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何やら不穏な気配ですよ
第39話 足留め (ウォール)
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バーベキューをした湖畔から屋敷に帰ってきて、先に帰ったはずのエンジュを探したが、姿が見えない。
急用でまだ出かけているのか?
少し心配になって執事のオルダーに確認した。
「エンジュが先に帰っているはずだが、どこにいるか知らないか?」
「エンジュ様ですか? エンジュ様は急用とのことで、帰られてすぐ、荷物を持って出かけられました」
「荷物を持っていったのか? となると王都に戻ったのか――。父上から何か連絡は?」
「ウォール様にも、エンジュ様にも特にありません」
「そうか、わかった。邪魔して悪かったな」
「いえ、お役に立てず申し訳ございません」
父上でないとすると、王女殿下からの呼び出しかもしれないな。
まあ、エンジュが神出鬼没なのはいつものことだ。気にしないでおこう。
「エンジュは戻ってないのですか?」
「いや、一度戻ったようだが、すぐに王都に向かったらしい」
アカシアもエンジュのことが気になっていたようだ。
「そうですか……」
「何か気になることでも?」
「いえ、別に――」
どうも、アカシアの歯切れが悪い、何かあるのだろうか?
そういえば、アカシアはエンジュのことを、エンジュ様と様付けで呼んでいたはずだが、いつの間に様が取れて、呼び捨てになったのだろう?
将来、義姉妹になるのだし、年上のアカシアが年下のエンジュを様付けで呼ぶのはおかしかったから、様が取れたことはいいことなのだが――。
急に変わったのは、何かあったような気がする。
気になるが、アカシアの場合、無理に聞き出そうとすると拗ねるからな。
それぐらいならまだ可愛いが、酷いと逆ギレして襲いかかってくることもある。
それはそれでいいのだけれど、今は魔術研究会のメンバーもいることだし、事を荒立てないようにしよう。
晩餐の最中、昼間あんなに良い天気だったのに、雨が降り始めた。
逆に、天気が良すぎて夕立になったかな?
雨は窓ガラスを強く打ちつけた。
「随分強く降ってますが、大丈夫でしょうか?」
「山ではよくあることだけど……、大丈夫とは?」
カリンさんが窓越しに外の様子を窺いながら尋ねてきた。
「いえ、明日帰る予定ですが、列車の運行に支障が出ないか心配で……」
「そんな心配しなくてもすぐ止むさ」
しかし、俺の予測に反して、雨は夜半過ぎまで降り続けた。
そして、翌朝、俺たちは、困った知らせを受けることになる。
「昨夜の雨で、王都に向かう途中で、土砂崩れがあったようです。列車も、馬車も、運行が止まっています」
朝食の席で執事のオルダーから報告があった。
「土砂崩れか……。すぐには復旧できないだろうな――」
「規模によりますが、最低でも、一週間は通行止めになると思われます」
「連休が終わってしまうな」
「土砂崩れが起きたのは、王都方面だけですの?」
アカシアがオルダーに確認する。
「連絡が入っているのは一箇所だけです」
「なら、南から迂回したらどうかしら?」
「そうだな、南の山を越えて、公爵領経由なら、四日で王都までつけるか。それなら、連休明けに間に合うな」
「どうせだから、領都では私の屋敷に泊まってくださいな」
「人数も多いのに、急なことで大丈夫なのかアカシア」
「はい、今から連絡しておけば余裕ですわ」
「そうか、それなら頼む」
「途中の宿はこちらで予約しておきます」
「オルダーよろしく頼む。それと、南の山を越えるなら、馬車でなく車がいいだろうな」
「かしこまりました。そちらも準備しておきます」
「ああ、運転手は一人でいいぞ」
「ウォール様、無茶な運転はお控えください」
「今回は同乗者もいるんだ、わかってるって」
「もしかして、ウォール様が運転されるのですか?」
「まあーね」
「カリンさん!ウォールはとても運転がお上手なの。是非とも乗せていただくといいわ!」
おお、珍しくアカシアが俺のことを褒めているぞ。これは、張り切って俺の華麗なるドライビングテクニックを披露しなければならないな。
「それと、そこのあなた、あなたもね!」
「お、俺ですか?畏れ多いのでは?」
「そんなことありませんよ。男同士一緒の方がいいでしょう!」
「そうだぞ、遠慮する必要はない」
「そういうことだから、それで決まりですね!」
これで、アカシアとカリンさんとネズコ君で、俺を含めて四人と、残りの女子は三人で、ドライバを含めれば四人になってちょうどいいな。
「それでは、お食事が済んで、一時間後に、玄関の前に準備しておきます」
「聞いた通り、一時間後に出発するから、遅れないようにな」
列車でサクッと帰る予定が、大分ずれ込むことになるが、致し方ない。
アカシアの実家にも、このところ顔を出していないから、よい機会だ。婚約してすぐは、毎週のように行っていたのだがな。
さあ、久しぶりの運転だ! 楽しみだな。
急用でまだ出かけているのか?
少し心配になって執事のオルダーに確認した。
「エンジュが先に帰っているはずだが、どこにいるか知らないか?」
「エンジュ様ですか? エンジュ様は急用とのことで、帰られてすぐ、荷物を持って出かけられました」
「荷物を持っていったのか? となると王都に戻ったのか――。父上から何か連絡は?」
「ウォール様にも、エンジュ様にも特にありません」
「そうか、わかった。邪魔して悪かったな」
「いえ、お役に立てず申し訳ございません」
父上でないとすると、王女殿下からの呼び出しかもしれないな。
まあ、エンジュが神出鬼没なのはいつものことだ。気にしないでおこう。
「エンジュは戻ってないのですか?」
「いや、一度戻ったようだが、すぐに王都に向かったらしい」
アカシアもエンジュのことが気になっていたようだ。
「そうですか……」
「何か気になることでも?」
「いえ、別に――」
どうも、アカシアの歯切れが悪い、何かあるのだろうか?
そういえば、アカシアはエンジュのことを、エンジュ様と様付けで呼んでいたはずだが、いつの間に様が取れて、呼び捨てになったのだろう?
将来、義姉妹になるのだし、年上のアカシアが年下のエンジュを様付けで呼ぶのはおかしかったから、様が取れたことはいいことなのだが――。
急に変わったのは、何かあったような気がする。
気になるが、アカシアの場合、無理に聞き出そうとすると拗ねるからな。
それぐらいならまだ可愛いが、酷いと逆ギレして襲いかかってくることもある。
それはそれでいいのだけれど、今は魔術研究会のメンバーもいることだし、事を荒立てないようにしよう。
晩餐の最中、昼間あんなに良い天気だったのに、雨が降り始めた。
逆に、天気が良すぎて夕立になったかな?
雨は窓ガラスを強く打ちつけた。
「随分強く降ってますが、大丈夫でしょうか?」
「山ではよくあることだけど……、大丈夫とは?」
カリンさんが窓越しに外の様子を窺いながら尋ねてきた。
「いえ、明日帰る予定ですが、列車の運行に支障が出ないか心配で……」
「そんな心配しなくてもすぐ止むさ」
しかし、俺の予測に反して、雨は夜半過ぎまで降り続けた。
そして、翌朝、俺たちは、困った知らせを受けることになる。
「昨夜の雨で、王都に向かう途中で、土砂崩れがあったようです。列車も、馬車も、運行が止まっています」
朝食の席で執事のオルダーから報告があった。
「土砂崩れか……。すぐには復旧できないだろうな――」
「規模によりますが、最低でも、一週間は通行止めになると思われます」
「連休が終わってしまうな」
「土砂崩れが起きたのは、王都方面だけですの?」
アカシアがオルダーに確認する。
「連絡が入っているのは一箇所だけです」
「なら、南から迂回したらどうかしら?」
「そうだな、南の山を越えて、公爵領経由なら、四日で王都までつけるか。それなら、連休明けに間に合うな」
「どうせだから、領都では私の屋敷に泊まってくださいな」
「人数も多いのに、急なことで大丈夫なのかアカシア」
「はい、今から連絡しておけば余裕ですわ」
「そうか、それなら頼む」
「途中の宿はこちらで予約しておきます」
「オルダーよろしく頼む。それと、南の山を越えるなら、馬車でなく車がいいだろうな」
「かしこまりました。そちらも準備しておきます」
「ああ、運転手は一人でいいぞ」
「ウォール様、無茶な運転はお控えください」
「今回は同乗者もいるんだ、わかってるって」
「もしかして、ウォール様が運転されるのですか?」
「まあーね」
「カリンさん!ウォールはとても運転がお上手なの。是非とも乗せていただくといいわ!」
おお、珍しくアカシアが俺のことを褒めているぞ。これは、張り切って俺の華麗なるドライビングテクニックを披露しなければならないな。
「それと、そこのあなた、あなたもね!」
「お、俺ですか?畏れ多いのでは?」
「そんなことありませんよ。男同士一緒の方がいいでしょう!」
「そうだぞ、遠慮する必要はない」
「そういうことだから、それで決まりですね!」
これで、アカシアとカリンさんとネズコ君で、俺を含めて四人と、残りの女子は三人で、ドライバを含めれば四人になってちょうどいいな。
「それでは、お食事が済んで、一時間後に、玄関の前に準備しておきます」
「聞いた通り、一時間後に出発するから、遅れないようにな」
列車でサクッと帰る予定が、大分ずれ込むことになるが、致し方ない。
アカシアの実家にも、このところ顔を出していないから、よい機会だ。婚約してすぐは、毎週のように行っていたのだがな。
さあ、久しぶりの運転だ! 楽しみだな。
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