商店街のお茶屋さん~運命の番にスルーされたので、心機一転都会の下町で店を経営する!~

柚ノ木 碧/柚木 彗

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 俺の手には何故かポッ●ーの箱が2つ。更には某キャラクターのぬいぐるみ大が一個。
 これ全部嵯峨さんがユーフォーキャッチャーでゲットした戦利品。
 俺がついつい「お、あのキャラクターのぬいぐるみだ」とか一言呟いたのがうん、何とやら。

 嵯峨さん、スイッチが入ってしまったらしく全力でやってしまった、と。
 中々お茶目な人だなぁと再確認。

 尚、嵯峨さん自身もぬいぐるみ2つに謎の缶一つ、更に箱に入った物をゲーセンの店員が寄越してくれた紙袋に入れて持っている。


「やりすぎ」

「すいません、つい」

「でも傍で見て居るの、結構楽しかったよ」


 特に嵯峨さんが商品をゲットした時、子供みたいに無邪気に笑う顔なんてプライスレス。
 ご褒美か。
 俺、今なら滅茶苦茶嵯峨さん推せる。
 やべー可愛いかよって。

 …ニホンゴアッテル?


「それにしてもこの荷物どうしようかね」

「あー…それに関しては、恐らくですが更に増えるかと」

「え」


 何ですか、もしかして嵯峨さんもっとユーフォーキャッチャーやる気?個人的にはいい笑顔はもっと見たいけど、帰る時に大荷物は大変だよ。しかもこの後お昼御飯食って行くって言っていたよね?


「うわ~い、店長ちゃん達も荷物がいっぱーい!」


 そうでした、京夏君達のことを忘れていた。
 この子が【楽しい】ことをしないわけが無い。
 むしろする。とってもする。
 断言出来る!
 落合君や京夏君が手にしている大荷物がその証拠!


「見てみて―戦利品!」


 某巨大ぬいぐるみにクッキーが入った缶。それと何故か口紅やら女性用のリップやら…何故。
 更には落合君も手にした袋の中身がキラキラ系の化粧道具。


「京夏君にはそう言う趣味が…」

「えー店長ちゃんそりゃないよ~!」


 ゲラゲラ笑いながら、なーんと京夏君には双子の妹が居て、先程の女子高生達は中学の時妹さんと同じ級友だったらしく、ユーフォーキャッチャーで取ったけどダブったから彼女に渡してと貰ったらしい。ただし「何なら京夏君が使ってもいいよ!」と言われた、と。

 最近の女子高生、肝っ玉が強い。
 俺だったら落合君の反応が怖くてそんな台詞言えないっ!

 それはともかく、この大荷物。


「荷物どうする?」


 四人全員結構な荷物です。
 ぬいぐるみとかいや、可愛いけど。俺みたいな男がこんなのを持っていてもなぁ…。


「店長ちゃん似合うよ~」

「だな」

「…うん」


 最初に口にしたのは京夏君。
 その京夏君に同意しているのが嵯峨さん。
 最後に落合君が微妙な顔をしつつ同意。


「……うげふ」


 何となく最後の落合君の台詞が一番心を抉った気がする。
 無理に言わなくても良いよ!この中で唯一のΩだけど、年齢は君よりも上だからね。オジサンとはまだ認めたくは無いけど、それでも年上なのですよ。


「店長、年上でも可愛いタイプだよ。勿論京夏には負けるけど」


 それ、負けて良いですので。
 と言うか更に強烈なえぐり具合でも、色々グサグサと俺のへろへろメンタルに刺さる、ささる。
 大事なことなので二度言いました。


「ちと、トイレ行って来る」


 人はコレを逃避と言う。
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