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EPILOGUE 新しい明日へ
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イオンとアルは再びセーラの丘に来ていた。
ちょうど、夕日が水平線の向こうに沈もうとしていた。あの時――戦争が始まる前、アルと別離する前に約束を交わした時と同じ空だった。
しかし、その間には多くのことがあり、ほとんど全てのものが以前とは比べ物にならないくらい急速に変化しつつあった。
ネーヴェのおかげで、海水が氷床となり、海水面は降下した。それによって水没していた島や大陸が再び現れた。そして、今まで環境難民となっていた多くの人々は元の住んでいた場所に徐々に戻り始めていった。
あの白い光に包まれた後、三人はオルタの森の入り口で倒れていた。そこを通りかかったコリの村の人に発見された。話を聞くと、ツォイク社の建物が爆発したと思ったら、その後すぐにラヴィーネ山から一筋の白い光が放たれたという。そして、気付いた時には、水没していた村の一部が浮き上がっていたらしい。土地が元に戻ったことと、村を占拠していたツォイク社がいなくなったことで、村はお祭り騒ぎになったそうだ。イオン達も祭りに誘われ、イオンとアルは参加することにした。
そして、ジンは――
「何か、不思議な人だったね。結局また旅に出るとか言って、お祭りも断ってすぐにいなくなっちゃった」
イオンは呟いた。ここまでイオンが挫けずにやってこれたのは、ほとんどジンのおかげだった。
「そうだね」
アルが頷く。
「まだ、お礼も言ってなかったのに……」
肩を落とすイオンに、アルは優しく微笑んだ。
「大丈夫だよ。きっとまた会える」
「何でそう言いきれるの?」
イオンが尋ねると、アルは肩をすくめた。
「わかんない。だけどそんな気がするんだ。彼とはまたそう遠くない未来で会えるって。こうして僕たちがまた出会えたようにね」
「そうね」
イオンは笑って頷いた。
世界は確実に変わろうとしている。
イオンは隣に立つアルの横顔を見た。
――もう二度と逢えないんじゃないかと思っていたその彼が、今こうしてここにいる。これ以上の幸せはなかった。
アルがイオンの視線に気付き、こちらを振り返った。
「どうしたの?」
「ううん」イオンは首を振った。
それからアルに寄り添った。
「夕日、きれいね」
「ああ」
アルがイオンを抱き寄せた。
約束の場所。そして再会の場所。セーラの丘を赤々と夕日が照らし出す。今日が終わる。だが、それは終わりなどではない。
新しい明日が始まろうとしていた。
-END-
ちょうど、夕日が水平線の向こうに沈もうとしていた。あの時――戦争が始まる前、アルと別離する前に約束を交わした時と同じ空だった。
しかし、その間には多くのことがあり、ほとんど全てのものが以前とは比べ物にならないくらい急速に変化しつつあった。
ネーヴェのおかげで、海水が氷床となり、海水面は降下した。それによって水没していた島や大陸が再び現れた。そして、今まで環境難民となっていた多くの人々は元の住んでいた場所に徐々に戻り始めていった。
あの白い光に包まれた後、三人はオルタの森の入り口で倒れていた。そこを通りかかったコリの村の人に発見された。話を聞くと、ツォイク社の建物が爆発したと思ったら、その後すぐにラヴィーネ山から一筋の白い光が放たれたという。そして、気付いた時には、水没していた村の一部が浮き上がっていたらしい。土地が元に戻ったことと、村を占拠していたツォイク社がいなくなったことで、村はお祭り騒ぎになったそうだ。イオン達も祭りに誘われ、イオンとアルは参加することにした。
そして、ジンは――
「何か、不思議な人だったね。結局また旅に出るとか言って、お祭りも断ってすぐにいなくなっちゃった」
イオンは呟いた。ここまでイオンが挫けずにやってこれたのは、ほとんどジンのおかげだった。
「そうだね」
アルが頷く。
「まだ、お礼も言ってなかったのに……」
肩を落とすイオンに、アルは優しく微笑んだ。
「大丈夫だよ。きっとまた会える」
「何でそう言いきれるの?」
イオンが尋ねると、アルは肩をすくめた。
「わかんない。だけどそんな気がするんだ。彼とはまたそう遠くない未来で会えるって。こうして僕たちがまた出会えたようにね」
「そうね」
イオンは笑って頷いた。
世界は確実に変わろうとしている。
イオンは隣に立つアルの横顔を見た。
――もう二度と逢えないんじゃないかと思っていたその彼が、今こうしてここにいる。これ以上の幸せはなかった。
アルがイオンの視線に気付き、こちらを振り返った。
「どうしたの?」
「ううん」イオンは首を振った。
それからアルに寄り添った。
「夕日、きれいね」
「ああ」
アルがイオンを抱き寄せた。
約束の場所。そして再会の場所。セーラの丘を赤々と夕日が照らし出す。今日が終わる。だが、それは終わりなどではない。
新しい明日が始まろうとしていた。
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