商店街のお茶屋さん~運命の番にスルーされたので、心機一転都会の下町で店を経営する!~

柚ノ木 碧/柚木 彗

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110 俺は幸せ者だからな!

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 side.不破 晃洋(憲真買出しに出かけていた


「やっほーぃ店長ちゃん元気ー!?」


 スマホの向こうからは、『は??』と言う呆気にとられた小林店長ちゃんの声。
 つい「何時、嵯峨さんの名字になるの?」と言いたくなるのをグッと堪える。流石に番ったばかりの片割れである嵯峨が目の前で居る状態で言うのは流石にダメだよな。
 等と思いつつ、子供っぽい自分の行動に苦笑する。

 思えば俺の店の傍にまさか珍しい男性Ω、しかも和装男子が一人でお茶屋を切り盛りすると聞いた時は大丈夫か?と思ったものだが、初めて会った時男性にしては小柄な身でテキパキと愛想よく、ニコニコと笑いながら元気よく挨拶をしてくれたなと思い出す。

 その当時は今の俺の奥さんである末明ちゃんとはまだ出会えて無くて、色々とあって不貞腐れて居た時期(クラウディオ・レオーニ、元イタリア系マフィアのドンに好かれてしまい、俺の尻が上か下かはわからないが狙われていた)だったよな。表にはそんな素振りを出していなかったけど。
 それでも『喫茶ロインの店長』である俺と出会って、αである俺にも極々普通に挨拶をしてくれたから良い子なのだろうなって思ってちょっかいを出すのを止めていた。
 尤も喫茶ロイン常連の奥様方に、『あんなイイ子に悪戯目的で手を出したら容赦しないわよ』と止められていたわけですが。げふん、げふん。

 まぁなんだ、奥様方は強いからな…逆らう気なんて俺には無理。心底無理。あれから数年経った今でもありません。

 俺の奥さんである末明ちゃんにも当て嵌まるけど、大好きな俺の運命の番である奥さんに背を向けられたら物理的にも精神的にも深く傷つく。大泣きする自信ある。
 不破晃洋、末明ちゃんにとっても息子と娘達家族にとっても良いパパ、旦那になりたいからご近所さんや常連客である奥さん方にはとっても弱いのだ。
 昔やんちゃしちゃったつけを払っているとも言う。
 はいはーい、自業自得でーす。(涙目)

 それは兎も角。
 目の前でスマホを取られて動揺して焦っている嵯峨さんをちょいとからかうか。
 俺、Ωや奥様達には優しいけどαや男性にはちょいと…いや、今ラブラブ状態の嵯峨さんをからかいたい気分でーす。フフフ。
 ついでに店長ちゃんもちょっとだけからかう羽目になるがこれくらいは許して欲しい。

 まぁなんだ、やっかみだ。甘んじて受けるがいい。


「ちょ、不破さん!?」

「聞いたよ、店長ちゃん。嵯峨さんとお幸せにね~」


『ひゃぁ』とか、『ひえ』とか、小林店長の焦っている声が聞こえて来るけど流石三日間籠もっていただけのことはある、店長ちゃんの声が掠れているねぇ。
 未明ちゃんに言って喉に良いハーブティーでも贈ろうかな。もしくはうちの店のお茶菓子でも。と言っても俺、あんまりお菓子とかは作らない。
 今日店にあるのもチーズケーキとベイクドチーズケーキ、それにレモンクッキー。
 友人のお祝いに贈るにはイマイチ。
 常連客には好評だけど、自覚はしているがおっさん達向け傾向がある菓子類。いや、奥様方にも結構好評よ?けどパッとした花が無い。どちらかと言うと普段食べるケーキや菓子だからね。可愛い飾りつけが出来ればいいが、俺には難問だったりする。

 おっさんからオムライスでも贈るか。うちの店のオムライス、女の子やΩちゃん達に結構評判良いし。

 バース性の学園に通っている学生さんのΩちゃん達からの注文が多いのもオムライスだしな。倉敷阿須那ちゃんにその息子ちゃんのΩ親子もうちの店のオムライス結構気に入ってくれていて、時折お持ち帰りしてくれるし。ん?旦那の一戸陽平?あー知らね、知らね。俺末明ちゃんと結婚しているのに未だに姿を見ると無意識に威嚇してくる奴なんて知らね。腐れ縁が中々切れなくて困っているのはお互い様。

 よーし、オムライス貢いじゃおう。

 心からの祝いの言葉を贈った後、スマホを嵯峨さんに返してさっさと店にあるキッチンに入ってオムライスの用意。
 卵よーし、ご飯よーし、チキンと冷蔵庫にある野菜類よーし。
 ちゃっちゃっとオムライスをちょっと豪華にして、チキンオムライスにしましょうか。

 嵯峨さんが「持ち帰りのカレーを買いに来たのですが」と言っていたのでカレーも付けてしまおう。ついでにと色々持ち帰り用に詰め込んでいたら、末明ちゃんが自宅からゼリー類とか喉に良い品も詰め込んでいた。ついでにサンドイッチも。


「店長ちゃんまだヒート中でしょ?幾ら収まって来たと言ってもまだ身体が本調子じゃないから、水分補給とか怠らないようにね」


 おかんかって常連客の奥様に突っ込まれていたけど、「双子を産んだおかんです」って末明ちゃん。

 くぅ~!痺れる惚れる可愛いっ!俺の奥さん素敵!

 なんて言っていたら店に居た常連客全員から「ハイハイ」「ご馳走様」「お幸せ乙~」と呆れ顔。
 ふむ、わかれば宜しい。どうせなら全員俺の幸せの御裾分けを受けるが…。


「これ以上貢ぐとしたら晃洋の給料から引くからね」


 うん、はい。
 常連客にコーヒーでも奢ろうとしたら末明ちゃんからストップかかりましたー。
 これから俺達の子供達に貯金しないとダメだって末明ちゃんに言われたばかりなのに、大盤振る舞いは駄目ですよね~わかります。「しっかり者の奥方貰って良かったわね」なんて常連客の奥様方に言われちゃった。あはは、確かに。


「もう、ほっとくとすぐ晃洋は人に奢りたくなるんだからっ。でもまぁ、そこが良い所でもあるのだけど」


 って、末明ちゃん。ぐぅ、可愛い。
 俺の奥さん可愛い!

 背後から「はいはい」「惚気お疲れ~」って常連客達から言われているけど、まぁ良いだろう。
 俺は幸せ者だからな!
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