38 / 48
焔ノ章
番外編 御姉様方の新年 2
「そう言えば竜王様がグリンウッドにいらしたのですって」
「ではあの噂は本当なのか」
「噂って?」
「何でもグリンウッドで長い間求めていた念願の番相手に巡り会えたらしい」
「まあ!」
「可愛らしい女の子だって言う噂だって」
本日も元気にハクにテイムされたノーブルラビットのモチは、アルバイトをしている宿屋の前をモチ用の箒で器用に掃除している。
「ンキュ?番?」
ここファンダムは新しく出来た街であるが、元は様々な種族の溢れ者が流れ着き寄り添い集まった小さな村である。
ハーフエルフから始まり、獣人の国と呼ばれて居るウィングダス国以外では余り居ない獣人に飛竜族、ハーフドワーフにハーフダークエルフ等といった人間至上主義な国からは半端者と呼ばれる者達の楽園と言われ、様々な種族の混じった者達が目の前を噂話をしながら過って行く。
「あらモチちゃん、聞いてたの?」
「すいません、つい」
竜王様の番って確か僕の【御姉ちゃん】の事だよね。
テイムされて此処に来る前にグリンウッドで別れた双子の姉。
僕が渡した魔力が籠った赤い瞳、綺麗な毛並みの白いノーブルラビット。
モチは心の中で思いつつ、確りと確認をする。
「竜王様の番って銀髪の赤い瞳の女の子でしたっけ?」
「モチちゃんよく知ってるわね、ええ、そうだって話よ」
「そっかぁ、元気にしてるのかぁ…」
「ん?元気にしてるのか?」
「ピヒャッ!な、何でも無いです!」
うん?とモチの呟きを聞いた人が小首を傾げた途端ーー…
「ピギャッ!」
ビタンッとモチの顔に貼り付く何時もの光景。
『モチ~!逢いたかったのじゃぁぁあっ』
「ピ…キュ~~ッ!」
苦しい~!と貼り付いたミトラをベリッと引き剥がし、プクッと小さく頬を脹らます。
「もう!ミトラさん貼り付かないで下さいって何時も言ってるじゃ無いですか!」
『むう、そうなのかの?(だがそのせいで誤魔化せたのでは無いかの?)』
え?とモチが先程の人を見ると、クスクス笑って「それじゃあね、モチちゃんに精霊さんまたね」とヒラヒラと手を振って去って言った。
「聞いてたんですか?」
『妾に取ってモチのぴんちは救うものじゃ』
ふふふ、とミトラは笑ってモチの首筋にグリグリと擦りよる。
「ミトラさん僕お掃除してるんですけど」
『大丈夫じゃ、妾は勝手にスリスリしてるだけじゃ』
むふふ~フカフカモフモフじゃ!と言って離れないミトラにモチは諦めて手を動かす。
既に慣れっこのようだ。
『モチはフカフカじゃの~柔らかくて寒くなって来た季節にはこの様にくっついて居たいのじゃ』
「それじゃあ足とか寒いんじゃ無いですか?」
『それは大丈夫じゃ。ちゃんと愚弟の所で頼んだ暖かいニーハイブーツを履いとるからの』
見せびらかす様にプランっとモチの前に片足を上げると、モチがその足をウサギの前足で器用に下ろす。
「ミトラさん僕だから良いけど、見えちゃったらどうするんですか」
『んむむむむむ…はしたなかったかの?』
「です」
『はぅぅぅぅ…モチに言われるとダメージが半端ないのじゃ』
「だったらやらなければいいじゃ無いですか」
『んぐぐぐぐっモチ辛辣じゃ』
「何処が辛辣ですか」
『モチのいけずなのじゃ~!』
ぷんっと頬を脹らませ拗ねたミトラはモチから顔を背けながらも確りと首筋にしがみつき、文句を垂れ流す。
ブーブーと小声で言うから他の人には聞こえないが、首筋に抱き付かれて居るモチには確り伝わる。
仕方無いなぁとモチが打開策を練っていると、
「モチこんな所で何してるんだ?」
掃除は終わったか?と宿屋の中からモチの主人であるハクが顔を出す。
途端に道行く人々から視線を浴びる。
銀髪に人を惹き付ける様な容姿に、そして少し笑むと場の空気が華やぎ、まるでその場に軟らかな色合いの可憐な花1輪が咲きつつあるかの様な雰囲気へと変わる。
男なのに少女の様な華奢な身体に陶磁の様な色白の艶やかな肌。
唯一残念なのは、身長が些か低い事だろうか。
「ミトラ相変わらず引っ付き虫だな」
例え辛口な口調でも、周囲の女性達がほぅ…と溜め息を付くのをモチは見詰め、相変わらずご主人は無意識に色気を醸し出してなぁと思う。
今も目線を少し上げただけで周囲の女性達の息を飲む音が聞こえて来るほどだ。
『ハク!妾は引っ付き虫では無いのじゃ!』
「んじゃモチ限定の張り付きモチ」
『何なんじゃその例えはのぅ…』
モチにモチとはの、とガクーと項垂れるミトラ。
そのミトラを見詰め口の端を上げるハク。
"今日のご主人は口の悪い方のご主人の様ですね。"
チラッとモチは自身の主人を見詰めると、悪戯っぽい瞳を輝かせている。
"ミトラさんをフォローしないと不味いですか?ね?"
とウンウン考えて居ると、
「モチくーん!」
野太い第一声の声で悪戯っぽい瞳は即座に引っ込んだ。
モチが主人の顔を見ると、何時も通りの優しい軟らかな光が瞳に宿って居る。
"これって優しい方のご主人です。"
ふむふむとモチは納得し、声のした方を見ると見知った…………
「ではあの噂は本当なのか」
「噂って?」
「何でもグリンウッドで長い間求めていた念願の番相手に巡り会えたらしい」
「まあ!」
「可愛らしい女の子だって言う噂だって」
本日も元気にハクにテイムされたノーブルラビットのモチは、アルバイトをしている宿屋の前をモチ用の箒で器用に掃除している。
「ンキュ?番?」
ここファンダムは新しく出来た街であるが、元は様々な種族の溢れ者が流れ着き寄り添い集まった小さな村である。
ハーフエルフから始まり、獣人の国と呼ばれて居るウィングダス国以外では余り居ない獣人に飛竜族、ハーフドワーフにハーフダークエルフ等といった人間至上主義な国からは半端者と呼ばれる者達の楽園と言われ、様々な種族の混じった者達が目の前を噂話をしながら過って行く。
「あらモチちゃん、聞いてたの?」
「すいません、つい」
竜王様の番って確か僕の【御姉ちゃん】の事だよね。
テイムされて此処に来る前にグリンウッドで別れた双子の姉。
僕が渡した魔力が籠った赤い瞳、綺麗な毛並みの白いノーブルラビット。
モチは心の中で思いつつ、確りと確認をする。
「竜王様の番って銀髪の赤い瞳の女の子でしたっけ?」
「モチちゃんよく知ってるわね、ええ、そうだって話よ」
「そっかぁ、元気にしてるのかぁ…」
「ん?元気にしてるのか?」
「ピヒャッ!な、何でも無いです!」
うん?とモチの呟きを聞いた人が小首を傾げた途端ーー…
「ピギャッ!」
ビタンッとモチの顔に貼り付く何時もの光景。
『モチ~!逢いたかったのじゃぁぁあっ』
「ピ…キュ~~ッ!」
苦しい~!と貼り付いたミトラをベリッと引き剥がし、プクッと小さく頬を脹らます。
「もう!ミトラさん貼り付かないで下さいって何時も言ってるじゃ無いですか!」
『むう、そうなのかの?(だがそのせいで誤魔化せたのでは無いかの?)』
え?とモチが先程の人を見ると、クスクス笑って「それじゃあね、モチちゃんに精霊さんまたね」とヒラヒラと手を振って去って言った。
「聞いてたんですか?」
『妾に取ってモチのぴんちは救うものじゃ』
ふふふ、とミトラは笑ってモチの首筋にグリグリと擦りよる。
「ミトラさん僕お掃除してるんですけど」
『大丈夫じゃ、妾は勝手にスリスリしてるだけじゃ』
むふふ~フカフカモフモフじゃ!と言って離れないミトラにモチは諦めて手を動かす。
既に慣れっこのようだ。
『モチはフカフカじゃの~柔らかくて寒くなって来た季節にはこの様にくっついて居たいのじゃ』
「それじゃあ足とか寒いんじゃ無いですか?」
『それは大丈夫じゃ。ちゃんと愚弟の所で頼んだ暖かいニーハイブーツを履いとるからの』
見せびらかす様にプランっとモチの前に片足を上げると、モチがその足をウサギの前足で器用に下ろす。
「ミトラさん僕だから良いけど、見えちゃったらどうするんですか」
『んむむむむむ…はしたなかったかの?』
「です」
『はぅぅぅぅ…モチに言われるとダメージが半端ないのじゃ』
「だったらやらなければいいじゃ無いですか」
『んぐぐぐぐっモチ辛辣じゃ』
「何処が辛辣ですか」
『モチのいけずなのじゃ~!』
ぷんっと頬を脹らませ拗ねたミトラはモチから顔を背けながらも確りと首筋にしがみつき、文句を垂れ流す。
ブーブーと小声で言うから他の人には聞こえないが、首筋に抱き付かれて居るモチには確り伝わる。
仕方無いなぁとモチが打開策を練っていると、
「モチこんな所で何してるんだ?」
掃除は終わったか?と宿屋の中からモチの主人であるハクが顔を出す。
途端に道行く人々から視線を浴びる。
銀髪に人を惹き付ける様な容姿に、そして少し笑むと場の空気が華やぎ、まるでその場に軟らかな色合いの可憐な花1輪が咲きつつあるかの様な雰囲気へと変わる。
男なのに少女の様な華奢な身体に陶磁の様な色白の艶やかな肌。
唯一残念なのは、身長が些か低い事だろうか。
「ミトラ相変わらず引っ付き虫だな」
例え辛口な口調でも、周囲の女性達がほぅ…と溜め息を付くのをモチは見詰め、相変わらずご主人は無意識に色気を醸し出してなぁと思う。
今も目線を少し上げただけで周囲の女性達の息を飲む音が聞こえて来るほどだ。
『ハク!妾は引っ付き虫では無いのじゃ!』
「んじゃモチ限定の張り付きモチ」
『何なんじゃその例えはのぅ…』
モチにモチとはの、とガクーと項垂れるミトラ。
そのミトラを見詰め口の端を上げるハク。
"今日のご主人は口の悪い方のご主人の様ですね。"
チラッとモチは自身の主人を見詰めると、悪戯っぽい瞳を輝かせている。
"ミトラさんをフォローしないと不味いですか?ね?"
とウンウン考えて居ると、
「モチくーん!」
野太い第一声の声で悪戯っぽい瞳は即座に引っ込んだ。
モチが主人の顔を見ると、何時も通りの優しい軟らかな光が瞳に宿って居る。
"これって優しい方のご主人です。"
ふむふむとモチは納得し、声のした方を見ると見知った…………
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
貧乏育ちの私が転生したらお姫様になっていましたが、貧乏王国だったのでスローライフをしながらお金を稼ぐべく姫が自らキリキリ働きます!
Levi
ファンタジー
前世は日本で超絶貧乏家庭に育った美樹は、ひょんなことから異世界で覚醒。そして姫として生まれ変わっているのを知ったけど、その国は超絶貧乏王国。 美樹は貧乏生活でのノウハウで王国を救おうと心に決めた!
※エブリスタさん版をベースに、一部少し文字を足したり引いたり直したりしています
【完結】お花畑ヒロインの義母でした〜連座はご勘弁!可愛い息子を連れて逃亡します〜+おまけSS
himahima
恋愛
夫が少女を連れ帰ってきた日、ここは前世で読んだweb小説の世界で、私はざまぁされるお花畑ヒロインの義母に転生したと気付く。
えっ?!遅くない!!せめてくそ旦那と結婚する10年前に思い出したかった…。
ざまぁされて取り潰される男爵家の泥舟に一緒に乗る気はありませんわ!
アルファポリス恋愛ランキング入りしました!
読んでくれた皆様ありがとうございます。
*他サイトでも公開中
なろう日間総合ランキング2位に入りました!
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
異世界魔法、観察してみたら
猫チュー
ファンタジー
異世界に転生した少年レイは、ある日、前世の記憶を取り戻す。
未知でありながら日常の一部となっている魔法に強い興味を抱いた彼は、村の魔法オババに師事し、修行の日々を送る。
やがてレイは、この世界の魔法が、地球で学んだ知識と多くの共通点を持つことに気づいていく。
師の元を離れ、世界を知っていく中で、少年は魔法を観察し、考え、少しずつ理解を深めていく。
これは、少年レイが世界を、魔法を、科学していく物語。
俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。