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【17】禁呪!?破滅を誘う策略
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夜が更け、月明かりが庭園を照らす中、いよいよ作戦実行の時がやってきた。
俺は夜の庭園に一人で立ち、緊張を抑えながら周囲を見渡す。美しい花々と静かな池が広がり、一見平和そのもののように見えるが、空気には張り詰めた緊張が漂っていた。心臓の鼓動が高鳴る中、やるしかないと自分に言い聞かせる。
周囲には王宮の護衛たちが密かに待機していた。王国の最精鋭が揃っているため、どんな敵でも対処できるはずだ。国王も自ら武装して潜伏している。
さらに、俺が夜一人で庭園を散歩していると敵に信じ込ませるための情報も流してあり、敵をおびき寄せる準備は整っていた。
しばらくすると、闇の中から人影が現れた。
――来た。俺は心の中で息を呑み、冷静さを保つよう努める。数人の黒装束の男たちが、一瞬のうちに音もなく俺の周りを囲んでいた。
「聖女よ……お前をいただく」
その冷酷な声に一瞬身震いしたが、覚悟を決めて冷静に対峙する。
「……あなたたちは誰ですか? 何を企んでいるんですか?」
男の一人が鼻で笑い、手を伸ばして俺に触れようとした。その瞬間、庭園に隠れていた護衛たちが動き出す。
作戦通り彼らが駆けつけるのが見えた――が、突然、彼らの動きが止まった。
「何だ……!? 動けない!」
護衛たちが苦しそうに呻き、まるで見えない鎖に縛られたかのように動けなくなっている。
「これは……まさか禁呪か?」
国王の声が震えながら響いた。
「そうだ、禁呪だ。お前たち護衛など何の役にも立たない」
禁呪――図書館で調べ物をしている時に、その恐ろしさについて読んだ記憶が蘇る。禁呪とは古代の魔法で、あまりに強大で危険すぎる力のため、長らく封印されてきた。使用者は膨大な魔力と命を削る代償を支払うことになるが、発動すればその力はほとんど無敵と言われている。
「禁呪の使用者なんて……まさか」
絶望が胸に広がった。護衛たちが禁呪の力で動きを封じられている中、男の手が俺に迫る。
「くっ……!」
俺は敵の力に抗おうとするが、禁呪の圧倒的な力により体が縛られ、動けない。
(王子……)
心の中で王子を呼びながら、意識が次第に遠のいていった。体が重くなり、抵抗する力も失われていく。
「これで終わりじゃない……絶対に……」
最後の力を振り絞ってそう誓ったが、意識は徐々に暗闇に包まれていった。視界が完全に閉ざされる前に、ただ一つ、王子の笑顔が脳裏に浮かんだ。
***
意識が戻ったとき、俺は冷たい石の床の上に横たわっていた。薄暗い地下の一室で、粗末な鉄格子が俺を囲んでいる。体を起こそうとしたが、手足が縛られていて動けない状態にされていた。
「ここは……」
ふと、鉄格子の向こうに何かが動いた気配を感じる。その瞬間、扉が軋む音を立てて開き、黒装束の男たちが入ってきた。リーダー格の男が、冷たい笑みを浮かべながら近づいてくる。
「お目覚めか、聖女殿」
彼の声には嘲りが含まれていた。俺は彼を睨み返したが、その笑みは消えることがなかった。
「お前を手に入れることで、我々は強力な力を得るのだ」
リーダーの男はそう言いながら、手を伸ばして俺の頬に触れた。嫌悪感が込み上げるが、縛られていて振り払うことができない。
「やめろ……!」
俺の叫びに、男たちは歪んだ笑みを浮かべる。その中の一人が、嘲るように言った。
「聖女と交われば、強大な力が手に入るらしいな。聖女が男だったのは残念だが……まあ、それも悪くない」
その言葉に、俺の背筋が凍りつく。恐怖と共にぞっとするような感覚が一気に押し寄せてきた。
「ふざけるな……! 俺はお前たちの思い通りにはならない!」
俺の声が地下室に響いた。しかし、男たちの嘲笑は止まらない。男の手が再び俺の体に伸びてきた。
「さあ、始めようか。お前の力を我々のものにするために」
男の手が俺の腕を掴んだ瞬間、強烈な不快感が全身を駆け抜けた。必死に抵抗しようとするが、その手は容赦なく俺を引き寄せる。
「やめろ……やめてくれ……」
俺の声は震え、涙が滲んできた。
心の中で王子の優しい手を思い出す。王子に触られるときの温もりと安心感とは、まるで天と地の差だ。王子の手に包まれるとき、心は幸せで満たされ、全ての不安が消えていく。だが、今はその正反対だ。触れられるたびに心がえぐられるような痛みを感じる。
(王子に触られるのはあんなに幸せだったのに……)
絶望感が胸を締め付け、心が押し潰されそうになる。囮になると決断をしたことを、今さらながら後悔していた。
冷たくて粗雑な手が肌に触れるたび、恐怖が心を縛り付ける。目を閉じても、その感触は薄れなかった。
(王子……)
もう一度、王子の優しい手に包まれたい。王子の温かい手と、優しい瞳を思い出した。彼との絆が、今、この場所で奪われることへの恐怖と絶望が俺を襲う。
「王子……助けて……」
限界を迎えた俺は、無意識にそう声に出していた。
俺は夜の庭園に一人で立ち、緊張を抑えながら周囲を見渡す。美しい花々と静かな池が広がり、一見平和そのもののように見えるが、空気には張り詰めた緊張が漂っていた。心臓の鼓動が高鳴る中、やるしかないと自分に言い聞かせる。
周囲には王宮の護衛たちが密かに待機していた。王国の最精鋭が揃っているため、どんな敵でも対処できるはずだ。国王も自ら武装して潜伏している。
さらに、俺が夜一人で庭園を散歩していると敵に信じ込ませるための情報も流してあり、敵をおびき寄せる準備は整っていた。
しばらくすると、闇の中から人影が現れた。
――来た。俺は心の中で息を呑み、冷静さを保つよう努める。数人の黒装束の男たちが、一瞬のうちに音もなく俺の周りを囲んでいた。
「聖女よ……お前をいただく」
その冷酷な声に一瞬身震いしたが、覚悟を決めて冷静に対峙する。
「……あなたたちは誰ですか? 何を企んでいるんですか?」
男の一人が鼻で笑い、手を伸ばして俺に触れようとした。その瞬間、庭園に隠れていた護衛たちが動き出す。
作戦通り彼らが駆けつけるのが見えた――が、突然、彼らの動きが止まった。
「何だ……!? 動けない!」
護衛たちが苦しそうに呻き、まるで見えない鎖に縛られたかのように動けなくなっている。
「これは……まさか禁呪か?」
国王の声が震えながら響いた。
「そうだ、禁呪だ。お前たち護衛など何の役にも立たない」
禁呪――図書館で調べ物をしている時に、その恐ろしさについて読んだ記憶が蘇る。禁呪とは古代の魔法で、あまりに強大で危険すぎる力のため、長らく封印されてきた。使用者は膨大な魔力と命を削る代償を支払うことになるが、発動すればその力はほとんど無敵と言われている。
「禁呪の使用者なんて……まさか」
絶望が胸に広がった。護衛たちが禁呪の力で動きを封じられている中、男の手が俺に迫る。
「くっ……!」
俺は敵の力に抗おうとするが、禁呪の圧倒的な力により体が縛られ、動けない。
(王子……)
心の中で王子を呼びながら、意識が次第に遠のいていった。体が重くなり、抵抗する力も失われていく。
「これで終わりじゃない……絶対に……」
最後の力を振り絞ってそう誓ったが、意識は徐々に暗闇に包まれていった。視界が完全に閉ざされる前に、ただ一つ、王子の笑顔が脳裏に浮かんだ。
***
意識が戻ったとき、俺は冷たい石の床の上に横たわっていた。薄暗い地下の一室で、粗末な鉄格子が俺を囲んでいる。体を起こそうとしたが、手足が縛られていて動けない状態にされていた。
「ここは……」
ふと、鉄格子の向こうに何かが動いた気配を感じる。その瞬間、扉が軋む音を立てて開き、黒装束の男たちが入ってきた。リーダー格の男が、冷たい笑みを浮かべながら近づいてくる。
「お目覚めか、聖女殿」
彼の声には嘲りが含まれていた。俺は彼を睨み返したが、その笑みは消えることがなかった。
「お前を手に入れることで、我々は強力な力を得るのだ」
リーダーの男はそう言いながら、手を伸ばして俺の頬に触れた。嫌悪感が込み上げるが、縛られていて振り払うことができない。
「やめろ……!」
俺の叫びに、男たちは歪んだ笑みを浮かべる。その中の一人が、嘲るように言った。
「聖女と交われば、強大な力が手に入るらしいな。聖女が男だったのは残念だが……まあ、それも悪くない」
その言葉に、俺の背筋が凍りつく。恐怖と共にぞっとするような感覚が一気に押し寄せてきた。
「ふざけるな……! 俺はお前たちの思い通りにはならない!」
俺の声が地下室に響いた。しかし、男たちの嘲笑は止まらない。男の手が再び俺の体に伸びてきた。
「さあ、始めようか。お前の力を我々のものにするために」
男の手が俺の腕を掴んだ瞬間、強烈な不快感が全身を駆け抜けた。必死に抵抗しようとするが、その手は容赦なく俺を引き寄せる。
「やめろ……やめてくれ……」
俺の声は震え、涙が滲んできた。
心の中で王子の優しい手を思い出す。王子に触られるときの温もりと安心感とは、まるで天と地の差だ。王子の手に包まれるとき、心は幸せで満たされ、全ての不安が消えていく。だが、今はその正反対だ。触れられるたびに心がえぐられるような痛みを感じる。
(王子に触られるのはあんなに幸せだったのに……)
絶望感が胸を締め付け、心が押し潰されそうになる。囮になると決断をしたことを、今さらながら後悔していた。
冷たくて粗雑な手が肌に触れるたび、恐怖が心を縛り付ける。目を閉じても、その感触は薄れなかった。
(王子……)
もう一度、王子の優しい手に包まれたい。王子の温かい手と、優しい瞳を思い出した。彼との絆が、今、この場所で奪われることへの恐怖と絶望が俺を襲う。
「王子……助けて……」
限界を迎えた俺は、無意識にそう声に出していた。
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