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しおりを挟むジュージューと美味しそうな音が目の前の鉄板から響く。
因みに今俺の目の前のもんじゃ焼きは現在二枚目。そりゃあ子供のおやつだとは思うけど…うん。
いや、何でこうなった。
俺と嵯峨さんの周囲には涎をダラダラと垂らす、やんちゃなお子様男子ーズが5名。
そんなお子様達が俺等の周囲にびっしりと張り付いている。
物凄くいたたまれない。
寧ろ俺達の方がこの店では異物なのだろうか。
周囲も気にもしていないのか、それとも何時もの光景なのか。焼けた所から次々と嵯峨さんが男子ーズの前にある小皿へとポイポイともんじゃ焼きを置いている。
(置いていると言うより、もんじゃ焼きを焼いた鉄板から剥ぎ取り、皿へとこそぎ落としている感じだけど)
そうして目をキラキラと輝かせて、次に遠慮しながら此方を見るお子様男子ーズ5名。
あ、そこ、食べる前に涎は拭きなさい。
「ん?」って声出して不思議そうにするな、ええい、仕方が無いから拭いてやる。
「遠慮せず食いなさい」
一つ100円と言う駄菓子感覚の安いもんじゃ焼きだけど、遠慮するな。
兄ちゃん達が奢ってやる、ちゃんと食いなさい。でもこの後食うだろう夕飯のことは考えろよ?等と思っていたら、
「あんちゃん達あんがとよ、この子供達何時も此処か子ども食堂で夕飯食べている子なんだわ」
と、女将さんから声が。
嗚呼、成程納得。
聞けば嵯峨さん、子供の時から此方の店をよく利用していたそうで。大人になってからも度々訪れ、このように子供達と一緒に食べていたりするそうだな。
どうりで嵯峨さんが入って来たら、数名の子供達が目を輝かせてワラワラと群がって来たわけだ。ハラヘリなのね、了解です。嵯峨さんと俺がちゃんともんじゃ焼き作ってやるからな。
「何時もありがと、けんあんちゃん!」
おお、下の名前の憲真のけんの部分で【けんあんちゃん】か。
ふむふむ、略すと結構気安い感じがするんだなぁって思っていたら、
「で、あんちゃん達デートか」
「けんあんちゃん振られたら俺がデートしてやる」
「えーずるーい。御飯いっぱい奢って貰う気だろー!」
とか何とか。
えらい人気じゃん、良いね、いい人だね、嵯峨さん。
飯につられている子供が多いけど。
なんて呑気に思っていたら、
「んじゃ、けんあんちゃんが振られたら、俺がけんあんちゃんの嫁さん候補っぽい兄ちゃんを嫁に貰ってやるよ!」
「ぼくもー」
おい。
マセガキめ。
つーか誰が嫁じゃい。
そして便乗するのではないちびっ子よ、可愛いけどな。
寧ろ俺がちびっ子を養子として貰いたいわ、可愛いし。
「それは駄目ですね。小林さんは俺が嫁に欲しくて必死に口説いているので」
「えーけんあんちゃんずるーい!俺もカワイイお嫁さんが欲しい!」
んあ?俺モテモテ?
まぁ一時的なモノでしょう、だって俺普通の顔だし可愛くは無いし。
嵯峨さんはもう仕方がないとしても、子供達の美意識が低くて不安だよ。幾ら下町とは言え今後のために目は肥えとくべきだぞ。後お世辞はいらん。俺はそんじょそこらに居る容姿の普通の男だ。男だけどΩだから嫁って言われるのはまぁ慣れているけどな。
「けんあんちゃん、この兄ちゃん自覚ないの?」
「困ったことにありませんね」
って、変な目で此方を見ない。
何度も言うがお世辞はいらん。
あああ、其処のちびっ子食いながら口の端からポロポロこぼすのではない。と言うかどうやったら鼻の頭やら頬やらにソースがごっそりと付くんだよ。
ったくほら拭くぞ。
ってこら!店の布巾で鼻をかむな!
「けんあんちゃん」
「なんだ」
「けんあんちゃんのイイ人、面倒見がよくて凄くいい人だね」
「だろ?」
「ちょっとお節介だけどね」
ほっとけ、ったく。
褒めたって【何も出ない】んだからな。
「店主のオバちゃん、お好み焼き三枚追加頼む」
「あいよ」って言いながら、「【何も出ない】では無く出てきたね」なんて言われたけど良いんです。目の保養にもなるし、お子様はこの国の宝だからたんとお食べ。
向かい側で小さい子に食わせている嵯峨さんの目が柔らかく緩んで此方を見ていることに気が付いたけど、気恥ずかしいので見なかったことにする。
うん、俺は見なかった。
嵯峨さんの頬にソースが付いていることは見なかったことにする。でも外に出た時に嵯峨さんが恥ずかしい思いをして欲しくないから、店を出る前には教えてやろう。
むしろ拭いてやるべき?
※ ※ ※
拭いたらそれはそれで嵯峨さんが喜びそうw
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