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しおりを挟む――は、い?
何だか先日も似たような声を聞いたような、嫌な汗が背中を一筋ツツーと流れる。
「酷いなぁ小林茶房の店長さん」
いやいやいや、何がどうして酷いのだ。
と言うか俺、つい先日まで面識は無かったし名前まで知らなかった。
知りたくは無かったって言うのもあるけどな。
「僕が何度も誘っているのに」
俺の背後から掛けられる声が嫌に至近距離に感じる。
何時の間にこんな接近を許した?と言っても、極々普通の日本人で一般人だから当然普通の感覚しかないので暗殺者みたいな事は出来ない。
でも今だけでも暗殺者になりたかった!
暗殺するつもりは無いけどな!
いーやーだーっ!
滅茶苦茶鳥肌が立つー!
近くに来るなー!
と言うかこんな所まで俺を追って来たって、それ何てストーカー!
「何で避けるの?」
コッチを向いてって声には出ていないけど、俺はこの場を全力で逃げ出したい!
やめろ!
αのフェロモン出すな!
「ぐっ…」
匂いを嗅ぎたくないのに、鼻に付く匂い。
いや。
ヤダ。
やめろ。
頼むから。
俺はお前の番にはなりたくない!
「僕は小林茶房の店長さんの『運命の番』でしょう?」
「…っ!」
五月蝿い。
そんなの俺は認めたく無い。
運命なんて、今更なんだよ。
月日が経ち過ぎて、遅すぎる。
俺の気持ちを掻き回さないでくれ!
「ほら、その証拠に」
「うるせぇ!臭い!」
「え」
何で、って何が。
背後でヒムカさんが驚いている間に少しずつ前に移動して距離を取る。
とは言えヒムカさんが居ると思われる背後は見ていないから感覚でだけど。
「何で」
いや、何が何でだ。
「臭い?そんな」
「はぁ?」
「何で」って言うのが『臭い』って言ったことに対してか?
「いや、臭いって何故」
汗臭い?とか俺って匂い酷い?とか、混乱して勘違いしているらしい声が聞こえて来るが、もうどうでも良い。
「大体αのフェロモン撒き散らして俺の気を惹こうだなんて、Ωに対して最低行為だ。気付けって言うの。他のΩの人に迷惑だろうが!その匂いでヒートを起こすだろうが!」
「え、僕、フェロモンとか出して居ない」
うるせえ、お前からフェロモンが出ているのは俺でも解る。
現に俺がヤバイ状態になりそうだからな!
「気が付いて居ないだけだろ、こんな人が多数いる場所で他の人に迷惑を掛ける行為をするなんて最低だぞ!」
「小林さん!」
つい苛ついて大声で声を出したら、嵯峨さんが驚いた顔をして此方に向かって来る。
その背後には落合君と吃驚した顔をして目を見開いている京夏君。
よし、嵯峨さんの背後に向かってダッシュで逃走だ!!
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