商店街のお茶屋さん~運命の番にスルーされたので、心機一転都会の下町で店を経営する!~

柚ノ木 碧/柚木 彗

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 可愛いって何だろう。
 人と俺との感性が違うのだろうか。


 ――小さいもの、弱いものなどに心引かれる気持ちをいだくさま。


 スマホのネット検索を『可愛い』でしたら出て来た言葉。

 小さいって言うのかー!

 弱いって言うのは理解出来る。
 Ωだからα<越えられない壁<Ωと世間ではなってしまう。

 他にも検索結果に出て来た文字には幼いとか、小さいとか、小さ…うっせーわー!
 あと3センチあれば170になるのに、くっそ~!


「うぐぐぐ」


 一人変な声を出す俺、只今【男性Ω用】トイレにて唸っております。

 ……こう言うと汚いな。
 正確にはトイレの洗面所、その前にある鏡に己の姿を映して唸っている。

 どう見ても可愛いとは思えんがなぁ…。

 そうそう、此処のゲーセン。珍しいことに男性用と男性Ω用と完全に分かれていた。田舎のトイレなんて男女としか分かれていなかったが、都会って言うのはこう…世知辛い?なんか違うな。

 まぁ有り難いかな。
 これが田舎だと適当だからな。
 もしセンシティブな事でトラブルとかあったらどうするって思うが、田舎過ぎてそんな事は過去一度も無かったのでまぁ、今後も改良なんて事は余程人が増えない限り無理。
 そうして田舎だから徐々に…。
 うぬう、過疎って怖い。
 そんな事を思いつつ、俺自身は田舎から都会へ出て来てしまった口だから人の事は言えないのです。

 都会へ若者は学校を卒業すると出て行ってしまう。

 田舎に住んでいる俺の爺さん婆さんも俺に対して言っていたが、βばかり居る、いいやβしか住んで居ない田舎でΩの男である俺に一体どうしろと言うのだ。どう考えても腫れ物扱いだし、あのまま田舎に居たら息が詰まってしまっていただろう。

 おまけにΩだと内緒にしようにも、田舎の人達ほぼ全員知っているっていう罠。
 それなら都会に出てしまった方が…ま、こんな事を言っても当事者でないと理解しないし出来ないだろうな。

 …おう、思わず心のなかで愚痴ってしまった。
 そうして再度、まじまじと鏡を見る。


「でっけー目」


 Ωの中には物凄い美形や美人さんが多いらしいが、俺は系統が違う。
 都会に出てから知り合ったΩの男性は儚げ美少年代表の双子のお母さんこと、不破末明さん十代。ぽやんぽやんとした掴み所の無い性格をしているが、テレビに出て来る美人女優さんよりも遥かに綺麗な田中各務さん。

 その二人とは違って地味でチンクシャな俺。

 …目はくりくりして大きいとは思うが、それだけ。


「うーん…目が大きいから童顔、とか?」


 良くわからん。
 さっぱりわからん。
 むしろ童顔とかは思えんし、周囲にも言われた事はない。
 年相応だとは思う。日本人だから外国人には童顔とかは思われるだろうが、少なくとも店の常連客の外国人(ほぼ不破さんの知り合いのイタリア人)には言われたことは無い。
 どう見ても普通としか思え無いし、他は思い付かない。

 目が大きめで、極々普通の容姿、もしくは地味めでさえない男Ω。
 それが俺だ。

 よし、放置だ。
 わからんものはこれ以上考えない。


「うっし、スッキリでさっぱり!」


 三人を待たせているしさっさと戻るか~と、トイレから一歩出て………。


「見つけた」

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