魔力は最強だが魔法が使えぬ残念王子の転生者、宇宙船を得てスペオペ世界で個人事業主になる。

なつきコイン

文字の大きさ
116 / 167
第二部 皇王就任編

第116話 ハルク vs ハルク

しおりを挟む
 ハルクに戻った俺は、急ぎ出発の準備に入る。

 交渉は決裂だ。それならこんな所に長居は無用。さっさとトンズラするのに限る。
 その後、この国がどうなろうとも俺の知ったことじゃない。
 まともに交渉しようとしなかった国王が悪いのだ。

 全員の乗船を確認すると、セレストに帰還すべくハルクを発進させる。

 全員? あれ。
「ステファ、なんでお前も乗っている」
「え? 当然私もセレストに行くけど」

「ステファは残った方がいいんじゃないのか」
「いやよ、そんなの!」
「はあー。まあいいか」

 敵が、ステファを取り戻しに来るかもしれないが、敵はセレストの位置を知らない。逆に、セレストの位置を知っているステファを残して行くよりも、連れて行った方が安全かもしれない。
 それに、連れ戻しに来る者がいれば、引き渡していい約束になっていたはずだ。

「キャプテン、針路を塞がれた」
「なに、初動が早いな。躱せるか?」
「やってみる」

 チハルはデルタとシンクロし、淡く輝く。
 これを見るたびに、チハルがアンドロイドであることを実感させられる。

 チハルの操船により針路を塞いだ艦の横をすり抜ける。
 しかし、邪魔してくる艦は一隻ではなかった。逃亡に備えて、予め配置されていたのであろう、次から次へと敵艦が現れてくる。

 チハルはそれをすんでのところで避けていく。まだ、攻撃を受けていないから、無傷のままこちらを止める気でいるのだろう。

「キャプテン。前方にカエデとモミジ」
「しまった! 誘導されたか」

 カエデとモミジは防御特化型で広域シールドにより艦隊を護ることができる。だが、逆に、広域シールド内に敵船を捕獲することもできるのだ。

「カエデとモミジが広域シールドを展開」
「セイヤ、どうするのよ。このままじゃ捕まっちゃうわよ」

 ここから逃げ出すには、方法は二つ。
 次元魔導砲で、カエデとモミジを機能停止させるか、次元シールドで、異次元に逃げ込み、広域シールドを抜け出すかだ。

 ハルクの次元魔導砲では、一度に一隻しか機能停止にできない。となると、次元シールドの方がいいか。

「次元シールドで敵艦から隠れて進もう」
「了解。次元シールド稼働」

 歪むような独特な感じに包まれ、異次元に潜行する。

「このまま潜航して広域シールドを抜けるぞ」
 次元シールドは魔力の消費が激しい。使用するのは三十分が限度だ。その間に包囲網を突破しなければならない。

「キャプテン、広域シールド突破」
「よし、まだ、時間はあるな。このまま敵の包囲網も抜けてしまおう」

 包囲網を突破してしまえば、後は、無補給で逃げることができる。簡単には追いつかれることはないだろう。

「キャプテン、後方から、敵艦が急速に接近中」
「こちらの位置を捉えているのか」
 異次元を潜航中のこちらを見つける方法があったのか?

「あれは、ハルク1000B! キャプテンまずい!!」
 珍しくチハルが慌てている。

「どうした。1000Bということは、プロトタイプのベーターだろ」
「あれには、次元シールドはないが、次元魔導砲は装備されている」

 次元魔導砲は、異次元との壁に亀裂を生じさせ、異次元の高い魔力を噴出させることにより、魔導ジェネレーターをオーバーロードさせる兵器だ。

 異次元との壁に亀裂が入れられるということは、異次元を潜航中のこちらも攻撃できるということか?

「やばい!」

 気付いた時には、ベーターから次元魔導砲の攻撃を受けていた。

『魔導ジェネレーターが過負荷により、停止。次元シールドが維持できません』

 デルタの警告直後、俺たちは異次元から放り出されるように、現次元に引き戻された。
 最悪、異次元でシールドが消えれば、船ごとぺちゃんこになりかねないところであったが、それなりの安全装置が働いたのだろう。強制的に現次元に戻された感じだ。

『魔導ジェネレータークールダウン中。再稼働可能まで十分』

 幸い、魔導ジェネレーターは壊れるまではいかなかったようだ。ただ、十分間は無防備となってしまった。
 何とかその間時間を稼がないと。

「チハル、ベーターに通信を繋げ」
「了解」

 スクリーンに第一王女が大写しに映し出された。

『セイヤさん、降参か?』
「アマンダルタ。君か。どうしてこちらの場所がわかった?」
『あの後、対策を考えていたからね。次元の歪みを感知する道具を、マゼンタ教授から借りておいたまでさ』

「わざわざ、ベーターまで用意したのか」
『この船はまだ現役だったさ。アルファは博物館に展示されているが」

「しかし、次元シールドが破られるとは、やられたよ」
『秘密兵器はここ一番で使わないとな。秘密でなくなったら対策されてしまう』

「そのとおりだな。あそこで君に次元シールドを見せたのは間違いだった」
『まあ、あの場では仕方なかっただろう』

「そうか、なら、ここは新たな秘密兵器を出すべきだと思うか」
 言葉に気を付けないとな。相手は嘘が見抜ける。

『そんな物があるのか?』
「さあ、どうだろう。あるといえばあるし、ないといえばない」

『なんだ、その答えは。ああ、時間稼ぎをしているのだな』
 チッ、バレたか。

『そんなことをしても無駄だぞ。無傷で捕まえようと思ったが、仕方がない。ビーム砲用意』
 魔導ジェネレーター復帰まで、まだまだじゃないか。何か手はないか。

「キャプテン、ワープアウトしてくる」
「秘密兵器が間に合ったようだぞ」
『なに?!』

『お待たせ。間に合ったか?』
「カイト、時間ぴったりだ!」

 ワープアウトしてきたのは、カイトのジェミニスII、に先導された、オメガユニットであった。
 これで、形勢逆転だ。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

追放された味噌カス第7王子の異種族たちと,のんびり辺境地開発

ハーフのクロエ
ファンタジー
 アテナ王国の末っ子の第7王子に産まれたルーファスは魔力が0で無能者と言われ、大陸の妖精族や亜人やモンスターの多い大陸から離れた無人島に追放される。だが前世は万能スキル持ちで魔王を倒し英雄と呼ばれていたのを隠し生まれ変わってスローライフを送る為に無能者を装っていたのだ。そんなルーファスはスローライフを送るつもりが、無人島には人間族以外の種族の独自に進化した先住民がおり、周りの人たちが勝手に動いて気が付けば豊かで平和な強国を起こしていく物語です。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

処理中です...