商店街のお茶屋さん~運命の番にスルーされたので、心機一転都会の下町で店を経営する!~

柚ノ木 碧/柚木 彗

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「12本…」

 店を閉めてから薔薇の花の数を数えてみた。
 更にネットで薔薇の花束の数の意味を検索。

「13本は『永遠の友情』か」

 数間違えていないよね?
 何度も何度も数を数え直してみるけど、12本ある。
 13本ではない。
 薔薇の数が12本は『私と付き合って下さい』という意味がある。

 花瓶に生けてある花を見る。
 真っ赤な薔薇。
 他にも意味があるのかな、と思い調べた。

「ぐ、おおおおおおお」

 そうして床にゴロゴロゴロと悶える俺が出来上がった。

 何ですか、これ。

 赤い薔薇の花の意味が、

「『愛している』とか、『情熱』とか『愛情』とか『熱烈な恋』とか!」

 恋では無く、水中の鯉なら意味わかるけど!
 いや、それでは意味がわからないし通じない気がするけど。

 錦鯉可愛いよ?
 とある神社の肥えた錦鯉はデカ過ぎて、異様に巨大化していて怖いけど。しかも何故か側に寄ると餌をくれると思ったのか数十匹群れて来た。
 大量の水飛沫を上げて。

 巨大化した鯉の顔が恐ろしくて、その日の晩…夢に何故か出て来て恐怖を味わってしまったよ。
 うう、忌まわしい悪夢思い出してしまった。

 でも、愛ってなんだ!恋ってなんだ!熱烈って!?

 これはもう、悶えるしかないだろう~~~!!

 え、何。これ、夢?夢ならオッケーオッケーオールオッケー。
 安心する!けど、現実となると現実逃避しか出来ないよ!
 何で俺?俺、綺麗でもなく可愛くもない、極々普通のΩだよ!?『運命の番』相手には拒否されたΩだよ!?

「よし、現実逃避する」

 花瓶に生けた花は店から一階の台所へ移動。
 店に置いておくと何となく落ち着かないし、何かの拍子に花瓶が倒れたら気が付かないし。
 まぁ、早々倒れないのはわかっているのだけど。

 店の扉を開けて廊下に出て、その先の扉を開けたら台所。
 何時もこの時間は店で使う明日の朝食の仕込みとか、ついでに夕飯の仕込みとか全部一緒にやってしまう。でもその前にと、一人で生活をするには大き目の冷蔵庫の扉を開けてチェック。

「買い物行かないと駄目か」

 卵とか牛乳とか、調味料も幾つか足りなくなって来ている。
 足りない品を幾つかメモをし、パソコンをつける。ネット通販サイトで狙っていた【漁師の詰め合わせ魚介セット】とか、干物セットとかの値段をチェック。
 Am○zonとか○天とかで漁師さんの網にかかった魚をお任せで調べると、当たり外れは当然あるけれど、結構良い物があったりする。勿論自分の目で見た物の方が良いけれど、普段はどうしても手に入らない物も多い。

 うちの店っておかずに焼鮭が多いから飽きると思う。偶には違う魚も手に入れたい。
 お肉も良いとは思うけど、うちの店は基本日本食をメインにしている。
 良いお魚が無い時はハムエッグにしちゃうけれど(ハムはとても良い品を地元から送って来る)、それって手抜きのような気がしてならない。

 それならば別のお魚が出したい。煮魚でもいいけど、この界隈で購入するには魚は中々高級だ。ならばランダムで何が入っているかわからないが、【漁師の詰め合わせ魚介セット】を頼んで失敗しても自分で処理したらいいし、何ならだしを取るのに使っても良い。費用は掛かるけども。

「おお、前に頼んだ所で干物セットが出ている~!2セット買っちゃおっと♪」

 何度も購入したお店で美味しそうなサバとアジの干物セットがまた出ている。売り切れる前に何とか2セット注文。よし、今日の俺は運が良い。

「注文した途端、品切れになった。マジか…」

 ポチッと決算が済んでからもう一度見に行くと、売り切れの文字。本当に運が良かったらしい。
 寧ろ本日の運を使い切ってしまっていたりして…。
 それはそれでまぁ良いけど。
 何事も時の運という奴だ。

 足りない物を書いたメモを再度確認し、お財布とエコバックをショルダーバッグに入れて立ち上がる。途端、目に入る薔薇の花。

 何ともむず痒い気分に陥り、首をブンブンと勢いよく横に振る。
 そこでふと思う。

 普通、薔薇の花を何本相手に送るという意味を考えるだろうか。

 花屋で用途を言ってから花屋の方でこの個数薔薇の花を用意したのでは無いだろうか。だとしたら本数の方は気にしなくても良いのかも。最も、告白をされたわけだから然程意味は変わらないのだが。

「でも、でもなぁ、何と言うかこう、ぐ~と…」

 等と言って玄関ドアを開けると、

「何がぐ~と?腹でも減っているのか?」
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