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気まぐれマジシャン 3
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正直、俺のネーミングセンスは微妙だ。親しい人にはちょっとした罰ゲームだといわれている。
それを知っていたのだろう。ツーシーは俺がチーム名をつけるといった瞬間に動きを止め、申込用紙を口から離す。申込用紙がひらひらと簡易机の下へとおちていった。
『飛んでけはっぴぃふぉー……いや、つーになるのか……?』
ツーシーが急におかしなことをいいだしたと思ったら、かつて俺がつけたチーム名だった。チョウラクノドカの三人と一緒にトレジャーハントに参加した時のチーム名で、深夜の魔法でゲラゲラ笑いながらつけた名前だ。
『やったゼ☆ラッキーなら数は関係ない』
確か『やったゼ☆ラッキー』は珍しくラークさんと二人でイカサマ有りのポーカーの大会に出た際のチーム名だ。運任せっぽい名前なのに、二人でバリバリにイカサマをして五位以内に収まった楽しい思い出がある。
「いや……いや、待って」
『罪な夏だぜ☆シェケナベイベーは流石に季節感が』
そのチーム名は半分ノドさんのせいなので許して欲しい。ボートレースに参加した際のチーム名で、夏だったのだ。
『あとはなんだったかな……』
「ちょっと許しちゃあくれませんかね……?」
ツーシーが動けばヤバいチーム名をつけるぞと脅したつもりだったが、震え上がったのは俺だった。
俺はよろよろとウサギから少し離れ頭を抱え、簡易机にもたれ掛かり、長く息を吐く。過去のやらかしがいたく身に染みる。
『面白い名前なのに……?』
確かに俺もチーム名を見る側だったら笑っていたと思う。しかし、考えたのは俺で使ったのも俺だ。この世には後になってやってしまったなぁと思う物事というのが存在する。俺にとってチーム名の名づけはそれにあたった。
「あとはそうだなぁ……ハードなロックでキュートなバディとか」
許してくれといったのに、変な名前が聞こえ、俺は顔を上げる。
橙色の髪を緩くみつあみにした糸目の男がニコニコしながらこちらに向かって歩いていた。
「それはディーディー関わってないっしょ。ノドちゃんとラクさんが初戦敗退したヤツ~」
俺には覚えのない名前だという前に突っ込んでくれたのは、金髪のチャラチャラした男だ。
「ディーと出ていたら三位くらいにはなったのにナァ? ノドしか残ってなかったからナァ?」
チャラチャラした男とは対極の重たくねちっこそうな態度で、低い声を出したのは紺色の髪の男だった。
「ちょっと、俺を貶めるのやめてくれますぅ?」
唇を尖らせ文句をいう橙色の髪の男、ノドさんは俺の視線に気が付くとニコッと笑う。
「目が合ったな?」
「いや、合ってないです。細いから」
目を開かれる前に顔を反らすと、俺の視線の先に金髪の男チョウさんが飛び込んできた。
「じゃあ、オレが代わりに合わせて……って、なんで逃げるんだよディーディー!」
「目が合ったら戦うとかいいそうだから」
俺が別の方向を見るたびにその視線の先に行こうとするチョウさんから逃げるように俯き、申込用紙を拾う。すると最後に寂しそうにラークさん……紺色の髪の男が呟いた。
「ディーと一緒に遊びたい……」
チョウラクノドカは大変愉快な人々が集まっており、変な大会を見つけては友人知人を巻き込んで遊ぶ。俺がブラック会社に勤めているときもお誘いのメッセージをくれていた。馬車馬が羨ましかった頃のメッセージなので返事もろくろくしていなかったが、パラマギ廃に戻ってからゆっくり読んだ。俺の身体の心配をしたり、会社を辞めろといってくれたり、最終的には俺を監禁するか会社を爆破するというメッセージをくれていた。
そんな人達に一緒に遊びたいといわれたら……特にラークさんにいわれたら、うんと頷いてしまう。
俺はおずおずと顔を上げ、ラークさんに目を合わせると苦笑した。
それを知っていたのだろう。ツーシーは俺がチーム名をつけるといった瞬間に動きを止め、申込用紙を口から離す。申込用紙がひらひらと簡易机の下へとおちていった。
『飛んでけはっぴぃふぉー……いや、つーになるのか……?』
ツーシーが急におかしなことをいいだしたと思ったら、かつて俺がつけたチーム名だった。チョウラクノドカの三人と一緒にトレジャーハントに参加した時のチーム名で、深夜の魔法でゲラゲラ笑いながらつけた名前だ。
『やったゼ☆ラッキーなら数は関係ない』
確か『やったゼ☆ラッキー』は珍しくラークさんと二人でイカサマ有りのポーカーの大会に出た際のチーム名だ。運任せっぽい名前なのに、二人でバリバリにイカサマをして五位以内に収まった楽しい思い出がある。
「いや……いや、待って」
『罪な夏だぜ☆シェケナベイベーは流石に季節感が』
そのチーム名は半分ノドさんのせいなので許して欲しい。ボートレースに参加した際のチーム名で、夏だったのだ。
『あとはなんだったかな……』
「ちょっと許しちゃあくれませんかね……?」
ツーシーが動けばヤバいチーム名をつけるぞと脅したつもりだったが、震え上がったのは俺だった。
俺はよろよろとウサギから少し離れ頭を抱え、簡易机にもたれ掛かり、長く息を吐く。過去のやらかしがいたく身に染みる。
『面白い名前なのに……?』
確かに俺もチーム名を見る側だったら笑っていたと思う。しかし、考えたのは俺で使ったのも俺だ。この世には後になってやってしまったなぁと思う物事というのが存在する。俺にとってチーム名の名づけはそれにあたった。
「あとはそうだなぁ……ハードなロックでキュートなバディとか」
許してくれといったのに、変な名前が聞こえ、俺は顔を上げる。
橙色の髪を緩くみつあみにした糸目の男がニコニコしながらこちらに向かって歩いていた。
「それはディーディー関わってないっしょ。ノドちゃんとラクさんが初戦敗退したヤツ~」
俺には覚えのない名前だという前に突っ込んでくれたのは、金髪のチャラチャラした男だ。
「ディーと出ていたら三位くらいにはなったのにナァ? ノドしか残ってなかったからナァ?」
チャラチャラした男とは対極の重たくねちっこそうな態度で、低い声を出したのは紺色の髪の男だった。
「ちょっと、俺を貶めるのやめてくれますぅ?」
唇を尖らせ文句をいう橙色の髪の男、ノドさんは俺の視線に気が付くとニコッと笑う。
「目が合ったな?」
「いや、合ってないです。細いから」
目を開かれる前に顔を反らすと、俺の視線の先に金髪の男チョウさんが飛び込んできた。
「じゃあ、オレが代わりに合わせて……って、なんで逃げるんだよディーディー!」
「目が合ったら戦うとかいいそうだから」
俺が別の方向を見るたびにその視線の先に行こうとするチョウさんから逃げるように俯き、申込用紙を拾う。すると最後に寂しそうにラークさん……紺色の髪の男が呟いた。
「ディーと一緒に遊びたい……」
チョウラクノドカは大変愉快な人々が集まっており、変な大会を見つけては友人知人を巻き込んで遊ぶ。俺がブラック会社に勤めているときもお誘いのメッセージをくれていた。馬車馬が羨ましかった頃のメッセージなので返事もろくろくしていなかったが、パラマギ廃に戻ってからゆっくり読んだ。俺の身体の心配をしたり、会社を辞めろといってくれたり、最終的には俺を監禁するか会社を爆破するというメッセージをくれていた。
そんな人達に一緒に遊びたいといわれたら……特にラークさんにいわれたら、うんと頷いてしまう。
俺はおずおずと顔を上げ、ラークさんに目を合わせると苦笑した。
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