商店街のお茶屋さん~運命の番にスルーされたので、心機一転都会の下町で店を経営する!~

柚ノ木 碧/柚木 彗

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102 やっちまったよー!!

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「特に意味はないのですよ」


 語尾に「?」が付いていそうな台詞頂きました。
 キョトンとした表情と共に。

 え、何その顔珍しい、大きく見開いた瞳が可愛い。
 この人本当にα?
 滅茶苦茶愛嬌のある表情なのですけど!
 その笑顔?微笑?うーん苦笑かな?そんな滅多に見られない表情に俺の心臓がぐっとこう、くる。
 表現が下手なのは勘弁して欲しい。俺文系じゃ無いからね。どっちかって言うと理数系、多分。…そう思いたいだけとも言う。

 天然ボケなのは自覚しています、とほほ。


「ただ不動産業と言うか、管理人みたいな仕事をしていると無意識に威圧を抑えるというか何というか、無意識に低姿勢気味になりますね。勿論人にもよるでしょうけど」


 意図している訳ではないと、ふむ。


「こう見えて若いですからね、俺。初対面の人から見えるとαの無意識の威圧を出すと、職業的なものかも知れないのですが、生意気と思われるらしくて」


 それを言ったら俺も何ですが。
 とは言え俺の場合男のΩということで世間的には微妙な立場。αの男女からすれば弱い者という風に世間では思われているし、βの男性からもほぼ同じ。
 正しβの女性からするとどっちつかずの感じ、らしい。
 昔からΩは最下位という扱いだけど、最近はΩ用の抑制剤やα用の抑制剤の開発の向上のお陰で不用な言われは昔よりだいぶ減った。
 裏では知らないけれど、少なくとも世間的にはそんな風に言われている。


「それに…うーん、こう、俺って身長とかデカいですし、αだから余計威圧的だと思われてしまうようで。って、ご飯時に言う話ではありませんね」


 そう。
 今俺達は嵯峨さんのマンションでご飯を頂いている真っ最中だったりする。
 結局お昼もだいぶ過ぎてしまい、中途半端な時間帯になった為にスーパーでお弁当を購入した。ついでにお米も購入したので先程お米を洗って水に浸している真っ最中。
 三十分水に浸したら鍋でお米を炊き上げて、具入りと塩御握りとか諸々と用意をし、余ったお米は冷凍保存をするつもりだ。

 それにしてもこう、俺達って顔合わせてご飯を食べているのに何と言うかうん、我ながら色気の無い会話だよな。

 会話の選択ミスったよな~とか思いつつ、そんな中でも嵯峨さんの知らなかったことを知れたなって思う。思うが選択ミスをしたなと反省。とは言え色気のある会話って何だ?

 う、うむ、うむむむ?
 色気、色気って…色気より食い気ならある。
 今食っている弁当の鮭が中々旨いなぁ。安価な物を使っているのだろうけど、沢山の食材を仕入れることが出来るスーパーの強みだよな。野菜はやや少ないけど、コストダウン…生産原価を切り下げることを考えているとこんなものだろう。ただもう少し、嵯峨さんの栄養面を考えると野菜を多めに摂取して欲しい。それだけなくても栄養不足でぶっ倒れた人だし、何より細いんだよね、腰。α男性の筈なのに。俺よりはウエストはあるけど、それにしたって細い。もう少しお肉を食べて欲しいなぁ、あと骨の事を考えるとほうれん草とか鉄分がある野菜も摂取して欲しい。

 これは俺がこの家に居るうちにガッツリと作り置きをしておくべきでは無かろうか?

 日本人だから日本食を多めにとかいうのは考えておくとして、煮物とか簡単な品とかも作って置きたい。今の時期だと何が良いかな。
 好きな男性を落とすためには胃袋を掴めって言うし、Ωの俺にも当て嵌まる筈。

 よし、嵯峨さんの苦手な物とか食べられない物は避け、アレルギーとかもあるかどうか聞いてから作るか。ああでも苦手な野菜とかは栄養バランスのために克服して欲しいから、色々工夫をして最終的に食べられるようにして欲しいかな。食べられる物が多いと良いよね?

 ん?あれ?
 何だか目の前にいる嵯峨さんが俯いてプルプルしている。
 俺なんか変なこと言っちゃった?

 うぐぐ…。
 こういう時つくづく恋愛経験の無さが痛い。
 学生時代もう少しこう、人との接触を図っていれば良かったかなとも思うがそれはそれ。
 中々の無理ゲー状態だ。
 もしかして妙なことして嫌われちゃった?どうしよう?泣いていい?


「泣かないでください」

「え、泣いていた?と言うか声に出ていた?」


 ポロっと出て来た涙を嵯峨さんが手にしたテッシュで俺の目元をそっと拭い、


「ええ、恐らく全部」


 と言って笑みを浮かべる。
 その嵯峨さんの顔は赤く朱色に染まっている。


「え?」

「食い気ならあるっていうことと、俺の栄養面とか、俺が細いってことと胃袋を掴めっていうこと」

「えええ」


 それってほぼ全部のことですけどー!


「俺、好き嫌いはありません。けど、苦手と言うか舌がびりびりするので生のパイナップルとかはちょっと苦手です。缶詰なら大丈夫ですけど」

「嵯峨さん…あの、もしかして」

「はい」

「俺、(思っていたことを)口に出していました?」

「恐らく」


 ギャー!
 やっちまったよー!!
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