。
ちょっと派手な紫色のワンピースで、スカート丈は膝下10cm程だが両脇にスリットが入って太ももまで見え色っぽい姿だが、ふっくらした体形故に足も太目であるが、酒場に来る男性はそれでも見るのが楽しいと言っている。
靴は黒い系のハイヒール。
長い髪は綺麗に後ろでアップに結っていて、耳には大きなひし形のピアスを着けている。
メイクはそれほど派手にしていないが、真っ赤な口紅が目立っている。
シャルロはいつものようにカウンターに座った。
「お兄さん、今日もいつものでいいかい? 」
「はい、お願いします」
手際よく女将さんが作ってくれたのは、綺麗なブルー系のカクテル。
ちょっと大きめのワイングラスに注がれたカクテルの中に、赤いサクランボが入っていて上品に炭酸が泡立って浮かんでくる。
カクテルが出てくると、シャルロは嬉しそうに微笑んで一口飲んだ。
カクテルを飲んだシャルロは、不意に辺りを見渡した。
すると…。
カウンターの隅で一人飲んでいる女性が目に入った。
ドキッとシャルロの胸が大きく高鳴った…。
何だろう? この気持ち…。
胸の奥から込みあがって来る感情に、シャルロはちょっと戸惑った。
もう一度、女性を見てみたシャルロ。
静かに、細長いグラスでシャンパンのようなものを飲んでいる女性の横顔が、何となく寂しげに見えた…。
綺麗なブロンドの髪が、肩まで長く、片耳にかけている姿が何だか色っぽく見える。
かっちりした黒系のスーツに、膝丈の黒いスカートに黒いパンプス姿は、生真面目な感じを受ける。
ほっそりしたシャープな顎のライン。
そして色っぽく見える首筋…。
長い前髪で表情を隠しているのか、ちょっと俯き加減で一人で飲み続けている女性を見ていると、シャルロは自然と体が動いてその女性へ歩み寄って行った。
「あの…」
シャルロが声をかけると、女性はビクッと肩を竦ませた。
ゆっくりとシャルロを見た女性…。
シャルロは女性の顔を見ると、一瞬だけ驚いた目をしたが、すぐに目が潤んできた。
女性の顔は痛々しそうで、左目には眼帯をあてていた。
よく見ると左手の甲には包帯がまいてあった。
なんでこんなに傷だらけなの?
何も悪い事なんてしていないのに…。
そう思ってシャルロが見ていると。
「なんでしょうか? 」
消え入りそうな声で女性が訪ねてきた。
「すみません、突然声をかけてしまって。お隣、宜しいですか? 」
ちょっと驚いた目をした女性だったがそっと頷いてくれた。
シャルロが隣に座ると、女性は肩を竦めた。
「お仕事の帰りですか? 」
「はい…」
「お疲れ様です。いつも、来られるのですか? 」
「いえ…。本日は、お仕事が終わりの日で…一人で、お祝いをしておりました…」
上品な言葉使いに、綺麗な声…。
この人は平民?
「お祝いをしていたのですね? それでは、僕も一緒にお祝いさせて下さい」
カチンと女性のグラスに自分のグラスを重ねたシャルロ。
「有難うございます…。嬉しいです…」
口元でそっと微笑んで女性はシャンパンをちょっとずつ飲んだ。
それは政略結婚だった。
縁談申し込みの相手は、北グリーンピアトで弁護士をやっているペリロッドと言う資産家の娘。
ペリロッドが腕利きの弁護士で、お金がない人にも無償で弁護を引き受けると有名で、遠い北の地の弁護士だがグリーンピアトにもお呼びがかかり依頼する人も増えている。
半年前に北からグリーンピアトに移住してきて、現在はグリーンピアトの港付近に大きな屋敷を建て暮らしている。
貴族よりも立派な屋敷に、周りも驚く程で、使用人も20名ほどいると言われている。
彫りの深い凛々しい顔立ちにスラっとした長身。
どこから見ても文句がない紳士で、物腰も低く言葉も丁寧で人脈も深い人である。
そんなペリロッドの娘が縁談の相手であるが…。
この縁談には条件があった。
結婚が決まり結婚式まで娘の名前も素顔も明かせません。
写真もお見せできません。
その代わり、結婚を承諾して下されば結納金として10憶ギロ差し上げます。
このお金があれば王室の赤字は回避でき、国民にも寄付できる事からグリーンピアトも安泰すると思われます。
そんな条件を王室相手に出してくるとは…。
確かしに今の王室は妃を迎えるにしても、結納金を出せる状態ではない。
10憶ギロも貰えれば、王室は確かに黒字になり国民にも寄付が出来る事は間違いない。
だが、結婚式まで顔も見せない名前も教えないではどんな人なのかも分からないままである。
そんな結婚を申しでてくるとは…。
ジュニアールはこの縁談を聞いた時、とても怪しいと思ったが、何となく相手側に悪意は感じなかった。
それ故にそのままシャルロに縁談の話を持って行ったが。
どうせ断るのだろうと思っていた。
しかし承諾してくれるとは意外なものだった。
もしかして10憶と言う大金がもらえる事で、我慢して承諾したのだろうか?
そう思ったジュニアールだが。
結婚を決めて日に日に、イキイキしているシャルロを見ているととても幸せそうに見えた。
城下町の偵察に行っても、とても上機嫌で帰ってきたり、ジュニアールの仕事を手伝っていても嬉しそうに笑いだしたり。
なにをしても笑って許してもらえそうなくらいで、いつも穏やかな表情のシャルロがもっと微笑ましくなっていた。
時々、縁談の申し込み書類を見て何かを感じているようだが、結婚式が近づいて来るに連れて喜びに溢れる表情になっていった。
そんなシャルロを見ていると、ジュニアールはとても安心できた。
セシレーヌはシャルロの表情の変化に驚くばかりで「本当に大丈夫なの? 」と、時折心配して声をかけていた。
シャルロがどうして、こんなに喜んでいるのかは判らない。
どこか安心しているのか、それとも、お金がもらえる事で随分助かる事から愛なき結婚でも構わないと諦めているのか。
いつも笑顔のシャルロからは読み取れない。
結婚式の段取りは全て任せると言われ、結婚相手のウェディングドレスもシャルロが選んでいた。
シンプルなタイト系のスリムタイプの、上品な肩なしドレスに清楚なレースのヘッドドレスとダイヤのティアラを選んだシャルロ。
相手の体系も分からないのに、それで大丈夫なのだろうか? と、セシレーヌはちょっと心配していたが、満足そうにしているシャルロだった。
結婚式はやはり女性が主役だとも言っているシャルロ。
結婚式まで残すところ1週間になった。
国民にはシャルロの結婚が決まったとだけ、報告されている。
婚約会見は行わないとされ、相手の事も結婚式が終わり落ち着くまで公表しないと報じられている。
相手の事が何も分からない事から、貴族たちからは大クレームの言葉が多く飛び交っていた。
「そんな相手と結婚だなんで、絶対怪しい」
「平民の癖に顔を見せないとは、なんて無礼な奴だ」
「顔が見せられない素性も明かせない。そんな怪しい人間と結婚は、ありえない」
「王室始まって以来の、とんでもない妃だ」
と騒がれていたが、そんな声も結婚式が近づくと次第に落ち着いてきた。
貴族たちの大ブーイングが収まった頃。
シャルロは独身生活も残りわずかであるため、思いきり羽を伸ばしておこうと夜の城下町にやって来た。
結婚すると嫌でも顔も好評されてしまう。
そうなると自由がなくなり、いつも傍に誰かがついている状態でしか外出が出来なくなる。
一人の時間も楽しむことが出来なくなる。
そう思い今夜は朝まで飲み明かそうと思い、飲み屋街にやってきた。
普通の青年と変わらないラフなイエロー系のシャツに、黒系のズボンに白いスニーカー姿のシャルロ。
若者向きの帽子を被って、ちょっとだけ顔は隠しているが、それでもみろく的なシャルロはっちょっと目立っている。
シャルロがやって来たのは、行きつけの酒場。
ラフに飲める酒場で、港で働いている男達が多く集まってくることからとても活気がある。
荒い言葉使いも飛び交っているが、みんな悪気はなく楽しい人ばかりである。
ゴッツイ男の人や、痩せひょろっとした男の人や、こぶとの男の人やらといろんなタイプの人がいる。
普通のサラリーマン系の男性もいて、仕事の愚痴を吐きながら楽しく飲んでいる。
女子会のように集まっている女性もいて、派手な格好で肩を出した露出の高い服を着ている女性や、派手なメイクをして自分をアピールしている女性もいる。
今日は割と込み合っている酒場。
いつものようにシャルロが入ってくると。
「いらっしゃい」
と、元気な声で迎えてくれる女将さん。
ふっくらとしている小柄な60代前後の女性。
ちょっと派手な紫色のワンピースで、スカート丈は膝下10cm程だが両脇にスリットが入って太ももまで見え色っぽい姿だが、ふっくらした体形故に足も太目であるが、酒場に来る男性はそれでも見るのが楽しいと言っている。
靴は黒い系のハイヒール。
長い髪は綺麗に後ろでアップに結っていて、耳には大きなひし形のピアスを着けている。
メイクはそれほど派手にしていないが、真っ赤な口紅が目立っている。
シャルロはいつものようにカウンターに座った。
「お兄さん、今日もいつものでいいかい? 」
「はい、お願いします」
手際よく女将さんが作ってくれたのは、綺麗なブルー系のカクテル。
ちょっと大きめのワイングラスに注がれたカクテルの中に、赤いサクランボが入っていて上品に炭酸が泡立って浮かんでくる。
カクテルが出てくると、シャルロは嬉しそうに微笑んで一口飲んだ。
カクテルを飲んだシャルロは、不意に辺りを見渡した。
すると…。
カウンターの隅で一人飲んでいる女性が目に入った。
ドキッとシャルロの胸が大きく高鳴った…。
何だろう? この気持ち…。
胸の奥から込みあがって来る感情に、シャルロはちょっと戸惑った。
もう一度、女性を見てみたシャルロ。
静かに、細長いグラスでシャンパンのようなものを飲んでいる女性の横顔が、何となく寂しげに見えた…。
綺麗なブロンドの髪が、肩まで長く、片耳にかけている姿が何だか色っぽく見える。
かっちりした黒系のスーツに、膝丈の黒いスカートに黒いパンプス姿は、生真面目な感じを受ける。
ほっそりしたシャープな顎のライン。
そして色っぽく見える首筋…。
長い前髪で表情を隠しているのか、ちょっと俯き加減で一人で飲み続けている女性を見ていると、シャルロは自然と体が動いてその女性へ歩み寄って行った。
「あの…」
シャルロが声をかけると、女性はビクッと肩を竦ませた。
ゆっくりとシャルロを見た女性…。
シャルロは女性の顔を見ると、一瞬だけ驚いた目をしたが、すぐに目が潤んできた。
女性の顔は痛々しそうで、左目には眼帯をあてていた。
よく見ると左手の甲には包帯がまいてあった。
なんでこんなに傷だらけなの?
何も悪い事なんてしていないのに…。
そう思ってシャルロが見ていると。
「なんでしょうか? 」
消え入りそうな声で女性が訪ねてきた。
「すみません、突然声をかけてしまって。お隣、宜しいですか? 」
ちょっと驚いた目をした女性だったがそっと頷いてくれた。
シャルロが隣に座ると、女性は肩を竦めた。
「お仕事の帰りですか? 」
「はい…」
「お疲れ様です。いつも、来られるのですか? 」
「いえ…。本日は、お仕事が終わりの日で…一人で、お祝いをしておりました…」
上品な言葉使いに、綺麗な声…。
この人は平民?
「お祝いをしていたのですね? それでは、僕も一緒にお祝いさせて下さい」
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