マスク ド キヨコ

居間一葉

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 小学生の私達には、その正しい意味が理解できなかった。ただ、3つある単語のうち、ボディビル、というワードだけはかろうじて意味がわかった。
「ボディビルだって」
 私達は笑いながら、テレビで見た筋肉隆々のボディビルダーを真似て、ポーズをとって、ゲラゲラと無邪気に笑った。
 どうせポーズをとるなら、ステージに上がってみよう。物おじしない性格の友人がそう言ったので、私達は連れ立ってステージに上がった。
「なんだこれ」
 ステージは板張りで、ところどころニスが剥げかけていた。そしてそのあちこちに、何か白いものが散らばっていたのである。かがんで目を寄せて見ると、それは細かく網目状に織り込まれた、半透明の薄い布のようであった。私はおそるおそる、指先でその布の端をつまむと、そのまま床の上を滑らせるようにして広げた。その布は長く、ほぼ筒状に近い構造をしていた。
 私と友人とは、その見慣れぬ筒状の布を、手当たり次第に引っ張り、伸ばしていった。布はところどころ破けているが、すべてに共通する特徴として、特に一か所が大きく裂けていた。
「変なの」
 布はすべてで十切れほどあった。そのすべてを広げ終えると同時に、それに対する私達の興味は薄れた。そこで、それ以上面白いものも見つからなさそうな、その寂れたホールを後にした。
 私達は次に、ホテルの中庭へと向かって行った。どこにでもある、いわゆるホテルの中庭らしい中庭であった。ところどころに松の木と、岩と、ツツジの低木とが植えられ、地面は芝生に覆われていた。あまり手入れは行き届いていないらしかった。本来、丸く刈り込まねばならないはずのツツジの木の枝が、かなり伸びていた。伸びた枝は私達の背丈を越えていて、その気になればその陰にすっぽりと隠れることのできるくらいの高さに達していた。
 私と友人とは、その中庭で、しばらく遊んだ。二人しかいないにも関わらず、かくれんぼや鬼ごっこをした。やがて、少し日が傾いてくるころには、さすがに旅の疲れと飽きとで、走り回るのは億劫になった。私達は、小さな池の傍にかがみ込んで、池の鯉に小石を投げつけて嫌がらせをする遊びを始めていた。
 ふと、私達の背後から、にぎやかな女性達の声がした。

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