黒髪だからと罪を着せられ奴隷にされた『元ギルドの受付嬢』黒髪青年に助けられチート魔法で『冒険者』生活満喫中! その頃、元いたギルドは大混乱!

なつきコイン

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第一部 借金奴隷編

第30話 森の魔獣

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 続けざまに「学園」の夢を見てしまいましたが、昨日とは違い、寝苦しかったわけではなく、朝の目覚めはスッキリしています。

 今日もベッドの端に座って、マーサルと今日の予定を決めます。

「だいぶ狩にも慣れてきたから、今日は森に入ってみようと思うのだけど、どうかしら?」
「いいんじゃないかな。森の方が稼げるんだろ?」
「そうね。森の方が、獲物の数も質も上だし、魔獣が出てくる可能性もあるわ」

「その、魔獣というのは何なんだい? 普通の獣と違うのか?」
「そうね。早い話、獣の中で魔法が使える個体が魔獣よ。
 魔法で攻撃してきたり、身体強化をしているから、普通の個体より強いわ。
 強い個体だから、当然大きくもなるし、体が変化していたりするわね」

「大きくなるだけじゃなく、体が変化もするのか?」
「ウサギに角が生えたホーンラビットとか、シルバーウルフは狼なのに体毛が銀色に変わっているわ」
「なるほどね――」

「当然、魔獣の方が質の高い素材が取れるし、狩るのも大変だから高く売れるわ」
「そうなると、実力が有れば魔獣を狙った方がいいわけか――」
「実力が有ればね――。実力がなければ、狩られるのはこっちになるわ」

「僕たちの実力で魔獣を相手にできるのかい?」
「ものによるわ。マーサルなら、アイスアローでホーンラビットなら、簡単に仕留められるだろうし、シルバーウルフは単体ならいいけど、群れになると厳しいかも。
 その辺の選択は、知覚強化で、私が上手くやるわ」
「頼りにしているよ」

「それじゃあ、今日は森に行くことでいいわね?」
「いいとも!」

 朝食を食べた後、いつも通り、ギルドで情報をチェックしてから、森に向かいます。

 ギルドでは、少し気になる噂話しが聞こえてきました。
 ミマスのギルドで取り付け騒ぎが起こり、窓口が閉鎖されたというものでした。

 一体何があったのでしょう?
 クビになった身としては今更ですが、心配になってしまいます。

 とは言っても、今の私にできることはありません。そのまま森に向かいました。

 森に着くと、私は知覚強化を駆使して、獲物を探します。
 見つけると、隠れ身で姿を隠して獲物に近付きます。

 逃げられないようにするというよりは、不意打ちを食らわせるためです。
 森の獣は逃げるより、襲ってくるものが多いですし、魔獣は基本、襲ってくるものしかいません。

 森での最初に見つけたのは、あの時、護送中に襲ってきたのと同じシルバーウルフでした。

 周囲に他の気配がありませんから、群れの一員ではなく、一匹狼なのでしょうか? こちらとしては好都合です!
「マーサル、シルバーウルフがいたわ、都合よく一匹よ!」
「了解。じゃあやるよ!」

 予め決めておいた手筈通りに、マーサルがアイスアローで攻撃します。

 眉間を目掛けての攻撃でしたが、姿を隠していたのにもかかわらず、勘づかれて躱されてしまいます。
 続いて私がグレイブで斬りつけます。
 首を狙った攻撃でしたが、これもすんでのところで躱されてしまい、逆にシルバーウルフが私に襲い掛かってきます。
 グレイブの柄でもって攻撃を凌ぎますが、体重の軽い私は押し負けして、体勢が崩れてしまいます。
 このままでは不味いと、思ったところに、マーサルが剣でシルバーウルフに斬りかかります。
 マーサルの剣はシルバーウルフの右肩辺りを掠めましたが、シルバーウルフがすかさず距離をとったため、致命傷にはなりません。

 マーサルが私を背に守りながら、剣をシルバーウルフに向け対峙します。

 私は体勢を立て直して、次の攻撃に備えながら、有効な攻撃方法はないか考えます。

 私に可能な攻撃となると、後は、なんちゃってファイヤボールです。
 これなら、当たれば消し炭でしょうが、それでは素材が取れません。
 ですが、今はそんなことを言っている場合ではありません。生き残ることを優先しなければ。

 それに、当たらなければ意味がありません。
 私は両手に一つずつ、合計二つのなんちゃってファイヤボールを作り出し、シルバーウルフに投げつけます。

「ファイヤボール擬×二!!」

 向かってくる二つのファイヤボール擬をシルバーウルフは躱します。
 躱されることは織り込み済みの私は、ファイヤボール擬の進路を変えて、シルバーウルフを追尾させます。

 それでも何度かファイヤボール擬を躱したシルバーウルフでしたが、流石に二つの同時の追撃は躱しきれず、ついにはファイヤボール擬を受け消し炭となってしまいました。

「なんとか倒せたけど、消し炭になっちゃたわ。ごめんなさい……」
「いや、今のは危なかったからね。むしろ、助かったよ。怪我はなかったかい?」
「私は大丈夫。マーサルは……」

 私たちはお互いの無事を確認していると、突然大きなファンファーレが鳴り響きました。

『パンパカパン! おめでとうございます! レベルが五つ上がりました!』

「いったい何事?」
 私とマーサルは顔を見合わせます。

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