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本来の目的を忘れてはいけません
第36話 工房 (ウォール)
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馬車に乗って到着したのは、mPadを作成している工房だ。
そうはいっても、mPadの本体を組み立ている所ではない。
ここは、mPadに組み込まれる魔法陣を設計するための工房なのである。
ところで、何故、王都でなく辺境領にmPadの工房があるかというと、それは、この工房を創ったのが俺だからだ。
だからこそ、見学の許可がすぐに出たわけで、普段は見学をお断りしている。
部外秘な技術が多数使われているためだ。
そんな企業秘密を学生に見せてもいいのかと思われるが、逆に、今のこいつらなら、見せても理解できないだろう。
それでも、魔術の素質ランク4が揃っているのだ。教え込めば将来役立つ人材になることだろう。
ようは、今のうちに、青田買いをしよう、という考えである。
「それでは魔術研究会の皆さんー、これから中に入りますが、写真は撮らないでくださいねー」
案内は、工房の新人で若手のお姉さんに任せてある。
「えー。写真撮っちゃ駄目なの?」
三年生で男爵家次女のレモンさんがお姉さんに聞き返す。
「企業秘密があちこちにありますからねー。写真を撮ると、産業スパイとして捕まりますよー」
「マジですか?」
「マジですよー。冗談ではありませんから気をつけてくださいねー。それじゃあ行きますよー」
俺たちは、お姉さんに先導され工房に足を踏み入れる。
ここの工房は、共同スペースが中央にあり、その周りに、個人ごとの区切られた作業スペースが並んでいる。
壁や家具などに木材が使われていて、温もりがあり、落ち着ける造りになっている。
そこで十数人の人が、思い思いの仕事をしている。
「ここでは、mPadに組み込まれる魔法陣を開発していますが、働いている人の殆どが魔術師なんです」
「魔法陣を作るのに、魔術師である必要はないと思うんですけど?」
「そうね。むしろ、手先の器用な人の方が向いているんじゃないかしら」
二年生で子爵家長女のラミンさんが疑問を口にすると、サテンさんも同じ考えのようだ。
「それは、今までの魔道具に魔法陣を刻み込む場合の話ですね」
昔は、魔道具一つ一つに手で刻み込んでいた。
「今は、こういったチップに魔法陣が刻み込まれています」
お姉さんは、スマホのSIMカードのような物を見せる。
「しかも、これ自体は機械で自動的に生産されています」
「それじゃあ、魔術師どころか、人手がいらないじゃない!」
サテンさんが不機嫌そうな声を出す。
それに対して、お姉さんは話を続けた。
「ここでやっているのは、このチップの開発、つまり、雛型を作ることです」
「それは魔術師でないとできないの?」
「魔術師でなくてもできないことはないですが、その場合も魔術師の協力が不可欠です」
「それはどうしてなの?」
「新しい魔法のアイデアは誰でも出せますが、それを魔法陣にして、ちゃんと動作するかテストするのは魔術師でないと難しいからですね」
「そうか、テストしないといけないのね」
「実際には魔法陣の開発は、トライアンドエラーの繰り返しです。何度もテストをしなければならないため、一つの魔法陣を開発するのに、簡単な物でも一月、複雑な物では一年以上かかるものあります」
「そんなにかかるものなのね」
「それも、一度できあがればそれでおしまいではなく、細かい修正や改良は常に行なっていかなくてはなりません」
「大変なのね――」
「しかも、情報が他に漏れるとまずいので、信頼できる人しか雇えません。だから、この手の仕事は、常に人手不足なんです。
ということで、皆さん技術はすぐに覚えられるでしょうから、信頼できる人になってくださいね」
「そうか、信頼か……」
サテンさんは、お姉さんの言葉が身に染みているようだった。
そうはいっても、mPadの本体を組み立ている所ではない。
ここは、mPadに組み込まれる魔法陣を設計するための工房なのである。
ところで、何故、王都でなく辺境領にmPadの工房があるかというと、それは、この工房を創ったのが俺だからだ。
だからこそ、見学の許可がすぐに出たわけで、普段は見学をお断りしている。
部外秘な技術が多数使われているためだ。
そんな企業秘密を学生に見せてもいいのかと思われるが、逆に、今のこいつらなら、見せても理解できないだろう。
それでも、魔術の素質ランク4が揃っているのだ。教え込めば将来役立つ人材になることだろう。
ようは、今のうちに、青田買いをしよう、という考えである。
「それでは魔術研究会の皆さんー、これから中に入りますが、写真は撮らないでくださいねー」
案内は、工房の新人で若手のお姉さんに任せてある。
「えー。写真撮っちゃ駄目なの?」
三年生で男爵家次女のレモンさんがお姉さんに聞き返す。
「企業秘密があちこちにありますからねー。写真を撮ると、産業スパイとして捕まりますよー」
「マジですか?」
「マジですよー。冗談ではありませんから気をつけてくださいねー。それじゃあ行きますよー」
俺たちは、お姉さんに先導され工房に足を踏み入れる。
ここの工房は、共同スペースが中央にあり、その周りに、個人ごとの区切られた作業スペースが並んでいる。
壁や家具などに木材が使われていて、温もりがあり、落ち着ける造りになっている。
そこで十数人の人が、思い思いの仕事をしている。
「ここでは、mPadに組み込まれる魔法陣を開発していますが、働いている人の殆どが魔術師なんです」
「魔法陣を作るのに、魔術師である必要はないと思うんですけど?」
「そうね。むしろ、手先の器用な人の方が向いているんじゃないかしら」
二年生で子爵家長女のラミンさんが疑問を口にすると、サテンさんも同じ考えのようだ。
「それは、今までの魔道具に魔法陣を刻み込む場合の話ですね」
昔は、魔道具一つ一つに手で刻み込んでいた。
「今は、こういったチップに魔法陣が刻み込まれています」
お姉さんは、スマホのSIMカードのような物を見せる。
「しかも、これ自体は機械で自動的に生産されています」
「それじゃあ、魔術師どころか、人手がいらないじゃない!」
サテンさんが不機嫌そうな声を出す。
それに対して、お姉さんは話を続けた。
「ここでやっているのは、このチップの開発、つまり、雛型を作ることです」
「それは魔術師でないとできないの?」
「魔術師でなくてもできないことはないですが、その場合も魔術師の協力が不可欠です」
「それはどうしてなの?」
「新しい魔法のアイデアは誰でも出せますが、それを魔法陣にして、ちゃんと動作するかテストするのは魔術師でないと難しいからですね」
「そうか、テストしないといけないのね」
「実際には魔法陣の開発は、トライアンドエラーの繰り返しです。何度もテストをしなければならないため、一つの魔法陣を開発するのに、簡単な物でも一月、複雑な物では一年以上かかるものあります」
「そんなにかかるものなのね」
「それも、一度できあがればそれでおしまいではなく、細かい修正や改良は常に行なっていかなくてはなりません」
「大変なのね――」
「しかも、情報が他に漏れるとまずいので、信頼できる人しか雇えません。だから、この手の仕事は、常に人手不足なんです。
ということで、皆さん技術はすぐに覚えられるでしょうから、信頼できる人になってくださいね」
「そうか、信頼か……」
サテンさんは、お姉さんの言葉が身に染みているようだった。
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