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焔ノ章
宵闇峠五劫の擦り切れ
『モチィイイイーーーッ!!!』
治療院前に来たらミトラさんに顔面貼り付かれました。
ケンネルさんがペリッと剥がして、え?って顔してます。
「蝶々の獣人?いや精霊???」とかぶつぶつ言ってます。
『モチ!大変なのじゃ!』
「ミトラさん?」
『お主の主人、ハクが居なくなったのじゃ!』
「「「えっ!」」」
「つまり、またあの悪魔が暴走したな?」
ケンネルさんが困ったように大きく溜め息をついてます。
「あの女…」
カリナタさん、握り拳作って少し怖いです。
さっきの号泣きと変わりすぎです。
と言うか、暴走って何のことなんでしょうか?
『悪魔とはミサのことかの?』
ミトラさんはミトラさんで、キョトンとしながらケンネルさんに聞いて居ます。
「で?」
『うむ?』
「事態が緊急なのかも知れないが、君は?」
『あ~…普通はそう言う態度なのじゃな?でも検索等は後にしてくれんかの?妾の盟友が心配なのじゃ。ま、妾はハクの盟友だと覚えておくのじゃ』
エッヘンッと、ミトラさんは胸を張り、『原始の風の高位精霊じゃ』とすっかり正体をばらして居りました。
後じゃ無かったですか?とうっかり言ったら、『モチは意地悪なのじゃ~!』と、頬をムニムニと伸ばされてしまいました。
…少し痛いです…
「失礼した」
ペコリとケンネルさんがお辞儀をし、『構わぬ、若い者にはよくあることなのじゃ』とケンネルさんにいい、何故か僕の首筋に真横から抱き付きながら、
『それは兎も角、モチよ。主はハクと繋がっておるからの、何処に居るかわからぬかの?妾だと街中から出ておらんのは分かるのじゃが、魂の繋がりは無いから何処に居るか場所の特定は無理じゃ』
午前中はまだフラフラしておったし、血液が足りなくて顔色悪いし心配なのじゃと、ミトラさんは僕の首筋に自分の頭を突っ込んでグリグリして来ます。
あの、痒いんですけど…
困っていたら察したのか、ケンネルさんが引き剥がしてくれました。
でも何故かミトラさんは物凄く残念そうに『もちぃ』って言うのですかね?『もふもふがー』とか何とか呟いています。
あ、ケンネルさん物凄く残念な人見るような目でミトラさんを見てますね。カリナタさんまで憐れな人っぽい感じでみてますよ?
大体"もふもふ"なら、獣人のケンネルさんのが毛並みも艶々してて格好いいと思いますけどね。
「ん~…」
僕は集中してご主人の事を頭に思い描き、何処に居るかと辺りを見渡す。
時々鼻も使って………ん?
あれ?空中?
右手だけがヒラヒラと空間に浮かんでいて、その横からご主人が顔だけヒョコッと出て来ました。
そしてシーとご主人は自分の唇に人指し指を1本立て、「内緒」と言う仕草をして来ます。
ーーご主人、それ中々シュールな状態なのですけども。
空に浮かぶのは顔と手だけですし。
ーーゴメンゴメン、でも俺がここに居るのは内緒な?
僕の声テレパシーにご主人が答えてくれました。
通じたのかな?
ご主人、何があったんですか?って聞いてみたら、「泣きたい…」って、何やってるんですかミサさん………
「あの、えっと、そのっ」
ご主人に内緒にしてくれってことなのですが、どういったら良いのでしょう?
内心オロオロしてどう喋ったら良いのか解らずにしていたら、ケンネルさんが皆さんに「手分けして探そう」と、言ってくれました。
…多分ケンネルさんにはばれて居ますね。
皆を送り出してから僕に背を向けた時に、右手でサムズアップをしてくれましたから。
「モチこっち」
皆さんの姿が居なくなってから、僕は民家の屋根によじ登ろうとして…無理だと悟ったので素直に垣根をジャンプして飛び乗り、そこから屋根に飛び乗りました。
キョロキョロしてるとご主人の気配が真上からします。
上をよくみると、ご主人が何度か使っていた光魔法のライトシールドが何枚か重なっており、その上にご主人が座って居ます。
僕がその魔法の使い方にびっくりしていると、白いご主人の腕が伸びてきて僕を抱き上げました。
「ご主人もう大丈夫なのですか?」
何だかご主人は少し疲れた顔をしていますが、顔色はミトラさんに言われたほど悪くは無いように思われます。最も大きな怪我をしたのですから、本来ならここに居ないで部屋にいて欲しいのですが。
「彼処に居るよりはまし」
「ご主人、何故遠い目をするですか?」
カクーンと言う音がしたかのように、ガックリと頭を垂れてご主人は、
「モチ~怪我人の俺を使ってミサが着せ替えして遊ぶんだよ、しかも何十枚もだよ?疲れた…」
ギュッとご主人が抱き付いてきます。
そのご主人の頭をケンネルさんが僕にしたように(力は入れませんよ)撫でてみると、ご主人は「これじゃどっちが主人かわからん」と言って複雑な顔付きをしています。
でも、あれ?ミサさんご主人のスキル大丈夫だったのでしょうか?それにご主人自分のスキルのことがあるから警戒して街の上空に居るって言ってますけど、大丈夫なのでしょうか?
多少押さえて居るとは言ってますが…
「そう言えばご主人、その服装は?」
「東の国の服装だってさ。浴衣みたいだな」
白地に綺麗な模様が刺繍されたものの上には青い同じような形の上着。下に着ているものよりは丈が短めになっており、ご主人の銀髪が夕陽に映えて似合っていると僕は思います。
「浴衣?聞いたこと無いですけど、その格好がそうなんですね?」
「少し違うかな?俺が居たとこはもう少し、んー布地が薄かったかな?」
首を傾げて居るご主人は「普段は人間の時は洋服だったし、狐の時は狩衣着てたから、比較はしにくいけど」と呟いています。
「ご主人は東の国の人じゃなかったのですか?」
「そう言えばモチに話して無かったな」
そんな時間も無かったしな、と呟いてご主人は口を開きました。
「【そうだな丁度いいから長話だけどモチ、俺の昔話に少し付き合ってくれ】」
そうして、ご主人は街の上に居ながら穴だらけになった結界の上に更に別の結界を敷き詰め、その上をチェックしながら歩きつつ、色々話してくれました。
どうしてこの世界に来たのかとか、今のこの身体は別の人のだったとか、どうしても会いたかった人がこの世界の魔王の娘だったとか…
日が沈み、夜の帳が降りた頃。
ご主人は小さな声で「テルに逢いたい」って消え入るような声で言っていました。
僕にはその言葉が哭いているように思えました……
治療院前に来たらミトラさんに顔面貼り付かれました。
ケンネルさんがペリッと剥がして、え?って顔してます。
「蝶々の獣人?いや精霊???」とかぶつぶつ言ってます。
『モチ!大変なのじゃ!』
「ミトラさん?」
『お主の主人、ハクが居なくなったのじゃ!』
「「「えっ!」」」
「つまり、またあの悪魔が暴走したな?」
ケンネルさんが困ったように大きく溜め息をついてます。
「あの女…」
カリナタさん、握り拳作って少し怖いです。
さっきの号泣きと変わりすぎです。
と言うか、暴走って何のことなんでしょうか?
『悪魔とはミサのことかの?』
ミトラさんはミトラさんで、キョトンとしながらケンネルさんに聞いて居ます。
「で?」
『うむ?』
「事態が緊急なのかも知れないが、君は?」
『あ~…普通はそう言う態度なのじゃな?でも検索等は後にしてくれんかの?妾の盟友が心配なのじゃ。ま、妾はハクの盟友だと覚えておくのじゃ』
エッヘンッと、ミトラさんは胸を張り、『原始の風の高位精霊じゃ』とすっかり正体をばらして居りました。
後じゃ無かったですか?とうっかり言ったら、『モチは意地悪なのじゃ~!』と、頬をムニムニと伸ばされてしまいました。
…少し痛いです…
「失礼した」
ペコリとケンネルさんがお辞儀をし、『構わぬ、若い者にはよくあることなのじゃ』とケンネルさんにいい、何故か僕の首筋に真横から抱き付きながら、
『それは兎も角、モチよ。主はハクと繋がっておるからの、何処に居るかわからぬかの?妾だと街中から出ておらんのは分かるのじゃが、魂の繋がりは無いから何処に居るか場所の特定は無理じゃ』
午前中はまだフラフラしておったし、血液が足りなくて顔色悪いし心配なのじゃと、ミトラさんは僕の首筋に自分の頭を突っ込んでグリグリして来ます。
あの、痒いんですけど…
困っていたら察したのか、ケンネルさんが引き剥がしてくれました。
でも何故かミトラさんは物凄く残念そうに『もちぃ』って言うのですかね?『もふもふがー』とか何とか呟いています。
あ、ケンネルさん物凄く残念な人見るような目でミトラさんを見てますね。カリナタさんまで憐れな人っぽい感じでみてますよ?
大体"もふもふ"なら、獣人のケンネルさんのが毛並みも艶々してて格好いいと思いますけどね。
「ん~…」
僕は集中してご主人の事を頭に思い描き、何処に居るかと辺りを見渡す。
時々鼻も使って………ん?
あれ?空中?
右手だけがヒラヒラと空間に浮かんでいて、その横からご主人が顔だけヒョコッと出て来ました。
そしてシーとご主人は自分の唇に人指し指を1本立て、「内緒」と言う仕草をして来ます。
ーーご主人、それ中々シュールな状態なのですけども。
空に浮かぶのは顔と手だけですし。
ーーゴメンゴメン、でも俺がここに居るのは内緒な?
僕の声テレパシーにご主人が答えてくれました。
通じたのかな?
ご主人、何があったんですか?って聞いてみたら、「泣きたい…」って、何やってるんですかミサさん………
「あの、えっと、そのっ」
ご主人に内緒にしてくれってことなのですが、どういったら良いのでしょう?
内心オロオロしてどう喋ったら良いのか解らずにしていたら、ケンネルさんが皆さんに「手分けして探そう」と、言ってくれました。
…多分ケンネルさんにはばれて居ますね。
皆を送り出してから僕に背を向けた時に、右手でサムズアップをしてくれましたから。
「モチこっち」
皆さんの姿が居なくなってから、僕は民家の屋根によじ登ろうとして…無理だと悟ったので素直に垣根をジャンプして飛び乗り、そこから屋根に飛び乗りました。
キョロキョロしてるとご主人の気配が真上からします。
上をよくみると、ご主人が何度か使っていた光魔法のライトシールドが何枚か重なっており、その上にご主人が座って居ます。
僕がその魔法の使い方にびっくりしていると、白いご主人の腕が伸びてきて僕を抱き上げました。
「ご主人もう大丈夫なのですか?」
何だかご主人は少し疲れた顔をしていますが、顔色はミトラさんに言われたほど悪くは無いように思われます。最も大きな怪我をしたのですから、本来ならここに居ないで部屋にいて欲しいのですが。
「彼処に居るよりはまし」
「ご主人、何故遠い目をするですか?」
カクーンと言う音がしたかのように、ガックリと頭を垂れてご主人は、
「モチ~怪我人の俺を使ってミサが着せ替えして遊ぶんだよ、しかも何十枚もだよ?疲れた…」
ギュッとご主人が抱き付いてきます。
そのご主人の頭をケンネルさんが僕にしたように(力は入れませんよ)撫でてみると、ご主人は「これじゃどっちが主人かわからん」と言って複雑な顔付きをしています。
でも、あれ?ミサさんご主人のスキル大丈夫だったのでしょうか?それにご主人自分のスキルのことがあるから警戒して街の上空に居るって言ってますけど、大丈夫なのでしょうか?
多少押さえて居るとは言ってますが…
「そう言えばご主人、その服装は?」
「東の国の服装だってさ。浴衣みたいだな」
白地に綺麗な模様が刺繍されたものの上には青い同じような形の上着。下に着ているものよりは丈が短めになっており、ご主人の銀髪が夕陽に映えて似合っていると僕は思います。
「浴衣?聞いたこと無いですけど、その格好がそうなんですね?」
「少し違うかな?俺が居たとこはもう少し、んー布地が薄かったかな?」
首を傾げて居るご主人は「普段は人間の時は洋服だったし、狐の時は狩衣着てたから、比較はしにくいけど」と呟いています。
「ご主人は東の国の人じゃなかったのですか?」
「そう言えばモチに話して無かったな」
そんな時間も無かったしな、と呟いてご主人は口を開きました。
「【そうだな丁度いいから長話だけどモチ、俺の昔話に少し付き合ってくれ】」
そうして、ご主人は街の上に居ながら穴だらけになった結界の上に更に別の結界を敷き詰め、その上をチェックしながら歩きつつ、色々話してくれました。
どうしてこの世界に来たのかとか、今のこの身体は別の人のだったとか、どうしても会いたかった人がこの世界の魔王の娘だったとか…
日が沈み、夜の帳が降りた頃。
ご主人は小さな声で「テルに逢いたい」って消え入るような声で言っていました。
僕にはその言葉が哭いているように思えました……
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