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03.距離感がおかしいんですが!?
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「よし、それじゃそろそろ休もうか。寝る前にお風呂に入るかい?」
「おお!お風呂があるんですね!」
ゲームの世界にお風呂があることに感動してしまう。
毎日シャワーだけの生活だったので、たまにはゆっくり湯船に浸かりたいと思っていたところだったのだ。
「ああ、お湯を張ってあるから、いつでも入れるぞ」
やった!それはありがたい!久しぶりのお風呂だ!
「じゃあ、早速入ってきますね」
「ああ、ゆっくり入ってくれ」
脱衣所で服を脱ぎ、お風呂場へと入る。
シャワーは無さそうだ。蛇口のようなものがあったので捻ると、お湯が出てくる。
温度調整ができないのが難点だが、ちょうど良い温度なので問題なさそうだ。
身体を洗い、お湯に浸かる。
あー、気持ちいい……。
ここ最近ずっと働き詰めだったし、今日は色々ありすぎて疲れた。
明日になったら元の世界に戻っていたりしないかなぁ……。
そんなことを考えながら、しばらくぼーっとしていた。
すると、突然扉が開かれて誰かが入ってくる。
「湯加減はどうだい?」
「ア、アルベール王子!どうしてここに!?」
目の前に、裸の王子がいた。
「ん?君とお風呂に入りたくてな。駄目だったかい?」
いやいや、王子と一緒にお風呂なんて不敬すぎるのでは……。
「い、いえ!でも、2人じゃ狭いと思うので……!」
「大丈夫だよ。ほら、こうすれば……」
王子は湯船に入ってきたかと思うと、後ろから抱きついてきた。
「なっ、何やってるんですか!?」
「ふふっ、こうしていれば狭くないだろう?」
いやいや、だからってこれはまずい。
「あの……王子……?ちょっとくっつきすぎなんじゃ……」
「気にすることは無い。私と君の仲じゃないか」
どんな仲!?今日会ったばかりですけど!?脳内ツッコミが追い付かない。
「ああ、誰かとお風呂に入るなんていつ以来だろう。とても楽しい気分だ」
王子は上機嫌に俺に抱きついてくる。
そうか、と俺は納得した。この人はきっと寂しかったのだ。
王子という立場上、周りの人間はみんな家臣ばかりで、親しい友人がいないのだろう。
俺みたいな異世界人と仲良くすることで、王子の息抜きになっているのかもしれない。
それならば、仕方がない。俺は大人しくされるがままになっていた。
「ミノルは本当に可愛い顔をしているんだな」
「はあ……どうも……」
王子は俺の頬に手を当て、うっとりした表情をしている。
なんか恥ずかしいな……。
「そ、そういえば、王子は結構身体鍛えてるんですね」
俺は話題を変えて誤魔化すことにした。
「ん……そう見えるか?」
王子は嬉しそうな顔をする。
「はい、すごく引き締まってるというか……細マッチョって感じですよね」
「ああ、私は小さい頃から剣術や武術の鍛錬をしているんだ。この国を守る力をつけるためにな」
やっぱり王子ともなるとそういう教育を受けるのか。
「そうなんですね……すごいなぁ……」
「君だってなかなか良い身体をしているじゃないか」
「え……?」
「筋肉がついていて、男らしい体付きだ」
「あ、ありがとうございます」
社会人になってからは運動する時間もなかったが、学生の頃はそれなりに運動もしていたのだ。
とはいえ、王子に褒められるとは思ってなかったので、なんだかくすぐったいような感覚になる。
しかし、これ以上は本当にまずい……。そろそろ切り上げたい。
「じゃあそろそろ上がりますね……」
「そうか、残念だな……」
「えっと……また一緒に入りましょう」
「ああ!約束だぞ!」
王子はとても嬉しそうにしている。社交辞令で言ったのに、そんな顔をされたらまた一緒にお風呂に入らないといけない気がしてしまう……。
俺は急いで浴室から出た。
脱衣所に置いてあったバスタオルを手に取り、身体を拭く。寝巻きのようなシンプルな服が2つ用意されていたので、それを着た。
その後、王子もお風呂から出てきて、寝巻きに着替えている。俺と同じ服とは思えないほど、よく似合っていた。美形補正なのかな……。
「さて、そろそろ寝よう」
「あ、はい……」
俺が恐る恐るベッドに入ると、王子も隣に入ってきた。
ドキドキして眠れない……。横を見ると、王子の顔が見える。まつ毛長いな……。それに、なんか良い匂いがする……。
王子の寝顔に見惚れていたら、王子が気づいて目を開けてしまった。
「どうした?眠れないのか?」
「あっ、いえ!なんでもありません!」
俺は慌てて誤魔化す。王子はクスッと笑うと、顔を近づけてきた。
「ちょ、近いですよ」
「ミノルは、恋人はいるのか?」
「えっ、いませんけど……」
自慢じゃないが、恋人いない歴=年齢である。いや、しかしなぜ今そんな質問を……?
「そうか、それならば問題ないな!」
そう言うと、王子は俺を抱き寄せた。
そして、次の瞬間、なんとキスをしてきたのだ。
「むぐぅ~!?」
俺は抵抗しようとしたが、王子の力が強くて離れられない。
「んんん……っ」
いったい何が起きているんだ!?
「ぷはぁ~」
ようやく解放されると、俺は頭がクラクラになっていた。ドキドキしすぎて心臓が破裂しそうだ。
「すまない、つい興奮してしまった」
「あの……俺初めてだったんですけど……」
「なに!?本当か?」
まさかファーストキスが男に奪われてしまうとは……。
「それはすまないことをした。責任を取るよ……」
「い、いや……別にそこまでしなくても……」
「じつは……私も初めてなんだ……」
「えっ!?」
まさか、王子も今のが初めてなのか?慣れている様子だったのに……。
王子は顔を真っ赤にして恥ずかしそうにしている。
「いや、その……まだ女性との交際経験が無くて……」
「えっ、そうなんですね……」
意外だ。こんなにも美形なのに彼女がいなかったなんて。
でも、王子という立場にもなると、好き勝手に恋愛もできないのかもしれないな。
初めて親しくできる相手ができて、ついこんなことをしてしまったのだろう。
うんうんそれじゃあ仕方ないな……と俺は強引に納得した。
「だから、君が私の恋人になってくれると嬉しい」
……どうしてそうなった!?
「おお!お風呂があるんですね!」
ゲームの世界にお風呂があることに感動してしまう。
毎日シャワーだけの生活だったので、たまにはゆっくり湯船に浸かりたいと思っていたところだったのだ。
「ああ、お湯を張ってあるから、いつでも入れるぞ」
やった!それはありがたい!久しぶりのお風呂だ!
「じゃあ、早速入ってきますね」
「ああ、ゆっくり入ってくれ」
脱衣所で服を脱ぎ、お風呂場へと入る。
シャワーは無さそうだ。蛇口のようなものがあったので捻ると、お湯が出てくる。
温度調整ができないのが難点だが、ちょうど良い温度なので問題なさそうだ。
身体を洗い、お湯に浸かる。
あー、気持ちいい……。
ここ最近ずっと働き詰めだったし、今日は色々ありすぎて疲れた。
明日になったら元の世界に戻っていたりしないかなぁ……。
そんなことを考えながら、しばらくぼーっとしていた。
すると、突然扉が開かれて誰かが入ってくる。
「湯加減はどうだい?」
「ア、アルベール王子!どうしてここに!?」
目の前に、裸の王子がいた。
「ん?君とお風呂に入りたくてな。駄目だったかい?」
いやいや、王子と一緒にお風呂なんて不敬すぎるのでは……。
「い、いえ!でも、2人じゃ狭いと思うので……!」
「大丈夫だよ。ほら、こうすれば……」
王子は湯船に入ってきたかと思うと、後ろから抱きついてきた。
「なっ、何やってるんですか!?」
「ふふっ、こうしていれば狭くないだろう?」
いやいや、だからってこれはまずい。
「あの……王子……?ちょっとくっつきすぎなんじゃ……」
「気にすることは無い。私と君の仲じゃないか」
どんな仲!?今日会ったばかりですけど!?脳内ツッコミが追い付かない。
「ああ、誰かとお風呂に入るなんていつ以来だろう。とても楽しい気分だ」
王子は上機嫌に俺に抱きついてくる。
そうか、と俺は納得した。この人はきっと寂しかったのだ。
王子という立場上、周りの人間はみんな家臣ばかりで、親しい友人がいないのだろう。
俺みたいな異世界人と仲良くすることで、王子の息抜きになっているのかもしれない。
それならば、仕方がない。俺は大人しくされるがままになっていた。
「ミノルは本当に可愛い顔をしているんだな」
「はあ……どうも……」
王子は俺の頬に手を当て、うっとりした表情をしている。
なんか恥ずかしいな……。
「そ、そういえば、王子は結構身体鍛えてるんですね」
俺は話題を変えて誤魔化すことにした。
「ん……そう見えるか?」
王子は嬉しそうな顔をする。
「はい、すごく引き締まってるというか……細マッチョって感じですよね」
「ああ、私は小さい頃から剣術や武術の鍛錬をしているんだ。この国を守る力をつけるためにな」
やっぱり王子ともなるとそういう教育を受けるのか。
「そうなんですね……すごいなぁ……」
「君だってなかなか良い身体をしているじゃないか」
「え……?」
「筋肉がついていて、男らしい体付きだ」
「あ、ありがとうございます」
社会人になってからは運動する時間もなかったが、学生の頃はそれなりに運動もしていたのだ。
とはいえ、王子に褒められるとは思ってなかったので、なんだかくすぐったいような感覚になる。
しかし、これ以上は本当にまずい……。そろそろ切り上げたい。
「じゃあそろそろ上がりますね……」
「そうか、残念だな……」
「えっと……また一緒に入りましょう」
「ああ!約束だぞ!」
王子はとても嬉しそうにしている。社交辞令で言ったのに、そんな顔をされたらまた一緒にお風呂に入らないといけない気がしてしまう……。
俺は急いで浴室から出た。
脱衣所に置いてあったバスタオルを手に取り、身体を拭く。寝巻きのようなシンプルな服が2つ用意されていたので、それを着た。
その後、王子もお風呂から出てきて、寝巻きに着替えている。俺と同じ服とは思えないほど、よく似合っていた。美形補正なのかな……。
「さて、そろそろ寝よう」
「あ、はい……」
俺が恐る恐るベッドに入ると、王子も隣に入ってきた。
ドキドキして眠れない……。横を見ると、王子の顔が見える。まつ毛長いな……。それに、なんか良い匂いがする……。
王子の寝顔に見惚れていたら、王子が気づいて目を開けてしまった。
「どうした?眠れないのか?」
「あっ、いえ!なんでもありません!」
俺は慌てて誤魔化す。王子はクスッと笑うと、顔を近づけてきた。
「ちょ、近いですよ」
「ミノルは、恋人はいるのか?」
「えっ、いませんけど……」
自慢じゃないが、恋人いない歴=年齢である。いや、しかしなぜ今そんな質問を……?
「そうか、それならば問題ないな!」
そう言うと、王子は俺を抱き寄せた。
そして、次の瞬間、なんとキスをしてきたのだ。
「むぐぅ~!?」
俺は抵抗しようとしたが、王子の力が強くて離れられない。
「んんん……っ」
いったい何が起きているんだ!?
「ぷはぁ~」
ようやく解放されると、俺は頭がクラクラになっていた。ドキドキしすぎて心臓が破裂しそうだ。
「すまない、つい興奮してしまった」
「あの……俺初めてだったんですけど……」
「なに!?本当か?」
まさかファーストキスが男に奪われてしまうとは……。
「それはすまないことをした。責任を取るよ……」
「い、いや……別にそこまでしなくても……」
「じつは……私も初めてなんだ……」
「えっ!?」
まさか、王子も今のが初めてなのか?慣れている様子だったのに……。
王子は顔を真っ赤にして恥ずかしそうにしている。
「いや、その……まだ女性との交際経験が無くて……」
「えっ、そうなんですね……」
意外だ。こんなにも美形なのに彼女がいなかったなんて。
でも、王子という立場にもなると、好き勝手に恋愛もできないのかもしれないな。
初めて親しくできる相手ができて、ついこんなことをしてしまったのだろう。
うんうんそれじゃあ仕方ないな……と俺は強引に納得した。
「だから、君が私の恋人になってくれると嬉しい」
……どうしてそうなった!?
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